戻る

 

ファイプロニュース


 

 

ファイプロDのエディットレスラー達のストーリー
2004年度版
(年表は降順)
最新年度の記録はこちら
2016年度の記録はこちら
2015年度の記録はこちら
2013〜2014年度の記録はこちら
2007〜2012年度の記録はこちら
2006年度の記録はこちら
2005年度の記録はこちら
2004年度の記録はこちら
2003年度の記録はこちら
2002年までの記録はこちら

◇NCWP

12月
・8団体共催24カ国代表参加のインターナショナルカップがオーストラリアで開催。
・予選リーグをシードで免除された日本の一草・加藤は、準決勝でイギリスに敗れ敗退。一草の3大会連続制覇はならなかった。
 

・優勝したイギリスチームは来年初頭にカナダ血盟軍の持つWWC世界無差別級タッグ王座に挑戦する事が決定。
・ドイツのシュトックハウゼン、アメリカのケリィ・ロジャース、ロシアのエリック・シャビコフというそうそうたる面子を破り、決勝戦まで進出したイランチームの来日も決定。詳しい日時は決まってないが、無名の強豪チームの活躍に期待したい。

 

11月
・インターナショナルカップでの日本代表を決めるIC予選がワンナイトトーナメントで開催。
 出場チームは式島・仁村(S)組、刈馬・野村(S)組、一草・加藤組、桧山・塚間組、清水(S)・加宮(ヤングタイゴン)組、瀬田(S)・佐倉(S)組、鈴木・石和組(ヤングタイゴン組)、坂田・佐藤組である。

・怪我の功名というべきか、2年前に失踪した坂田吾郎が今大会で再復帰を果たした。今後は引退までNCWPのリングで闘うと宣言し、ファンからも厚い歓迎を受けた。

 
(左:東洋王者桧山組を破った坂田組。中央:式島対刈馬の果て無き闘い。右:式島と仁村に続けて必殺技を繰り出した一草)

・事故の影響や坂田組の活躍もあり、優勝の行方は混迷を極めたが、結果的にはG-UNIT一草・加藤組が今大会を制した。一草は三大会連続出場の記録を打ち立て、加藤は自身の公式戦初タイトルを獲得。G-UNITは逆境を力に変えて見せた。
 

   

10月
・この月、NCWPに大事故が起こった。
・NCWPの選手は北陸をバスでの移動中、大地震の影響でバスが崖から転落。大惨事となった。
 

・この事故により選手生命は絶たれないまでも、深刻な打撃を受けた選手はあまりに多かった。
 中でも仁村社長と清水、野村の受けた打撃は深刻で、瀬田ともども、苦肉の策としてファイヤーS入り(Simizu,S.Nimura, S.Nomura,Seda)を果たし、年内の興行はファイヤーSとして闘う事となった。

・今が全盛期と言われる式島、桧山、そして一草の3人は軽傷ではあったが、先の武道館のレベルに戻るのは難しく、しばらくは苦しい日々を送る事になる。
・荻原は怪我の度合から年内の参戦を見合わせ、イギリスへ帰国。次の参戦は来年となる見込み。
・幸い被害が少なかったのが刈馬、加藤、佐藤の3名。移動時に別行動していたのが幸いした。

・今月はIC予選のシリーズが予定されていたが、内容は変更となりいくつかの大会はキャンセルされ、チケットの払い戻しも行われた。
 またIC予選への招聘が噂されていた西海上勢の参戦も絶望的となった。

  

9月
・米国WGAのファーム団体でデイビットがオーナーを務めるMWFより、三つ子のトリオチームジャムル兄弟の末弟ディグ・ジャムルが来日。
 ディグの兄二人は双子のタッグチームとして一足先にWGAでデビューしてスター街道を走っている。三つ子の三男であるディグの登場はTVマッチの目玉にするため、それまでしばらくの間、日本で修行を積ませたいとの事。

・今シリーズは、式島が世界王者となってから初のシリーズとなる。
 式島は都市部地方を問わず毎試合ベルトを持参し、試合後には会場のファンにマイクで「7月にドイツのシュトックハウゼンに勝ち、世界王者になる事ができました。俺達が頑張れるのはファンの皆さんのおかげです。これからも応援よろしくお願いします」と挨拶を行い、礼をしてからリングを去っている。
 観客が1000人にも満たない地方の小会場で王者がファンに頭を下げる姿には賛否両論もあるが、これが式島のやり方なのだろう。式島は歴代王者の中でも一風変わった王者であると言える。

・シリーズ第三戦より仁村社長がリングに復帰。体重が落ちたことによりクルーザー級となったわけだが、それでも去年に比べスピードが落ちた感は否めない。シリーズ中盤という復帰のタイミングを考えてもやはり無理を押しての復帰なのだろう。
・その仁村は武道館での創立24周年記念大会で、新人佐倉とのシングルマッチが決定。社長にとっては約一年ぶり。昨年の仁志多戦以来のシングル戦となる。

・シリーズ第六戦の有明大会で、試合後式島の挨拶中に刈馬がつっかけ乱闘寸前の騒ぎが起こった。いつもであればそっけない態度で刈馬をあしらう式島だが、この日は違った。
 刈馬の話に耳を傾けた式島は、「去年、確かお前はオレと組もうと持ちかけてきたよな」「今年のIC、オレはまだパートナーを決めてないんだ」と遠まわしに刈馬にタッグ結成を呼びかけた。
・それに対して刈馬は即答を避け、リングを降りると記者団に対して「式島は何がしたいのかサッパリわからねぇ」「IC予選のパートナー? まだ決めちゃいねえが候補は何人かいる」「アイツがどうしてもって言うんなら式島も候補に入れてやってもいいけどな」と含みを残すコメントを残した。

・翌日の第7戦川崎でも騒動は続く。
 メイン直前に、2001年1月より日本を離れていた荻原光太郎が登場。レスラー生活を終えるまえにやり残した事があると語り、NCWPへの復帰を宣言。さらに創立24周年の武道館大会で桧山の持つNCWP東洋王座への挑戦を希望した。

・だが、騒動はそれだけでは収まらなかった。荻原はかつてのパートナー刈馬雅史にタッグ再結成を呼びかけ、メインのカードを変更するように要求。仁村社長をも巻き込み、メインは式島組対刈馬組の6人タッグマッチから、式島&仁村&桧山&柳組対刈馬&荻原&野村&佐藤組の8人タッグ戦へと変更された。
 荻原の復帰戦はレフェリーすら裁ききれない大乱闘となり、刈馬組の佐藤が失神。そしてこの日2試合目の対戦となる野村と桧山の間で決着を見た。
 

・試合後、復帰戦が黒星に終わった荻原は、「8月に仁村社長に誘われて復帰を決意した」「以前から戻ろうかと悩んではいたが時間が経つほど戻りづらくなってしまった」「四年も経てばみんな変わる…式島も昔とは違ったな」「一番変わってたのは桧山だけどな。あの頭、似合わなすぎるぞ」「刈馬だけはあまり変わっていなくて安心したよ」「昔にも言ったけど、俺はあいつを利用したい。あいつは俺を利用して好きにやればいい」「俺はここでやり残した二つの事をやりたいと思ってる」「ひとつは武道館で桧山を倒してNWC(NCWP東洋王座)を取る事。ふたつめは刈馬と組んでNCWPを真っ二つにしてやる事」「元は俺もNCWPで育ったレスラーだ。その二つを成し遂げるまではここを離れられない」と、NCWPに本格復帰した事を記者団に話した。

・突然の荻原の復帰で、リングの混乱は加速して行く。シリーズ第8戦の横須賀のメインでは式島&桧山のシングル王者タッグと、刈馬&荻原の旧革命軍荻原派コンビが対戦。荻原はなんと式島をフォール。ブランクを感じさせない闘いぶりで、桧山との前哨戦も制し東洋王座獲得へ1歩近づいた。
 

・シリーズ後半の第9戦、荻原はセミファイナルでジェイ・スチームと組んで、刈馬&野村組と対戦。
 試合は野村がスチームを捕らえ刈馬組の勝利に終わり、試合後、刈馬はIC予選には野村と組んで出場すると発表。荻原に対して「あの人がどうこうというのはないんだが、間が悪い」「来るのが半年早かったらオレも考えたが、式島ブームだの、ICブームだのの前じゃ、あの人が暴れても小波にしかならない」「はっきり言って今は利用価値がない」とバッサリ切り捨てた。
 それを受けて荻原は「今の俺に利用価値ないだと?」「刈馬は相変わらず敵を作るのだけは上手いな」「だがまあアイツの言い分も一理ある」「しょうがねぇな。まずはベルトだ。ICはそれから考えるか」とまずは目先の東洋王座に照準を絞った。

・シリーズ最終日、NCWPでもっとも熱い九月の武道館大会の全カードが決定。世界王者式島と世界タッグ王者ビートによる世界王座戦、桧山対荻原の東洋王座戦、佐藤対塚間の統一クルーザー級選手権試合、仁村社長対ルーキー佐倉のシングルマッチなど、今年もいまのNCWPで最高のカードが組まれた。(試合の結果はこちら

  

8月
・西海上のゴーレム川島が引退を表明。膝に人工関節を埋め込む手術を受けるため、復帰は不可能との事。8月30日に大阪で引退試合が行われる。
・引退試合のカードは6人タッグマッチで、川島・月原・村山組対鈴里・真崎・奈良橋組に決定。長期欠場中の氷上龍斗とは一度も対戦できぬまま、川島は引退を迎えることになった。

・川島の引退興行に仁村社長の代理として式島が赴き、川島に花束を贈った。

・川島の引退に触発されたのか西海上の志賀が自らの引退前に仁村社長との対戦を希望。
 志賀も膝に故障を抱えており、ここ数年はもっぱらTV中継の解説者として活躍している。彼のわかりやすい解説は好評で、西海上の人気を支えているのは志賀の解説者としての魅力も大きい。
「今の見たか? 入る前に足掛けておったで。清水は上手いわぁ、ホンマに。今んは、ワシでも決められとったな」「ええか、ドロップキックが上手いっちゅーことは、瞬発力があって身体のバランスもええっちゅー事や。今の真崎のドロップキックより綺麗なん見た事あるか? つまり真崎が一番凄いっちゅう事や」「うわ、川島はエゲつないわぁ、ホンマに。アイツに勝てるヤツなんかおらへん」「川島と真崎のどっちが強いかって? 知りたいヤツは明日発売の大阪府立体育館のチケット買えばわかる。ここだけの話、次の挑戦者は真崎に決まったらしいで」などなど、彼の解説の前には実況アナもたじたじである。
 志賀の希望を受け、仁村社長も「私も引退前に一度やりたいと思っていた」と告白。両団体を代表するベテランテクニシャン同士の対戦。早ければ9月の武道館にて実現されるだろう。

・NCWPの各選手が年末に行われるインターナショナルカップの交渉と海外武者修行をかねて世界各国へ出立。
・仁村社長と瀬田、清水、野村の4人は開催国オーストラリアを訪問した後、アメリカとカナダへ赴き、アメリカの代表はこれまでのWWCに代わり、WGA、WMWの選手より選ばれる事になる事が決まった。
 また瀬田、清水、野村の3人は各国の試合にも参戦し、NCWPのレベルの高さをアピールした。

・刈馬、ビホ、塚間の三人は昨年に引き続き韓国のKIPWへ参戦し、その後ハワイを含めたオセアニア遠征へ。
・一草、加藤のG-UNIT組とファイヤーSはドイツを中心に、オランダ、フランス、イギリスと欧州四ヶ国を訪問。現地のトレーニングも見学し、ドイツのGWAの試合にも参加した。

・桧山と鈴木、佐藤の三人はブラジルとメキシコを巡り、メキシコマットにも参戦。

・式島、佐倉、石和の三人はマレーシア、タイ、インドをまわってロシアへ向かう南アジアコース。式島は念願のインド訪問を果たし、佐倉と石和も初めての海外で得たものは大きかったようだ。

・NCWPを始め、数多くの選手・スタッフの協力の元、今年もプロレスインターナショナルカップが開催される。
 WWCはなくなったが、四年に一度のこの祭典を盛り上げていきたいという気持ちは世界共通のようだ。

  

7月
・昨年デビューを果たした新人の佐倉と石和がデビューから10ヶ月が経過し、時代を担う若手レスラーに成長しつつあった。

・一年ぶりの九州遠征となる今シリーズでは連日のようにフライング・バイアランとのシングルマッチが組まれた。
 

・イキのいい若手二人を相手に大変なのはバイアランである。第5戦の熊本では石和がバイアランをあと1歩の所まで追いこむ健闘を見せた。さすがのバイアランも二人の勢いに押されがちになってきた。
・そして第6戦の鹿児島で事件は起こる。なんと佐倉がジャーマンスープレックスでバイアランをフォール。体格的に恵まれているとはいえ、デビュー1年足らずの若手が初代統一クルーザー級王者を倒してしまった。
 

・この快挙について佐倉は、「謙遜するわけじゃありませんが、全然まぐれですよ」「バイアランさんみたいな一流選手を相手に、最後自分の流れにもっていけたのは運が良かったんだと思います」と実に謙虚な姿勢。レスラーとして、この勝利に少しはおごっても良さそうなものだが、相変わらず飄々としたコメントを残した。

・シリーズ最終の沖縄2連戦。初日はシュトックハウゼン対式島和也の新WWC世界王座戦、2日目にはクルーザー級選手権試合が行われる。

・初日の世界王座戦。長期戦に持ち込めば式島、短期決戦ならシュトックハウゼンと言われたこの試合、やはり序盤はシュトックハウゼンが圧倒。多種多用な関節技や投げ技で式島を翻弄する。
 だが、それでも動じないのが今の式島。式島ならではのテクニカルな技の繋ぎや必殺のイングラムプラントで巻き返しを計ると、試合は長期戦の様相を呈してきた。先に呼吸が乱れたのは式島だったが、20分近い闘いでシュトックハウゼンも疲弊し、シュトックハウゼンのスープレックスを式島が逆さ押さえ込みで切り返し、見事タイトルを獲得。刈馬、一草に次ぐ日本人3人目のWWC世界王者に輝いた。
 

・2日目に行われたクルーザー級選手権試合は、地元で再戦したいという佐藤の要求を受け、6月のリマッチが実現。
 佐藤は地元で大爆発。あの月原と互角の攻防を繰り広げ、最後は反撃を受け流しての回転エビ固めで勝利。2度目のクルーザー級王者に輝いた佐藤は地元のファンの前で誇らしげにベルトを掲げた。
 

 
6月

・元NWC王者の内藤隆広がAWEを退団。内藤は今年3月にAWE入りを果たしテストマッチを重ねてきたが、契約内容で折り合いがつかず退団に至った模様。AWE側は内藤にまずはWWC時代のイロモノ日本人キャラクーでの登場を希望していたようだが、本人はそれを望まなかったようだ。
 内藤は今後の身の振り方について、このまま米国残留を希望しているが、場合によっては古巣NCWPに戻りたい意向も示した。

・長期欠場中の社長レスラー仁村賢利が記者会見で、復帰は9月に行われるシリーズになると発表。レスラー生活始まって以来の長期欠場により、体重は12Kgも減少。現役存続も危ぶまれていたが、まだレスラーを続ける意思を示した。
 また、今年の8月は活動を停止し、各選手には年末に行われるインターナショナルカップの打ち合わせを兼ねて海外への遠征を行うと発表。さらに来年9月の創立25周年記念大会をさいたま新都心アリーナで行う事もあわせて発表した。

・仁村社長は記者団の質問に対し、欠場中のNCWPの変化についても語った。「欠場中は式島が頑張ってくれた。将来的にアイツにならNCWPを任せられると思っている」「桧山もよくやっている。もっと早くに私の元から離すべきだったな」と正規軍を支えた二人を褒め、「私がいない方がいい事ずくめだな」と冗談を交えながらも嬉しそうに語った。
 ベルトをシュトックハウゼンに奪われた一草に対しては、「あれは死に物狂いで防衛しなくてはいかん」「だがベルトを取った事で、シュトックハウゼンはドイツのファンから英雄扱いされてるらしい。世界規模でみれば良い方に転がったのかも知れんな」と苦言を呈しながらも大局を見据えた発言。
 海外遠征から戻った野村と鈴木については、「野村の東洋王座の戴冠は予想外だったな」「あいつはクラシカルな反面、現代的でもある」「まだ若いが、NCWPが胸を張って誇れるチャンピオンに成長してる」
「鈴木の方は、遠征が早すぎたと言われれば否定はできない」「野村と違い、日本にいる時に『これだ』というものを身に付けていなかった」「最初は人マネでも構わないから、まず、誰にも負けない『これだ』と言うものを身につければ、大きく成長できるだろう」
・欠場中は病と闘い、また子会社であるJAGS(日本安全警備保全)の経営陣交代にも奔走していた仁村だが、忙しい中でもNCWPの事を片時も忘れた事はなかったという。自身について多くは語らなかった仁村だが、NCWPへの愛情と復帰にかける思いが、病に打ち勝つ力となったのだろう。

・統一クルーザ級王者月原ひろがシリーズ参戦。
・クルーザー級王座の挑戦者決定戦では佐藤大季と鈴木タカシが対決し、佐藤が鈴木のウラカン・ラナをパワーボムで切り返して勝利した。
・戸田川で行われたクルーザー級選手権試合は緊張のためか佐藤の序盤のミスが目立ち、それが尾を引いたのか、佐藤は月原の術中に嵌まりスカルプタミッションの前に屈す。
 

・試合後、月原は「佐藤には去年負けたからな。ようやく借りを返せたって感じだ」「世間じゃいまだに内藤内藤言ってるけどよ、内藤以上の男がここにいる事もお忘れなく」「なんならオレがシュトックハウゼンとやってやろうか?」と、世界王座に挑戦したい意思がある事を明言した。

                  

5月
・新生NCWPデビュー1号生の鈴木タカシが帰国。
・鈴木はデビューから一年で海外修行に出発。同時期に出発した野村とは違い、活躍したという噂は聞いていない。
・そんな鈴木が雑誌のインタビューで八ヶ月間の海外遠征について語った。

・日常生活については、「メキシコでの最初の二ヶ月は辛かった」「ステイ先のマルコさんにも迷惑のかけっぱなしやった」と下痢に悩まされた事や言葉の壁に苦しんだ事などを語ったが、「一番勉強になったのは…メヒコの女は夜のが熱いっちゅー事やな」と、大人のジョークも混ぜ、初の海外生活を感慨深げに思い起こしていた。

・ルチャリブレに関しては、「生活も苦しかったけど、プロレスの方もまるでアカンかった」「アイツらは無駄な動きばっかでまともに試合作れんし、俺が思いっきりやれば試合無視して殴ってくる」「上の方はまだマシやったんやけど、俺とやるのは下っ端のレスラーばっかりやったからホンマにアカンかった」と肌に合わなかった様子で、「迷った時は基礎に帰るゆーても、日本じゃ野村とばっかやってたし、俺バカやから上手くできんかった」「他の日本人レスラーを見つけて相談したり、マスク被ったり、色々やったんやけど、やる事なす事、どうにもアカンのや」と内容は散々だったようだ。
 鈴木はルチャ・リブレの他にバーリトゥードの知識を高める事も今回の遠征の目的にしていたが、「結局LLLからクビ切られて、しゃーないからしばらくバレトドの修行してたわ」「こっち(バレ・トド)は少しは身になったと思うんやけど、習うだけやったら金稼げへんし、レスラーとしても悔しいやんか」「せやから、ブラジル行って柔術修行と一緒にプロレスもやり直してきた」やはりプロレスラーの本分は忘れていなかったようだ。

・続くブラジルでの生活は肌にあっていたようで、
「ブラジルは日本人も多いし、ストロングスタイルみたいなんがウケたからまだ良かった」「ロベルトにはものすごい世話んなった。世の中は人と人との助けあいで出来てるんやと実感したわ」
 ロベルト・カルナーダの家に厄介になりながらも着実に力をつけていった様子。

・だが、そんな折、仁村社長入院の報が鈴木にも届いた。
「今年になって仁村社長の入院の話聞いて帰国も考えた」「けど、なんも実績残しておらへんし、帰ろうにも帰れんかった」「そんな事考えとったら、社長に言われた事を思い出したんや。『お前は無理して我を通そうとする癖がある。もっと相手を良く見て、相手の技を盗め』ってな。日本にいた頃から俺はそんな事言われてたんや。目から鱗が落ちた気分やった」
 その、仁村の一言が鈴木の何かを変えたようで、
「もっかいメキシコでやり直そう決めたわ」「自分にとっては全然思い通りの試合をできんかったけど、ようやく客のいじり方がわかってウケは良くなった」「2度目に参戦したMBLLにはまともなベルトがなかったから、タイトルとは無縁やったけど、やれる事は大体やれたんやないかと思う」「この8ヶ月は無駄やなかった」「メキシコのルチャリブレも含めて俺はまだプロレスが好きや」「何があっても俺はあきらめへんかった。それだけは誇れる」
 野村の活躍があまりにも輝くしいものだっただけに、今回の鈴木の遠征はファンの目には失敗と映るかも知れない。
 だが、海外遠征で得られるものはタイトルや実績だけではない。環境の違う外国で生活する事と海外マットでの経験を積む事が重要であり、今回鈴木が経験した事は、野村がWGAで学んだ事よりも大きいかも知れない。

・野村以外にも、内藤や永原、荻原などは海外マットでの成功を受けNCWPでも成功を収めてきた。だが、式島や一草のように海外への遠征期間が短く、大した成果を挙げていなくてもトップ戦線で活躍している選手もいる。鈴木もレスラーとしての真価が問われるのはこれからの事になるだろう。
・鈴木は帰国第一戦では後輩の佐倉と対戦。最終戦では前東洋王者野村とシングルでの対決が決まった。

・鈴木タカシの帰国第一戦。鈴木は後輩の佐倉に苦戦しながらも最後はふてぶてしいフォールで3カウントを奪い、その上で野村を挑発。遠征前とは一味違う鈴木タカシをアピールした。
 

・野村対鈴木…新生NCWP第一試合の定番だった両者の対決は、最終戦月寒大会のセミ前という位置づけで行われた。
 鈴木はトペ・スイシーダや両足タックルなど、シリーズ中温存してきた技をいくつも繰り出すが、野村との体格差パワー差は如何ともしがたく、最後はアルゼンチンBBスープレックスを食らい屈辱の失神KO負け。かつてのライバルとの再戦は、鈴木にとってなんとも苦い思い出となった。
 

 

4月
・NCWP春の公式戦。ニューエンペラーズカップ2004『新皇杯』がスタート。
・今年の新皇杯は、一回戦のみ敗者復活戦ありのトーナメント制。人数の関係で、東洋王者の野村と前回準優勝の刈馬はシード扱いとなった。
・今年は例年通り国内所属選手のみの参加となり、ユ・ビホを除く外国人もシリーズ不参加となった。開催地は千葉から始まり、東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、京都、長野、埼玉、最終戦の東京の10日間の日程。初の全国シリーズとなった去年に比べると、移動の負担は大分軽減されたと言える。

・新皇杯トーナメントの組み合わせが発表。
 1回戦第一試合は清水と加藤、第二試合は式島と桧山、第三試合は瀬田と一草、第四試合はファイヤーSと塚間の組み合わせとなった。
・第一試合の清水と加藤の勝者は2回戦で東洋王者野村と激突。1回戦で敗れた者の中で敗者復活戦が行われ、その中で勝利した者は2回戦へ進む事ができる。
 

・優勝候補はシード扱いの第6代東洋王者野村に、昨年準優勝の刈馬、前世界王者の一草の3人だが、昨年過去最低の成績に終わった式島、昨年は欠場した瀬田の活躍も期待される。もちろん、桧山、清水、塚間、加藤、Sの5名の中から優勝者が現れる可能性も十分に考えられる。

・開幕戦の成田勤労会館、初日のメインイベントはBブロック第一試合。瀬田VS一草のG-UNIT対決。
 優勝候補に挙げられる一草を相手に瀬田が果敢に挑んでいき、ダイナマイトパンチラッシュ、殺人技のデスバレー、新技の大旋回式DDTまで繰り出すが、まだ怪我の後遺症が残っているのか、16分を過ぎる頃には完全に動きが止まってしまい、一草が垂直落下式水車落としで瀬田を下した。
 
・試合後、勝利した一草は、「一緒に練習してるから手の内はわかるし、お互いにやりにくかったですね」とコメント。敗れた瀬田は「悔しいけど相手が相手だから納得してる。今日はなるべく速攻で決めたかったんだけど、弾は冷静だった。もう一度決勝で当たったら、その時は勝ってみせます」と敗者復活戦を勝ち抜いて、決勝戦で再びG-UNIT対決を実現させると宣言。NCWPの誇る長身の二人が決勝戦で再び相まみえる事になるのか。

・日目に有明で行われた一回戦のAブロック第一試合では、ベテランの清水が若手の加藤にまさかの敗北。清水は前シリーズで野村に唯一土をつけた注目の選手だったが、この結果により野村との新皇杯でのシングル戦実現は望み薄となった。
・勝利した加藤は今大会に気合十分。二回戦では、一足先にヤングタイゴンを卒業した後輩野村とのシングル対決が実現する。

・三日目の大和大会メインカードはAブロック第二試合。式島と桧山の正規軍同士の一戦。
 式島と桧山は、世代は違えど共に仁村社長の後継者と目される二人。仁村社長が不在の今、二人にとって今年の新皇杯は特別であり、その気迫が伝わるような試合展開となった。
・今大会に向けて万全の調整を行ってきた桧山は、これまでの鬱積を晴らすかのような奮闘ぶり。持ち前のパワーで序盤は式島を圧倒。
 しかし、式島はあくまでも冷静で、桧山の気迫を受け流し、場内場外あわせて計5発のイングラムプラントで桧山を轟沈。
 力と勢いの桧山に対して、巧さと激しさで勝利を収めた式島。今大会を制するのは式島かも知れない。
 

・四日目の甲府大会では、一回戦最後の試合、Bブロック第二試合とAブロックの敗者復活戦が行われ、Bブロック第二試合塚間対ファイヤーS戦はファイヤーSの勝利。セミファイナルで行われた清水対桧山の敗者復活戦は桧山の勝利に終わった。
・同じく四日目の静岡大会ではBブロックの敗者復活戦が行われ、瀬田が二回戦へ進出。また、メインでは大会不参加の柳飛虎と刈馬のシングルマッチが行われた。

・静岡での結果により、二回戦の組み合わせが決定。Aブロック第一試合は野村対加藤の先輩後輩対決。敗者復活戦に勝利した選手はブロックが変わって、Aブロック第二試合では式島と瀬田の対戦。Bブロック第一試合では桧山と一草、Bブロック第二試合では昨年準優勝の刈馬が、ファイヤーSと激突する。

・第六戦、愛知のセミファイナルで行われたAブロック2回戦第一試合。加藤と野村の先輩後輩対決は、先輩の意地を見せた加藤に対し、野村のアンゼンチン・バックブリーカー・スープレックスが炸裂。20分近いこの対決は野村に軍配が上がった。
 またこの第六戦の愛知大会では二回戦の前哨戦が多く組まれ、直接対決を前に熱の篭ったファイトが展開された。

・第七戦、京都・醍醐のメインで行われたBブロック第一試合桧山対一草の公式シングルマッチは、18分20秒の激闘の末、ジャンピングボムで桧山が勝利。桧山は一回戦で見せた勢いそのままに前世界王者一草を破る快挙を成し遂げた。紙一重であっても勝ちは勝ち。今大会、桧山の勢いは野村以上かも知れない。
 

・瀬田は、一回戦の一草戦に続きAブロック第二試合でも強豪の式島との対戦。今大会くじ運に恵まれなかった瀬田は、この試合でも速攻をかけ、短時間で試合を決めに行く。だが大会に賭ける意気込みでは式島も一歩も譲らず。最後は疲れの見えた瀬田を逆さ押さえ込みにとって式島が勝利。
 怪我の後遺症が残っているのか、瀬田はどうしても後半に集中力が切れる傾向がある。
 
 

・第八戦の長野大会を終え、二回戦が終了。二回戦最後の試合では刈馬がファイヤーSに貫禄勝ちを収めた。

・また同長野大会では、清水が新人二人を強引に巻き込んで、ナーフ・ハーダーを暫定復活。もちろん、社長がいれば絶対に許可しないであろう新生ナーフだが、社長が不在の今は清水のやりたい放題。試合では佐倉と石和をコキ使い清水は殆ど何もせず。負けはしたものの、旧ロイヤルファイミリーを思わせる試合展開で観客を沸かせた。
・二回戦の全試合が終わり、最終戦両国でのワンナイトトーナメントの組み合わせが決定。第一試合は東洋王者野村対式島、第二試合は桧山対刈馬の対決が決定した。
 

・第九戦の新皇杯決勝トーナメント前夜祭はNCWPの聖地埼玉県戸田市スポーツセンターで行われた。セミファイナルでは2回戦までに敗退した6名によるバトルロイヤルが行われ、G-UNITの3人を相手に大健闘した塚間を抑えて加藤勇作が優勝。
 しかし、ナーフの清水は、バトルロイヤル参加者6名のうち半数がG-UNITのメンバーであった事に猛抗議。最終戦の両国でG-UNITと対戦する事が決まった。

・戸田大会のメインでは、特別カードとして野村・刈馬組対式島・桧山組の新皇杯決勝トーナメント前哨戦が組まれた。刈馬は約一年前から野村とのタッグを希望し続けていたが、それがこのような形で実現した事は皮肉としか言いようがない。
 決勝を前に、4選手の誰もが自己主張を繰り返し、本戦以上に激しいぶつかり合いが展開されたこの試合は、時間切れ寸前に式島が刈馬をフォール。4人が優勝を目指す中で存在感を示したのは式島であった。

・東京両国で行われる2004年新皇杯決勝トーナメント。新時代のエースが決まる今年の大会、ここまで勝ち抜いてきた4人の男が優勝の座を賭け激突する。(最終日の試合結果はこちら

・新皇杯を制した式島はリング上で、「今日は応援してくれた皆さんのおかげで勝つ事ができました。俺は仁村社長の作ったこのNCWPのプロレスが、本来あるべきプロレスの姿だと思っています。俺はこのNCWPのプロレスを守り続けて行きたい。どうかこれからも応援よろしくお願いします」とファンに語った。
 会見上では「純粋に嬉しいですよ。こんな気分は久しぶりです」と語り、「今日は120%の力を出したつもり」「途中記憶が飛んでて、よく覚えてないけど……刈馬の態度に頭にきてたから、今日は少し俺らしくなかったかも知れない」「でも、野村のような新しい風もあるし、刈馬みたいな自己主張もあるけれど、俺の思う日本チャンピオンシップレスリングはプロレスとイデオロギーのぶつかりあいを見せる場所だと思っています」「社長が復帰するまで、NCWPは俺が全力で守ります」とコメント。
 なお、新技の膝蹴りについてはまだ完全に使いこなしてはいないため、まだ名前はつけないとの事。

・新皇杯準優勝の刈馬がプロレスリングフェンリルのシリーズに参戦。29日の故郷感謝祭は欠場する事を発表した。

・毎年、みどりの日に行われている故郷感謝祭。
 昨年は世界王座戦が行われたが、今年は現王者のシュトックハウゼンがスケジュールの都合が合わず代わりに東洋王座戦と世界タッグ戦が行われる事になった。

・世界タッグ戦では挑戦者ロベルト・バイアラン組に対し、王者ビート・スチーム組が終始ペースを握り勝利。国内海外あわせて10度目の防衛に成功した。

・東洋王座戦は、新皇杯準優勝の刈馬が欠場する事で繰り上がりで桧山に挑戦権が与えられ、メインカードは王者野村対挑戦者桧山に決定。見方によっては新皇杯3位決定戦とも言える対戦カードとなった。

・式島や刈馬・一草には一歩遅れを取るものの、桧山もNCWPを代表するトップ選手。王者野村にとってはまだまだ高い壁である。
 桧山はこの試合、桧山は頭を剃って登場。新皇杯に優勝戦に出られなかった自分の挑戦に対し、不退転の決意で臨むと言っただけあり、その気合の入りようは尋常ではなく、序盤から野村の攻撃をことごとく潰していく。
 

 しかし、中盤に入り桧山の息が上がったところで野村が大爆発。バックブリーカーを始めとした技でアルゼンチンへの布石を作り、場外ではアルゼンチンBBスープレックスを桧山に敢行。
 

 観客を味方につけた野村は、桧山の得意技ジャンピングボムをギリギリで返すと満を持してのアンゼンチンバックブリーカー。完璧にきまったかに思えたが、桧山は辛くもロープに逃れ、お返しのバックブリーカーから羽折り固めで野村からギブアップを奪い勝利を収めた。
 

   

3月
・世界王座から転落した一草弾が心境を告白。
「あれが世界のレベルなのだと感じました」「敗因は気持ちの部分です」「自分では永原さんのレベルにも追いついたつもりだったんですけど、そう簡単に追いつける程、世界は甘くなかった」「もう一度、気持ちを切り替えて出直します。そして新皇杯で優勝してベルトを奪い返しますよ」と再出発を誓った。
 一草の背中から首筋にかけては大きなアザが出来ており、それがシュトックハウゼンのスープレックスの破壊力を物語っていた。

・2004年の新皇杯へ向け、3月シリーズがスタート。
・新皇杯の行方をうらなう上で重要となる今シリーズは、社長仁村の欠場に加え、NCWPの全タイトルが流出という最悪の状態で始まる事となった。
 だが、逆の見方をすれば、この危機的状況を救ってくれるニューエンペラーの存在を誰もが待ち望んでいるわけであり、今年の新皇杯はそれだけ重みが増した事になる。

・そして、その期待に応えるべく野村信一がアメリカWGAより凱旋帰国。最終戦では久々の参戦となる西海上プロレスの仁志多との東洋王座戦が組まれた。
・野村は約10ヶ月に渡りWGAで活躍。180cmそこそこの比較的小柄な体格ながら、2m級のレスラーと渡りあう事で存在を確立。“ミニチュアゴーレム”と呼ばれ、人気ヒールレスラー『カクタス』と共にWGA世界タッグ王者にまで上り詰めた。

・わずか10ヶ月の間に飛躍的な成長を遂げた野村に、以前から獲得を希望していた刈馬と清水が猛アピール。刈馬軍入りかナーフ入りかを野村に迫った。
 それに対し、当の野村はWGAで既にトップレスラーの仲間入りを果たした事を強調。
「なんでいまさら先輩方の下につかなきゃなんないんだ」「おれは2mのシュミットとも闘ってきたんだぜ? 刈馬も清水もいまさら敵じゃねえ」「確か刈馬には去年の借りがあったな。なんなら凱旋試合でやってやろうか?」と大先輩である二人を敵にまわすかのような発言で応えた。

・野村の返答に刈馬は、「第一戦でオレとやったら自信なくすだろうから2戦目でやってやる。だが、お前が負けた時は…わかってるな?」と上手く切り返し、野村の帰国第二戦目は刈馬軍入りを賭けた試合にする事を発表。

・それを伝え聞いた清水は、「なら帰国第一戦は俺だな。俺が野村に勝てば即NERF入りだ。刈馬の出番はねえ!!」とさらに先手を打った。

・野村は自分の預かり知らぬ所で次々に話が進んで行く事にとまどいを隠せず、「帰国早々、こんな展開になるとは予想してなかった」「王座戦の前に、いまさら先輩がたのゴタゴタに巻き込まれるのはゴメンだ。手下が欲しいなら他当たってくれよ」と辟易した様子。
 しかし、「やるならまとめてやってやる」「そうだな、アメリカで慣れた3WAYマッチを提案する。先輩方、どうだ受けるか?」と、一度でカタをつける試合形式を提案した。
・話を聞いた刈馬と清水は対戦を受諾。浜松大会で生き残り3WAY形式による対戦が決まった。

・シリーズ開幕戦、野村は凱旋帰国試合でファイヤーSと対戦。野村は派手なコスチュームと腕にタトゥーを入れたアメリカ流の格好で現れ、まずはビジュアル面でヤングタイゴン時代からの変貌ぶりを見せつけた。
・試合では久々の日本マットの感触を確かめるかのようにじっくり18分間かけてアルゼンチンバックブリーカーへの布石を作り、ファイヤーSからギブアップを奪う。見事な試合運びで、凱旋試合を勝利で飾った。

・シリーズ7日目、浜松で行われた生き残り3WAY戦では、主役の野村を差し置いて刈馬と清水が乱闘ギリギリの激しい潰しあいを展開。野村はある時は刈馬、またある時は清水に加担しながら試合を有利に進めるも、野村は対戦相手としては半ば無視された状態。
 
 刈馬と清水の激突はさらにエスカレートしていき、雪崩式のスーパープレックスを狙った清水に対して、刈馬は雪崩式のパワーボムで反撃。清水の身体を壊しかねない一発を見舞う。
 
 だが、野村もいつまでも傍観者でいるわけにはいかない。清水に対して有利に立った刈馬に、清水と二人がかりで猛反撃。アルゼンチンレッグブリーカーを見せると、アメリカで編み出した新必殺技アルゼンチン・バックブリーカー・スープレックス・ホールドで、なんと刈馬からフォールを奪う。
 

・さらには、刈馬との激突で余力の残っていない清水をヤングタイゴン時代からの必殺技アルゼンチンバックブリーカーで絞めあげタップを奪うと、「観たか! WGAでの厳しさに比べりゃNCWPはぬるま湯だ。だけどよ、俺が熱くしてやるぜ!!」と観客にマイクアピール。ヤングタイゴンから脱皮した野村の勢いを感じさせる試合だった。
 

・試合では完全に敗れた刈馬と清水だが、このまま大人しく引き下がるような二人ではない。刈馬は「清水がいると調子が狂う…野村との決着は新王杯でつける」と、今回は見送るような素振りをみせたが、清水は「ケツの青いガキがいい気になるなよ? ちょっとシメてやらなきゃわかんねーか!?」と真っ向から反発。
 野村と清水の両者は東洋王座前哨戦のタッグマッチで再び合見える。

・タイトル前哨戦。今シリーズ5試合スポット参戦の仁志多が清水とNERFを再結成し、野村・ロベルト組と対戦。
 仁志多と野村の絡みが注目されるこの試合だったが、清水が必要以上に野村を挑発。それに乗せられた野村はペースを崩し、清水の術中に。主導権を奪われた挙句、あまつさえ清水にフォールを奪われるという醜態をさらしてしまった。
 
・勝利した清水は、「WGAでちょっとばかし目立ったくらいでナメんなよ。オレは天下のAWEで活躍した男だぜ?」「勢いは認めてやるけど、パワーじゃ仁志多の方が断然上だな。野村にゃ悪いがタイトル戦は"もらい"だ」と話した。
・負けた野村は「この借りは東洋王座戦で返す。ナーフだかなんだか知らねーけど、おれが潰してやる」と、ナーフと敵対する事を明言。リング内外での感情が渦を巻き、タイトルマッチの行方は混迷を極めてきた。

・名古屋で行われたNCWP東洋王座戦。
 挑戦者野村は前哨戦で清水にフォールを奪われたものの、その勢いはいまだ健在。西海上へ戻ってからは美原相手に防衛した以外、大した実績を残せていない仁志多に比べ、野村はWGAタッグ王者。試合前から挑戦者に追い風が吹いていた。

・試合開始直後、野村はまずパワーで負けない事を証明すべく、仁志多と激しいぶつかりあいを繰り広げる。正面からのぶつかりあいでは、2度仁志多の体格に跳ね返された野村だが、3度目の正直、今度は仁志多を力ではじき飛ばす。
 
 さらにはアメリカ流の滞空時間の長いショルダースルーで仁志多を放り投げると、それを皮切りに仁志多の腰へ一点集中。若手時代から得意としている堅実な攻めを見せる。野村の必勝のロジックの前に、仁志多は思うように試合を組み立てる事ができない。
 攻めあぐねる仁志多はパワーで強引に流れを引き寄せると、逆にベアハグで野村の腰を強襲。目には目を…の戦法に勝機を見出そうとする。
 

・しかし野村の勢いは止まらない。野村は仁志多のフィニッシュホールドのひとつ、腕ひしぎ逆十字から逃れると大技で逆襲。必殺のアルゼンチンBBスープレックス2連発で仁志多の腰を砕き、アルゼンチンレッグブリーカー、そして得意のアルゼンチンバックブリーカーで150Kg近い仁志多を持ち上げ、ギブアップを奪い勝利を飾った。
 

・アメリカでの勢いそのままに試合に勝利した野村は、デビュー4年目の若干25歳。オリンピックのメダリスト内藤とは違い、アマチュア時代には大した実績もないタダのルーキーの快挙に、レスラーもファンも時代の変化を感じられずにはいられなかった。

  

2月
・統一クルーザー級王者月原ひろが正式に退団。
 ベルトを保持したままの退団に、クルーザー級の佐藤とヤングタイゴンの石和が猛反発。早くも次の挑戦者として名乗りを挙げた。

・海外遠征中の野村が、4月の新皇杯にあわせて、来月の帰国が決定した。野村は現在WGA世界タッグチャンピオンとして活躍中で、新年早々に離脱・欠場が者が相次いだNCWPにとって明るいニュースとなった。

・野村帰国の噂を聞きつけ、早くも清水と刈馬の二人が社長へ直談判を開始。二人は野村を自分のチームに獲得すべくリング外で火花を散らした。

・世界王者一草弾が雑誌のインタビューに登場。
・その中で、一草はNWWC世界ヘビー級王座とNCWP東洋ヘビー級王座の再統一をあらためて訴えた。
 その理由は、「王者になってから色々勉強してみたんですよ。そうしたら、NWWC王座の歴史をさかのぼると旧ナショナルレスリングの世界王座がルーツだったんです」「WWCがナショナルレスリングを買収した際にWWC王座として新生して、WWCが崩壊した時にウチが旧ベルトを買い取った…と。」「WWCの崩壊後は名前が使えなくなったから見ようによっては亜流なんですけど、このベルトは世界でもっとも歴史と権威をもったベルトだったんですよ」
「でもファンの間ではNWWCに対する認識は低いし、今まで見慣れたNWC王座…今の東洋王座ですか、あちらの方が上に見えると思うんですよね」「NWCはデイビットさんから始まって、仁村社長、氷上さん、うちの兄貴や永原さん、式島さん達の代を経て、刈馬、そして最後に内藤で終わったベルトでしょ?」「俺は3回挑んで3回ともダメでしたけど、あのベルトを世界王座より下の…東洋レベルのベルトにしたくないんですよ」
「仁村社長は、東洋王座は日本人を中心に、世界王座は海外の強豪と競ってもらうって言ってましたけど、俺は刈馬と世界王座を賭けて闘いたい。だったら俺は統一した方がいいんじゃないかって思うんです」
「まだ構想の段階ですけど、去年の新皇杯の仁志多へのリベンジも兼ねて、早いうちに王座統一戦やってみたいですよ」と熱く語った。

・また、一草は今月の世界王座戦について、「社長に聞いた話だと、ドイツのシュトックハウゼンとやるらしいですね」「前にドイツで永原さんとのキャッチの試合を見た事がありますけど、恐ろしいぐらいの強豪ですね…最強の相手だと思います」「でも勝ちますよ。防衛しない事には王座統一だなんだって言ってられないし」「今回の防衛戦で、俺は永原さんや内藤に匹敵する王者だって事を証明します。期待しててください」と、自信の程を窺わせた。

・NWWC世界王座の挑戦者シュトックハウゼンが来日。シュトックハウゼンの所属するGCKはドイツミュンヘンにあるキャッチ団体で、かつて永原幸秀が定期参戦していた団体である。
 シュトックハウゼン自身も永原とは浅からぬ因縁があり、今回永原の弟子である一草弾との対決は彼にも何かしら期するものがあるようだ。

・ヨーロッパのキャッチとプロレスリング、同種の競技ではあるが、細かい部分でルールは違う。
・ルールの壁についてシュトックハウゼンに尋ねたところ、自身にWWCの参戦経験がある事を語り、また永原や一草の試合は何度もビデオを見ているので問題はないとの事だった。

・シュトックハウゼンは日本デビュー初日でアマレスの実力者加藤勇作をノックアウト。投げっぱなしの殺人スープレックスで加藤は場外まで飛ばされ、そのまま失神。あの永原・板井戦を思わせるぞっとするような光景で、参戦初日から多大なインパクトを与えた。

・シュトックハウゼンは初日のシングル戦以降はブラジル人のロベルト・カルナーダとのタッグ戦が多く組まれた。
・タイトルマッチの前哨戦となるG-UNITとの対決では、あのG-UNITをも圧倒。瀬田からフォールを奪うと、桧山組、清水組にも圧勝。さらにはランサーを含めた6人タッグでも連勝し、実力を存分に見せつけた。
 

・怒涛の快進撃を続けるシュトックハウゼンだが、刈馬・佐藤組、式島・柳組がタッグマッチでなんとか連勝を阻止。いずれもシュトックハウゼンからのフォール・ギブアップ勝ちで、この2チームの勝利は一草弾にシュトックハウゼン攻略のヒントを与える事になった。

・そしてタイトルマッチ当日。
 これまでの印象からシュトックハウゼン有利と見られたこの試合は、やはり序盤からシュトックハウゼンが猛攻。関節の奪い合い、スープレックスの掛け合いでは弾を上回り、さらには一草へタックルからマウントを奪うなどレスリング技術、あるいは総合格闘技的な技術力の違いで試合の主導権を握る。
 

・組み合った状態でのシュトックハウゼンの圧倒的有利に対し、一草は打撃技、あるいはプロレスオリジナルの技で攻め込みたい所。だが、シュトックハウゼンの厚い守りの前に、なかなか技を仕掛ける事ができない。
 それでも起死回生のタイガースープレックスを決め、ひとつやり返した弾は、ロープカウンターから巨体を活かしたドロップキックで強烈な一撃を見舞う。だがこれはフォールに行くのが遅れ、わずかに2カウント。これで試合は転機を迎える事となる。
 

・さらに猛攻を続けるシュトックハウゼンの殺人スープレックスを堪え続けた弾は、グランドでの関節技で勝利を目指す。だが、総合的な技術力はシュトックハウゼンも負けておらず、なかなか極める事ができない。弾がこの強敵を相手に試合を決めるには、必殺の垂直落下式水車落とししかないだろう。
 だがやはりシュトックハウゼンはレスリングの達人なのか、あるいは近距離での投げあいでは勝ち目がないのか、一草は一向に水車落としの体勢に入れない。ならばと一草はランニングハイキックからレッグドロップで決めにかかるが、カウント2.9でわずかに決まらず。逆に反撃のベリートゥーバックを受け失神してしまう。試合時間は14分26秒、NWWC王座戦は同王座において、これまでに類を見ない壮絶なK.Oシーンで終止符が打たれた。
 

     

2004年 1月
・前NWWC世界王者 ザ・ブックがAWEと専属契約を結んだ。しばらくの間NCWPで彼のファイトを見ることができなくなった。

・昨年のタッグトーナメントを闘い抜いた仁村社長が新年からの無期限のシリーズ全休を発表。
・仁村社長は怪我の回復具合が思わしくない事を欠場の理由に挙げ、「まだ皆さまに試合をお見せできるようなコンディションではなく、遺憾ながらしばらくの間欠場させていただきます」と述べた。
・しかし、関係者の話では、欠場の理由は怪我ではなく内臓の煩いによるものとの事。
・プロレスリング・フェンリル代表の氷上龍斗も昨年10月から試合を休んでおり、欠場理由は内臓疾患。奇しくもNCWPを代表する二人のレスラーが選手生命の危機に立たされている。

・しかし、仁村社長はシリーズ開幕では例年通りリングへと上がり、選手一人一人に新年の抱負を語らせ、アドバイスを送った。
・中でも印象的だったのが、式島へ送った「式島、NCWPを頼むぞ」という言葉と、刈馬へ送った「今年はお前の好きにしろ。過まった時は私が修正してやる」の言葉。
 仁村社長にとって二人の存在を象徴するような言葉だった。

・また世界王者一草弾には、「揺るぎない自信は自分を信じる事で培われる。世界王者としての誇りを持って頑張れ」とエールを送り、愛弟子の桧山へは「牛後となるより鶏口となれ。意味はわかるな?」と難しい言葉を贈った。
 いつまでも自分の後ろに隠れてないで、もっと前に出ろという桧山の自立を促す言葉だったのだろう。

・新年シリーズの最中、刈馬は執拗にNERFの月原を勧誘。自らの新チームに月原を加えたい意向を示した。
・これに対し月原はマスコミの前では終始、謙遜の言葉でお茶を濁した。
・月原のイエスともノーとも煮え切らない態度に、刈馬は直接対決を要求。シリーズ後半に清水・月原組(NERF)対刈馬・佐藤組の試合が組まれた。
・この試合で敗れた月原は、試合後、清水にスーパーキックを浴びせるとマイクを握り、衝撃の発表を行った。
・月原いわく、「昔のダチから誘われたんで、今月限りでNCWPを退団します。またどっかに入団するかはわかんないっすけど、もう一度、ゆきひさの奴と暴れてきます!」とマイクでアピールした。
 NCWPを離れ、元WWCタッグチャンピオン『南雲ゆきひさ』とのタッグ再結成を考えている事を口にした。
・南雲は現在プロレスリング・フェンリルに定期参戦しており、月原は契約切れを機に事実上フェンリルへの移籍を果たす事になる。
・しかし月原は現統一クルーザー級王者である。彼はその事を踏まえ、『最後の防衛戦』の相手にNCWPジュニアの伝説、塚間道正を指名した。

・NWC/WWC統一クルーザ級選手権試合は、WWC無差別級タッグ戦を押さえ新春シリーズ最終戦のメインに抜擢。
・乗り気でない塚間を余所に、マスコミはこぞって月原を取材。チケットの売れゆきは好調となり、原宿の国立競技場体育館はほぼ満員となった。

・国立競技場体育館でのセミファイナルはWWC無差別級選手権試合。本来であれば昨年末のタッグトーナメント優勝チームに挑戦権が与えられるのだが、優勝チームの仁村・刈馬組が解散した事で、準優勝の式島・柳組にタイトル挑戦権が与えられた。
・昨年10月のリターンマッチとなるこの試合。しかし、当時の式島・柳組は結成して間もない急造チームだったのに対し、現在はタッグトーナメント準優勝を飾ったトップチーム。式島と柳のコンビはいまやアジア最高峰のテクニックを誇るタッグチームと言っても過言ではない。この3ヶ月で大きく成長しただけに、試合の行方は予想がつかない。
・案の定、試合は序盤から大荒れの展開となり、カナダチームは連携では勝るものの、式島一人に翻弄されると言った攻防が続く。
 式島は必殺のイングラム・プラントを改良し、イングラムプラントのリバースDDTから腕を離さずに直接ドラゴンスリーパーに移行する新技を披露。苦痛の限界を超えるかのような超必殺技で、ランサーをあと一歩の所まで追い込む。
 

・しかし、あと一歩。カナダ血盟軍の連携の妙技は紙一重の差でその命を繋ぐ。ランサーとビートは二人がかりで、鮮やかなドロップキックの競演を見せ、式島を吹き飛ばすと、交代したビホにはビートがシャープシューター。カットに入った式島とそれを止めに入ったランサーの間で混戦となり、その一瞬の隙をついたビホの丸め込みをビートがパイルドライバーで切り返し、そこからレッグロールクラッチでフォールを奪う。
 紙一重…王者組がわずかに紙一重の差で防衛に成功した。
 

・最高の内容を見せたセミファイナルに続き、メインもまた最強を決める戦いである。
・ジュニア級の中でも抜群のスピード感を誇る月原と、ジュニアクラスにおいてゴツゴツした試合が特徴の塚間はファイトスタイルもまるで逆。そのミスマッチが名勝負を予感させた。
・試合開始早々、塚間は先手を取って月原を猛攻。ヘビーと渡りあってきた経験を活かし圧倒的なパワー差で月原を翻弄する。
 さらにコーナー最上段からのダイブを久々に披露。塚間のベルト奪取に賭ける意気込みは並々ならぬものがあった。
 

・圧倒的にペースを掴んでいた塚間は、早くも決めのサンダーファイヤーパワーボムへ。だが月原は2度に渡りこれを切り返すと、徐々に反撃を開始。
 ならばと塚間は最近のフェイバリットホールドである腕ひしぎ逆十字で再三に渡って月原を捕らえるも、月原はこれを紙一重で逃れ続ける。

・防戦一方だった月原はここで反撃開始。飛び技・絞め技を駆使して塚間を追い詰めると、必殺のスカルプタミッションで塚間を捕らえる。そこからは月原の必殺フルコースが始まり、最後はスカルプタミッションをフェイマサー式ヘッドシザースから繋ぐ完璧な形で極め、塚間を絞め落とした。
 現王者月原がNCWPジュニアの伝説塚間を相手に、統一クルーザー級王座の防衛に成功した。
 

・試合後敗れた塚間は「見ての通り。今日は完敗だよ、完敗…。何もいう事はないですね……月原は強かった」と潔く負けを認めた。
・勝利した月原は「気持ちいいっすね。今日が一番」「塚間道正はね、確かにジュニアクラスではすごいレスラーなんすけど…ヘビーのトップと比べたらさすがにね…」「ヘビー相手にも負けないって言ってるけど、オレだってそう。ジュニアじゃわからんねーですけど、少なくとも対ヘビーならオレの方が全然実績ありますから」「西海上で川島さんとやってた時に比べたら全然。去年やった内藤に比べたら全然。そういう事ですよ」と塚間をヘビー級に見立てて闘っていた事を語った。
 確かに、西海上を牛耳っていた2mの川島と抗争し、去年の夏では、“あの”内藤をあと一歩まで追い込んだ月原にとっては、塚間のような直線的なタイプは組しやすい相手かも知れない。

・月原は最後に「でも今日勝っちまったけど、このベルト返上しなくていいんすかね?」「社長が好きにしろって言った? マジ!?」「へへっ、じゃお言葉に甘えて持ち逃げさせてもらいますよ」「NCWPの皆には悪いけど、至宝戴きです!」と語り、ベルトは返上せずに統一クルーザ級王座を保持したままフリーとなる事を決めた。

(ファイプロD)