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ファイプロニュース


 

 

ファイプロDのエディットレスラー達のストーリー
2015年度版
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◇NCWP

  

2015年 1月
・新年最初の興行で、塚間社長は昨年の戦いぶりを総括。2014年は一年を通じて気持ちの篭ったファイトが多かった事もあり、観客動員数は下げ止まりをみせているとのこと。
 
・社長の挨拶に続き、闘病中の仁村会長がリングへ上がり、話を始めた。

「いまは誰もが明日が見えなくなっている時代です」「一寸先は闇かも知れない」「しかし、闇の向こうには朝日が差し込んでくるかも知れない」「見えない時代だからこそ、みんな必死に生きて欲しい」「NCWPは『明日のためのプロレス』をしてもらいたい」「若いファンは今でもプロレスラーの強さに憧れを抱いている…」「大人のファンは自分達の日常を忘れるような華やかな闘いの世界を求めている…」「目の肥えたファンは自分たちを感動させる卓越したパフォーマンスを期待している…」「プロレスラーはファンの期待に応えなければならない。それが闘う者に課せられた使命だ…」「プロレスを突き詰めた先に、その答えはある…」と演説した。

 これまでよりも弱々しい口調で、少しネガティブとも取れる言葉に会場が微妙な空気になる中、塚間社長は「えー、明日のない年寄りからの言葉でした」と締めると、仁村からチョップされて会場を笑わせた。

・新年のセレモニーは昨年に比べて明るい雰囲気で、塚間社長は今年のキャッチコピーを 『ありのままでは終わらないプロレス』 と掲げ、常に現状打破の姿勢を示すことが明日の成功に繋がるのだと説明した。

・新婚となった内藤は、新年の抱負で「今年六月にはパパになります」と奥さんが妊娠している事を報告。続けて「宿り木が出来ちまったんで、フリーバードのニックネームは本日を持って返上します」「プロレスの統治者(ソブリン)のニックネームも今の状況にあっていないので、新しいニックネームを募集したいと思います。皆さんいいアイディアがあったら是非つぶやき投稿サイトに送ってください」と告げた。

・内藤の発言に対してその場ですぐに反応した佐倉は、マイクを取り、「だったら『てっぺんぼっち』とかどうですか? 見渡す限り敵も無し、友達も無し、の内藤さんにピッタリでしょう」と提案すると、内藤から「友達がいないのはお前の方だろ」とすぐに反撃を受けていた。

・WWC無差別級タッグ選手権試合が開催。
 昨年末のタッグリーグを制した桧山と清水は、タイトルマッチでも好連携を連発。しかし昨年12月に新王者となったデル・サントス、スペル・プロフェッタ組の空中殺法に翻弄され、桧山がフロッグスプラッシュの前に沈んだ。


・タッグタイトルの獲得ができなかった清水は「解散だ、解散」「アメリカン相手なら自信あったのによ。メキシカンは無理!」「桧山とのタッグは初めてだったけどよ。まあまあ楽しかったぜ。もう二度と組む気はないけどな!」とチームの解散を一方的に宣言。
・桧山の方は「清水さんからは色々勉強になる所がありました」「式島さんの脱退以降、年上と組む機会がなかったのでね」「清水さん、お世話になりました」と謙虚に握手を求め、清水も「おう」と握手に応じた。
   
    

2月
・今年度最初のNWWC王座戦では、ファンの支持を受けて48歳の清水剣次が初挑戦。のらりくらりとした独特のペースからスイッチの入った内藤の猛攻を受けるが、仁村会長がフィニッシュホールドにしていたグレープパイン(バナナスプレッド)=グラウンドコブラツイストからグラウンドロイヤルストレッチなる新技で固め、世界王者内藤からまさかの勝利。
・会場が大爆発する中、頭を抱えながら飛び跳ねた清水は、勝利者インタビューでセコンドについていた佐々木に「夢かも知れない。オレを殴ってくれ」と要求。強烈な佐々木の一撃でマットに突っ伏してしまい、王座奪取と同時にあやうく担架で運ばれかけた。

・一夜明け、まさかの世界王者となった清水は「会長は一寸先は闇かも知れないとか言ってたけどよ、どこが闇なんだよ。パラダイスじゃねーか!」とデビュー二十九年目にしてようやくたどり着いたヘビー級のシングル王座に感極まった様子。
「まあ勝因は単純に内藤の油断だよな。アイツの怪我を理由にするファンもいるかもしんねーけど、怪我したところを攻めるのはプロレスの常道だから。それは負けた理由にはならねーよ」「防衛戦の相手? ああ、オレがベルト巻いた日に早速KOパンチをくれた奴がいたよな。借りは返さねーとな、アイツだアイツ、佐々木だよ」と最初の防衛戦に自らの付き人でまだヤングタイゴンの佐々木を指名した。

・後日塚間社長から正式にダメだしをされると、「なんでだよ! 祝勝セレモニーで殴ってきたやつと防衛戦すンのはプロレスの常識だろ?」「え? 『ありのままでは終わらないプロレス』だからダメだって? くそっ、社長のヤロー……あっ、すんません、塚間さん! ウソですすみません……」と会見に乗り込んできた塚間社長に謝りつつ、「最初の防衛戦は新皇杯の優勝者になるだろう」と告げられ、がっくりと肩を落としていた。
   
  

3月
・一月に参戦したWWC世界タッグ王者のデル・サントス、スペル・プロフェッタ組が再来日。
・今年の契約更新では、退団の噂もあった刈馬が大幅な減俸で合意。
・刈馬曰く『納得できるギリギリの数字』とのことだった。関係者によると、刈馬は手術費や治療費が団体の経費としてかさんでいるため、その額を考慮した年俸になったとのこと。グッズ販売の収益は一部が選手に渡る契約の為、副業をやらなければならないほどの減収にはならないようだ。

・レフェリーの三嶋が引退のため退団。それ以外は大きな変動はなく、レスラーは新たにデビューした五十鈴信宏(いすずのぶひろ)と、二年前に一度逃げ出し、再デビューとなった牧野遼護(まきのりょうご)を加えた計十三名に。正式入団の噂のあった佐倉は、海外団体への出場を理由に入団契約が流れる事となった。

      
   

4月
・NCWPの未来を担うレスラーを決めるためのトーナメント戦、新皇杯が開幕。
 前世界王者の内藤が初戦で野村に敗れる波乱に続き、NWWC世界王者清水が前回優勝の佐倉を破って一回戦を突破。内藤と佐倉の優勝候補二人が一回戦で消え、混迷したトーナメント戦が予想される。

・活躍が期待される野村は、二回戦で那須を、準決勝では刈馬を破り、いち早く決勝進出を決める。
・もうひとりのファイナリストの座を賭け、加宮を破った清水と桧山を破った伊部が対戦。両者リングアウトの末の再試合で、王者清水が反則負け。現王者としてのプライドを守るために、試合を捨てて逃げ帰る結果となった。

・決勝戦は野村と伊武の組み合わせに。伊武は今回が初めての決勝進出。
・野村有利が囁かれる中、鍛え上げられた筋肉美を見せた伊武が野村を圧倒。世界王者清水がちん入する中、劣勢を盛り返した野村が伊武をアルゼンチンバックブリーカーで仕留め、2009年、2011年に続き三度目の優勝を果たした。

・優勝した野村は、「今年こそ、てっぺんを取る!」「みんなが期待している。やれない理由はない!」と宣言。
 野村には東洋王座時代の戴冠はあるものの、NWWC世界王座の戴冠はない。それを今年こそやり遂げると声を荒げた。

    
   

5月
・ふるさと感謝際の興行を終え、GW興行前のわずかな休みの間にNCWPグループ全体に衝撃が走った。
・グループ会長で元社長の仁村賢利が、五月一日未明に逝去。63歳だった。
・昨年のレスラー引退以来、ファンも関係者も闘病中とは聞かされていたが、詳しい事情は伏せられてきた。死因は腎臓ガンによる心不全だが、昨年四月の定期健診ではそこまで深刻だったとは診断されておらず、詳しい事情を調べている所だという。

・GW興行では追悼のテンカウントゴングと共に、仁村が遺したメッセージがファンに伝えられた。
「人生には多くの戦いがあると思う」「自分の病気もその一つだ」「レスラーは日々闘っている。いや戦わなければならない」「それは自分のためであるし、皆のためでもある」
「もし、プロレスを通じてファンの皆様に少しでも闘う勇気が届けられるなら、私はこの団体を作り、皆に『プロレス道』を示してきた意味があったと思える」「皆様からの熱い声援に心から感謝しています。皆様のご多幸と健康をお祈りしています」
 おそらくはまだ深刻ではなかった頃に、万が一を考えて残したコメントだったのだろう。ビデオに写る仁村会長は、今年一月の時に比べて元気そうな表情をしている。

・また関係者へ向けてのメッセージではこんな言葉も遺されていた。「もし向こうで逢えたら、氷上と板井に謝ってきたいと思う」
 板井に関しては、NCWPのリング上で死なせてしまった苦しみがあったのだと理解できるが、2006年1月に他界した氷上龍斗との間に謝罪しなくてはならない事実があったのか、マスコミや関係者の間でも意見が分かれている。

・08年に退団した式島和也が約7年ぶりにNCWPのリングに足を踏み入れ、昨年退団した一草弾やその兄の和秀らと共に天国の仁村にメッセージを送った。
「月並みな言葉かも知れませんけど、仁村さんはオレの恩師であり偉大なレスラーであり、優れた経営者でした」「時には家族のように感じた事もあります。上司と部下ですし、共に闘った戦友でもあります、仲間であって、時にはライバルでもありました」「仁村さんとの関係は筆舌できないほど大事な絆でした」「オレは七年前、このリングを去りましたが、噂されていたような不仲が原因ではありません。ただ、自分が社長になったときオレはオレのやり方でプロレスを広めたい。その思いが抑えきれなかったんです」「いつかオレもそちらへ行く日が来るでしょう。その時はまた一緒に酒でも飲みましょう。でもきっと、あっちでも仁村さんはオレが奢るといっても、頑として払わせてはくれないんでしょうね……」

・式島のメッセージに続き、一草兄弟も亡き社長へのそれぞれ思いを語った。
・先に氷上龍斗のパートナーであり、NWCを支えた人気レスラーでもあった一草和秀がマイクを取り、「仁村賢利という男に出会えた事は人生の幸運だったと思う」「俺も理由あってNCWPのリングを離れたが、仁村さんはしっかりと理解を示してくれた。それがビジネスだって言って」「あの頃は、団体に居た頃は社長が理解できない事が何度かあった」「ただ、仁村社長……俺にとってはいまでも社長ですよ。社長は誰よりもプロレスを愛していたのはよくわかります」「川渕と一緒になって偏屈オヤジだなんて罵った事もあったけど、仁村賢利のプロレスをやって、人々に伝えてゆくことは何よりも大事だったんですね」「こうして振り返ってみると、仁村社長はやはり道を往く人だったんだって思います」「俺も俺の道を行って生きてきました。式島くんや川渕もそうでしょう」「いつか対等な立場で話ができる日を夢みて、頑張ってきました」「伝えられなかった言葉を今日伝えたいと思います」「ありがとうございました。あなたは俺にとってかけがえのない偉大なセンセイでした!」

・つづいて一草弾は、「仁村会長、自分は所属レスラーの中でも、会長とは少し遠い存在だったのかなって思います」「式島さんや桧山は会長にベッタリでしたね。刈馬は会長と対等にやり合っていましたし」「でも、おれや瀬田はあまり会長と接する機会もなく、新年の挨拶で激励された思い出ばかりが残っています」「そんな中で唯一リング外で激励されたのは、'96年に初めてインターナショナルカップに出場した時の事でした」
「あの時は、自分と刈馬が会長と式島さんを破って出場権を手に入れました」「グリーンボーイだった自分は責任の大きさに潰れそうになっていました」「そんな時に仁村さんに声をかけてもらったんです」
「普通は『お前ならできる』とか『プレッシャーを感じずに闘って来い』とか言うのでしょう」「でも会長は『お前たちは日本中の期待を背負っているんだ』『NCWPの一因として恥ずかしい試合はできないぞ』とか『もし無様に負けてきたら日本にお前達の居場所はないと思え!』とか、鬼のようなプレッシャーをかけてきたんですよね」
「俺は思わず泣きそうになりました。でも仁村さんはさらにこんな事を言ってくれたんです。『自分を信じなくてもいい、刈馬を信じろ』『アイツならやってくれる、ダメだと思ったら刈馬に丸投げしておけ』って!」「おれはそんときカッチーンて来ましたよ。会長は自分に期待しないで刈馬に期待しているんだって思ってね」「もうそれで戦闘モードに入りましたよ、刈馬になんか負けられるかって!」「結果的にそれで上手くいったわけで、優勝した時に世間の評判は刈馬と自分で二分されていました」「その時は素直に嬉しかったですね」「あの時、自分を焚きつけるために言ってくれたあの言葉、あれはいつまでもおれのハートに火をつける言葉になってます」「ほら、思い出したらまた熱くなってきましたよ」
 そう興奮してきた弾が兄の和秀にたしなめられると、「まあ、そういう具合に、おれと仁村会長は、社長とレスラーとしてね、ちゃんとコントロールしてもらっていたし、日々の努力に対して十分報われたと思っています」「仁村会長、生前はお世話になりました。ご恩は一生忘れません!」

・この日は式島や一草弾は試合を行うことなくリングを後にしたが、後日開催される仁村賢利追悼興行への出場については「もちろん出ますよ」と二つ返事でOKした。
・表向きは「今日はビジネスの話はしない」と公言していた式島だが、裏ではNCWP塚間社長と本格的な提携の話も持ち出されていたようだ。
 なお、一草和秀は引退しているため試合の出場はなく、話題に上がった川渕ら『川渕ジム』所属のメンバーたちも「故人の意思を尊重し、NCWPのリングで我々の試合を行う事はない」「追悼には別の機会を設ける」とのコメントを出した。

・来月、六月六日に聖地戸田川市民センターならびに戸田川市民公園にて追悼興行が行われると発表。会場へ収まりきれない数のファンを予想し、外ではパブリックビューイングとともに昭和六十三年以来となる戸田川市民センター場外試合を行う。

   

   
6月

・戸田川市民センターならびに戸田川市民公園にて、NCWP仁村賢利追悼興行が行われる。
・元WGAのスタック・ジーガルをはじめとしたゆかりのある選手が集結した。
・会場には収まりきれないおよそ二万人のファンが詰めかけ、ライブビューイングに加え、市民公園の屋外リングでも試合が行われた。

・かつて所属した多くの選手が訪れ、その中には十七年前に引退した永原幸秀の姿もあった。

・メインイベントではスタック・ジーガル、ブルックJr、アーサー・ケイマン、ジョニー・ディープ組対、桧山響一、式島和也、内藤隆広、石和圭一組の8人タッグが行われ、17分51秒式島のイングラムプラントから桧山のグレープパインでジョニー・ディープを仕留め、天国の仁村会長に捧げた。
・屋外のリングでは、メインイベントのセレモニー後に刈馬や伊武ら、ヒートバーリーがリングを占拠。『俺たちの魂振試合(たまふりじあい)』として、革命時代の盟友、現川渕ジム所属の須藤、南雲と約5分間のスパーリング試合を行った。

・十七年ぶりにNCWPの会場に足を踏み入れた須藤は、「故人のご冥福をお祈り致します」「俺たち革命軍生まれの革命軍育ちにとってはね、複雑な存在でしたよ」「あの時の感情はまだ整理がついていないけども。今思うとね、給料はあの人から出ていたわけだし、恩はあったのかなって思います」
・かつてデビュー三年足らずでWWC世界タッグ王者に輝いた南雲は「おれも須藤と同じ気持ちですよ」「あの頃はね、本当に川渕さんが次期社長になれると信じてました」「今思うとバカみたいですけどね。NCWPは仁村社長の団体で、おれらが革命軍って言って奮起してても契約は社長が握っていたわけで…」「最後はあっさり放出されて終わってしまいましたけど、あの時代はおれの青春でした」
 と刈馬と共に昔を懐かしんだ。

・新世代革命軍は、世間に総合格闘技が台頭する中、NCWP従来のプロレスを打ち破って新しいプロレスを興そうとする新時代の潮流であった。引退した氷上龍斗の代わりが誰にも務まらない中、エース候補とみなされなかった川渕が起こした必死のムーブメントだった。
・人気の絶頂期は、当時エース候補だった荻原が加入し、南雲が西海上プロレスの月原ひろを引き入れた1998年。
・しかし、その荻原が方向性の違いから川渕と対立し、革命軍荻原派が生まれた事で崩壊へと向かっていく。
・2000年1月に起きた板井選手の事故により、総合格闘技に傾倒していた川渕派は一掃され、その後NCWPのリングに上がる機会は与えられなかった。

・スパーリングのみとは言え、十七年ぶりに古巣へ帰ってきた須藤と南雲は、今後復帰の可能性について「既にコーチの職にあり、総合格闘技の第一線からも退いている。おそらくはない」としつつも、「あの頃、あんなに熱かったNCWPのリングが近年冷めてしまっているのは非常に残念」「ただ今日だけは別だった。この熱気をこれからも持ち続けて欲しい」と古巣にエールを送った。

     
     

7月
・今年の九州遠征では、世界王者清水と新皇杯優勝の野村の対決が連日組まれた。
・内藤、刈馬がスポット参戦となり、佐倉涼介の参戦もない中、会場を盛り上げていたのは関ヶ原プロレスの吉田と加宮の対決だった。
・世界王座前哨戦を超える盛り上がりに、早くも次期挑戦者はこの二人のどちらかだろうと囁かれはじめた。

・今年は福岡で行われたNWWC/NCWP統一世界王者戦では、激戦の末、清水が王座を防衛。
・9月の旗揚げ記念シリーズで行われる次の防衛戦の相手には以前のパートナーである加宮を指名した。
    

   

8月
・会長亡き後新体制となったNCWPではお盆休みも見直され、サマーブレイクがないままシリーズは続いてゆく。
・関東と東北で行われた8月シリーズでは、前世界タッグ王者となったデル・サントス、スペル・プロフェッタ組がフル参戦。東北の地を賑わせた。

・8月後半には海外遠征に出発。療養を理由に刈馬は欠席するが、代わりに内藤が復帰し遠征試合全てにフル出場。
・海外でも、レジェンド・仁村の死を悼む声が多く、自他ともに認める後継者桧山の一挙手一投足に大きな歓声が上がった。
・一躍ヒーローに躍り出た桧山は、「仁村会長の最後の贈り物だと思っています」「まだまだ頑張らないといけない」「ベテランと呼ばれる中にあって、自分だけ“海”にまでたどり着いていない」「まずはそこを目指したい」と、仁村プロレスを継承しつつ、自分のスタイルを完全に確立させる事を目標にした。

・海外で行われたNWWC世界王座戦に、プロフェッサー・ナカタが挑戦。清水は荒いファイトにてこずるも、得意のラフファイトでナカタを黙らせると、場外で椅子を乱打。最後はナカタをグランドロイヤルストレッチに捕らえ、ギブアップを奪った。

         
     

9月
・今年は目立った動きのなかった刈馬が、ここに来て本格的に活動を再開。曰く「本当は引退を考えていたが、仁村の逝去で引退するわけにはいかなくなった」との事だった。

・詳しく話を聞くと、首から肩にかけて五度の手術で両腕は肩から上に上がらなくなっており、以前のような腕力を活かしたパワフルなファイトはもうできないという事だった。
「俺は激しく悩んでた」「レスラー人生でこれだけ悩んだのははじめてだよ。革命軍の時も相当悩んだし、三冠制覇したときも死ぬほど悩んだが、今回はそれ以上だ」と激白した。
・昨年から全身にメスを入れて身体を休ませてきたが、43歳という年齢もあって全盛期のようなファイトはもうできる気がしないのだという。

「本当はこの9月で引退するつもりだった。佐倉たちに後を託してな」「低年俸での契約更新を受け入れたのはそれが理由だった」「だが、佐倉はアメリカに行ったまま帰ってこねぇし、内藤も万全とはいえねぇ」「仁村会長の逝去で、『俺がやるしかねえじゃないか』と思うようになったんだ」「だがこの身体だ」「旗揚げ記念試合で、俺は牧野と戦う事になっちまった」「昔、仁村会長が佐倉の相手をしただろう? 佐倉もそれが転機と言っている試合だ」「俺はそん時の会長より十年も若いのに、いまはそのポジションに居るんだ」「佐倉はあの試合で人生が変わったと言ってる。俺もそれだけの試合をしないと、仁村会長には勝てねぇって事になる」
・刈馬は「だからよ…」と前置きした後でこう続けた。
「牧野との試合、俺にとってもデビュー戦にする。刈馬雅史の再デビュー戦だよ」

・刈馬はこれまでの自分を捨てて一からやり直すと決めたらしく、使う技もスタイルも一新するとの事だった。
「俺はレスラーとして生まれ変わる」「これでもキャリアは長い。俺はいろいろやってきた」「有名なヤングタイゴン時代の試合後の暴れっぷりもそうだし、テンプル刈馬を名乗っていたWE時代もそう」「そして、革命軍でサヴァーグさんと組んでいたときにヒントがあった」「そう、X刈馬(エックス・カリバ)だよ」
・かつて川渕が起こした革命軍時代の混迷期、刈馬は弟の欠場でパートナーがいなかったサヴァーグ晃のパートナーを務めていた。そしてマスクを被り、『ルチャの真似事』と酷評されたX刈馬のスタイルに、これからの新しいプロレスラー像を見出したのだという。

「あん時の俺は、荻原さんに拾ってもらう前で、革命軍に嫌気が差していた時期だった」「総合のリングにも上がることになっていたし、やりたい事とやってる事のギャップに苦しんでいた」「革命軍じゃ龍斗さんから受け継いだプロレスはしづらくなっていた」「とにかく普通のプロレスがしたくてアキラさんのパートナーにしてもらったんだ」「確かに酷評はされた。スーパーヘビーを目指していた俺がルチャの真似事…。本当にただの真似事をしていたわけだから当然だ」「俺はその頃の迷走が原因で、桧山や内藤に一度抜かれたって意見も認めている」「荻原さんに拾ってもらった後もしばらく迷走が続いたくらい、X刈馬の時の無理が祟っていたからな」

・その時の刈馬はそれまでの自分を壊してでもルチャのようなスピーディな動きをしようとし、120kgクラスの身体を生かせずにいた。
「だが人生とは不思議なもんでな」「それから必死になって創りあげた自分が全部なくなって、引退を迫られたときに、唯一残っていたのがそん時の経験なんだよ」「俺にはまだ引き出しが残ってる。もうひとりの刈馬雅史がいる」「それが今の俺には必要だったんだよ」

・刈馬は再デビューに向けてさらに心境を語る。
「今更マスクを被るつもりはねえよ」「でも、あん時アキラさんとしていた練習をもう一度やり直してる」「再デビュー戦で見せてやるよ、43歳新人レスラー刈馬雅史の姿をな!」
・そして、24歳になるヤングタイゴンの牧野修平と43歳"新人"刈馬雅史の試合が近づいてきた。

・NWWC世界王者には王者の指名通り加宮が挑戦。三ヶ月連続のタイトルマッチとなった清水は、苦戦するもレフェリーの死角をついた金的で流れを一変。最後には余裕すら浮かべてロイヤルストレッチSSで、かつての付き人であった加宮を下した。

・そして、10月には新皇杯優勝の野村の挑戦を受ける。
・過去最強の挑戦者を前に、清水は「この年で四ヶ月連続はきちーな」「みんなもそろそろチャンピオン交代かと思ってるんだろ?」「けどな、オレは負けねェーよ!」「野村なんか、オレから見たらグリーンボーイだ、グリーンボーイ!」「いいか、見てろよ。誰がチャンピオンに相応しいか証明してやるぜ!」と息巻いた。

           
  

10月
・10月3日に原宿の国立競技場体育館で創立記念特別大会が行われる。NCWP20周年。NWC時代から数えれば創立35周年になるこの節目の大会では多くのカードが注目されている。

・ひとつは今年度から加入したレスリングネットワークの公式試合。
 式島和也が立ち上げたWN.JPでは、全国の団体からエントリーしたレスラーによる公式試合が各団体間で行われる。団体の大小を問わず、レスリングネットワークコミッショナーの下、平等に競う公式戦だ。

・シングル、タッグのほかに、キャプテンイリミネーション方式で行われる6人タッグがあり、6人タッグリーグは9月からシーズンが開幕。全18団体によるホームアンドアウェイ方式の長い長いリーグ戦となっている。
・NCWPからは桧山率いる正規軍の参加が決まり、既に他団体で開幕戦が行われている。桧山、加宮、井上の三人がレギュラー登録で、デビュー一年目の五十鈴が登録メンバーが他の試合などで欠場する際代わりに出場するサブメンバーとして選ばれた。

・初戦はWN.JP直轄の川崎プレミアムジムに所属する加藤勇作らのチーム。石和はシングルのトップリーグに出場するチャンピオンのため、旧NCWPのメンバーでは加藤勇作のみが同大会にエントリーしている。
 またWN公式戦ではアウェイの遠征などで人数が足りなくなる場合は、式島率いるAチームと、元NCWPの鈴木タカシ率いるBチーム、元西海上プロレスのレジェンド真崎直道率いるCチームが交代で穴埋めに参戦してくる。世界で頂点を極めた式島、現在日本一の団体西海上で長年トップを務めた真崎ら、国内屈指の知名度を誇るトップ選手が地方団体へも足を運び、興行の手伝いをしてくれる。
・超有名選手の参戦により大きな利益を上げられ、公式戦のテレビ中継などを通じて選手の名前を売る事が出来る。試合内容がよければメディアにも取り上げられ、所属レスラーの地位向上につながる事などが、WN.JPに加盟するメリットだといわれている。

・所属選手が大幅減少しているNCWPにおいても、WN.JPへの参加は目玉カードを増やすために大いに役立っている。
・ホームでの初戦となった国立原宿体育館では、凱旋した加藤勇作が変貌振りを発揮。
・加藤は、ビジュアル面でクールになったほか、もともとの技のキレに加えて、経験を積んだ事で生まれる余裕から、会場の注目を独占した。試合は桧山が意地を見せてかろうじて勝利を収めたものの、リングの主役は間違いなく加藤だった。
・久方ぶりのNCWP参戦になった加藤は、「仁村会長の引退試合にも追悼興行にも出られなかった分、ここで会長への思いをぶつけさせていただきました」「ケガでトップリーグへの参戦もなりませんでしたが、このイリミネーションリーグではタッグリーグに続いて二年ぶりの優勝を目指したいと思います」と、ところどころに相変わらずの報われなさをにじませていた。

・第四試合では、新生刈馬の初お披露目となった。
 試合前からめずらしく弱気な態度が目立った刈馬だったが、試合では牧野遼護を圧倒。従来の技が殆ど見られず、国内最強と呼ばれたナイフエッジチョップも殆ど使わない状態だったが、新必殺技の“クロスキャリバー”(ブロークキック)で牧野の顎を粉砕し、今年一番のパフォーマンスで再デビュー戦を飾った。
・試合後敗れた牧野は、「…トップレスラーとの力の差を思い知らされました」「この力の差をいい経験にしていかないといけないと思います」と悔しさを噛み締め、勝利した刈馬は「思った以上に上手くやれた」「まあなんだ、新人のつもりで臨んだのは確かだけどよ。積み重ねたキャリアは無駄じゃなかったって事だな」と圧倒的な力の差を見せ付けての完勝を認めた。

・WWC世界無差別級王座戦では、アメリカの新王者フューチャーデイズが世界レベルのスピードとパワー、パフォーマンスの高さを見せつけて完勝。再び世界との対決に屈した内藤は、「この一年で自分も成長したつもりだったが、これまで以上に壁を感じた」「世界には新しい波が次々と来ている」「タッグタイトルへの挑戦は当分諦める……おそらくはNWWCも……。俺にはその資格がない」と、弱気な態度を見せた。
 プロレスの統治者=ソブリンと呼ばれ、不可能を可能にし続けてきた内藤が初めて自分の限界を知り、打ちのめされたような、そんな雰囲気だった。

・第三試合からがセミファイナルまでの対外試合が続いた後、メインイベントに組まれたのは、NCWP所属レスラー同士によるNWWC統一世界戦。
・チャンピオン清水剣次が、新皇杯優勝の野村を迎えるこの一戦は、NCWPらしい玄人好みの攻防が期待される。
 案の定、両者は手の探りあいから、相手の裏をかく攻防を繰り返し、まさに頭脳戦という様相を呈してきた。清水は攻め込むも決め手を欠いて攻めきれず、野村の逆転勝利かと思われたその瞬間、野村の甘い手を清水が切り返し、丸め込みで3カウント。今年最後の防衛戦でもまさかの勝利を収め、この年をチャンピオンとして乗り切った。

・敗れた野村は、「今回こそはいけると思っていた…」「仁村会長の引退試合でもメインに出れず、追悼試合でもメインからはずされてしまった」「今日こそは、という思いで…」「勝って、会長に報告したかった。NCWPは俺が支えるんだと…」と目に涙を浮かべ、「腐らない様に…ここで腐ったらおしまいだから…明日からまた頑張っていきます…ええーい! クソッ!!」と悔しさを爆発させた。

・勝利に大満足の清水は、「存外、野村も敵じゃねーな」「オレの土俵で試合すりゃこうなるって事だ」と余裕すら漂わせて会見に臨み、「内藤は王座挑戦を諦めてる? 佐倉は帰ってこねーし、次は桧山あたりになンの?」記者から『桧山選手の挑戦を受けるつもりはありますか?』と質問されると、「ねェーよ! いや、まったくなくはないけどな」「オレな、今調子がいいンだよ」「正直誰が相手でも負ける気がしねェ。だからこそ、やってみたい相手がいる」「誰かって? 式島だよ! 式島!!」「レスリングなんちゃらとかの決まりで、こっちのリングにも上がってくる契約なんだろ?」「だったらそン時タイトルマッチやろーぜ」「近年なかった最高級のビッグマッチになるだろ?」と、2007年以来となる式島のNWWC挑戦に期待を込めた。

       
            

10月
・日本レスリングネットワークコミッショナーズ(通称WN.JP)の式島代表が、NWWC統一王座の挑戦者として迎えたいとする王者清水の発言に反応した。
・式島曰く「以前は出向先でベルトに挑戦した事もあったが、いまは断ることにしている」と前置きした上で、「それでも、NWWCのベルトはオレにとっても特別なベルト。……少し考えたい」と返事を保留した。

・式島は2011年に、当時リーグに加入していた複数のプロレス団体からタイトルの挑戦者を求められ、一時期は六冠を保持していた。
・しかし、王座戦のスケジュールをこなすのが困難な事から、一部の王座を返上。残る王座も真崎や石和、鈴木タカシなどに敗れて失っている。
・式島はその当時の事を、「震災による影響で観客が激減していた」「どこも苦しかったので、仕方なく先方の希望を受け入れる事にした」としている。当時の式島はコンディション的に完璧な状態になく、防衛戦を重ねるのは難しい状況だった。それから3〜4年が経過して、コンディションもよくなってきているようだが、古巣とはいえ、例外を認めることに躊躇いがあるようだ。

・来月開幕する年末のタッグリーグに向け、チームの受付が始まった。
・正規軍トップの桧山は、昨年チームを組んだ清水に再びタッグ結成を呼びかけるも、清水から「アホか! 解散だって言っただろ!」と一蹴されてしまう。
 当の清水は加宮を再び陣営に引き入れたい考えだったが、加宮はいい顔をせず、桧山が加宮を勧誘。清水と組みたくなかったらしい加宮は桧山の誘いに飛びつき、正規軍からは桧山・加宮組がエントリーされた。

・第一候補のパートナーを逃した清水は、「“ロイヤルファミリーF”の“F”は、プロレスリング・フェンリルの“F”だ!」と言い、元プロレスリング・フェンリルの伊武を誘うも、伊武は二番手指名である事に難色を示し、ロイヤルファミリーFからの脱退を宣言。刈馬に弟子入りしたいと言い、ヒートバーリーに加入する事を本人に直訴した。

・刈馬は「デジャビュを感じるな」と、かつて同じプロレスリングフェンリル出身の山縣が直訴したのを思い出して苦笑しつつ、「俺はオマエを山縣ほど認めていない。だが、物になるまで三年を覚悟するなら弟子入りを認めてやる!」と、今後三年間は自分の下にいるよう条件をつけた。それに対して、「これまで十年間、一生懸命やってきたけどダメでした。三年でトップになれるんなら喜んでやりますよ!」と伊武は前向きな姿勢を見せ、今大会二チーム目のエントリーが決定した。

・加宮だけでなく、伊武にも嫌われた清水は、元プロレスリング・フェンリルの那須善春をパートナーに指名。「向こうが三年ならこっちは二年で那須と佐々木をトップにしてやる。競争だよ、競争!」と、同門の那須のライバル心を煽り、戦力の向上を図った。

・世界王座戦で敗れた野村は、内藤とのタッグ再結成を模索するも、内藤は首の状態が思わしくないため、今年のタッグリーグの欠場を発表。公式戦には欠場するが、シリーズの試合には参戦すると発表した。
 野村は代わりに牧野を指名。牧野は佐々木とのタッグを考えていたが、思わぬ大物からの誘いに飛びついた。

・優勝候補の一角として、二年前のチャンピオンチームである佐倉・吉田組の参戦に期待がかかるが、佐倉は米国マットとのスケジュールが折り合わない事を理由に大会の出場を辞退。内藤と共に解説席のゲストとして参加が決まった。
・プロレス関ヶ原の吉田満は、「この大会は俺の夢の舞台」として参戦に意欲を示し、パートナーには関ヶ原のレスラーではなく、「かなりの大物選手を連れてくる」として、パートナーXとの登録で参戦が決定した。

・10月シリーズでは他にメイン級のカードがなかった事から、日本レスリングネットワークコミッショナーズの公式戦が初のメインに抜擢された。南九州を主体にする阿蘇よかばいプロレスリングと四国の丸亀オーシャンアソシエイト2がNCWPに初参戦した。

           
      

11月
・タッグリーグの参加受付が終了し、今年のタッグリーグを戦うチームが出揃った。
 正規軍からは、桧山・加宮組と、野村・牧野組
 ヒートバーリーは刈馬・伊武組
 ロイヤルファミリーFからは清水・那須組
 他団体からは、阿蘇よかばいプロレスより、志藤・池田組。プロレス関ヶ原から吉田・一草弾組。海外からは大物ケリィ・ロジャースが久々の来日。アメリカンJと組み、ロジャース・J組の出場が発表された。最後にパートナー不在の佐々木が同じく内藤の欠場で宙に浮いていたオクソンと組む事になり、佐々木・オクソンの出場が決まった。
 今年は8チーム1ブロックでの総当り戦。勝ち点上位2チームが最終戦での優勝決定戦に望む。
 なお、WN.JPの公式戦もあるため、日程の都合上、イリミーネションチームのメンバーである井上は大会の参加が見送られた。

・今大会は8チームの総当りで勝ち点を競い、上位二名が最終戦に行われる決勝大会に進出。リーグでの勝ち点に関わらず、決勝で勝利したチームが優勝チームとなる。
・今年はどのチームも戦力が拮抗しており、優勝候補と呼べるチームは存在しない。しかし、戦前の印象では、桧山・加宮組とロジャース・J組、関ヶ原の吉田・一草組が少し抜き出ている印象。中でも昨年退団して以来、公式カップ戦初参戦となる一草弾の動向に注目が集まっている。

・初戦のメインでは、再デビューを果たして少しスタイルの変わった刈馬と、同期の一草組との対戦が組まれた。
・キックをメインにする刈馬の新しいスタイルに面食らった一草だが、「刈馬の蹴りは力任せ。自分の方が遥かに上」と、訓練された蹴り技で刈馬を圧倒。刈馬のパートナーである伊武が奮闘するも、最後は吉田のパワーに力尽きた。

・初戦を落とした刈馬組は不調が続き、清水・那須組、志藤・池田組に勝利しただけで、リーグ戦二勝の勝ち点4に終わる。
・野村・牧野組も、入団4年目なれど再デビュー1年目の牧野が足を引っ張る形となり、刈馬・伊武組と佐々木・オクソン組に勝利しただけの勝ち点4。
・その他、志藤・池田組、佐々木・オクソン組も勝ち点4に終わり、下位チームが星を分け合う形となった。

・吉田・一草組は戦前の予想を超える活躍で1敗の勝ち点12。大会最多優勝回数を誇り、前人未踏の4連覇を果たすなど、タッグに強い一草弾が居る以上、このチームが優勝候補とされるべきだったかも知れない。

・NWWC世界王者であり、昨年度優勝の清水の率いる清水・那須組は、今大会でダークホース的な活躍をみせるが勝ち点は7。
・桧山・加宮組は2敗で勝ち点10。
・ロジャース・J組は最終戦で清水組と引き分けた事で勝ち点9。わずか1差で決勝進出を逃した。

       
              

12月
・NCWPタッグリーグの優勝決定戦のカードが決定。
・WN.JP公式戦との日程の都合があり、桧山・加宮組はシリーズ最終日では一日に二試合を戦うスケジュールになってしまった。
・第4試合に行われたWN.JP公式戦では、タッグリーグにエントリーしなかった井上が奮闘するも、チームは敗退。
・NCWPの桧山・加宮組は、不安を抱えながらの決勝戦に臨んだ。

・絶対に負けられない覚悟で臨んだ桧山たちは、吉田・一草の連携に圧倒されるも、これまで大一番に弱かった加宮が大活躍。並々ならぬ闘士をみせるも、最後は一草の蹴りで半失神状態に。
 そのまま加宮がフォールされ、リーグ勝ち点で1位の吉田・一草組が今大会を優勝で終えた。

・仁村賢利が他界したこの年の年間最終戦。この日二敗で終えた桧山は、加宮と共に涙に暮れ、「絶対に勝たなきゃいけない試合で、またしても自分は勝てなかった」「氷上龍斗さんの訃報のとき、刈馬は勝っていた…」「自分が情けないです…」と激しく落ち込み、感化されたのか加宮も大泣きで「プロレスに入団してから初めての気分…」「こんな気持ちになった事はないですよ」と言葉にできないほどの悔しさを噛みしめていた。

・二年ぶり二度目の優勝を果たした吉田は、「この勝利を偉大なレスラー、仁村賢利に捧げます」とトロフィーを頭上高く掲げ、会場に置かれた遺影に手を合わせた。
・昨年NCWPを退団しながらも、今日この日を優勝で終えた一草弾は、「本当に人生というのはわからない」「昨年退団セレモニーを迎えたときには想像もできなかったような事態が今起きている」「自分が再びこの大会を制した事には何か特別な意味があるのだと思う」と感慨深げに話した。

・大会最終日の休憩時間明け、式島和也がリングに登場。今年四度目となるNCWPのリングで、清水剣次の提案を受けて、NWWC統一王座の次の防衛戦に挑戦する意向を表明した。
・この対決を『世紀のビッグマッチ』と喜び勇む清水だったが、話はそう簡単には終わらず、試合はWN.JPのリングで行うこと、日時は来年1月頭に行われるWN.JPの武道館大会で、現チャンピオンの石和圭一の前の試合、つまりセミファイナルであることを条件に付け加えた。

・統一王座のタイトル管理委員会はセミファイナルの扱いに「世界王座の権威が軽視されている」と難色を示したが、王者清水は依然として乗り気で、「俺が勝てば世界王座の権威は守られる」「万が一負けても、式島和也が統一世界王者としてNCWPのリングに帰ってくる。どっちに転んでもおいしい話だ。この提案を受けない話はない」と前向きに承知した。
・最終的にはタイトル管理委員の決定に委ねられるが、既にファンはこの対戦に期待を膨らませており、実現は決定的だと思われる。

・一度はタイトル引退を宣言しながらも、心変わりして挑戦する事にきめた式島は、取材に対して、「仁村会長への恩義と…、清水の思い。それと自分の意地を秤にかけた妥協点」と今回の決定を説明しつつ、「自分の意思で出て行った以上、NCWPには戻らないという気持ちがあります」「もちろん仁村会長の追悼試合には協力しましたが、それとこれとは話が別です」「ただ、清水の思いには応えたかったし、武道館大会を成功させたいという主催者としての気持ちもあります」「タイトル管理委員会が許可しなかったら、それはそれで運命でしょう」「もし、今度のタイトルマッチに勝利してチャンピオンになるようなら、その運命を受け入れてNCWPのリングであっても防衛戦には臨むつもりです」「それはお約束します」「NCWPには戻らないという気持ちがあると言っても、もちろん試合には全力で臨みますし、準備にも一切手を抜きません」「NWWCの防衛戦では、一度後悔しているのでね。いまのチャンピオン以上の気持ちをもって挑戦したいと思ってますし、そうしなかったら自分は自分のプロレスに対して真摯ではなくなります」「おそらくこれが最後の世界王座…いやすべてのシングル王座への挑戦になるかと思います」「それぐらいの気持ちを持ってね、臨みますよ」と決意を口にした。

・その翌日には、正式に式島和也がNWWC世界王座の挑戦者として決定した。試合は来年2016年頭のWN.JP武道館大会で行われる。

  

    
 

  

(ファイプロリターンズ)