零くんが6人いる例のアレのイントロ
二人分の食器を片付けると、晃牙は台所からお盆にスイカを載せて戻ってきた。
「お袋が朔間先輩と食べろってさ」
かっこいい恋人によろしくねだってよ、と言い切らないうちに赤い部分にかぶりつく。
「晃牙とおばさんは好みが似ておるのう~?」
「あんたは誰が見てもかっけ~だろ」
「そうかや?」
「そうだよ」
「我輩は晃牙にかっこいいと思ってもらえば十分なんじゃが」
しゃくしゃくと食べすすめていた晃牙が、ふと手を止めた。
「俺様は十分じゃね~し」
晃牙は地球のように丸かったスイカの切れ端に大きな口でかじりついて、口元を果汁で濡らした。顎に垂れる前に手の甲で拭おうとすると、大きな手が晃牙の腕を引き留める。温かいものが唇に触れて遠ざかった。
「……何も言ってね~だろ」
「言ったぞい♪」
「そ~かよ」
真っ赤な顔でスイカに没頭する晃牙にならい、零もぬるくならないうちにと尖った先端を食べた。冷たくて甘くておいしい。
スイカのしゃくしゃくという音を楽しみながら食べるうちに、2切れ目もすぐなくなってしまった。お盆にはもともと6切れ載っていたから、あと1切れは零のものだが、完食するにはお腹が苦しい。
「いくら貰ったのじゃ?」
3切れ目の中ほどに歯を立てた晃牙が、呆れたような目を向けてくる。
「半玉だけど……まだ食うのかよ」
「我輩吸血鬼じゃけどさすがに無理じゃ」
「吸血鬼関係ね~し。あ~、食べ切れるかってことか? 朝飯にすりゃいけんだろ。あと昼?か夜食」
明日の昼はふたりとも仕事でいない。夜遅くに寝に帰る頃には、せっかくのスイカもしなしなになっているだろう。
「我輩があと5人おればのう~?」
「どんだけ食うんだよ」
皮だけになったスイカを片付けながら、そうなったら俺様が大変すぎんだろ、とひとりごちる晃牙だった。