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プリズムプラス

『Over the Rainbowが恋愛ゲームになりました。ジャンルはシミュレーションではなくコミュニケーション。3人の中から1人選んで、高校に通いながら恋人生活を送るというゲームです。もちろんプリズムスタァとしての彼らも応援できます。彼らの魅力を再現した3DCGが、画面を所狭しと踊り、歌い、時にはあなたを指導してくれるのです。ゲームは現実の時間に合わせて進行するので、オバレのライブもモチロン開催されます。たとえチケットが当たらなくても、ゲームの中ならカノジョの特等席で楽しめますよ。
あなたの日常にプリズムの煌めきをプラスする、“プリズムプラス”。好評発売中です』


「とっくに持ってるっつーの」
タイガは動画の広告に律儀にツッコんで画面を消した。オバレの公式チャンネルは煩わしい。プリズムプラスーー通称プリプラの広告が挟まって、『俺のカヅキ先輩』以外の『カヅキ先輩』がいることを教えてくるからだ。
「何が『国民的プリズムスタァ、デビュー!』だ……」
『カヅキ先輩』は半年前の発売日からタイガの『カレシ』で、今や称号は『めちゃうまデュオ』。とっくにデビュー済みだ。
広告のせいで会いたくなった。寝転んだまま手を伸ばして、枕元の携帯ゲーム機を取り上げる。電源を入れれば画面中央にパジャマ姿の『カヅキ先輩』がやってきて、寝ぼけ眼を擦りながら『どーした……?』。『先輩』が早寝早起きなのも、ジャージではなくパジャマ派なのも、プリプラで初めて知った。
「会いたくなったんで」
『へへっ、嬉しいな……明日起きれなくなるぞ?』
「先輩が起こしてください……」
タッチパネルを突いて『先輩』の頬にキスを落とす。『あ! こら』イタズラを叱る声は甘い。
タイガの心にプリズムの煌めきとは違うあたたかさが広がって、すぐに跡形もなく消え失せてしまった。後に残るのは罪悪感だ。
画面を見ずに電源を落とすと、照明まで消して膝を抱える。
――明日は、カヅキさんに指導して貰うのに。
現実の、『カヅキ先輩』ではないカヅキさん。憧れのプリズムスタァで、先輩で、タイガの想い人。
プリプラでプリズムの煌めきをプラスするたびに、カヅキさんの真剣な横顔を思い出す。タイガには手の届かない顔だ。届かないから、届く『カヅキ先輩』を傍に置いて苦しんでいる。それを知ったらカヅキさんは幻滅するに違いない。
きゅうと痛むこの胸の、どこに煌めきが残っているだろう。真っ暗闇が丸めた背中を撫でていくのを、タイガはじっと感じていた。

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