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カテゴリー「その他」の検索結果は以下のとおりです。

ミナマツ

  • 2012/06/29 22:38
  • カテゴリー:その他

雪が降るから泊まっていって。そう誘って数時間、夜更けになっても雨すら降らぬ。真意を悟った恋人は、「マツバはかわいいな」と言わずに使い古しのペン先で、スイクン手帳にうたを詠む。いとしいとしの幻は、雪まで隠して我を誘う。しかれど我の傍らに、雪より儚き想いあり。詠み人ミナキ。

ミナマツへのお題:とりあえず隣にいてよ/「かわいい。」/欠けたペンの先 http://shindanmaker.com/122300

 

 

外れてくれと願いながら、気がつけば食卓にスープを用意していた。深皿に並々と注がれた彼の好物が、湯気を消して久しい。僕は時計とスープを見比べて、過ぎる秒数に安堵するのを繰り返していた。食卓にスープが置かれ、僕以外いない家に、ミナキ君が訪れる。まっくらやみを背に真っ青な顔をした彼は、呼び慣れた僕の名前の形に唇を動かし、いとしい伝説の名を呼ぼうとしてやめる。いつかの朝ぼらけに、僕の目が見た光景だった。きっと彼は好物を用意した僕に絶望し、僕と彼の友情は壊れるだろう。夢も友もなくす僕は、なくすものを秒針とともに数えている。夢も友情も、ミナキくんの訪いも、彼のためのワックスも、歯ブラシも……。それでもスープは冷めて久しいし、僕は冷めたスープを彼に飲ませない。きっとスープを用意したのは偶然だし、たとえ彼が訪れても、伝説を見かけたとか言いながら、土産のまんじゅうを片手に浮ついた顔で敷居を跨ぐだろう。青い顔をするのは外が寒いから。それならこんな寒い日は、スープをあたため直して振る舞おう。台所を見ながら聞きつけるインターホン。冷めたスープを尻目に僕は玄関に駆け寄り、ゆっくりと引き戸を開けるとそこには……。

ミナマツへのお題:冷めたスープ/(どうかわらっていてください)/なくしたものを数えてばかり

ttp://shindanmaker.com/122300

 

 

しょうどんバレンタイン

  • 2012/03/04 22:51
  • カテゴリー:その他

「空から落ちてきたんだ、神様が俺にくれたもんだと思うだろう」
非難がましい目で見てくる田口にそう言い訳して、速水はチョコを摘んで口に入れた。
「うまいなコレ」速水の長い指が小さなトリュフを持ち上げる。形は不揃いで、いかにも手作りらしいあたたかみのあるチョコレートだった。くやしいけどうまいな、等とうなりながら、一つ、二つと速水の口がトリュフを咀嚼する。
「俺がもらったやつなんだけど」
「そうか」
「おい」
「安心しろ行灯、これは俺がおいしく頂いて午後の練習の燃料にかえてやる」
ちがう!
次々と速水の胃に消えていくチョコレートは、田口がけさ教室の前でもらった物だった。贈り主は小柄で結構かわいくて、般教のクラスでよく見かける子。可愛らしくほどこされた包装も、彼女の普段の様子を彷彿とさせた。
それを昼休みに校舎の窓際で食べようとした自分も自分だし、ラッピングのリボンがほどけなくて躍起になっていたのを勢い余って窓の外に落としてしまったのも不注意極まりなかったと思う。だが、そこに運良く通りかかって、急いで3階から降りてきた自分の前で悠々と落とし物を食べる速水は悪魔以外の何者でもない。田口はそう思った。
「ご馳走様」
ニヤリと悪餓鬼の笑顔をして礼まで言う速水から、田口は空の箱を回収する。唇の端にココアの粉をつけて、おいしかったと言わんばかりの顔だ。してやったり、おいしかったぞ、なんて言うんじゃないか。そう考えて、ふと、田口は思いついたことを口にする。
「チョコならちゃんとやるから」
「へっ!?」
いたずらっぽい笑顔から一変、速水が呆けた面で田口をまじまじと見る。
「また後でな、晃一」
こういち、と心なし強く呼んで速水みたいに笑ってみれば、恋人の顔がみるみるうちに驚きに染まる。ついで耳まで赤くなったのを尻目に踵を返すと、階段を上る田口の背中に「おい行灯!」とか「絶対だぞ!」とか、東城大剣道部次期主将の怒鳴り声が投げ掛けられた。
結局、速水は恋人がチョコをもらったのに嫉妬したのだ。窓から慌てた顔で見下ろす田口と頭にぶつかった箱を見比べて、瞬時にそれがどんな経緯で恋人の手に渡ったのかを判断して、その上で、自分にはくれないくせに、なんて子供っぽい嫉妬をしながら包みを開けたのだろう。さすが次期主将の判断能力はすばらしく高い、けれど自分の恋人は思いつかなかったのだろうか?
「誰が大学でなんか渡すか、馬鹿」
女子に囲まれる恋人を見るのも、恋人にチョコを渡して噂になるのも、どっちも願い下げだ。
顔を真っ赤にしながら、田口は元いた窓際に向かって歩いていった。

 

 

しょうどんへのお題:変換はお手の物です/「空から落ちてきたんだ」/頼りなくても頼ってほしい ttp://shindanmaker.com/122300

もとの140字SSSもこれもちゃんとお題に沿っていないしょうどん。

 

↓もとのSSS

空から落ちてきたんだと言い訳して、速水はチョコを摘まんだ。手作りらしいそれを、田口はけさ教室の前で貰った。「ふーん」嫉妬したのかなんて馬鹿なことは聞けないし、その考えに行き着くこと自体恥ずかしい。だから速水が恋人の貰い物を食べ尽くすことの理由に、田口はいつまで経っても気づけない。

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