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ミナマツ

雪が降るから泊まっていって。そう誘って数時間、夜更けになっても雨すら降らぬ。真意を悟った恋人は、「マツバはかわいいな」と言わずに使い古しのペン先で、スイクン手帳にうたを詠む。いとしいとしの幻は、雪まで隠して我を誘う。しかれど我の傍らに、雪より儚き想いあり。詠み人ミナキ。

ミナマツへのお題:とりあえず隣にいてよ/「かわいい。」/欠けたペンの先 http://shindanmaker.com/122300

 

 

外れてくれと願いながら、気がつけば食卓にスープを用意していた。深皿に並々と注がれた彼の好物が、湯気を消して久しい。僕は時計とスープを見比べて、過ぎる秒数に安堵するのを繰り返していた。食卓にスープが置かれ、僕以外いない家に、ミナキ君が訪れる。まっくらやみを背に真っ青な顔をした彼は、呼び慣れた僕の名前の形に唇を動かし、いとしい伝説の名を呼ぼうとしてやめる。いつかの朝ぼらけに、僕の目が見た光景だった。きっと彼は好物を用意した僕に絶望し、僕と彼の友情は壊れるだろう。夢も友もなくす僕は、なくすものを秒針とともに数えている。夢も友情も、ミナキくんの訪いも、彼のためのワックスも、歯ブラシも……。それでもスープは冷めて久しいし、僕は冷めたスープを彼に飲ませない。きっとスープを用意したのは偶然だし、たとえ彼が訪れても、伝説を見かけたとか言いながら、土産のまんじゅうを片手に浮ついた顔で敷居を跨ぐだろう。青い顔をするのは外が寒いから。それならこんな寒い日は、スープをあたため直して振る舞おう。台所を見ながら聞きつけるインターホン。冷めたスープを尻目に僕は玄関に駆け寄り、ゆっくりと引き戸を開けるとそこには……。

ミナマツへのお題:冷めたスープ/(どうかわらっていてください)/なくしたものを数えてばかり

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