戻る

 

ファイプロニュース


 

 

ファイプロDのエディットレスラー達のストーリー
2016年度版
(年表は降順)
最新年度の記録はこちら
2016年度の記録はこちら
2015年度の記録はこちら
2013〜2014年度の記録はこちら
2007〜2012年度の記録はこちら
2006年度の記録はこちら
2005年度の記録はこちら
2004年度の記録はこちら
2003年度の記録はこちら
2002年までの記録はこちら

◇NCWP

  

2016年 1月
・NWC時代から数えて35回目の新年。歴史上初めて団体創業者である故・仁村賢利(にむらさとし)不在の新年を迎える。

・NCWPグループの会長職は暫定的に仁村氏の長男である佐藤聡(さとうさとる)氏が継いでおり、今年3月をもって、取締役人事の一新が発表された。
・プロレス事業からは人事面での大きな昇格はないが、リストラによる収益改善に加えて、昨年の興行収入増加により、運営予算の増額が認められている。

・塚間社長は新年のあいさつで、「仁村会長の影響力がなくなり、NCWPのプロレスに、よりビジネスとしての側面が求められるようになった」との発言をしており、今年のキャッチフレーズは『みんなに愛されるプロレス』に決まったものの、ネットの一部では「みんなに愛されるプロレス(ビジネス的に)」とのハッシュタグで拡散される事になってしまった。

・NCWPは新年の初興行を終え、例年通り、地方プロモーターやスポンサー主催で行われるファンサービスの意味あいが強い新年シリーズが行われる。
・しかし今年は一部の選手は式島和也のWN.JPが主催する武道館大会への参加が決まっているため、シリーズ二戦目では欠場者が相次ぎ、穴を埋めるべく、メインにバトルロイヤル戦が組まれる事になった。

・毎年成人の日前後に行われるWN.JPの武道館大会にNCWP勢が初参加。
・キャプテンイリミネーション方式で行われる6人タッグ6人タッグのリーグ戦には、桧山、加宮、井上の三人が参戦中。
 現在、前半戦を二敗で終えて、18チーム中2位タイにつけている。
・迎えた後半戦の初戦。本来のホーム戦ではなく武道館で行われる特別試合では、昨年末に屈辱を味わった桧山と加宮が別次元の集中力を見せ、湘南バッドボーイズに勝利。二人につられるように井上のパフォーマンスも向上しており、公式リーグ後半を単独二位でスタートした。

・また、WN.JP武道館でのセミファイナルに行われるNWWC統一世界王座戦では、王者の清水剣次が挑戦者として式島和矢を迎える。
・かねてより式島との対戦を熱望していた清水だったが、アウェイのリングで調子が上がらず、ファンの支持もなく、試合時間17分01秒であっさりと式島に敗れてしまった。
・昨年、野村をはじめ数々の強敵を破ってきた清水だが、式島のパフォーマンスとの差は誰の目にも明らかだった、。

 その理由を清水は「俺自身が"お客さん"になってしまった……」「こいつはロイヤルファミリーで染みついた癖だ。初めての会場では味方が戦ってる間に試合がベストになるよう戦略を整える」「だが、今日はリングに俺ひとりしか居なかった…」「ホントならもうちょっとやれたんだ。すぐにでも再戦してえ…」と、慣れないアウェイでの難しさを言い訳にした。

・一方、予期せぬ世界王者へカムバックした式島は、「この歳になってもまだプロレスというものがわからない」「自分が再びこのベルトを巻こうという意思はなかったし、今でも腰に巻くのを躊躇している」「それなのに、今オレの手元にコレがある」「神様が導いたとしか言いようがない…」と、王座戴冠に現実感のない様子。

 記者からの『その神というのは、やはり仁村氏なのでしょうか?』との問いかけには「それはわからない。ただ、オレ自身、まだこれだけやれるんだという試合に驚いている」「『選手生命を縮めるような怪我は避けたい、でも王者として全力を尽くしたい』という葛藤の日々がこれから始まるのだと思う」「いや、もう既に始まっている。それがプロレス道なんだろうな……」と新王者は喜びよりも苦悩をにじませた。
 防衛戦の相手について尋ねられると、「それは運命に任せたい」と答え、『運命の相手というと、刈馬か内藤か』という質問に対しては、「刈馬とはやらなければならないかもしれない。レスラー人生に心残りを残さないために」と答えた。

・一方のNCWPでは、統一王者不在となった新年シリーズ。
・今年の一月はかつてのエース、氷上龍斗の没後10年にあたる。
 そのため、氷上龍斗メモリアルの映像を流し、その一番弟子である刈馬雅史や最後の弟子である伊武と那須がクローズアップされるシリーズとなった。

・当然、ファンの間では式島対刈馬の王座戦をもう一度見たいという意見が大部分を占め、刈馬本人にも取材陣が押し掛けた。
・記者の質問に対して、刈馬は「なぜ…いまこういう流れになっているのか…」と言葉を失い、「正直、今年の創立記念大会でならもう少しやれる自信がある。だが、今はまだ新しい自分を確立できていない…」と迷いを口にし、「それでも式島との対決は絶対にやらないとな。たとえそれがどんなに難しい状況でも……。いまチャンスが来たのは運命だ」「やらずに後悔したら一生悔やむ事はわかっている。何が何でもやる。いま、そう決めたぜ!」と、式島との再戦に前向きな姿勢を示した。

・もうひとりの挑戦者候補と目される内藤は、「正直、やりたい気持ちと、そうでもない気持ちは半々ですよ」と意欲のなさを示しつつ、「そうですね、結論から言えば、やれば勝てるでしょう。でも前回のようにチャンピオンとしてメインを張り続け、長期間ベルトを守り抜くコンディションにはないんです」「体調不良でパフォーマスを落とす王者になるよりは、しばらく式島さんに持っててもらって、オレはその間にコンディションを上げた方がいいでしょう。ビジネス的に…」と、大胆かつ余裕のコメント。
「まあ、オレのベルトはしばらく他の人に貸し出す予定です」「清水さんに持っていかれた時からそのつもりだったんでね」「式島さんが現役の最後に見せる王者像っていうのを第三者として観てみたいと思いもありますし」「やっぱり、次の挑戦者はないです。やるとしてもイチから段階を踏んでいきますよ」と、次の挑戦者にはなる気はないと公言した。

・新年シリーズ最終戦に行われたWWC世界無差別級タッグ選手権試合では、年末のタッグリーグで優勝した一草弾(いちぐさだん)と吉田満(よしだみつる)の二人が現王者のフューチャーデイズと対戦。
 この試合は、NCWPでも過去に例のない所属外選手同士によるメイン戦となった。

・長年にわたり、タッグ戦線で最高クラスの結果を出してきた一草弾の挑戦により、今年こそは悲願のベルト奪取……と期待されていたが、チャンピオンはあの内藤でさえあまりの強さに舌を巻いたデイズ。
・その世界最高クラスのパフォーマンスを前に経験の浅い吉田が力不足を露呈。
 一草弾こそ全盛期を過ぎたとはいえ相変わらずの重い蹴りとハードな大技を繰り出すが、パートナーの吉田が先にバテてしまい、二対一の状況で追い込まれてしまう。なんとか立ち上がった吉田が根性を見せてヒガンテDに挑みかかるも、返り打ちにされ、そのまま状況が改善する事はなく試合が終了した。
・タッグリーグで優勝した一草・吉田組に完勝、デイズの実力はファンに大きな衝撃を与え、かつて三年間誰もベルトを奪えなかったカナダ血盟軍の強さを思い起こさせた。

・ファンやマスコミと同様に、すでに王座奪還をあきらめてしまった関係者からは、「タッグ王座をWWC世界無差別級タッグに固執するのはやめて、氷上龍斗と一草和秀の"エンペラーズ"を永久王者として、いまも封印されたままになっているNWCタッグを復活させるべきだ」という意見書まで提出されていた。

  

  

2月
・史上最年長で統一世界王者となったWN.JPの式島は、次期挑戦者について、「挑戦希望は刈馬と野村の二人?」「刈馬か野村かと聞かれたら、やはり刈馬しかいない」と発言。「ただ、うちのレスラーにも、世界というものを体験させてみたい」「NWWC王者の式島和也がどんなものか、もし次が最後のタイトルマッチになのだとしたら、やりたいのは刈馬ではなく、うちの選手ですよ」と、団体の長としての気持ちが強い事を語った。

・そのWN.JPのレスラーの間にも何人かが挑戦希望を名乗り出たが、その中に前グランド王者石和圭一の姿があった。
・先月一月の武道館大会でWN.JPが認定するグランド王座(ブリアン・グラン)から陥落した石和は、「実績は十分だと思っています」「おそらくNWWC王座への思いが一番強いのは僕じゃないか」「式島社長の初防衛戦の相手は刈馬さんに譲りますよ。でも、その次の挑戦者は自分です」「もし、必要なら(NCWPの)新皇杯にだって打って出ますよ」と挑戦に向けて強い意欲を示した。

・NWWC世界タイトル管理委員会が、次期挑戦者について結論を出し、シリーズ最終戦に行われる王者式島和也の初防衛戦は、式島の宿命の相手である刈馬雅史に決定。
・管理委員会は、このタイトル戦の結果がどうであれ、次の挑戦者はパトリック・オクソンに決まっており、試合は4月に米国WGAのPPV大会で行うと発表。今後は通例として"NCWPで新皇杯が行われる3月後半から4月にかけて、チャンピオンは提携先のWGAのツアーに参加する"と発表された。

・今年最初のタイトル戦が行われる二月シリーズが開幕。

・本人のいう再デビューから四ヶ月が経過した新生刈馬は、「王座奪還に向けての手ごたえはある」「クロスキャリバー(ブロークキック)の威力は今までの必殺技に負けていない」と主張。しかし刈馬といえば、究極の絞め技『ブラッディ・ウルフ』や、相手を完膚なきまでに叩き潰す『高角度パワーボム』に『超高角度水車落とし』や、奥の手である『ランニングパワーボム』が代名詞で、ありあまるほどのパワーで敵を完全に叩きのめすスタイルが受けていた。
 だが、今の刈馬はクロスキャリバー以外では相手を叩きのめす事ができず、関節技や丸め込みのようなちまちました技はウケが悪かったため、まだ試行錯誤を重ねている段階にある。
 かつて氷上龍斗が亡くなった10年前の王座戦で勝利したときとは異なり、引き出しが少ない状況での王座挑戦となる。勝ち目があるのかと尋ねられると、「牧野クラスならブローグキックだけで倒せるが、式島相手じゃそう簡単にはいかねぇ」「だが、奥の手はある」と、眉間にしわを寄せながらも自信をにじませた。
・もし、新生刈馬のスタイルがX刈馬時代ベースなのだとしたら、クロスキャリバー以外の奥の手はムーンサルトプレスということになる。しかし、刈馬は本格的なムーンサルトプレスの使い手ではなく、塚間社長曰く「素人が『やってみた』レベル」であると酷評している。あるいは新技ということになるのだろうか。

・シリーズ最終戦の聖地戸田川市民センター体育館のチケットは完売した。昨年の仁村賢利追悼興行以来となる超満員札止め。
・何度組まれても魅力が色あせないという点では、刈馬と式島の対戦はNCWP最高の黄金カードだと言える。その影響か、会場は試合開始前から、近年にないワクワク感が充満する空間となっていた。

・かつて、エリートの式島と成り上がりの刈馬は、ふたりでひとつの椅子を奪い合った。
・式島が組織やみんなのために戦い続けたのに対して、刈馬は自分のために戦うレスラーだった。刈馬はいまでこそ、試合前に『Fight For All One!!(みんなのために戦う)』と叫んでから入場しているが、以前の刈馬はあくまで自分のために戦い、例外は師匠氷上龍斗のため程度だった。
・組織を守るために戦う者と、変えるために壊す者。式島と刈馬のイデオロギー対決には簡単には答えが出ない。だからこそ、ファンは毎回この対戦に熱くなり、二人の戦いに特別な何かを見出すのだろう。

・王者式島圧倒的有利とされたこの試合で、刈馬は劣勢を覆すために封印していた『ナイフエッジチョップ』を解禁。しかし、すぐに式島の反撃にあい、得意の武器が弱点へと変わってしまう。式島は刈馬の腕を破壊し、刈馬を地に這わせた。
 一方、刈馬の手数のなさは明らかで、クロスキャリバーで仕留めきれないとなると、追い込まれた刈馬は奥の手を出さざるを得なかった。その技の名前は『ライジングタックル』。トップロープから、スタンディングの相手にムーンサルトアタックで突っ込んでいき、インパクトの瞬間に体をひねりながら伸び上がってタックルをする技だった。
 しかし、この技は一歩間違えば頭から地面に落下する危険をはらんでいた。解説に座った塚間社長も「これはあまりに危険だ!」と警鐘を鳴らすほど。しかし、刈馬がそれだけの技を繰り出してなお、王者式島を倒すには至らず、刈馬のクロスキャリバーをも耐えきり、式島は切り札とも言えるアームロックウィズリバーススリーパーに刈馬は力尽きてギブアップ。22分を超える熱闘は式島の貫禄勝ちで幕を閉じた。

 

・勝利者インタビューで大歓声を浴びた式島は、「オレにとってNCWPは懐かしい我が家です」「いい時も悪いときも、オレはここで過ごしてきました」「いまこの瞬間、スポットライトと歓声が、オレのプロレス人生のすべてです。変わらない応援をいつもありがとうございます!」と古巣への深い感謝を表し、「家出した息子も、オヤジの葬式では実家へ帰るものです。ただ、今回は思わぬ形で帰る事になってしまい、自分でも驚いています」「オレは今までずっと…みんなのために、と考えて戦ってきました」「それはいまでも変わりません」「みんなが望むのであれば、このベルトを巻いている間はオレはNCWPへ上がるつもりです」「もし、次の防衛戦に勝利したその時には、もう一度ここへ帰ってきます! 今日はどうもありがとうございました」と応援してくれるファンに感謝を表しながら、四方へ礼をした。

・一方、敗れた刈馬は意気消沈した様子で、「誰もがわかっていた結果だと言われたら反論の余地もねえ……」「式島は予想以上だった。昔と変わらねえ…いや十年前よりコンディションがいいんじゃねえか?」「結局、俺みたいに自分のために戦うというのは浮き沈みがあるんだよ。上がる時はしがらみもなく上に上がれるが、戦う理由がなくなれば気をぬいちまう。今日はその差が出た。だからよ。新生刈馬は、自分だけでなく、他の誰かのためにも戦う事に変えたんだよ…」と、話し、『自分のために戦う』というイデオロギーの敗北を認めた。
 実際に、ライバルの不在で一時期やさぐれていた刈馬と、その間も団体の命運を背負い、懸命に努力してきた式島との間には大きな差ができている。刈馬には大きな怪我もあり、理由のすべてをイデオロギーの違いと決めるのは正しくないかもしれないが。
 しかし、近年熱くなることのなかった刈馬が本気で悔しがっている姿こが、二人の関係が特別なのだという事を如実に物語っている。二人の戦いの答えは、「ライバルには負けられない」の一言に尽きるのだろう。


   

3月
・2014年に戸田川市が認定したゆるキャラ『イクサバくん』の人気は、この二年間堅調に推移していた。
・ゆるキャラでの成功を受け、新しくご当地ヒーローとして、覆面レスラーのイクサバマスクが戸田川市とのコラボで誕生し、NCWPでプロレスデビューを果たした。

・ゆるキャラの着ぐるみの時とは異なり、イクサバマスクの正体はNCWPの井上義純(いのうえよしずみ)であると、あくまで内緒話的にであるが、今回は公表されている。
・NCWP広報部のスタッフも兼ねる井上は、以前よりNCWPのプロレスはネットコンテンツとして売り出す価値があると強く主張。これまで映像提供をCS局に頼ってきたNCWPだが、テレビよりネットを重視した大きな改革が必要だと訴えていた。
・この三月、井上は、従来の動画投稿サイトのNCWP公式チャンネルのほかに、『夢と現実のヒーローイクサバマスク(井上義純)』の公式チャンネルをオープンし、チャンネルパーソナリティーとしての活動を開始した。

・ドキュメンタリーパートでは、NCWP広報部記者井上義純として、本人役で出演。
 数々のレスラーにインタビューをしたり、イクサバマスクとして戸田川市のボランティア活動に参加したりするなどの映像を公開した。

・時には予算をかけて芸能人とのコラボ番組を作ったり、試合のドラマを演出したりと、団体スタッフの立場を利用して、精力的に番組作りに励んでいる。

・しかし、正義のヒーローイクサバマスクとその動画に人気が出てしまったがゆえに、素顔のプロレスラーとしての井上義純はリングから姿を消してしまう。NCWPでは、ほぼ素顔で試合することがなくなり、他団体WN.JPの公式戦でのみ井上は素顔でファイトする形になってしまった。

・すでに一定のファンを獲得していた井上はファンに謝罪し、「プロレスラー井上義純は一度消えるかもしれませんが、いつか戻ってくる日が来るかもしれません」「それまでは、団体広報部の井上義純と"夢と現実のヒーロー"イクサバマスクをどうかよろしくお願いします」と引退宣言のような声明を出した。
・井上義純といえば、ヤングタイゴン時代の2006年に米国遠征で行われた塚間とのフルタイムドローが伝説になっている。ベルトの戴冠こそないものの、デビュー11年の29歳。試合では気持ちが入っていて、それでいてコミカルな動きも取り入れた井上のプロレスにはファンも多く、ファンはイクサバマスクの姿では見られない井上義純のプロレスを惜しんだ。

 

・月末に開幕戦が予定され、来月には決勝戦が行われるNCWP最大のシングル大会『新皇杯』。
・今年の注目は、NWWC統一世界王座への挑戦を表明している石和圭一が参戦するかどうかだった。
・NCWPの塚間社長によると、「石和圭一の獲得へ向けて、現在総力を挙げている」「もちろん完全移籍であり、佐倉の時のようなスポット参戦ではない」「石和獲得の是非にはNCWPの命運がかかっている」とかなり強い言葉を並べ、新皇杯への参加要請どころか引き抜き交渉まで行っている事を公言した。

・NCWPが石和の獲得を狙っているとの記事が載ったことでネット上に大きな反響が起こり、石和の所属するWN.JPの広報は不快感を示し、「交渉中の事案なのでお答えできません」と取材を拒否。石和本人も同様の理由で「答えられない」とした。

・石和本人の新皇杯参加がまとまらないまま、他七名の参加者が決定した。
・優勝候補には、シングル王座の防衛記録を持つ内藤隆広と野村信一。正規軍から、桧山響一、加宮みつる。ヒートバーリーからは刈馬雅史、伊武鷹晴。ロイヤルファミリーFから佐々木雪都がエントリーした。

・前世界王者の清水は怪我の影響により参戦できず。参加が噂された一草弾と吉田満は、これ以上自分たちの所属団体の興行に穴をあけられないとの理由で参加を辞退した。
・人気急上昇中のご当地ヒーローイクサバマスクもクルーザー級である事を理由にエントリーされなかったが、イクサバマスクはシリーズのもうひとつの目玉として大活躍した。

・Xとされていた最後の挑戦者は、最終的に石和圭一と発表される。
・それと同時に、NCWPは4月1日付で石和圭一のNCWP入団を発表。
・塚間社長曰く、「やるべき事をやり遂げた」「イクサバマスクへの投資と石和圭一の移籍のために、今年増額された分の予算はすべて使い切った」との事。



   

4月
・石和圭一が正式にNCWP復帰。
・塚間社長は石和の入団会見で、いまのプロレス界屈指のスター選手を獲得したことに満足し、「この移籍はどれだけの予算をかけてでも必要だった」「NCWPの未来は石和とともにある」とまで言い切った。
・当の石和にもいくつかの質問が飛び、『これだけ期待をかけられる移籍選手は珍しい』との質問には、「僕は、全盛期の内藤さんより強いとは思っていません」「全盛期の佐倉ほど強くもないでしょう。大型の佐倉と元クルーザー級の僕では体格面で差があります」「でも、内藤さんは全盛期を過ぎました。佐倉は日本にいません」「つまり、僕が現在最高のレスラーという事です。ビジネス的に(笑い)」と余裕の答え。
 続く、『NCWPのファンは出戻り選手に厳しい傾向があるが…』との質問には、「僕自身がNCWPファンだったので、ファンの気持ちは理解しているつもりです」「でも、僕のファンはこの八年間で増えました。みんな僕の新しい挑戦を楽しみにしています」と、過去に自身がNCWPファンであったことから、自分への逆風はわかっていて、それでも移籍は良い流れをもたらすと予言した。
  

・石和の入団に周囲がざわつく中で新皇杯が開幕。
・一回戦で刈馬を破った加宮みつるが準決勝で野村をフォールして決勝進出。
・そして、正規軍の桧山は、一回戦で内藤隆広を破り、準決勝進出。
・石和圭一は一回戦で佐々木雪都を倒し、勢いそのままに二回戦で桧山から初フォール。NCWPを退団した八年前は手の届かなかったトップレスラーからの勝利を収めた。

・決勝戦は加宮と石和。
・かつて、新生NCWP世代、黄金世代と呼ばれていた第五世代の二人が、新皇杯の決勝で再会する事になった。
・石和有利の声もあり、石和のずば抜けたスピードに翻弄される加宮だったが、ここ最近で覚醒した感のある加宮が体格差を利用して逆転勝ち。最後の決め技は“天下無双の一撃”という新必殺技だった。

・新皇となった加宮への歓声とブーイングが飛び交う中、加宮は自分がNCWPのリングに残り続けた事を強調。そして、桧山と絆を深めた事によってプロレスラーとしての殻を破る事ができたと述べた。
「振り返れば、厳しいプロレス生活でした」「デビュー時には、一年先輩に天才と呼ばれる佐倉さんと石和さんがいました」「そして自分が最初に入ったチームは、清水さんのナーフ・ハーダーでした…」「清水さんの下で壁を打ち破れない中、刈馬さんのヒートバーリーに入り…そして追い出されました」「でも、プロレスの神様はこんなおれでも見捨てなかった! おれはそこで桧山さんと出会う事ができたんです!」「いま思えば、最初から正規軍に入っていれば…と考えなくもないですが、回り道も人生でしょう。おれにとって最高の先輩、いえ、先輩として当たり前の事を初めてしてくれたのが桧山さんだったんです」「今日は桧山さんのリベンジのために負けられなかった。勝因はそれだけです」「おれは桧山さんとともにNCWPを全力で守っていきます!」と、ひたすらに桧山へのリスペクトを強調。時折泣き出しそうになりながら、初めて上り詰めた舞台で必死に涙をこらえていた。

・加宮の初優勝で幕を閉じた新皇杯について、解説の塚間社長は、「個人的には石和に優勝してほしかった」「石和ラブだよ。ビジネス的に(笑い)」と話した。
 米WGAの遠征で大声援を受けている式島について聞かれると、「式島にはかなりわがままを聞いてもらっていると思う」「いくら仲がいいからと言って、今回の米国遠征への参加要請は度が過ぎてると思う事もある」と表情を曇らせつつ、「これ以上式島に頼むのは気が引けるが、九月の武道館まで式島にはベルトを守っていてもらいたい」と答えた。
 続く記者からの、『例年、新皇杯の王者は五月から七月の間にタイトルへ挑戦していますが、おととしや2006年には9月の創立記念大会で行われています。今年はどうなるのでしょうか』の質問には「七月にやるのが伝統だという認識はないし、創立記念大会に挑戦する事を伝統にするつもりもない。ただ、優勝者を差し置いて新皇杯の出場者が挑戦するのは理屈に合わないと考えている。優勝者は、早ければ五月、遅くとも創立記念大会にはうちで最高峰のシングルタイトルに挑戦する権利がある。そういう事だ」と述べて、新皇杯優勝者が統一王座に挑戦する日程はできるだけ早い方が望ましいとの見解を示した。

・今年のふるさと感謝際は新潟で行われ、佐々木雪都(ささき ゆきと)の出身地となった。
 佐々木はロイヤルファミリーFとして、清水・那須と共に初のメインイベントを勝利で飾った。前統一王者の清水は、「こいつは特別なレスラーだよ。佐々木は既に加宮を超えている」と絶賛。ネックブリーカーなど一部に光る技術を見せるデビュー4年目の佐々木は、まさにブレイク寸前の勢いを見せていた。

・米国遠征中の式島は、パトリック・オクソンを相手にタイトルを防衛。現役トップ級レスラーを相手に、式島にしては珍しいK.O勝利を収めた。


 

5月
・ふるさと感謝際の興行を終えたすぐ後には、千葉にて仁村賢利一周忌追悼興行が行われた。
・昨年に比べるとレスラーの集まりは悪く、特に仏教的慣習のないWGAからの参加者はアーサー・ケイマンのみとなった。
・WGAでトップレスラーの地位を固めつつあるパトリック・オクソンの来日もなく、仁村会長の死後、WGAとの関係は先方に主導権を奪われている。

・一周忌興行の目玉は式島組対刈馬組の6人タッグ戦。
・刈馬式島時代の黄金カードへの期待は依然として高く、刈馬はパートナーに伊武のほかに石和を指名し、石和も以前は組む機会のなかった刈馬とのタッグに期待を寄せた。

・WN.JPが主催する大阪ハシバアリーナの特別大会で、キャプテンイリミネーションの6人タッグリーグが最終戦を迎える。
・6人タッグリーグには優勝決定戦がなく、リーグの勝ち点一位がそのまま優勝となる。
・リーグ最終戦は、勝ち点1位の川崎プレミアムジムと勝ち点2位のNCWPの直接対決。これに勝った方が優勝という大一番。
・井上はこれが素顔の井上としてはほぼ引退試合のような試合であり、加宮は今月中にもNWWC世界王座への挑戦が決まっている。
・試合では、NCWP勢が大爆発。元NCWPの加藤勇作率いる川崎プレミアムジムを破り、NCWPが初参戦初優勝を遂げた。

・優勝した桧山、加宮、井上は仲良く会見場に現れ、桧山は「このリーグ戦では貴重な経験をさせてもらった」「NCWPの誇りを守り切った事に満足している」と話し、加宮は「得るものばかりが大きかった大会でした」「他の団体のレスラーと交わる事で、自分の何が強みで何が足りないのか、客観的に見る事ができました」「この調子でNWWCも獲りにいきます!」とベルト奪取に自信を見せた。
・これが今年素顔で試合する最後の機会となった井上は、「最高の仲間と最高の結果に満足しています」「僕にとってはプロレス人生で初の優勝、初のタイトル。参加して本当に良かった」「プロレス人生で一番成長した一年だったと思います。僕にとっても加宮さんにとっても…本当に素晴らしい大会になりました」と涙ながらに優勝した喜びを語った。

 

・京都KKBステーションにて、NWWC統一世界選手権が開催。
・関西でも式島の人気はすさまじく、収容人数約9000人のKKBステーションでチケットは完売。関西エリアでのチケット完売は式島が離脱した2008年以降初めてとなる。

・新皇杯王者加宮と王者式島の一戦。声援が式島に偏る中、加宮はその潜在能力を開放。必殺技である"天下無双の一撃"の破壊力はすさまじく、あと一歩まで王者を追い詰めるも、最後は式島が返し技で丸め込み、NWWC統一王座を防衛した。

・勝利した式島だが、この五ヶ月間で四度目のタイトルマッチ。しかもK.O勝ちしたオクソンとの試合を除けば、すべて20分を超えるという激闘の連続。NWWC戦の激しさはプロレス界でも有名で、WN.JPのファンからは古巣のために式島の選手寿命を縮めているのではないかとの不安が広がっている。
・加宮に勝利したものの、会見場から動けない式島に選手寿命について質問してみると、「オレが仁村さんのように五十路を過ぎても成長できるとは限らない。やらずに後悔するよりはやって後悔したい」「もちろん、やって後悔する覚悟がある場合、実際に後悔するケースはほとんどないが…」との回答。
・式島は、選手寿命を縮めるリスクを負ってでも、最後の世界王者時代を全力で走りぬける覚悟のようだ。

 

 
6月

・刈馬雅史が警察からの事情聴取を受けていた事がわかった。
・理由は、動画配信サイトで公開されている井上のドキュメンタリー風取材番組が原因のようだ。

・もともとは、イクサバマスクの正体であるNCWP広報部の井上がヒートバーリーの秘密特訓を潜入取材するという趣旨のものだが、練習風景の後で、動画の内容が一変する。

・番組の後半では、ヒートバーリーのグッズで武装した刈馬が軍団を引き連れ、192pの若手に『火威都婆利(ヒートバーリー)』の幟(のぼり)を持たせて街を練り歩き、路地裏でカツアゲをしようとした不良をしばき倒していた。
・もちろん映像は演出で、不良役はNCWPの練習生とその友達の一般人に仮装をさせたもの。不良の仇討ちで登場したボス役は、WN.JPに所属する湘南バッドボーイズの夏鬼という現役のレスラーであったが、まるで不良映画のようなバイオレンスな映像が通報の対象となったらしい。

・チャンネルのパーソナリティーであった井上は番組上で丁寧に謝罪し、そういう演出に至った経緯を聞かれると、「僕はもともとNCWPに入る前から刈馬さんのファンで、学生の頃には、刈馬さんは陰で不良をしばき倒したり、大ボスとにらみ合ったりと、そういうイメージで妄想していたんです」「刈馬さんにその話をすると、『俺と龍斗さんの出会いはそれと少し似ている』と笑ってくださって、映像に協力していただける事になり、舞い上がってやりすぎてしまいました」と説明。
 刈馬本人は以前「素人の喧嘩には誰も金は払わねえ、見苦しいだけだ」と話しており、極端に威圧的な恰好で街を練り歩いたり、街中で一般人に手を出したりすることはないとのこと。

・この事件を受けて、NCWPでは動画配信チャンネルの専門チームを発足させた。動画制作を井上一人に任せず、今後はメディアリテラシーに則った番組の制作をファンに約束する事で幕引きとした。

 

・ごたごたがあったものの、無事に刈馬らの参戦も決まった6月のシリーズでは、NWWCの次期挑戦者ならびに、9月に行われる旗揚げ記念大会へ向けて、レスラーたちのアピールの場となった。

・挑戦を表明しているのは、石和と野村の両名だが、王者式島は、次の挑戦者はWN.JP所属のレスラーだと一方的に宣言。
 さらに、その次となる防衛線の相手には、桧山または内藤との対戦を希望した。

・NCWPに移籍し、シリーズでも無敗を記録しながらもチャンスが与えられない石和は、「実力で選べば誰が挑戦者にふさわしいか火を見るより明らかでしょう?」「NCWPでの実績が足りないのであれば、内藤さんとの挑戦者決定戦を組んでくださいよ。そこで実力を見せます」とコメント。
・同じく挑戦表明をしながらも無視され続けている野村は、「ここ数年の貢献で、自分に勝る者はいない」と、内藤の一強時代からNCWPを支え続けてきた実績を強調した。

・対応を迫られた塚間社長は、石和や野村の言には一理あるとし、石和圭一対内藤隆広、野村信一対桧山響一の組み合わせでトーナメントを行い、優勝者を9月の創立記念大会のメインイベントに出場させる事にすると発表した。

   

7月
・2014年以来流出したままになっているWWC&NWC統一クルーザー級選手権のベルトだが、井上扮するイクサバマスクが挑戦する方向で話が進んでいる。
・長らく試合が行われていない統一クルーザー級の選手権は、タイトルの認定権が団体に貢献した佐藤大季に託されている。現在佐藤はメキシコのMLLEにおり、タイトルは現地でWWCとNWCのベルトに分裂しているとの事。
・メキシコのMLLEによれば、世界最高峰のタイトルのひとつであるWWCのクルーザー級ベルトはスケジュールが埋まっているが、NWCジュニアヘビー級タイトルへの挑戦は可能だという。

・九州シリーズの最終戦。沖縄での二連戦でNWCジュニアヘビー級選手権が実現。デビューからわずか4ヶ月のイクサバマスクがNWCジュニア王者に輝いた。

・続く東北シリーズ。
・創立記念大会での世界王座挑戦権をかけた内藤隆広対野村信一の対決では、野村が勝利。
・つづく桧山対石和の一戦では、桧山が勝利した。
・挑戦権をかけた決勝戦。
 野村有利の声もある中、天国の仁村氏に捧げるかのような圧巻のファイトで桧山が勝利。下馬評では桧山不利と予想されていただけに、意外な結末となった。
 
    

8月
・昨年はなかったサマーブレイクが復活。
・8月後半には海外遠征に出発。療養を理由に刈馬は欠席するが、代わりに内藤が復帰し遠征試合全てにフル出場。

・ジュニアヘビー級タイトルマッチに、デル・サントスが参戦。イクサバマスクに挑むも敗退。

・WGAの伝説級レスラー、ゲルト・オーディン(本名:ゲルト・オーデンベルグ)が73歳で逝去。
 かつて秒殺の帝王と知られた身長193cmの大型レスラーで、容赦のない打撃とグランドサブミッションで一時代を築いた。
・日本でもNWC黎明期を支えた功労者であり、グランドの攻防で観客を引きつける仁村賢利のプロレス開眼のキッカケとなったり、3連勝してオーディンを引退に追い込んだ氷上龍斗に"フェンリル"の称号を与えた何かと縁の深いレスラーでもある。
・米国では面白みのないセメントレスラー、日本では氷上龍斗最強伝説の礎となったレスラーである。

・そのオーディンの孫であり、二年近くMWF王者を保持していたミヒャエル・オーディンが米MWFから、WGAへ移籍。
 さらにオーディンは、WGAと提携関係にあるNCWPへの関心も表明しており、いわく、刈馬雅史の引退前に、祖父の無念を晴らしたいと思っているのこと。

・ミヒャエルの祖父故ゲルト・オーディンはドイツ系アメリカ人で、NCWPの前会長 故仁村賢利の親友である。
 米国団体の前座で秒殺勝利を重ねた事からトップレスラーたちに疎まれ、NCWPの前身である日本のNWCへ参戦。NWCでも試合時間をできるだけ短くとの思いで秒殺勝利を重ね、闘神としての地位を確立。知名度がほとんどなかったNWCにおいて、デイビットと並ぶ最強外国人として人気を博した。
・その後、WGAへ移籍し、WGA王者をはじめ、多くの成功を収めるが、怪我の影響もあり、かつてのような秒殺スタイルが維持できなくなっていた。
・タイトル戦線へ絡めなくなると、再びNWCへ復帰。しかし、そこには売り出し中の若手氷上龍斗がいた。
・氷上に特別なものを見出したゲルト・オーディンは、氷上龍斗のNWCに挑戦を表明。しかし、三度挑戦するもすべて敗退しプロレス界から引退。晩年はルーフィズ・ロードやフェルジア・ミランらのヨーロピアンレスリング機構(EPWA)の設立に尽力した。

・ゲルト・オーディンに完勝した氷上には、ギリシャ神話で"闘神オーディン"を屠ったとされる"フェンリル"の称号が与えられ、一時期氷上龍斗は、フェンリル龍斗とも呼ばれていた。
 灰色の狼の姿だったといわれるフェンリルの称号は、弟子の刈馬のニックネーム"赤き狼"に狼の形を残して引き継がれている。
 ミヒャエルは、祖父ゲルトを引退に追いやった氷上龍斗の伝説のように、自分が晩年の刈馬を引退に追い込んで、伝承を塗り替えたいと思っているようだ。

・米国遠征でニアミスした刈馬に対し、ミヒャエルは挨拶とともに挑戦を表明。マスコミのカメラは回っていなかったが、広報記者の井上がその様子撮影していた。

 

  

9月
・創立記念試合に向けて、タイトル戦への挑戦者が決定。
・イクサバマスクの持つジュニア王座へはエル・プロフェッタが挑戦。

・フューチャーデイズが持つWWC世界無差別級タッグには刈馬・伊武組が挑む。

・世界王者式島に対しては、桧山響一が挑戦する。かつて団体を守り続けてきた式島と、式島が去った後ひとりでNCWPと正規軍を守りぬいてきた桧山との闘いになった。

・シリーズでは前哨戦を中心に熱い戦いが繰り広げられ、今年も昨年と同じ原宿の国立体育館で創立記念特別大会が行われた。

 

・創立記念大会後、刈馬雅史(45歳)が結婚を発表。相手は、元女子プロレスラーの椎名咲美[しいな さくみ](34歳)で、昨年現役を引退している。
・椎名咲美は、かつて、NCWPの歴史上はじめてリングに足を踏み入れた女子プロレスラーでもある。
・結婚会見で、その頃から交際があったのかと聞かれると、「いや、あの頃はおっかなくて手を出せなかった」と刈馬は笑顔でコメント。椎名は「付き合いはじめたというか、頻繁に連絡を取りあうようになったのは最近…。ここ二、三年だね」「……マー君がこう…やさぐれてた時? 心配してあたしが連絡したんだ」とコメント。即座に刈馬は、「ちょっと待て! いつから俺はマー君になったんだよ!? いままでマーくんなんて呼んだことないだろうがっ!!」と、"マー君"呼びに反応すると、「結婚会見で、そう呼びあうのが憧れだったんだ〜。あたしの事はハニーでいいよ」と椎名が返し、二人は照れながら仲の良さを見せつけた。
・なお、挙式や披露宴は年末のウインターブレイクの期間に行うとのこと。

 

10月
・氷上龍斗の没後10年にあたる今年は、『プロレスの統治者』の異名を持つ内藤隆広のデビュー20周年でもある。
・かつて、氷上龍斗以来20年にひとりの天才といわれた内藤。
・もし、20年にひとり団体の記録を塗り替えるほどの天才が現れるのであれば、今年デビューした若手の中に将来のNCWPを背負って立つ逸材がいるのかもしれない。
・広報部の井上は、この『20年のジンクス』に目をつけ、異例の新人特集番組を放送した。

・今年デビューした選手は4名。
・そのうち、イクサバマスクを除いたヤングタイゴンは3名。
・昨年高校生ながらアマレス国体ベスト4の実績を持つ19歳 『野々上真司』 身長177cm。
・立應大学卒業という異例の経歴を持つ 『仲野悠馬』 23歳、身長182p。
・塚間式島らを輩出した森永大学の卒業生で、社会人を経てプロレスデビューを果たした 『三嶋隼人』 26歳。身長192p。

・将来性は未知数なものの、いずれも虎の子にふさわしい逸材で、石和佐倉以来の黄金世代と期待されている。
・三人を託される事になった正規軍総大将の桧山は、「三人とも即戦力とはいかないが、十分期待が持てる能力を持っている」「ただ、プロレスの道は甘くない」「ファンの皆さんも、彼らを応援して、一緒に戦ってやってほしい」とコメント。
・しかし、この番組にはオチがあり、「20年にひとりの天才と目されるレスラー、それは彼なのかもしれない…」というナレーションの後に、イクサバマスクのシルエットが映し出されていた。
・果たして、この中から、伝説のレスラーとなる選手は現れるのだろうか。

・年末のタッグリーグへ向け、チームのエントリーが開始される。
・最初にエントリーが決まったのは、刈馬・伊武組清水・佐々木組の二チーム。
・前統一世界王者の清水は、「これが最後のタッグリーグ参加になるかもしれない」と弱気のコメント。
 世界王者時代のダメージに加え、加齢の影響もあり、最近は故障がちなのだという。

・フリーバーズの内藤は毎年パートナーに悩んでおり、今年は飛ぶ鳥を落とす勢いのジュニアチャンピオンイクサバマスクにラブコール。
・当のイクサバマスクは返事を保留したが、内藤は「俺たちならヘビーとジュニアでプロレスを統治できる」と自信を見せた。

・ロイヤルファミリーであぶれた那須がチーム無所属の野村とのチームを希望。
・その野村は、2012年に優勝した時と同じ内藤とのタッグを希望しており、内藤が希望するイクサバマスクの返答次第でチームが決まることになった。
・エントリーできるか気が気でない那須は、シリーズ中、イクサバマスク打倒に敵意を燃やし、激しくぶつかり合った。この両者の戦いは新たなライバル関係を予感させた。

 

  

11月
・タッグリーグ戦出場のパートナーをめぐり、桧山・加宮・イクサバマスクの三強が揃っている正規軍では、三者による話しあいが秘密裏に行われていた。
・本来は秘密裏のはずの会議に、広報部井上のカメラが潜入。了承のこととはいえ、今まで見えてこなかった素顔の正規軍が、世界中に配信されてしまった。

・話しあいでは、桧山は加宮とイクサバマスクのタッグが正規軍にふさわしいと主張。
・しかし、すぐに二人から「総大将抜きでそれはない」との反論を受け、考え込んでしまう。
・イクサバマスクは、内藤とのタッグに不満はないものの、やはり正規軍の一因として、桧山とのタッグで出場したいと希望。
・残る加宮も桧山とのタッグを希望し、決定は、総大将桧山の一存に任された。

・悩む桧山は、加宮とイクサバマスクの直接対決を提案。勝利した方と組むと発言。
・しかし、日程が詰まっており、正規軍同士の試合を組む余裕がない事から、ゲーム対決に変更され、マスクの影響で視界にハンデを負うイクサバマスクが加宮に敗れ、桧山のパートナーの座を失った。

・タッグリーグの参加受付が終了し、全チームの登録が完了した。
・正規軍からは昨年に引き続き、桧山・加宮組と、ファイヤーS組。ヒートバーリー刈馬・伊武組、ロイヤルファミリーFは清水・佐々木組。フリーバーズからは内藤・イクサバマスク組。無所属の野村・那須組
 他団体からは、昨年も参加した阿蘇よかばいプロレスの志藤・池田組。そして、配信動画協力でおなじみとなった湘南バッドボーイズの夏鬼選手がフリーの田丸選手と組んでの参戦が発表された。

・リーグ戦は、例年通り8チームの総当りで勝ち点を競い、上位二名が最終戦に行われる決勝大会に進出。リーグでの勝ち点に関わらず、決勝で勝利したチームが優勝チームとなる。

   

12月
・NCWPタッグリーグの優勝決定戦のカードが決定。
・内藤・イクサバマスク組と桧山・加宮組が順当に勝ち上がった。
・しかし、WN.JP公式戦との日程の都合があり、桧山・加宮組はシリーズ最終日には一日二試合を戦う事になってしまった。
・第4試合に行われたWN.JP公式戦では、井上が奮闘するも、チームは敗退。
・その井上のダメージもあったのか、決勝戦でもイクサバマスクが押される場面が多く、この年の優勝は桧山・加宮組が収める事となった。

 

・優勝会見から数日後に、桧山響一(44歳)が結婚を発表。相手は地方在住の一般女性で、プロモーターの紹介で知り合ったのだという。
・桧山は結婚について、「本当は昨年夏に挙式の予定だったのですが、仁村会長の事がありましたので……」「一年間喪に服しましたし、そろそろ仁村さんも喜んでくれるかなと思い、その旨を伝えました」と説明し、もともとの結婚の予定がずれ込んだために今の時期の発表になったと明らかにした。記者からの"一年以上待たせた事で相手の心変わりは心配だったか?"との質問には「信じていましたし、その時はその時のつもりでした」「彼女の幸せのためなら喜んで身を引く覚悟でした」との回答。

・先に結婚を発表した刈馬に続き、ウインターブレイクの間に二組の新婚レスラーが誕生した。

    
 

  

(ファイプロリターンズ)