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ユーザー「mitsahne108」の検索結果は以下のとおりです。

恋のかたち

兄のようなココの横顔に恋の予感を感じたのは、いつからだったか。
つんととがった唇はいつもトリコ達に有用な助言を授け、長い睫に縁どられた瞳は腕白な弟分の体調をすぐに見抜いた。ターバンで隠された額は昔々にトリコが廊下でぶつかり、泣きそうなくらい痛がらせたところだった。烏の濡れ羽のように黒々と美しい髪は、庭にやってきたときから短かった。少年の儚さを象徴する長い手足も、夜眠れないトリコの背中をやさしく撫でてくれる。
そうして子供のころの愛しい思い出が積み重なって、庭を発つ前日の長い長い夜、その重みでトリコに教えてくれたのだった。
「お前はココが誰よりも好きなのだ」……と。

月明かりだけが頼りの真夜中に、トリコの隣でココが寝ている。
ココの隣にサニー、サニーの隣にゼブラ。4人で円陣を組むように頭を寄せ合って寝転んでいる。喜びに溢れた庭時代の最後を皆で過ごそうと、誰からともなくこの部屋に集まったのだった。

(俺はココが好きだ)

だからどうなのだ、とトリコの冷静な部分が自問する。トリコはココが好きだ、兄貴分としてではなく、一人の人間として。だからどうなのだ。
夜を共にしたいのか? 違う。性的なつながりを求めるには、この想いは漠然としすぎていた。
恋人になりたいのか? 違う。違うとは言い切れないが、ありきたりの関係にココをおさめて満足するとは思えなかった。
ただ……そう、きっと、自分はココに一言伝えたいのだ。トリコがココを一人の人間として好いているのだという事実を。伝えたその先のことは考えていない。それを考えるのが、「恋」なのだろうか。トリコは恋に疎い。きっとここで寝る4人の誰もが恋というものを知らないはずだ。世の中に散らばる様々なことを知るのが「庭」の外に出る目的で、恋を知るということはその中に含まれているのかもしれない。
けれどトリコはそんなことどうだってよかった。
トリコはココに「好きだ」と伝えたいが伝えられない。
ココが寝ているからだった。 

(たった一言なのに、な)

一度伝えられないと知ると、トリコはますます伝えたくなるだけだった。身の内を暴れる衝動に、トリコの手足がむずむずと膨れ上がるようにすら感じられた。居ても立っても居られない、とはこういうことだろうか、とトリコはココの寝顔に視線を落として考える。
額に眉毛に睫に瞼、鼻筋に小鼻に唇に口角。どこを見ても、ココへの恋しさが募る。いつもたくさん空気を吸い込むトリコの胸が、呼吸を忘れたように詰まってしまう。言いようのない不安と焦燥が、全身を駆り立てる。
きっと俺は朝までこうしてココの横顔を眺め、朝になったら最後の朝食を食べるのだ、とトリコは思う。食べ終わったら歯を磨いて身支度して、あわただしく皆で庭を去るのだ。そこにトリコの「好きだ」の挟まる余地はない。たった一言なのにココを起こせない自分が、あわただしい朝に想いを告げられるとは思えなかった。とすると告白は庭を去ってからになるが、庭を去ったココはどうするのだろう? 他の2人もどうするのだろう。何よりトリコはどうするのだろう。庭を出た後のことなど考えたこともなかった。トリコは慌てる。告白するには庭を出てもココの傍にいる必要がある。だけどそんな約束はココとしたことがない。
これからどうすればいいのだろう。
これからのこと。これまでのこと。……ココの隣にいたい自分の、これからのこと。
考えあぐねて窓の外に目をやれば、満天の星空が庭にヴェールのように広がっていた。粒も輝きも揃わない星が、深い藍色の海に散らばって、口々に囁き合うように瞬いている。ココと何度も見た夜空を隅から隅まで目でなぞると、愛しい兄貴分が少し得意げに教えてくれた星の名前が頭に浮かぶ。ベガ、アルタイル、北極星……。
トリコは鼻はきいても目はきかない。トリコが人の匂いに圧倒されて何も考えられなくなるように、ココもこの綺麗な夜空がまぶしくて仕方なかったのだろうか。目が潰れるほどまぶしくて、見ていられないはずなのに。そっと目を眇めたココは、あの日トリコの手を取って、オレの指先で星座をなぞらせた。
トリコは寝転がったまま、右手を窓に向かって掲げる。人差し指をまっすぐ伸ばせば、はるか遠くにあるはずなのに、指先に星々の熱さが灯るようだ。なぞればさらに熱くなるだろうか。あの夜、ココの柔らかい掌につつまれた手が驚くほど熱かったように。トリコがおそるおそる指を動かして、教えられた星座を探し出す。あれがカストル、あれがポルックス。ふたつをつないで、他の星々とつないでいけば、そう…… 

「そう……あれが、双子座だよ」
「!」 

聞き慣れた声に飛び起きれば、隣で寝ていたはずのココが、うっすらと目を開けてほほえんでいた。
いつから見ていたのだろう。一人きりで星座をなぞっていたなんて知られたら、大人びたココに呆れられるだろうか。……そう考えながらまじまじと見たココの顔は、薄闇の中で月の光に照らされて美しい。なめらかでやわらかそうな肌はいっそう白く透き通って見えるし、短い髪の先もつややかに光って、夜露に濡れたようだった。どんどんココは美しく、大人っぽくなっていく。いつしか気恥ずかしくて見つめられなくなった顔が今、トリコの前にあって…… 

「なぁトリコ、これからのことを話したい。ボクと……もしオマエさえよければ、オマエとのこと」

トリコのことを待っているとしたら、どうするだろう。

外は満天の星空に包まれて、そこに浮かぶ星々が思い思いに輝いている。こんな美しい夜空を、トリコはココとずっとずっと見ていたい。寄り添い合って、お互いの肌の触れあう部分が熱を持ったようにあたたかくなるくらい、長い時間をココの隣で過ごしたい。
きらきら輝く銀色の星。それがトリコの他ならぬ「恋」の形だと、トリコはその夜はじめて知った。

 

睦言

トリコは恋人が「好きだよ」と自分に愛を囁くときの、その顔が嫌いだった。

散々愛し合ったベッドの中、ベッドサイドの灯りがふたりを穏やかな色に照らすときに、トリコは「ココ、好きだ」と呟く。それは、愛しいココの身体を食らい尽くし、あるいは味わい尽くされた後に、自然とこぼれ落ちる睦言だ。ココのすべてを全身で感じたことへの感謝と、ココのすべてを己が支配していることへの満足感とが、言葉となってトリコの外へとあらわれるのだ。それが、ココとトリコが寝台を共にするときの恒例だった。それに対して、ココが「ボクも好きだよ」と答えるのも、恒例だった。お互いがお互いを愛していることを言葉でも確かめ合って、眠りにつく……そんな睦まじい戯れをする、ココの顔が、トリコは嫌いだった。
「トリコはいつかボクを好きじゃなくなるかもしれないけどね」と言うような、諦めきった顔だからだ。
「なぁ、ココ」
「なんだい」
「オレ、お前が好きだ」
そう言った途端、ココの眉が悲しげに寄せられていくのを見て、まただ、とトリコは思った。ココはまた、あの顔で「好きだ」と言おうとしている。
なぜ自分がココのその表情を嫌うのか、トリコは繰り返し考えてきた。
まるでココが自分のわがままに付き合っているかのように感じられるからか。違う。トリコはココにわがままばかり言っていると自覚しているが、応えるココはまんざらでもない態度でトリコ達に付き合ってくれる。
ならばココに弟扱いされることに憤っているからか。これも違う。兄弟分の立場を超えて、恋仲の関係になることを選んだのは他ならぬふたりだ。普段食べ物のことばかりのトリコが無い知恵を絞って、ようやく思い至ったのは、庭に出てからココが見せるようになった「諦め」の表情だった。
毒人間だから、とココは繰り返し言う。毒人間だから、近づくな。毒人間だから、生き物は近寄れない。毒人間だから、お前に愛される資格はない……。
だから、トリコは、ココがトリコの心離れを憂えているのではないか、と考えたのだ。

 今日もココは「ボクもお前が好きだよ」と諦めきった顔で言う。
昨日までのトリコは、ココに何も言えなかった。愛を身体で示せば解ってもらえると思っていたからだ。けれど、ココの憂いは根深い。憂いを言葉で否定しなければならないほどに。
だからトリコは、幼さの残る両手で恋人の肩を掴み、
「オレは絶対にお前のこと嫌いになんねーからな」
と言った。トリコは思いのほか自分の声に怒りが滲んでいたことに驚いた。
対するココは、ぞっとするほどの無表情だった。

トリコがそのまま口を閉ざすと、ふたりは瞬きすらせず対峙した。
「……そうか」
小さな声でその沈黙を破ったココは、曖昧な笑顔を浮かべ、そっとトリコの手を払った。
恋人の温度を残したトリコの掌の向こうに、もはや睦言はひとかけらすら残っていなかった。 

ココが美食屋を引退する、2ヶ月前のことだった。

 

ジョセシー140

  • 2013/05/15 22:49
  • カテゴリー:その他

街中で草原で公園でリビングで、彼の色を見つける度に、ひと月の友愛を思い出す。通りすがりに見かければ、彼が自分のもとを去っていくようにすら錯覚した。この世界には色が溢れているのに、それを纏う愛しい人はどこにもいない。

(変換はお手の物です)

 

問いかけに驚いて返せば、問いかけた当人が一番衝撃を受けたようだった。その後はお互い修行に身が入らなくて、気まずいまま就寝。自分は彼の死を見て初めて想いを自覚したのに、彼にはずっと前から好かれていたのだろう。そうして恋は届かなくなった。

(「なんで? 好きだよ?」)

 

泣いてるのンと茶化して聞かれ、泣くかスカタンと憎まれ口。外聞も世間体もない天国で、それでもおれは素直になれない。「ホントに好きだぜ、シーザー」「うるせえイモ」背中合わせの態勢から、心の痛みは伝わるだろうか?

(泣かないって言ったけど、痛いって言わないとは言ってないよ)

 

ジョセシーへのお題:変換はお手の物です/「なんで?好きだよ?」/泣かないって言ったけど、痛いって言わないとは言ってないよ
http://t.co/skcHKVUJ7L

 

トリココ140

 

考える前に体が動くのがトリコだ。我に返った頃には赤い顔をした恋人が繊細な指で額に触れ、驚いた顔から恥じらう顔へ、匂いも目まぐるしく変化する。また毒砲かな、と思うトリコは、けれどこの瞬間の至福を味わい尽くす。「人前だぞ!」怒るココから歓びの香りが漂うからだ。
(おでこにキスをしよう)

アイツが来るまで2週間。狭い自宅の大掃除、食料ハントに下拵え。食用食器も買い込んで、ひいひい運ぶココにサニーが「外食すれば良んじゃね?」。助言をしても止まらない、準備が苦になるはずがない。彼に会うのを指折り数えてココは待つ。
(ああ、そっか、知らないうちにこんなにも、)

期間限定ココ料理塾。名ばかりだから、生徒もココも、思いのままに料理する。最初は丸焼き、明日はサラダ。トリコとふたり、基礎の基礎からお勉強。共同作業だと言う生徒は、ココの気も知らずに無邪気に笑う。日が暮れたら今日は終わり。あと何回で『明日』は終わる?
(最終回はナシの方向で)

トリココへのお題:おでこにキスをしよう/(ああ、そっか、知らないうちにこんなにも、)/最終回はナシの方向で http://shindanmaker.com/122300

人の相を見るのは楽しい。星の瞬きのように輝く相、真夏の太陽の相、瑞々しく踊る相……想い人に似た相が、店にに座るだけで運ばれてくるから。不健全だと言われるだろうか? 根暗でもかまわない。当たって砕けるなら、彼の影を追うだけでいい。
(待ってるだけでも、黙ってるだけでも)

彼の影を追うだけでいい、とは誰が言ったのか。一度再会してしまえば、会えない時間に想いが募るばかりだった。占いをする間も、寝る前も、花瓶の水を換えるときですら、ボクは彼と会うことを考えている。そのくせ花占いは、花弁の多いものを使う臆病者だ。
(なんてばかばかしいことを)

「それで『会えない』で終わったから?」と、面白そうなトリコの声。「悪かったな、どうせボクは馬鹿だよ! 花占いなんてものに一喜一憂するなんて」そう喚くボクの背中を、大きな手が撫でる。「違うぜココ。会いに来なかったのが馬鹿なんだ」ボクは影を捕まえた。
(あやす手のひら)

トリココへのお題:待ってるだけでも、黙ってるだけでも/(なんてばかばかしいことを)/あやす手のひら http://shindanmaker.com/122300

アイツは嘘つきだと膝を抱える主に、人より大きな体の鴉はそっと寄り添った。主の柔肌は血と毒にまみれて、獣のニオイを放ちながら、暗闇に溶け込んでいる。鴉は夜目が利かないけれど、鼻のきくアイツは主がどこにいても見つけられるだろう。なのに来ないアイツが大嫌いだと、優しい鴉は人知れず鳴く。(どこにいても、きっと見つける) 

見られるといけないから、ブランケットの中で繋がった。ふたりの熱でつくったサウナで舌を絡めながら腰を振れば、汗ばむ肌がぬらりと光る。伸ばした爪先にふと冷気を感じて脚を引き寄せると、大げさに喘ぐトリコ。仕返しにと武骨な手に強く扱かれて、ココは気をやりそうだった。熱帯夜のことだった。(「あつくて、溶けそう。」) 

上目遣いで問いかけると、トリコは怒ったように返事して、繋いだ右手に力を込めた。「怒るんだ」「だってよ」「わかってる」星の瞬く帰り道、おうちについてもトリコの部屋まで手は解かない。「手を離すなんて、考えもしなかったんだよな」ふくれ面で頷く弟のあどけなさに、つい意地悪したココだった。(離したくないって言ったら、怒る?)

トリココへのお題:どこにいても、きっと見つける/「あつくて、溶けそう。」/離したくないって言ったら、怒る? http://shindanmaker.com/122300

 

ミナマツ

  • 2012/06/29 22:38
  • カテゴリー:その他

雪が降るから泊まっていって。そう誘って数時間、夜更けになっても雨すら降らぬ。真意を悟った恋人は、「マツバはかわいいな」と言わずに使い古しのペン先で、スイクン手帳にうたを詠む。いとしいとしの幻は、雪まで隠して我を誘う。しかれど我の傍らに、雪より儚き想いあり。詠み人ミナキ。

ミナマツへのお題:とりあえず隣にいてよ/「かわいい。」/欠けたペンの先 http://shindanmaker.com/122300

 

 

外れてくれと願いながら、気がつけば食卓にスープを用意していた。深皿に並々と注がれた彼の好物が、湯気を消して久しい。僕は時計とスープを見比べて、過ぎる秒数に安堵するのを繰り返していた。食卓にスープが置かれ、僕以外いない家に、ミナキ君が訪れる。まっくらやみを背に真っ青な顔をした彼は、呼び慣れた僕の名前の形に唇を動かし、いとしい伝説の名を呼ぼうとしてやめる。いつかの朝ぼらけに、僕の目が見た光景だった。きっと彼は好物を用意した僕に絶望し、僕と彼の友情は壊れるだろう。夢も友もなくす僕は、なくすものを秒針とともに数えている。夢も友情も、ミナキくんの訪いも、彼のためのワックスも、歯ブラシも……。それでもスープは冷めて久しいし、僕は冷めたスープを彼に飲ませない。きっとスープを用意したのは偶然だし、たとえ彼が訪れても、伝説を見かけたとか言いながら、土産のまんじゅうを片手に浮ついた顔で敷居を跨ぐだろう。青い顔をするのは外が寒いから。それならこんな寒い日は、スープをあたため直して振る舞おう。台所を見ながら聞きつけるインターホン。冷めたスープを尻目に僕は玄関に駆け寄り、ゆっくりと引き戸を開けるとそこには……。

ミナマツへのお題:冷めたスープ/(どうかわらっていてください)/なくしたものを数えてばかり

ttp://shindanmaker.com/122300

 

 

しょうどんバレンタイン

  • 2012/03/04 22:51
  • カテゴリー:その他

「空から落ちてきたんだ、神様が俺にくれたもんだと思うだろう」
非難がましい目で見てくる田口にそう言い訳して、速水はチョコを摘んで口に入れた。
「うまいなコレ」速水の長い指が小さなトリュフを持ち上げる。形は不揃いで、いかにも手作りらしいあたたかみのあるチョコレートだった。くやしいけどうまいな、等とうなりながら、一つ、二つと速水の口がトリュフを咀嚼する。
「俺がもらったやつなんだけど」
「そうか」
「おい」
「安心しろ行灯、これは俺がおいしく頂いて午後の練習の燃料にかえてやる」
ちがう!
次々と速水の胃に消えていくチョコレートは、田口がけさ教室の前でもらった物だった。贈り主は小柄で結構かわいくて、般教のクラスでよく見かける子。可愛らしくほどこされた包装も、彼女の普段の様子を彷彿とさせた。
それを昼休みに校舎の窓際で食べようとした自分も自分だし、ラッピングのリボンがほどけなくて躍起になっていたのを勢い余って窓の外に落としてしまったのも不注意極まりなかったと思う。だが、そこに運良く通りかかって、急いで3階から降りてきた自分の前で悠々と落とし物を食べる速水は悪魔以外の何者でもない。田口はそう思った。
「ご馳走様」
ニヤリと悪餓鬼の笑顔をして礼まで言う速水から、田口は空の箱を回収する。唇の端にココアの粉をつけて、おいしかったと言わんばかりの顔だ。してやったり、おいしかったぞ、なんて言うんじゃないか。そう考えて、ふと、田口は思いついたことを口にする。
「チョコならちゃんとやるから」
「へっ!?」
いたずらっぽい笑顔から一変、速水が呆けた面で田口をまじまじと見る。
「また後でな、晃一」
こういち、と心なし強く呼んで速水みたいに笑ってみれば、恋人の顔がみるみるうちに驚きに染まる。ついで耳まで赤くなったのを尻目に踵を返すと、階段を上る田口の背中に「おい行灯!」とか「絶対だぞ!」とか、東城大剣道部次期主将の怒鳴り声が投げ掛けられた。
結局、速水は恋人がチョコをもらったのに嫉妬したのだ。窓から慌てた顔で見下ろす田口と頭にぶつかった箱を見比べて、瞬時にそれがどんな経緯で恋人の手に渡ったのかを判断して、その上で、自分にはくれないくせに、なんて子供っぽい嫉妬をしながら包みを開けたのだろう。さすが次期主将の判断能力はすばらしく高い、けれど自分の恋人は思いつかなかったのだろうか?
「誰が大学でなんか渡すか、馬鹿」
女子に囲まれる恋人を見るのも、恋人にチョコを渡して噂になるのも、どっちも願い下げだ。
顔を真っ赤にしながら、田口は元いた窓際に向かって歩いていった。

 

 

しょうどんへのお題:変換はお手の物です/「空から落ちてきたんだ」/頼りなくても頼ってほしい ttp://shindanmaker.com/122300

もとの140字SSSもこれもちゃんとお題に沿っていないしょうどん。

 

↓もとのSSS

空から落ちてきたんだと言い訳して、速水はチョコを摘まんだ。手作りらしいそれを、田口はけさ教室の前で貰った。「ふーん」嫉妬したのかなんて馬鹿なことは聞けないし、その考えに行き着くこと自体恥ずかしい。だから速水が恋人の貰い物を食べ尽くすことの理由に、田口はいつまで経っても気づけない。

パフェ

真希ちゃんと喫茶店で上司の帰りを待つこと30分。
頼まれた2つのパフェは遅れたことを詫びる様に私と向かいの少女の前に現れ、人伝いに注文した主はまだ来ない。
とけちゃうから食べようよ、と笑う面影は大人びていたけれど、きっとどっさり乗ったホイップクリームも甘酸っぱい苺シャーベットも、さくさくのチョコがけフレークだっておいしくないに違いない。
現にパフェは減るより早く溶けていく。溶けたアイスはチョコレートのソースと混じり、容器の端から涙のように垂れた。
行儀が悪いのを知っていて、真希ちゃんの指は控えめに甘い涙を掬って舌に運ばれる。それでも父親は来ない。タイミングよくここに現れて自分をしかってくれやしないかと、祈るような気持ちでふざけたのに。
だから私は叱るかわりに彼女の顔のクリームをふき取るけれど、それだって本当は誰でもない父親にしてもらいたいのだろう。
来てくれればいいのに。
そう思いながら、パフェスプーンでフルーツをすくって食べる真希ちゃんの唇をぬぐおうとして……私の手ごと、紙ナプキンが止められた。

夕暮れ時にしては閑散とした禁煙席に、長い影がひとつ、ふたつ、そして……みっつ。
頼まれた1つのジュースと2つのコーヒー、それにサンドイッチは歓談する私達の前に現れ、注文した父親は私の手付かずのパフェを茶化し、愛娘の指先を拭っている。
文句のひとつでも言ってやろうとあんなに待ち構えていたのに、今わたしはただ父子水入らずの食事を隣で眺めている。
かまわない。それでいい。多くは望まない。
パフェを共に食す相手も悪戯をとがめる相手も、指先を拭う相手も、今はまだ、眺めるだけでいい。

モブダグお題と妄想

いともかんたんにベッドに縫い止められたダグラスに、ファンだという男はしきりに赦しを請うた。「ごめんね、ごめん。」君を金で買うような真似をしてごめん、と。謝るならその薄汚い手でオレの腹筋をさするなファックと言いたいダグラスは、けれど唇を引き結んで責め苦に耐えるしかない。もうこのクソッタレな世の中に反抗する力はなかったのだ。不名誉な噂を流し、命すら消してしまう力の輝きを男の背後に見ていたから。

モブダグへのお題:いともかんたんに/「ごめんね、ごめん。」/ナイフを持ってることはひみつ http://shindanmaker.com/122300

 

 

twitterの方でついカッとなって垂れ流したのをまとめた
!注意 モブ相手にダグラスくんが体を売ることになる妄想です
わたしのかんがえるモブダグ

前提:年表つくるの大好き(私が)

 

ダグラスくんは幼い頃、自分のために色々してくれるお姉さんのために「オレも働こう!」と思うんだけど、外で何をすればいいのかわからない
そこをお金持ちのおじさんに声をかけられて、女の子の服を着てくれればこれだけあげるよ、という甘言にホイホイ「やとわれ」ちゃう
それでちょっといいホテルなんかでかわいいワンピースを着せられたりして、こんなのでお金もらっちゃっていいのかと思ってるダグラスくんのお尻をお金持ちおじさんが撫でる
撫でるだけじゃなくて揉まれたりさすられたりして、気持ち悪くなってきたダグラスくんは正直に拒否
お金持ちのおじさんは優しかったのでダグラスくんを家に帰してくれるんだけど、ダグラスはこのことがトラウマになって、普通の力仕事とかで働くように
それから大学を出て、演劇の道に進んで、大スターから海軍司令官、そして大統領候補へ!
→落選
どうして落選したかというと、若草会にすごい噂を流されたからですね
「ホモでマゾで女装癖」 噂というものは嘘のように信憑性がない、しかし火のないところに煙は立たないし、真実の隠れていない嘘は信じられにくい
幼い頃のちょっとした出来事に煙を立てられたダグラスくんは、酒を煽りながら「因果応報ってヤツか……」と何ともいえない気持ちに
せっかく姉さんのおかげでここまで来たのに俳優にも海軍にも戻れなくなって、マンションを追い出され、酒浸りの日々の末に無一文となった頃、大統領選の頃の噂を聞きつけ、同性愛者でダグラスくんのファンだったモブがダグラスくんのもとを訪れます
泥酔し失うものは何もないとばかりにモブに連れられてホテルの門をくぐったダグラスくんは処女喪失、精液に塗れながら明け方まで泣きます
枕元にはドル札が
痛みばかりの処女喪失でしたが、その翌日も違うモブが同じように飲み代を払いドル札をくれたので、ダグラスくんは次第にお酒のために体を売るようになります
待ち合わせは場末の酒場の一番奥、酔いつぶれる前に客に拾われて、ホテルでドロドロになります
たまには寝床の路地裏でまぐわうことも
このままどうにでもなればいい、どうにかなってしまわないと姉さんとキャロルを思い出してしまうから、と二束三文で買い叩かれるダグラスくんが、モブにレイプレイプレイプされる

のが 私の頭の中のモブダグです

~完~

このモブダグのちょっと後にキャロルと再会→COREの餌食に、という流れになると思ってる
ハワイ―カナダルート?だったら酒場で一二回客に買われたあたりでキャロルと再会するんじゃないかなー
二束三文で買い叩かれてる時期に再会して日本軍に加入した頃になって後ろが疼いて仕方なくなるダグラスくんもかわいいと思う
多分そうなると下手に相手も見つけられないし東郷やキャロルの手前なんにもできなくてこっそり玩具を通販するんじゃないかな
尻穴狂い@eraのダグラスくんまでもう少し!
そういう訳で私は朝起きるとパソコンのデスクトップの片隅にeraDTK(era大帝国)のショートカットが出来てないかなあ、と夢想するのです 

夕立

ちょっとした用事を済ませて外に出ると、見計らったように雨が降り出した。
「夕立か」
「そのようですね。えぇと……」
腕組みをして空を見上げる東郷の横で、秋山はごそごそと小脇の鞄を漁る。
行きがけに二人分の折りたたみ傘を放り込んだはずなのに、いくら漁っても出てこない。自分の勘違いだろうか。
そうこうする間にも雨はどんどん激しくなる。小雨のうちに駅まで走ってしまえばよかったのに、すでに軒下のここから一歩出れば土砂降りだ。傘を差しても歩けるかどうか。
「……申し訳ありません東郷長官、傘を忘れてきてしまいました。車を手配しますので、しばらく中でお待ち下さい」
「いや、いい」
「え?」
「じきに止むだろう」
携帯ごと腕を引かれて、秋山は東郷の胸に倒れこんだ。身を起こす間もなく顎に指をかけられて、そのまま口付けられる。実に手馴れた様子に、雨宿りをするときはいつもこうなのだろうか、と考えてしまう秋山の歯列を、東郷の舌がやわやわとなぞる。
まるで職人のようだ、と秋山はぼんやりと思った。
……気まぐれに口付けられて、気まぐれに心をもてあそばれる。
こうして部下の失敗をカバーするような振る舞いをするのも、気まぐれの一種なのだろうとは思うけれど、そんな気遣いをしてくれる東郷が、秋山は好きだった。
(好きです、東郷長官。好きです……)
角度を変えて何度も口付けると、東郷が口の端だけで笑った気がした。
夕立は止まない。雨粒は激しくアスファルトに打ち付けられてけぶり、外界とこちらとを仕切る幕のよう。
ふと東郷の後ろに視線をやれば、磨き上げられた壁面に上官のたくましい背中が映り、真っ白な制服の布地の流れをさえぎるように、二本の傘が腰に差されているのが見えた。
……傘?
「東郷長官……」
「ん?」
「……いえ、なんでもありません」
気のせいだろう、そう思うことにしよう。秋山はぶるぶると頭を振って、東郷の首に腕を回す。
夕立は止まないし、傘は見当たらない。わかっててやってるんじゃないか、とは思えても、そんなことをしてまで口付けてくる上官が秋山は好きなのだ。

 

 

東秋へのお題:雨にかくれてキスしよう/(すき。すき。)/かがみの中に落とし物 ttp://shindanmaker.com/122300

落とし物というか忘れ物

大団円に向かう

ドリンクバー三往復まで、という縛りは正しかったのだろうか。
一向に減らないダリウスのメロンソーダを見つめながら、ウィルフレドはグラスの底に残ったコーラをストローで啜った。片や二杯目おわり、片や最初のドリンクを持て余していて、周回遅れのダリウスはそれでもソーダに口を付けない。手持ち無沙汰なのか、たまに氷とソーダをかき混ぜる他は、かれこれ30分間なにも語らず何もなさなかったのだ。
恋愛相談なのに。
恋愛相談。ウィルフレドがその言葉を舌に乗せると、ダリウスの肩が小さく震えた。彼にその名目でファミレスまで連れ出されたとき、ウィルフレドは相手を十分に想定することができた。正義バカで朴念仁のアホーネストと心の中で呼んでいる、まさにその彼である。
アーネストに対する躊躇いを含んだ態度や愁いを帯びた眼差しから、ダリウスの気持ちを察することは容易であったし、恐らくこのバカ二人以外の皆がその懸想を知っているだろう。それでもこの片割れはこちらが何も知らないものと信じて切り出し方に迷うし、そもそもの相談の是非すら決められずにいる。
しかしこちらはすべて知っているのだ。同じ軽戦士であり貧困の出でもある自分にシンパシーを感じているのであろうダリウスが、アーネストへの想いに悩んでいることも、悩んで悩んで、身分違いだとか唯一無二の親友たる彼への裏切りだとか色々な理由をつけて片恋を終わらせようとしていることも、……そして、思い人たるアーネストもまた、親友からの信頼と親友への恋心とで板挟みになって悩んでいることも、よくよく知っている。
……と、そこまで思いを巡らせて、ウィルフレドは脱力した。
(……なんだ、バカみたいだ)
答えはもう出ているじゃないか。ダリウスはアーネストが好きで、アーネストもダリウスが好き。ならば遅かれ早かれ(鈍い彼らがそんなに早くくっつくとは思えないが)ふたりはお互いの想いに気づくか告白大会を経るかして、無事友達以上恋人未満の関係に終止符を打つだろう。ウィルフレド達外野ができることと言えば、ゴールへとそれとなく誘導することくらいである。
あるいは、ふたりの惚気にも似た相談事を、話半分に聞き流すか。
じゅ、と思い切りストローを吸えば、はじかれたようにダリウスが顔を上げた。高圧的な態度を予期した怯えが、彼のきれいな瞳に滲んでいる。それをウィルフレドは曖昧に笑って交わし、「もう一杯とってくるだけだから」切り出し方を考えておいてくれ、と言外に匂わせつつドリンクバーに向かう。やだやだ、結末のわかる物語なんかつまらない。それも身内の恋愛事なんて、惚気以外の何物でもないじゃないか。そうは思いつつも、ウィルフレドはドリンクバーでこさえた清涼飲料水のちゃんぽんをグラスの縁まで注いでみる。結局好きなのだ。大団円に向かうお話は、過去の自分とアイツを見ているようだから。

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