ハニーレモンシロップ(みか+宗)
「またそれかね!」
おおごえをだす『おしさん』に、みかちゃんはおどろきとびあがりました。せなかにかくしたふくろのなかで、きいろいあめちゃんがころんとなります。
ここはゆめのさきがくいん。『あいどる』をそだてるがっこうに、みかちゃんと『おしさん』はかよっています。みかちゃんは2ねんせいで、きょうは2ねんせいは5げんまでです。
「ぼくにかくれて、また『だがしや』にいったね」
『おしさん』は『だ』をにあくせんとをつけていいました。
「『だがし』はからだによくない! そんなもの、やひなにんげんしかたべないのだよ」
「でも、おいしいんよ? ちょっとだけやし」
「くちごたえするのかね!」
ぴしゃり、しかられたみかちゃんはちぢこまりました。
『おしさん』がきびすをかえしてあるきだしたので、みすてられないよう、おいすがります。
「おしさん、ごめんなあ。あしたはがまんする」
「あさっては!?」
「あさっても!」
「あさっても、しあさっても、おまえのおやつはぼくがかんりする!」
きがつくと、『おしさん』はかふぇのちゅうぼうではくりきこをもっていました。みかちゃんはめをこらします。はくりきこは、はくりきこではありませんでした。
ほっとけーきみっくすです。
『おしさん』は、ほっとけーきみっくすと、たまごとぎゅうにゅうと、ぼうるとあわだてきとふらいぱんとで、さっさとほっとけーきをつくりました。
「きょうからこれをたべたまえ!」
ほっとけーきはふわふわ・ふかふかおいしかったので、みかちゃんはあしたもあさってもおいしいといってたべたのでした。
けれど、あさってのつぎのひもほっとけーきをつくるのは、かんぺきしゅぎの『おしさん』にはゆるせませんでした。
かんぺき、つまり、あきのこないこと!
『おしさん』はどーなつをつくることにしました。
「あぶらたっぷり、どないしたん?」
「きをつけたまえ! むこうでみているのだよ」
ちょうりだいをはさんだむこうで、『おしさん』はきじをこねこね。
「おなじざいりょうで、べつのおやつ。かんぺきだ」
『おしさん』はうっとり。すぷーん2つですくったきじを、あぶらにうかべて、まるまるときつねいろになったらあげます。
ほれぼれするようないろです! みかちゃんは、よだれがあふれそうです。
「うまそうじゃね~か。ひとつくれよ」
「あ!」
ところが、だれかがたべてしまいました。
「りゅ~く! いじきたない!」
「うめ~な、あいかわらず。ごちそうさん」
『りゅ~く』とよばれただれかは、おれいをいうと、さっさとかえってしまいました。
なんてすきかってをするのだろう。
みかちゃんは『おしさん』をみました。『おしさん』は、おこったような、こまったようなかおで、『りゅ~く』のせなかをみつめました。
そして、わらいました。
「しかたないな」
わらったのです。
みかちゃんはおちこみました。『おしさん』は、みかちゃんといるときはおこってばかり。あんなふうにわらったりしません。
『どーなつ』も『りゅ~く』にたべてもらったほうがいい。『おしさん』をわらわせたほうがいい。みかちゃんは、えんりょしたほうがいい。
そうおもうのに、あまずっぱいかおりがすると、よだれがとまりません。
「まだ、れもんのしろっぷにくぐらせてないのに」
『おしさん』は、はちみつをおゆでうすめて、しぼったれもんを1てきいれました。そこに『どーなつ』をいっしゅんいれて、ひきあげます。
「かんせいだ! さあ、たべたまえ」
いただきますをして、みかちゃんは『どーなつ』をかじりました。
あまずっぱい! おもわずかおをすっぱくさせると、『おしさん』がわらいます。
「れもんがきいているだろう。カカカカカ!」
「おしさんのおやつ、せかいいちおいしいわあ」
「とうぜんだ! かんせいひんをたべられないなんて、あいつはかわいそうなやつだね」
みかちゃんはわすれていました。『れもんのどーなつ』は、みかちゃんのためにつくられたおやつでした。『おしさん』は、みかちゃんのおやつがれもんのあめちゃんだと、おぼえていました。
「あついうちにたべるのだよ」
ひとくち、ふたくち。もったいなくてゆっくりたべて、もうひとつ。みかちゃんのてはとまりません。
なみだがでるほどすっぱいれもん! ああ、すっぱい!
こうしてみかちゃんは、いつまでも『おしさん』のおやつにとりこにされました。
めでたし、めでたし。