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2017年12月の記事は以下のとおりです。
おかわり。
- 2017/12/14 20:25
- カテゴリー:晃零
「ただいま~」
「おかえり。お風呂沸いてるぞい」
「サンキュ~。言ってたヤツ買ってきた。風呂場に置いとくぜ」
「ふむ? あぁ、寝ぼけて何ぞ頼んだようじゃな。お遣いありがとう」
「うおっ!?」
「そんなに警戒せんでもよかろう。ご褒美の口づけじゃよ」
「いらね~よ馬鹿!」
「つまらんのう~」
「フン!」
「わんこ~ただいま~」
「おうお帰り。メシ出なかったろ、風呂入る前に食えよ」
「生ハムサラダにトマトスープじゃな。優しさが身に染みるのう~」
「食い切れなかったら明日にしろよ。俺も食う……って、いらね~っつっただろ」
「トマト味のキスは嫌かえ?」
「そういう問題じゃね~よ!」
「おうおう、大神晃牙様のお帰りだぜ! 仕込んだカレーは残ってんだろ~な!?」
「おかえり~。美味しかったぞい。二次会まで出たのにまだ食べるのかえ?」
「あんなのメシのうちに入んね~よ! それよかコレ、頼まれたヤツな」
「いつもすまんのう~」
「んっ……ついでだから気にすんな」
「ただいま帰ったぞいーーって、なんじゃこれ」
「あぁ? あんたが欲しがってただろ~が」
「また寝ぼけて何ぞ頼んだのかのう……?」
「おうよ。感謝しろよ」
「それにしても、なんとも大量に……お礼のキスは幾つで足りるかや?」
「自分で考えろよ」
「ふむ……あんまりしても嫌じゃろうし、1つかのう」
「…………」
「ふむ……あんまりしても嫌じゃろうし、1つかのう」
「…………」
「……ただいま」
「遅かったのう~。レオン寝ちゃったぞい」
「なあ……これ」
「うむ? ーーこれは! 素材を厳選しすぎて100本しか生産されなかったという幻のトマトジュースではないか! 幾度の抽選にキャンセル待ちでも手に入らなかった逸品を、まさか我輩に……!?」
「他に誰がいるんだよ。心して飲めよ」
「ありがとうわんこ!」
「…………」
「お礼にたくさんキスしようぞ!」
「……おう」
「ただいま~……?」
「……! おかえり!」
「ふふっ、そんなところでうたた寝したら風邪引くぞい? 一緒にお風呂であったまるかえ?」
「ああああったまんね~よ!」
「そうかや? ……おや、もうお遣いしてくれたんじゃな。ありがとう」
「お、おう」
「それじゃ寝るかのう~」
「へ? あ、おい! ……何もね~のかよ……」
「ただいま」
「……お、おかえり……」
「んだよ」
「…………あの、なにゆえ我輩、玄関先で押し倒されて身動き取れないんじゃろう……?」
晃牙はなんだそんなことかと言うように鼻を鳴らし、零の服をたくし上げる。
胸元をひと噛み。鎖骨にざらりと舌を這わせ、そうっと歯を立てる。歯型がつくくらい、零を疼かせるくらいの強さで。
まるで零は、犬に囓られるオヤツの骨だ。
「気づいたんだよ」
今度は首筋。薄い皮膚越しに唇の柔らかさと吐息の熱を感じる。
「褒美は、取りに行くもんだって」
頬。鼻。額。
荒い息が、唾液が、下腹の熱の塊が、零の全身を『ご褒美』にする。
組み敷かれる直前ーー廊下の奥にプレゼントの山が見えた。ご馳走も、食卓に所狭しと並んでいた。どれも零が欲しがっていたものだろう。とうに忘れたが、食べたいと言ったかもしれない。
聞きたいが唇も『食べられている』。舐めて、歯を立てて、捏ねて、絡めて……とろとろにされている。
ご褒美を組み伏せているご主人様とその飼い主の元に、レオンが嬉しそうにやってきた。自分も遊んでもらおうと、ちょこんと前足を出す。
お手。
おかわり。
「レオン、ハウス。俺が貰ってんだからな」
(躾の仕方、間違えたのう……)
蕩ける理性を手放しながら、零は熱い溜め息を吐いた。
夫婦漫才
会話集・ボケとツッコミ編
※
「我輩もじゃよ〜」
「へ、へ〜? どこのブランドが俺様に合うって?」
「ブランドというか……これなんじゃけども」
(動物病院のグッズカタログを差し出す)
「…………」
「……およ? すまんすまん、こっちじゃった」
(いぬの×もちを差し出す)
「わんこが1週間も口きいてくれんのじゃ……」
「レオンの散歩着選んでたってちゃんと言いなよ〜」
■ ■ ■ ■ ■
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ミニストップで売り切れ続出「贅沢ないちごアイス」が再登場
http://news.livedoor.com/topics/detail/13952842/ |
「スーパーアイドルの大神晃牙様が買ってきてやったぜ! 泣いて感謝しやがれ!」
「さすがわんこじゃのう……ありが、う、ううう」
「ななななに泣いてんだよ!? 『泣いて感謝しろ』は比喩だろ!?」
「ううっ、うう~~っ……立派にっ、お遣いできるようになって……っ! わんこも巣立ちの時期なのじゃ……ぐしゅっ!」
「巣立ち!?」
「わんこ、わんこが我輩の食べたいものを完璧に察したら、我輩わんこを野に帰すと決めておったのじゃ……1人前のわんこに育って飼い主冥利に尽きるのじゃ……ううう」
「勝手に決めんじゃね~よ! 野に帰されたら……俺、あんたとアイス食いて~よ……っ」
「わんこ……!」
「苺アイスは涙の味。『贅○ないちごアイス』、発売中じゃ……くすん」
「……というCMはどうじゃろう」
「苺アイスが涙味だったら嫌でしょ」
1207(翼薫)
- 2017/12/07 00:00
- カテゴリー:その他
よろよろとスタジオを出た桜庭は、廊下の隅に見知った影を見つけて眉をひそめた。
にこりと好青年スマイル……にしては地に足のつかない笑顔でこちらに駆け寄り、ひとつどうぞと喉飴を渡す男こそ、柏木翼である。
幻覚か、と桜庭の頭が結論づけた。柏木が収録を終えたのは2時間前だったのだ。カフェスペースもなければ自販機もなく、当然自由に使えるレッスンルームすらないこのビルで暇を潰すのは狂気の沙汰だ。しかし手のひらに飴を転がす指先は質量を伴い、有無を言わせぬ強さで利き手を握り込んできた両の手はしっとりとあたたかい。
「先に帰れと言ったはずだ」
「生麺がこだわりなんですよ」
恐ろしく楽しげな声で、柏木。
「麺は細めで、鶏白湯スープがこっくり濃厚で人気なんです。疲れた体にしみますよ。池袋にあるんです。今食べたら絶対おいしいですから、一緒に行きませんか」
出来の悪いドラマのような白々しい台詞が続いてゆく。だからなんだ、君は疲れていないだろう、疲れたとしたらそれは同じ姿勢をとり続けたせいだから屈伸すれば回復する。僕と夕食を共にする理由などない。2時間かけてもラブバラードを歌えなかった僕とは。
「当然、オレもくたくたです。待ってる間に次のドラマの台詞ぜんぶ覚えたかったんですけど、どういう背景でこの台詞が出てきたのかなとか、役の人の気持ちとか、色々考えたらわからなくなっちゃって。結局、薫さんの言葉を思い出してーー『その役を任された自分を信じて』感じるままに演じようと思ったんです。でもレッスンルームがないんですよね、このビル。だからラーメン食べて事務所で稽古しようと思います」
うっかりしてました、と笑う柏木の横をすり抜け、足早に玄関へ向かう。本読みの稽古をするなら君も栄養補給が必要だろう、案内してくれ。はい! 地に足のつかない声が桜庭の心を優しく包み、凝り固まった胸の内をほどいてゆく。あぁこれか、こう歌えばよかったのか。ふわふわと心地良いぬくもりが喉を包むので、白い吐息に混じって歌がこぼれそうになった。この胸の浮つきを、桜庭は恋のようなものだと結論づけた。
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