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魔王城はグロイったらない。人間が最も吐き気を催すその造型、材料は黒い肉で、常に不規則に脈づいている。
もはや建築物というよりは献上品の山が積み上げられたといったほうがいいだろう、丁度鳥や虫が、巣をこしらえるために分泌液でゴテゴテ固めるように。その様は乱雑で、なぜか揺らがぬ秩序の芯を持っている。



「ごきげんようドラディエラ」

一人の女が暗闇の海を歩く。褐色の肌、黄金の毛並みは、炎のように闇に映える。
闇からの声に彼女は足を止め、振り返るでもなく声の主に応える。そのくちびるは宝玉のように美しい。

「グルボロス…我々はむやみに接触しないほうが双方のためだと思うが?」
「フフ…寂しいことをおっしゃいますのね…わたくしはあなたに会える理由ができて、嬉々としておりますのに…」

声の主はゆっくりと、黒々と煮えたぎる闇から顔をだす。暗闇が糸を引いたように、光のない髪。彼女もまた、人の姿をしていた。その姿、いわゆる一つの巫女装束。

「ではその理由を聞こう、それがすんだらまた眠りたまえ。あなたの力は夢の中でさえ強すぎるのだから」


「クリステスラが目覚めたのだよ」


2人の前に、また1人黒い鎧に身を包んだ女が現れる。彼女が女だと分かるのは、心臓を直接握り締めるような、溶け始めた砂糖にも似た、蠱惑的な声による。彼女が美人でなかったら神様に苦情が殺到するだろう。まぁ魔族なのだが。



「サロ殿。…それは件の宝剣のことか」
「その通りですわ。貴方がまだ生まれる前の話。…少し懐かしいわ」
「貴公には一度アレの力を見ていただく必要がある。我々とて絶対ではないのだということを」

「…あなた方が一時に集まるほどのものなのか」
「そう、次に貴方がいないということも十分にありえるの。1000年前もそうでしたわ」
「…いいだろう」

ひるがえる黄金の髪。

「私の友も喜んでいる」

彼女の腰に吊るされた剣が、闇の中で、少女のように少し笑った。


・・・・・・。


「あちーな、どちくしょー…」
「そーだそーだ、あっちーゾ。なんとかしろよミスラのくせに」
「ひっつくなよ2人とも…あちぃ」

フライパンみたいな太陽が、ジリジリと熱砂を炒める。ここは白骨砂漠、あまたの生物が死に死に死んで、骨やら殻やら積もりに積もった死の砂漠。

うかつに眼を開ければ、一瞬で眼球が半熟になる。そんな砂と光の嵐の中、小さな鉄の塊が、虫のように這っていた。

「も、も、もう少しひだ、ひ、ひだりですよミスラさん」
「おめー、適当にいってねぇだろうなーメロ助」
「ししし、失敬な…、こ、こ、ここはぼくのに、に、庭みたいなモンですよ…」

状況だけ説明すると、彼と彼女等5人と剣一本は、復活させた古代の文明兵器「戦車」の中ですし詰めになって、砂嵐の中を行軍している。ここはハッキリと遭難というべきか、先行する本隊と連絡がとれなくなってずいぶんたってしまった。

全員汗ダラダラ。腕の位置を変えようと思えば誰かの股間にはさまる、そんな状態。



「あー、あちぃ」
「尻を乗せるな!ウゴッ」
「ひぁ、ミスラ君…そこは…」
「あぅー、おしっこもれそうです…」
「痛って!ひっぱんなよボケ!バカ!」


ばたばたもにもに…


―――そんななか操縦桿を握るのは勇者ミスラ。


並以下の凡人でありながら寝ぼけた故郷の風習によって勇者となった少年は、同じく勇者として故郷を追いだされた少女、ヘルザクロと合流し、彼女の率いるザクロ団の一員として、今日も今日とてがんばって生きようとしている。

ミスラが腰に下げているのは宝剣クリステスラ。ルール無用の生命力を備えたその力は思いのほか強く、おかげでこの世界ではゴミ屑同然の人間集団が、今ではそこそこ魔物達と戦えるようになっていた。

そんなこんなで調子に乗ったのが運のつきか、もう一本もう一本と宝剣を求めて砂漠を探索、今死にかけである。

「ホントにこんなトコに宝剣なんてあんのかよー」
「あ、当たり前じゃないですか!ぼ、ぼ、ぼくらの一族が100年かけて追い続けてるひ、ひ、悲願なんですから!!」
「ウケケケ、世の中にゃ、無駄死にって言葉がたらふくあるぜ、ココの砂漠みたいにな」
「あ、あ、ひどい!侮辱です!これは侮辱ですよ!!」



車内は蒸れ蒸れ、詰め詰め、怒声が飛んでは誰かが泣いて、最終的にはミスラを巻き込む。

そろそろこの騒がしいメンバーの紹介をするべきだろう。まずは丁度今、車中のどさくさコレ幸いと、ミスラにペッタリとくっついて涼んでいる少女…

「すまんミスラ君、肌を貸してくれ…ああ、大気が熱すぎて人肌のほうがひんやりする」
「ぐ、グリオー…おっぱいが…」

魔法少女グリオー、現在はトレードマークの三角帽子をうっちゃって、おでこ丸出し、MPギリギリ。切れやすいのが玉に瑕で、このパーティーでは一応リーダー。

「ミスラよー、一人で操縦しててしんどいだろ?…こうやってこうやって、いたわってやるからよ…あむ」

ちゅぶぶぶ…

東方剣士、カリンザのくちびるが、揺れに乗じてミスラの一物を咥え込む。砂漠の只中、久しぶりの潤みが、ジワジワと皮膚に浸透してゆく。

ザクロ団古参にして主力。荒々しい気性ながら、容貌は極めて艶やか。肌が白く、すこし蒸気して、ペッタリと張付く黒髪がやたらとなまめかしい。彼女は既に、ベタ濡れの湯文字一枚細い腰に貼り付けて、あとは真っ裸だった。



「うぐ…すっげぇでけぇ、…オレ様もまぜろよー、ボケミスラー」

金色の巻き毛の少女が、裏側から肉茎にほっぺたをよせる。ラブラノ・オドケナウ、通称ラブ。職業ネクロマンサー。魔物に操られて、一度はミスラ達に牙を向いた少女である。
小悪魔的な、というかまんま小悪魔。この頃は、一度ポロッととれた牙がまた生えてきて、かゆいかゆいとよくミスラに噛み付いている。言葉遣いは超ぶっきらぼう。あんまり胸をペタペタやると超切れる。

「…ちゅぶ…ちゅ、はいんねぇぞ…ん、んく、こんなの」
「へへ、じゃぁもーらい」
「あっ、ずるいぞカリンザ…」

ちゅぷん、…ちゅぐぐ…。ぎゅこ、ぎゅぽ

「お前等…いいかげんに…うぐ」
「ホレホレミスラ、ちゃんと前見て運転しろよー…ん」

汗でぬらぬらする肌と肌のこすれあい。グショグショになった下着と女のにおい、腋の下。もうずいぶん前から、鼻の奥の方で女体のにおいが固まったやつが詰まってる感じがして、脳みそはとっくに桃色に窒息している。



「なな…なな、なにを、な、なにをしてるんですか…皆さん…。ここ、こんなところで、俗にいう、そそそ、そうにうを…」
「…んぁ?おめーも勉強しとくかメロ助?…ぅが、せめぇなちくしょー」
「ケケ、まだガキだからなメロは」
「お前が言うな」これはグリオーのツッコミ。

「わわわ、わかり、わか、わ、わかりません、ぼぼぼぼくは…」

ガニメロは自称考古学者。通称メロ。ボッサボサの鳥の巣頭にでっかいめがね、よくドモり、隅っこでブツブツいつも独り言をつぶやいている。これでも女の子。今回の作戦の原因というかきっかけ。

「あう、あう、ぐりおさん、みすらさんー、あれみてくださいー」

最後に見習い魔術師ミルケロル。綿菓子みたいにピンク色の髪をして、一応魔法使いなのだが使える魔法は一個もない。魔法がでそうででないのーともだえる練習風景は、周りをやきもきさせ、チビっこいクセにたまにエロっちい。

2人は新参で、共にモンスターに食われかけているところをザクロ団に助けられたのだった。

「んあ?なんだー?」
「ぅん…ミスラく、ん。…途中で止めるなんて…」
「ぐ、…グリオー、、あれ、あれ」

「おっきなダンゴムシさんですねー」

なんであろう、砂嵐の先にたたずむのは砂漠の王、骨壷具足虫。別名戦艦フナ虫。
体長数百メートルにも及ぶソレが、こともあろうに集団で寄り添って、ケナゲにも砂嵐に耐えている。



「ぎゃーーー!!!きめぇ、ききき、きめぇよぉ!!!」
「な…なんて数だ…、ここは巣か?」
「ぐぐ、ぐ、具足ぶぶ、虫は…。ここ、こっちから仕掛けなければだだ、だい、大丈夫で、です」
「ヘイけってーい、逃げろ逃げろオメーら」
「いって、捻るなカリンザ…」

「あぅー?どーしたんですかー、みなさー…ふぁ、ふぁ」
「ん?お…おいミル…まった、まったまった!」
「だだだ、だめですよ、ま、ま、万が一あの群れの真ん中にいる生まれたての子供達を攻撃しようものなら…ぜぜ、ぜったいダメですよ!!」


「へっきひ!」



ポチリ



ところでミスラたちの乗っている戦車は通称ケルベロスといって、主砲を横に3つならべて、同時に発射できる優れものである。口径88mm。グリオーお手製の魔法弾も積んでいて、これがまた騒々しいくらいの音と光を炸裂させる。

丁度そう、今現在、フナ虫たちの群れの、丁度そう、真ん中の方でビクビクしている子供達に炸裂しているソレのように。


「ぶぁぁあああっああああっか、やろぉぉぉおおおお!!!!
「右右右!!!だぁあああ!!よっけろぉぉ!!!」

もう数えるのもめんどくさい足足足足。

一本一本が爆撃のように砂塵を巻き上げて、そんだけいっぱいあっても結局2発目が直撃したのだからもったいないというかなんというか、ミスラはあっさりこの辺でもう気絶した。


・・・・・・。


ちゅぶっ…ひゅぶ。きゅっきゅぶ、じゅぷじゅぽ。

「ん?」

ぢゅっぽぢゅっぽぢゅっぽぢゅっぽ…
くぷ…ぷぷぷ。じゅる
ちぃぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、っぽん。…あむ。

「クリス?」
「ふへ?あるひ…、ひふひはへ?」
「く…咥えながらしゃべるな」
「はふっ…」

ちゅぱん

「元気になった?」
「ん…」
「じゃぁ帰る」
「まてまてまてまて、そんなあわてんなよ」
「…なんで?」
「なんでってか、…その格好も久しぶりだし」
「…いいの?」
「ん?…ああ」
「じゃぁいる」

ちょこりとミスラの横に座る少女は、淡く青白い光を放っていて、ゆったりとしたローブに身を包んでいる。

宝剣クリステスラ人間形態。眉が隠れる程度の前髪、その下の潤んだ瞳はいつも心ココにあらずといった感じ。
こまったことに、本来そのキレイな足を保護するはずのスカートはなんの意味もなく、ふとももまでまくれあがって、少女が位置を変えるたびに果肉がのぞきそうになる。

「ここは…地下か?どれだけ落ちてきたんだ?」

見上げれば、まったく光のない天井。サラサラと砂のこぼれる音だけが耳に残る。地表ははるか遠くにあるのだろう、星の底に見捨てられて、とり残されたような感覚がミスラを包む。

「みんなは大丈夫かな」
「…」
「クリス?」

彼女はミスラの瞳を覗き込んで離さない。

「クリスってば」
「…」
「傷とか、治してくれたのか?」
「…あるじ、内臓でてた」
「…そ、そっか」

ミスラが腰をあげると、クリスはぺったりと地面に尻をつけ、主人の手を掴んだまま。なにをいわんとしているか、一発で分かった。純粋な瞳がキラキラと、エメラルドのように光っている。

「…」
「…」
「…」
「…」

「まぁ、その、なんてか…」
「…」
「したいのか?」
「…」
「するか?」
「あるじ!!」

そのまま少女は、ミスラの下腹におでこを押付けて、加減もせずにゴリゴリしながらミスラを押し倒しす。お前は犬かといいかけたが、彼女がいなければミスラはただのゴミなので、実際の立場は逆でなければならない。

彼女の要望を汲みとることはミスラの義務だ。決して無毛の性器に頭を焼かれたとか、仲間の命より性欲をとったとか、そういうわけでない。決して。



・・・・・・。


降り注ぐキスの嵐、2度3度と噛み付くたびに、少女はうかがう様にミスラの顔を覗き込む。

「…そんな、気にせず好きにしなよ」
「…」
ホント?見たいな顔。

「…クリスには世話になりっぱなしだし、たまには…」
「…」
噛むよ?見たいな顔。

「あんまりこういうこと…してやれないしなぁ…」
そう、彼女とのセックスは強烈な副作用がついてくるのだ。



「……ッ!!、ぐぐぐ」
「ン…あむ…ちゅぶ」

少女は噛み付きながらも、己の果肉をミスラにこすりつけるのをやめない。

ペタペタと、ほほにひっつけたり、自分の口に飲み込みやすいよう、亀頭をきゅうきゅうと搾ったり、与えられたオモチャで遊んでいるような愛撫。

そんなでも気分は徐々に高揚する。桃色のソコは、窮屈ながらも十分なとろみをもってミスラを迎え入れる。

「…っ」

声にこそださないが、この頃の彼女は初期の頃と比べ物にならないほど、表情のバリエーションが増えていた。
眼を伏せる、涙を絞る、少しだけくちびるを噛む、時折はねる様に首をそらす……などなど。

「…っ!!」
「…クリス」
「……?」
「…今の顔、もっかい…」
「…ふぁ!…ぁ…ぁ」

っちゅぶ、ちゅぶっ、っぷ、

「…あるじ」
「ん?」
「…あるじ…、ぃ」
「どした?」
「…ソコ、…そこがそこきもちーの」
「ん?ここ?」

ちゅっぽちゅっぽちゅっぽ、ちゅく

「っぁぅ!、ぁつ!っぁ、っん!!!」

ついに決壊したそのくちびるを指でつまみ、少しの間ふにふにともてあそんでから、ゆっくりとうながすように開く。あたたかいソコへ、舌の肉を流し込み、ぎゅぅぎゅぅと首に抱きつく彼女のだ液を飲み込んだところで下腹部は共に絶頂へ。

びゅぷ、びゅっ、びゅく

「…ふぁ、あぅ、…いっぱいでてる…。」

相変わらずミスラの瞳を除き続けるクリス。試みに覗き返してみたら、案外簡単に眼をそらした。


・・・・・・。


白骨砂漠の地下に、膨大な空間が存在することは昔からほのめかされていた。周囲にはソコの見えない裂け目、光源は発光するクリスのみ。

「いって…」

つまずいてバランスを崩す。砂の中からヒョッコリ顔をだした石版を蹴っ飛ばしたのだ。

「文字…か?…じゃぁやっぱここは7層文明遺跡なのか?」



―――7層文明、遥か昔の話、彼の文明郡は滅びた先人達の上に新たな文明を重ねることで進歩を続けた。
めくるめく人種と民族の坩堝。彼等は文明の層を重ねるごとに栄華を増し、繁栄を極め、最後には大地に別れを告げて天空へと飛び立ったという。

遠い神話、今では誰も信じていない。子供でもウソだといって笑う話。

7層文明に祭られている剣は、伝説の宝剣と酷似している。そんな話をもってきたガニメロは、みんなに笑われ、指を指され、絶望のうちに一人でザクロ団を飛びだした。
今回の行軍は、そんな彼女を保護しつつ、ついでだから宝剣も探してきちゃえ、と、そういう話なのだ。

「メロにあやまらないとな」
「あるじ」
「!?」

いつの間にか、クリスの発光が気にならなくなっていた。地面が、砂が、自ら光を放っている。

「これは…すげぇな」

それは塔、7つの層を貫く白き支柱。全長数百メートルにも及ぶ砂漠の王、彼等の死骸が、砕け、積もり、幾重にも幾重にも積み重なって、はるか地表まで伸びている。

「お墓だね…」
「ああ…」

そこは彼等が最後に行き着くところ。終末の地。彼等は骨となり石と化し、この地で、悠久の時間を、白く白く積み上げていた。

「上にいたヤツラは…ここを守ってたのか?」
「…」
「どうしたクリス?」
「…」
「クリス?」
「…なんでもない」

彼女は泣いていた。静かに。


・・・・・・。


「あれ?ミスラ?」
「ティコ!」

ギルジム・ティコネット、職業銃士。ザクロ団一の射手にして料理長。趣味は掃除。黒髪のセミロングは隅々まで若さに満ちて、黒々とした瞳に直視されるとまずウソをつけない。
くるものは拒まず去るものは追わず、結構なリアリストで年齢的にはミスラより少し上。

今回の作戦の、ミスラ達に先行していた本隊のメンバーである。

「アンタ無事なの?ケガない?」
「ああ…死にそうだったみたいだけど」
「おっ、そっか、クリスが守ってくれたか」
「…うん」

彼女にかかるとクリスも少し素直になる。

「ティコこそ、みんなは?」
「ああこっちは大丈夫、みんなそろってるよ」
「ふぅ、よかった…」



先行部隊にはガニメロとミルケロルもいた。よくもまぁ無傷でいられたと思ったが、垂直落下を経験したのはミスラだけらしく、他のみんなは滑り台で降りてきたのだそうだ。
ティコによれば、おそらくここは7層文明の最下層、脱出には相当骨を折るハメになるだろうとのこと。しばらくのダンジョン生活は覚悟しなければならなかった。

「あぅー、みすらさんです」
「無事だったかミル」
「あぅ、でもメロちゃんおかしくなったです」

「あ、ああ、あ!ほら、ほらほらほらぁ!!!あったでしょ!?いったでしょ!?やっぱり存在してたんですよ7層文明は!!」

小さな学者は狂喜して、その辺に転がっている石をスケッチしている。無理もない、聞けば彼女が受けた迫害は今回だけに限らず、父も祖父も曽祖父も、皆7層文明を追い続けて、笑われ、追いやられ、こころざし半ばで死んだというのだ。



ベースキャンプでは調理用の煙が上がっていた。キャンプの中央にはミスラ達の乗ってきたボロボロのケルベロスと、それを牽引する先行隊のモグラ型戦車。通称モグタンク。コイツはだいたいバスくらいの巨大さがある、軽い基地だ。

近くに水脈が走っているらしく、水はストックを使わずに済むらしい。

「あとはカリンザ、グリオー、それにラブか」

テントにて。先行隊隊長のエルサが、肉感的な脚を組みかえる。長い耳に夕日に映える麦穂のような金髪、彼女はエルフだった。
装備は軽装の鎧。レイピアに似た細い剣を用い、魔術の斬撃で敵を貫く。天然というか、大事な部品を一個ハメ忘れたような性格をしているので、要所でボケる。

「よし、ほっとこう」
「え…エルサ…?」
「あいつらなら自分でなんとかするだろう」
「…まあそうだな」
「それよりミスラ…少しにおうぞ」
「う、…ずっと砂漠行軍だったし」
「モグラの裏手に風呂を沸かしてある。ここを発ったらしばらくは入れないんだ、アカを落としてこい」
「うん…」

改めてみればエルサの肌はつやつやしている。たぷんたぷんのおっぱいと、その谷間に流れ込む
汗の雫。

「ど、どこをみているんだキミは…」
「あ、ごめん…ってうわ!」
「きゃっ、ちょっ…まって」

がしゃごーん

「ごごご…ごめんエルサ…!!…ちょっと眩暈が…」
「ぁう……いいからその…手を…」

ふにんふにん

「ゃぅ…ミスラ…」
「エルサ…」

乳房をおおう布がするりと外れて、ピンク色の突起のはじっこがあらわになる。とろけそうな肉の熱が、指の先から血管に流れ込む。

「はぅ…ん…ミスラのココ、ものスゴイことになってる」
「そ…それは…」


それは宝剣クリステスラの副作用。初めてミスラが彼女と契約したとき、暴走したエネルギーは性欲へと転換され、当時のザクロ団82人はことごとく破瓜を散らした。もちろんエルサも。

「よし…」
「ん?」
「よしわかった!お、お…おフロいこうミスラ!そうしよう!!」
「うわ!え、でも、もうはいったんじゃ…」
「別に何回はいってもいいだろ!…いくぞ、キミの汚ないところを全部スミズミまで洗い流してやる!」
「ちょ、ちょ、エルサ!おっぱいしまって!!」

そんな会話が成立し、コソコソと、それでいてどこかしら浮ついた気分をかかえながら一路フロオケへ。



「フォフォ、ミスラ、きておったのかえ」
「あらー、ミスラちゃん」

「おわぁ!ビックリした」
「なんじゃけったいな奇声をあげよって、失礼なヤツじゃのう」
「も…モナメテオ、トロピア」

モナメテオ、職業大魔導師。ロリロリした外見ながらじじいみたいな言葉でしゃべる少女。年齢不詳。
地面につきそうな長い髪をたらし、いつも寝てるのか起きてるのか分からない眼をしている。、その手にはいつも湯気がでてる湯のみ。とてつもない魔力をもっているといわれながら誰も戦闘に参加しているのを見たことがないので真偽は定かでない。

トロピア・ストランテ、職業遊び人。上半身は至極伝統的なバニー衣装、下半身はケリの威力を倍化させそうなゴテゴテしたズボン。これは冷え性だから。
フサフサの髪の毛は10mくらい離れててもいいにおいがして、ミスラに対しては時折赤ん坊をあやすように話しかける、極めてタチの悪いエロスの申し子。



2人はねめつける様にミスラとエルサを見る。上気した男女が互いに手を握りながらどこへ行くのか、ははんさてはコイツラ…

「よいのう、若いのは…フォフォ、はげめよーはげめよー」
「な…な、な!なにをいってるんだモナ!変な想像はよせ!」
エルサ一歩前へ。

「ミスラちゃん、苦しいんでしゅかー?おねぇちゃんにいってくれれば抜いてあげたのにー」
「そ…そういう卑猥なジェスチャーはやめろよ…」
「あは、あいかわらずかわいーんだー、ヨチヨチ」
「ど…どこをかわいがってんだよ!」
「い…いくぞミスラ!こいつらにかまってられるか…!」
「フォフォ、エルサよ、そっちは人がおる…逢引きにはむいとらんぞえ」



「え?」
「んー?」
「あれ?なんでミスラがいるネ?」

忠告を振り切って向かった暫定お風呂場、ミスラが見たのは丁度ぱんつ脱ぎかけ状態の少女3人。

「わぁああ!!ごめ、ごめん…ぶは!!」

一人目の尻はギルジム・ティコネット、他の2人はヒスカとザラクというのだが、確認したところで目の前は真っ暗暗転。ザクロ団一の長身、ローキス・マルスのおっぱいに直撃したのだ。

そのままズルズルと意識を失うミスラ。噴出す鼻血。

少しばかり彼のために説明をしておくと、別に衝突が激しすぎたとか興奮したとかそういうわけではなく、元々クリスの副作用の関係で、血圧関係がギリギリだったのだ。

早いトコ精子をださなければ爆発する、そうクリステスラが皆に宣告しているのを、ミスラは滑落する意識の中で聞いた。都合7人の美女少女が、ミスラの顔をのぞいている。その眼はミスラの正中線をなぞり、ちんこへ。

「ふむ、なるほど…」
「いつものことだな」
「なら…まぁ…仕方ないよな…」

そんなうれしげな声がどこかで聞こえる。


・・・・・・。


「ふむ…ん、ふぁ…ちゅぶ、ちゅぶ、ぷ」
「ん、んっ、ん、ふっ、ん、あ」

びゅる、びゅじゅぶ、ぶる、ぶ

「……ん?」

「ん、ちゅぶ、…んぁ?気づいたか?」
「ふぁ、ん、…全然とまらないネ」
「寝ててもいいよ…全部おわらしといてあげる」



薄明かりの中、角膜が捉えたのはテントの天井、誰かの陰毛。下腹部を見ればヒスカとザラクが、汁まみれになりながら陰茎を上下にしごきあげている。

「水飲むか?」

ストローからぬるい水が流れ込む。それでもノドは大歓迎、同時にほほを撫でる陰毛の持ち主がティコネットであると分かる。

「…オレ…なんで」
「んっ、ん、んぁ、お前倒れたんだぞ…ん、ん」

ヒスカが根元まで性器を加え、くちびるの力で、尿道に残った精液を搾りだす。



ヒスカ・クランクアイ、職業泥棒兼墓荒らし。常に冷静というのか一種の無感動。鋭く細い眼を彩るは小さめのメガネ。その黒髪のポニーテールが動揺で揺れるところなど人に見せたことがない。
それでも内に秘めた情熱はマグマのようで、親しくなればその恐ろしいまでの妄念にイヤでも気づく。頭のキレはピカイチ、戦闘は常に最後の手段と心得よ。

「クリスあやまってたネ…あむ、ミスラの世話頼まれたよ…ちゅぶ、ちぅ」

ザラク・ニー、職業武道家。肩口から胸元にたらした髪の束が動きにあわせてくるくるはねる、
元魔法使い。
才能があったのに、まだるっこしいからと拳の殴り合いを選んだ彼女は、性格そのまま単純一番。その集中力は他を圧倒、本気になったら格闘も魔法も冷静に切り替えるバトルマシンと化す。



「うあ…」
びゅぅ、びゅぶっ、びゅ

「気持ちいいネ?ミスラ…フフ…」

ザラクの左手が、射精直後の亀頭を包みながらクネクネと動く。素早いスナップは緩急がついて痛くなく、加えて玉のところをヒスカの舌が這う。

ちゅっ、ちゅご、きゅぶ、ぷ、きゅ…



「ねーえー、そろそろ入れてもいーい?」
「…ガニメロとミルケロルはちゃんと寝ただろうな」
「ふぉふぉふぉ、その辺はクリスがちゃんとやっとるようだぞ…あの子はようできとるのぉ」

トロピア、エルサ、モナメテオ、みんな裸。端っこにはローキスが、股を広げながらボーっと傍観しているがやはり裸。

「ヨフネとナキリコは呼ばないネ?」
「ヨフネは寝てるよ、ナキリコはなんか照れてたな」

ザラクとヒスカの舌は、相変わらず肉物に絡む。

「もー、代わってよー」
「おトロ…お前はその辺のこんぼうで十分だろ」ティコの、お前のことなんかどうでもいいみたいな口調。
「えーなにそれ!やーだー、ミスラちゃんのち○ぽじゃなきゃやーだー!!」
「順番的に私だろう!!お前たちが邪魔しなければいまごろ私が…」
「ふぉふぉ…ではあいだをとってワシがいただこうかの…ん」
「モナ!?」「ずるっ!」「汚っ!!」

ちゅぷぷ…ぷ

「んっ…は、ふふ…お前は寝ておれ…まだ意識が朦朧としておるじゃろうに…ん」
「モナ…」

じゅぷ、じゅ、ぷっ、ぷぢゅ、ぷ

モナメテオのいうとおり、ミスラの意識は熱に浮かされたようになっている。それでも本能なのか、腰だけは微妙に動く。ジワジワととろけるような快楽。記憶で知った、モナメテオの神経過敏なところ。

「んっぁ!っく、お…お主それは…っ」

抱き寄せられたモナメテオは、おっぱいがないせいで身体の表面全部が密着する。直接聞こえる心臓の鼓動。小さなくちびるから、だ液を吸う。

ぶっ、じゅぷ、じゅっ、じゅく…く

「…ふ…ん!…っっ、っあ」
「はいちぇーんじ!!」
「のぁ…こ、これ、まだゼンゼン…」

味わうまもなくミスラの肉物はトロピアの肉に包まれる。自分勝手に上へ下へ、左へ右へ。楽ではある、が、その快感はオナニーのときのソレでもある。

びゅっ、ぴゅぅ

「え?ウソ!?」
「はいどけー」
「えーん、今のなしでしょー!?ちょっとミスラちゃーん!」
「ふふ…ミスラ、アタシはちゃんとしてやるぞ…」
「ヒスカ…」
「おっ?なんだ、少しは元気でてきたか?」

ミスラはヒスカの手を借り、身体を起こして座位へ移行。頭を胸に埋めてできるだけ揺らさないようにしながらも、乳首を吸って、わき腹を指で愛撫。

「ほらミスラ、口開けて」
「ん…」

とくとくと、くちびるを通じてオレンジジュースが流れ込む。舌を舌で捕まえ、少女の口内に残った果汁の味を残らず吸おうとする。

ちゅぷ、くち、ちゅ…

最後にはヒスカに覆いかぶさって、ミスラが腰を前後。

「ぁん、ん、…ん、ぁ、無理すんなよ…」
「うぐ…ん」

びゅる…びゅ…ぴゅ


・・・・・・。


肉欲の宴は続く。ミスラはそれを重く垂れた幕越しに見る。視界に映る映像は、ひどく他人事のよう。

―――ミスラはボーっとした頭のまま、エルサとティコネットのおっぱいにはさまれる。愛撫の手。精液のついた亀頭が、少女達の指のつけ根を抜ける。興奮したエルサは何度も何度もミスラの鼻に甘い吐息を吹きかける。
―――ティコネットは本来左利き。それゆえ右手での愛撫はつたなくぎこちない。ミスラは少女の髪に鼻を突っ込み、断わりもなく首筋を舐める。こそばゆさ。自分の指よりも何倍も熱いミスラの手を使い、何度も何度も恥丘の少し下を摩擦する。



「んぁ…ミスラ…すごいネ…」

ほんのりという言葉が的確なくらい意識が戻ったミスラは、ザラクの小さな身体を抱えたまま後ろから突上げる。小さな脚。これが本気をだせばミスラの胴など轢断してしまうだろう。

窮屈な膣から抜けだした肉の茎部は、深海から浮上でもしたのか、外の空気をありがたがり、コリもせずまた奥に潜る。あとはもうぬっこらぬっこらの繰り返し。

ちゅぱんっ、ちゅっ、ちゅぷ、…っぱつ、ちゅぱ…びゅく、びゅる

「んっ…はやいよ…モウ…」

小さな膣にあふれる射精液。少女を引寄せながら、雛尖に汁をまぶしてこねる。不満げなザラクから肉物をぬきとると、重心を制御できずにフラつくミスラはそのまま肉の花園へ。



「…危ないなぁこの子は」
「ミスラ…もうお願い…私…」

エルサとティコに左右から抱かれ、乳と乳に両頬を挟まれながら、どちらかの尻を握るようにつかむ。ビクリとはねたのはティコの乳。
ミスラのちんこは入り込める場所を探してうろうろ。先端でフサフサとした陰毛の周囲をまさぐっていると、ぬるりとばかりに滑り込み、熱湯のような体温で、それが膣の内壁だと分かる。

「ミスラ…ん、ぁ」

声の主はエルサ。吐息がミスラの鼻にうらむように吐きかけられ、くちびるからいやらしくこぼれただ液が、糸を引いてミスラと繋がる。

「あっ…っくぁ…はぁ」
「ズルイなぁ…もう、こうしてやる」

もにゅん

「やぁ…なにをする…ぁ、ティコ…ぉ、つねら…ないで…ぁ!」
「エルサも…してよね…ここ」

つぷっ…くち、ちゅぅ…

「こ…こう…?」
「ん、ぁ……そう…、ソコ…ひっかいて…エルサ…ぁ」
「あぅ…だめこんなの…あ、ぁう、…もういっちゃ…ぅよ」

「…エルサ、ティコ」
「んぁ?ぁ、ぁっ…、ぁん!ミスラ?」
「ん?目ぇ覚めた?」

「……2人がキスしてるとこみたい」
「な…なにをいってるんだキミは…ゃ、あん!」
「ん…ふふ、こう?」
「ゃう…ん、ちゅぶ…ぁ、あ、はぅ」

ちゅぷ…ちゅぅ…

3人はくんずほぐれつ、抱き合って寝転がって、べたべたとよだれでひっつきあう。

エルサから肉供物を抜きティコへ、ティコからエルサへ、ときに愛液まみれになった2人の陰毛にやわらかいたわしでするように洗われ、射精。その頃になるとミスラの意識もだいぶ戻って、自分が今異常な環境にいることを改めて知る。

ローキスを除く6人の少女が、いずれもミスラに膣を向けて、白くこぼれたアンをさらして物欲しそうな顔。まるで虫から見た食虫花だ。

「…じゃぁオレはこれで…」

「まて」
「だめよーん」
「なに寝ぼけてるネ」
「まだ夜はながいぞえ」
「ん、…ぁふ、もっとぉミスラ」
「ロー、アンタもきなよ」

「んー?」

ローキス・マルス。重装歩兵。泰然自若として、どっしりかまえ、どっしり過ぎて自分からはあまりアクションを起こさない。
例えるなら長生きなゾウの長老。バッサバサの髪に鍛えられた肉体はまさに野生。その美しさもまた大自然のそれだ。



「ミスラちゃーん!おねぃちゃんのココつねってー」
「そうネミスラ…もっと腰ふるヨ」
「若いのはいいのう…」



結局足首をつかまれたミスラは肉の獣の群れに食われ食まれ貪れら、明け方まで搾れるだけ搾りとられた。最後に起きていたのはローキスとミスラの2人。

「ロー…、嫌ではなかった?」
「んー?楽しんでるぞ、十分」
「ん、ならいいや」

じゅっ、じゅぷ、じゅっ、じゅこ

「…むしろお前のほうこそ…私相手は退屈だろう?」
「そんなワケないよ…むしろ落ちつく、…他がアレだから」
「ふーん、まぁ、ヘルザクロの代わりとはいかんが」
「な…なんでザクロ姉ちゃんがでてくるんだよ…」

ローキスのくちびるを吸いながら、今日何度目かの射精を行う。その後、後ろからついたり、正面から押し倒したり、他のメンバーが起きだすまで、2人は繋がっていた。



そして朝。



目覚まし代わりに、女の子がテントを突き破って降ってきた。


・・・・・・。



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