零
できたと言われて席に着いたら深皿を出された。
「スープ?」
「リゾットじゃよ」
トマトリゾットと言われて想像したのは白い粥とトマトのコントラストだが、粥はオレンジと白のまだらをしていた。煮崩れたトマトもところどころに赤い体を広げている。
零は傍で笑顔を浮かべて見下ろしていた。食べないのかと聞くと我輩は良いと返される。
「いただきます」
晃牙は仕方なく食べ始めた。
ひとさじ掬うととろみがあった。乳臭い匂いが立つ。チーズだ。口の中に滑り込ませる。癖のある乳粥が舌に広がりやがて喉と胃を慰撫する。トマトの酸味は消えていた。チーズに抱かれて隠されたのだ。そういうことをするやつだと晃牙は知っている。
「うまい。けど塩気足んね~かな」
零が塩を振り入れる。半透明の粒が粥になじむ。求めていた丁度の塩加減でトマトリゾットを完食する。
「ごちそうさまでした」
「おそまつさま。晩ごはんは何が良いかえ?」
「肉食いて~な」
零が頷いてキッチンに消える。晃牙も自分の部屋に戻る。
ドアを開け、ベッドに寝転び、読みかけの雑誌を開くと腹が鳴った。ぐうううう、と恨むように鳴いていた。
買い出しに行くのは零に任せてよいだろう。