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今回のおもな登場人物
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万灯火も本格的に寝入ってしまい、まったくもって起きる気配がない。
こうなると特にすることもなければ眠る時間でもないアラセ。

少女達の汗とないまぜになった髪のにおいをかいだり、力の抜けた尻を撫で回したりしてみるも、めんどくさそうに蹴っ飛ばされるばかりである。

セックスばかりしていたから気がつかなかったが、この閉鎖空間は実はものすごくヒマなのだ。


「……あ…ちょっといいかな」
アラセがウーテと万灯火の髪の毛を自分のち○こに巻きつけていると、事務室に通じる扉が開いた。
「…え?七色さん」

スターのオーラとでもいうのか、薄暗がりの中でもはっきりとそれとわかる明瞭な輪郭線。
初めて会ったときとは違い、動静が落ち着きすぎていて、逆に不安を煽る。
目を放した隙にとり返しのつかないことになるのではないか、そんなはかなさ。


「センセイ呼びに着たんだけどさ、全然起きなくて…」
「うんうん」
アラセはち○この髪の毛をさりげなく外そうとするのだが、変に絡まってなかなか解けない。

「手伝おうか?」
「いやいやいや!!大丈夫です!ちょっとまって」
冷静な七色の視線が胸に刺さる。頭皮を引っ張られたウーテがちょっと呻く。


・・・・・・。


教員棟は広い。人の空気が感じられるのはせいぜい2・3フロアで、例えば教員達の個室が割り当てられているフロアなど、使い道がないので足を踏みいれる理由もない。
そんな無音の個室郡を抜け、渡り廊下を通って別棟にはいると、これはもうお化けの世界である。

非常灯すらつけられていない階段を、窓から差込む紫色の光を頼りに昇る。
こんな時でもアラセは、先を行く七色のスカートの中を覗こうとする努力はやめなかった。

アラセの中の永遠のアイドルが鼻先にいるのだ。ち○こだって見られている。このセックスを義務付けられた空間で、なにかを期待しないわけがない。

「これなんだけどさ」

アラセの理性が煩悩にのっとられそうになった時、立ち止まった七色が階段わきの扉を開ける。
すえたほこりと、冷たい空気、それに七色の甘いにおい。



「うひゃあああああ!!!」
ドンガラガッシャー

飛びだしてきた影がアラセのみぞおちに頭突きをかまし、続いて現れた影が足を払い、最後に顔を踏まれて影が三つだとわかった。

(ああそうか…)

「ごめんなさいごめんなさい!!つい出来心でぇぇぇえええ!!!」
「違います姫路は悪くありません、私がムリに…ゲホゴホッ」
「…………ポッ」

(また増えるのか…)


・・・・・・。


「おらぁ、舞茸姫路と申しますぅぅ、ひぇぇ、なんまんだぶなんまんだぶ」
落ちつきのない少女が一歩前に出る。サラサラしたショートヘアが、その活発な動作のせいでワサワサとはねる。なぜかキノコみたいな感じがする子である。

「わたくし、嘉手納…嘉手納しぃゆと申します…ゲホ、ゲホ」
続いて髪の長い、やせぎすの少女。
「だ…大丈夫?」
「大丈夫…で…ゲフア!!ゴフ、ゴフ!!!」
「あの…」
「ホントに…ゴフ!!だいじょーげふげふ。…ふぅ。大丈夫です…げぽ」

「………ぽ〜」
(この子は…)
「………ハッ!?」
「な…なに!?」
「…………ぽっ」
(なんだろう…)
「この子は深海ミココでごぜーますだ、ああ、ああ、すいまへんすいまへん、教育が悪いんです。あたしらロクな教育を受けてこなかったからこんなことに…」

姫路にうながされ、ワンテンポ遅れて頭をさげる少女。目元までかかった黒髪から、ときおりまん丸の目がのぞく。


場所はあれから、別棟内の予備教室に移った。後ろのほうに寄せられた机とイス。
電気系統がは根っこの方で落とされているようで、スイッチを押しても電気はつかない。ゆえに相変わらず暗い。


「あぁ、あぁ、なんたることじゃー、たたりじゃー。あたしらホント、七色様を一目見たかっただけなんですだー」
「違うんです、姫路はその…私が死ぬ前に一度でいいからってお願いしたから…ゲホァ」
「磔刑ですか?ひきまわされますかぁ〜?うああああ、獄門じゃぁ、えらいこっちゃー」

「い…いや、別にそんな、怒られたりはしないと思うけど…」
(ただ、ユルユカあたりに犯されるかもしれないとは思う)
「………ハッ!?」
「な…なに!?」
「…………ぽけー。。。」
(なんなんだろう…)


話を要約すれば、彼女達は熱心なゴッドフィンガーのおっかけで、ファン倶楽部の会員ナンバーは脅威の3ケタ。
学校内で偶然七色を見つけ、授業もホッポリだして教員棟にはいりこみ、時空圧縮に巻きこまれたのだ。ちなみに学年は2コ下。

「よくはいりこめたね…」
「……ぽっ」
「え?……もしかしてキミが?」
「…………ぽ〜。。。。」
(な…何者なんだ…)

「へへぇー、ゴハンはミココが用意しておりましたー、この子はホントに気の効く子で…。はぁーー、それでも尿意だけはどうすることもできず…」
「ふんふん」
「この棟の便所は水が止まっておりますので…はぁー、本館のを使おうとしたところを七色様に見つかり、ああ恐れ多い、へへぇー」
「違うんです…私が頻尿を病んでいるせいで…ゴホァ、げほげほ」


「フフフフ…」
七色が突然笑いだした。
「ははは…、あははは……」
「七色さん…?」
「アラセ君、ちょっと…」
「な…なんでしょう」
彼女は何のためらいもなくアラセの首を抱きかかえる。耳元にかかる息。ブラウン管を介さない鼓膜の振動。

「あの子達とセックスしてみてよ…」
「うぇ?」
「それともあの子達の前でアタシとする?どっちでもいいよ…」

(目がすわっとる…)

彼女はそのままアラセの手をとって、自らの胸に引き当てる。くぐもった声で呻く彼女の舌は、そのままアラセの耳殻をソッとなぞる。


「私はかまいませんアラセ様」
「だあぁ!!ビックリしたぁ…」
声の主は誰であろう、深海ミココである。

「ミココお〜、なにをするべや、大人の話に口をだすなぁ」
「聞いて姫路ちゃん、しぃゆちゃん、これは大切なことなの…」
一同の視線がミココに集まる。

「この国は今ものすごく不自然な状態にある。ううん、もしかしたら将来は自然になるのかもしれない、でも今は…今はまだ、この状態を受けいれるには私たちは若すぎるの」

ゴクリ…

「きっと男の人とせ…せっくすするのは…えと、この機会を逃したらずっと大変なことになると思う…、私、それに耐える自信がない…」

「ミココあなた…げふげふ」
母性の視線を送るしぃゆ。ミココからは、なにかものすごい精一杯感が伝わってくる。精一杯の森に妖精がいるとすれば、それは彼女だろう。

「アラセ様はその…す、すごく魅力的なお方だし…、きっと皆の人生にすごくプラスになると思うんだ………ああやだ!私なにいってるんだろ…!」

「ミココぉ、おめぇ〜」
「よく頑張ったわミココ…ゲッホァ!げほげほ…」

「アハハ!かしこいねキミ…かわいい」
笑い転げる七色は、新種の小動物を発見したようなテンションで少女の頭をナデナデする。
「………ポッ」

(……なにこの達成感)
思わず拍手するところだった。っていうか彼女に名前教えたっけか。


「お聞きの通りですアラセ様…ごふごふ」
「んん!?なにがなにが?」
「ミココは…あまりしゃべらないけど、彼女がいったことで間違ったことは、これまで一度だってないんです…だから…ゲッホゲッホ」
「それでええ、それでええ、アラセ様〜、あたしらのおぼこさ、もらってやってくんろ〜」

(うーん…)

やぶさかではない、が、変なノリだ。


・・・・・・。


ちゅぷ…くく…
「ふ…んん、はぁ。アラセ様〜、おらぁ…」

姫路の強硬に閉じきったくちびるを時間をかけてほぐしていく。強張った四肢が、今にもアラセを殴りつけそうに震えている。

教室の中央、机を使って簡易のベッドを作り、その上で事にはげむ。他の2人は息を潜めて見守り、七色だけが、教室の後ろで足を組んで、楽しそうに事の成行きを眺めている。

「…おらぁ、よくわかんねぇから…」
「大丈夫だよほら、力抜いて」

「ヒグっ!!なんだべアラセ様…いまのは…」

少年のように色気もそっけもなかった少女を、静かに熱が侵食し、肌に艶やかな色味を灯す。
土の匂いが消え、奥に埋まった女の養分だけが静かにとろけだす。おそらくは随分前から育っていたのに、誰にも触れられなかったもの。

「あらせ様ぁ…はぁ…」
「試しにさ…」
「へぇ…あう!…あぁ、…」
「標準語でしゃべってみてよ姫路ちゃん」
「ふぁ、ひょ…標準語…で、ですか?」
(うぐ…この子、磨いたらすごい化けるんじゃ…)

ワタワタとせわしない顔をよくよく見ると、非常に均整のとれたバランスをしている。これ以上なく整った西洋人形のように。

そしてこの、印象的なかすれ声。アラセの心は原石を見つけた音楽プロデューサーのそれになった。

「ああ…だみだぁ、あらせ様ぁぅ」
(こ…この訛りさえなければ…)

力の抜けかけた肉物に活をいれ、少女を後ろから抱きすくめると、根元まで挿入する。その体勢のまま、彼女の胸を愛撫し、肩口を舌で味わう。
軽く撫でる程度に雛尖を指でこすると、痛みに近い快楽が少女の身体を突き抜ける。

「ああ…おらぁ、…うあぁ…」
ちゅっぷ、じゅっぷ、ちゅぶ…ちゅっく…

「はぅ!」
「おぶぁ!」
ひしゃげる鼻、飛跳ねた姫路の後頭部がアラセの顔面を直撃する。

「はぁ〜〜!!アラセ様〜、だ、大丈夫け!?」
「……うん」

アラセは数回、達するためだけに前後し、そのまま膣内に射精した。



姫路を横寝かせると、嘉手納しぃゆが遠慮がちに机に昇る。昇るという動作で既に息があがり、ぐったりとアラセの方に倒れる。

「ふぅー、けほけほ、お願いしますアラセ様…けほ」
(びょ…病院の匂いがする)

ちゅぷ…

「ふぅ…あ、…ちゅく、ち。ちゅぷ…んん…アラセ様、たんまです。けほけほ」
「ん?」
「け…血圧があがりすぎて…すー…はぁー…せ…せーふ。」
「せーふ?」
「たまに…心臓が勝手に動くので…」
(いや…心臓は常に自由に動いてないと…)
「ふぁう…」


しぃゆが頼りなさそうに制服を脱ぎ始めると、その下から骨ばった白い肌が現れる。
危険な香りにどぎまぎし、骨にそって指を這わせていく。

青白い肌は、蜜蝋のように艶やかで、線香のように厳粛。静かな呼吸にあわせてアバラが上下げにゆれる。

「最近身体洗ってないから…コホ」
「へ?」
「恥垢とか…でてるかも…けほこほ」
「……OK、許容範囲だから」

清楚な顔立ちから繰りだされる思わぬ単語。伏し目がちの目は、どこかこの状況を楽しんでいるように見える。どうやら3人娘の中で一番タフなのはこの少女のようだ。

「ケホ…ケホ、ああアラセ様…中に…」

ちゅぷぷぷぷ

「ひあっ、……ぅ、いったぃ…」

しぃゆの膣は常温よりはるかに熱い。暗い教室でも、その顔から血の気が引いているのがわかる。

「あのさしぃゆちゃん…こんなことしながら聞くのものなんだけど…」
「はい…ん、はぁ、……けほけほ」
「どっか身体悪いの?さっき心臓とかって…」
「いえ…けほ、頻尿以外は特に持病もなく…ゴホゴハ、ゲホゲホゴホ、ゴッホア!!」
「だだだ…大丈夫…!?」

アラセのヒザの上、胸におでこを押付けてゼェゼェと息をするしぃゆ。細い手首を首に回し、そっと耳元でつぶやく。

「フゥー…はぁ、今日は気分がいいんです…ケホ、…ぁん、もっとこすって…アラセ様…」
ちゅぷ…ちゅっちゅっちゅぷ…ちゅぐ…
「わ…私…けほ。カテーテルとか…大好きだから…ぁぁ…」
(いやいやいや…)

垢と汗でぬめった彼女の尻を引き寄せると、そのまま垂直に射精する。事が終わり、しぃゆは妙にツヤツヤした表情で横になる。

「イきそうでした…けほ。二重の意味で…」
(いやいやいやいや…)



前2人もおかしかったが、最後に上がってきたミココはマジメ過ぎてやはりどこかおかしい。

伸びきった背筋は定規のように規範的で、上半身だけ直立不動。正しすぎる正座は逆に人をバカにしているように見える。
恥ずかしがることを恥だと考えているのか、素っ裸だが胸を張り、性器を隠したりはしない。

「そんなにかしこまらなくても…」
「………ポッ」
(このキャラで通すのかな…?)

試みに、彼女の内股を指で伝っていく。感心したことに、彼女の手はそれを阻もうとはしない。
なにやら信念めいたものの結晶が、彼女の中にあって彼女を動かしているのだ。

「痛くない…?」
「………」
「こ…このへんとか…このへんとか…」
「………ポッ」
(い…意外に意思疎通ができる…)

ミココは体育座りに移行してアラセの指を受けいれる。視線はまっすぐ前を向いて、時折身体がピクリと跳ねる。

「いれてもいい?」
「…ぽっ」
「大丈夫だよそんなに怖がらなくても」
「………ぽぅ…」
「いや…どれだけ痛いかはわかんないけど…」
「………ぽぅ〜。。。」
「そうだね、その気持ちが大事だよ」

「ああぁ〜、アラセ様がミココと会話してらっしゃるだー」
「ケホ…こふ。私たちでも10年かかったのに…こほ」

「……ぽっ」
(わかる…わかるぞ…)

よく見れば彼女は、微妙にアゴを引いたり、嫌がるような素振りをしたり、ちゃんと情報を発信しているのだ。
あとは指で作る小さなジェスチャー、震えるくちびるが訴えていることを見逃さなければいいのだ。

ちゅぷ…
「……!」

ゆっくりと彼女の身体を横にし、開かれた足にその身を沈めていく。彼女は声をかみ殺し、天井を見ている。顔を見ようと、そっと髪の毛をつまむ。

「……あっ、」

不覚にも誓いを破った彼女は、殻から放りだされたヤドカリのように隠れる場所を探している。破瓜よりも、髪の毛をどけられることのほうがショックが大きいのか。

「やですアラセ様…こんなの…」
「なんで?かわいいのに」
「…ふぁ…そっちじゃなくて…」
「ん?」
「七色様に…あ、あそこ見られちゃう…はぅ」

確かに、今の体勢では尻のシワまで丸見えである。

じゅぷ、じゅっ、じゅこ…じゅぷ、じゅ…

ミココの声よりも大きい性交の音。彼女にのしかかりながらも、手探りでその蜜を掬いあげる。
彼女の肌は、新たに誕生した粘膜のように、どこに触れても反応した。

蜜のにおいをかぎ、だ液と混ぜあわせながら胸にまぶす。少女を見下ろしながら膣内を往復し、射精への準備が整っていく。

「だすよミココちゃん…」
「………ポッ」

その顔は、大丈夫ですから、といっていた。


・・・・・・。


七色は泣いていた。

事に夢中でまったく気がつかなかったが、音もなくうつ伏せになってむせいでいる。
不安定な状態の彼女をこの3人娘には見せたくない、そんな勝手なおせっかいがアラセの心をむずつかせる。

「……どうしたの七色さん?」

アラセは一歩前へ。
少なくとも3人娘を不安にさせてはいけない、アラセは自然な態で彼女に近づく。ゆっくり過ぎず、かつ、彼女が拒むスキを与えぬうちに。

「…ん?…ああ、ゴメンね」

意外にも顔を上げた彼女は笑っていた。泣きながら。
腫れぼったい目が、彼女の存在を生々しく浮き彫りにする。視覚神経が、彼女の肉の感触をでしゃばって伝えてくる。その凄絶なまでに美しい笑顔。

「ああコレ?泣いてたんじゃないよ、楽しくてしかたないんだ」

大きく伸びをする七色。部屋に満ちる安堵の空気。

「アタシの部屋いかない?ここ背中痛いでしょ」
「へへぇーー、七色様がおら達を気遣ってくださる…なんまんだーなんまんだー」
「七色様…ゲフ、お邪魔では…」

「アラセ君もいいよね?つきあってくれる?」
「え?ああ、もちろんもちろん」

アラセはあわてて服を着ようとする。3人娘もそれにならう。と、背後から覗きこむ七色。

「七色さん?」
「元気なおち○ぽ」
「おああ、」

指先でコキコキされ、不意をつかれた肉物はあえなく暴発。

「………ポッ」
一人着替え終わったミココだけが気づいてモジモジしだした。


・・・・・・。


七色の部屋にはフカフカのベッドがあった。四角いだけのアラセの部屋とは違い、パソコン、冷蔵庫、ユニットバスまでついている。なんだろうかこの扱いの差。

「ホント親切だよね、自殺に使える道具がいっぱい」
「はははは…(すごい笑えない…)」

3人娘は七色にうながされ、溜まった垢とほこりを落としにバスルームへ直行する。

「もうする?」

壁を背もたれにして、ベッドの上に座るアラセと七色。彼女の乳房は、アラセの腕に触れる距離にある。その肢体を覆う布は、わずかにシャツとパンツのみ。
人のパーソナルスペースにバカスカと侵入する傾向がある彼女の手は、常にアラセに触れている。

「…も、もうちょっとイチャイチャしたい…」

すらりと伸びた七色の脚に手を這わす。天下の海鼠輪七色に、ナニすることを許可されたという事実が、アラセの脳から桃色の汁を分泌させる。
もう少しこの事実を噛締めなければならない。これからエロいことをするのは生きた伝説なのだ。

「あのさ、おもしろいの、あるんだ」

七色はわずかに汗ばんだ身体を起こし、銀色のチップをパソコンに差込む。
低いうなり声の後、画面に現れたのは裸体の男女だった。

「なにこれ…」
「ポルノだよ、外のだけど」

外、すなわちネブルアシアの塀の外。
この国にポルノ産業は存在しない。ネットの規制も人間では破れないほど強固で、それにもまして罰則が厳しすぎるので誰も手をださない。
この国の性質を考えれば、それもやむなしといったところか。

「いいのこれ?」
「いいよ、鬼月がくれたんだ」

そういいながらコードレスのイヤホンをアラセの耳にかける。けたたましい嬌声、肉と肉をメンコのようにぶつける音。パンパンあんあんパンあんあん…

「あいつらコレ見てオナニーばっかしてるんだ。国の上層部は処女ばっかなんだよ、プライドが邪魔して、外から男を輸入することもできやしない」
「そ…そうなの?」
「ホラここ、昨日この場面でイった」
「グハ」

画面は、男の手が膣の天井をほじくっているところで静止する。彼女は自らのしっとりとしめった股間を見せ、アラセの手をそこに導く。

むせかえるほど、七色のいいにおいいいにおいいいにおい…

「アラセのち○こさ」
「うぇ!?ああ、うん」
「上の連中がどれだけ期待してるか知ってる?」
「さぁ…」
「普通こんなにでないんだよ、おち○ぽ汁」
「ぐは」

七色の右手がアラセの腰を引き寄せ、左手がアラセのふくらみにあてがわれる。ちなみにアラセはシャツとトランクスを着ている。

「な…な…な…七、色、さ。ん」
「鼻血」
「ぅえあ?」
「鼻血でてる」
「あ…」


彼女はまるでためらう様子も見せず、その血を舌で舐めとりだした。わずかに残るつばのにおいに、彼女が人間であることを思いださせる。

アラセがのぼせるのも当然だろう、七色は頭がキレ過ぎるのか、たまに過程をすっとばして結論から話す癖がある。
アラセは平行して同時進行する会話についていくのが手一杯で、なにをいっているのかよくわからないことが多い。

それを神にもらった天使のような声でささやかれるのだから、まるで催眠術でもかけられているような錯覚がアラセを襲う。
片方の耳は、相変わらず女の嬌声。七色の瞳は、大麻の樹脂のような色に沈んで見える。

(見てるだけでボーっとしてくる…)

「アタシジャブの打合いとか、大嫌いなんだ」
(「へ?ジャブ…?)
「見せるなら全部見せたい、アラセ、手」
(…手…?)
「そここすって…うん。……見せないなら、何一つ見せない。初めから見たくもない。反吐がでる」

コキコキコキ…

「……うあ…」
「アラセはさ、アタシでオナニーしたことあるの?」
(…ぬあ……のぁぁぁ)
「気持ちよかった?アタシの身体でなにしてもいいから…」
(…うん…うん…)
「だから、アラセがコレまでの人生、どんな子とえっちしてきたか全部教えて。ゲスなことも全部」

コキコキコキ…

「アタシ初めてオナニーしたの、小学校のときなんだ」
(あああ…)
「同じクッションでずっとしてた…アラセはお母さんいるの?」
(ウン…あ、)
「アタシも全部教える。…信じてくれるなら」
「うんうんうん、…のあああ」

どぴゅん、どぴゅ
アラセはパンツの中で情けなく果てる。

「ホント?」
「へ?」
「じゃぁアタシもアラセを信じる。ウソついたら死ぬまで殺すからね」

(…なんだかわからないうちに変な契約が完了したような)


・・・・・・。


「…ん、…ふっぅ。ぁっ、…っ」
「くぁ…」

どぴゅどぴゅどぴゅ…

七色がゆっくりとアラセの肉物を引きぬく。
3人娘は、風呂からあがって初めて着替えがないことに気づき、バスタオル代わりにベッドのシーツにくるまって固まっている。

七色の姫肉にうっすらにじむ朱の色。彼女は交尾の最中もずっと履いていたぱんつで、自分の膣に溜まった精液を拭っている。

グジュグジュと海藻のように水を吸った繊維のスキマに、もはや分子のはいりこむ余裕はない。彼女はそれを脱ぐと、アラセに手渡しながら背中を預ける。丁度彼女のうなじが鼻に当たる位置で、アラセを見上げながらささやく七色。

「ぬぐって…」
「ん?」
「アラセの精子吸ったぱんつで、アタシの身体ぬぐって」
「うえ?」
「アタシのこと、精子漬けにして…」

脈絡とか、合理性とかが吹き飛んだ、不安定な世界の住人。彼女の提案はそのほとんどが、思いつきやその場の気分で決められていた。

その手が、ぬらぬらと、己の胸をなぞるようにアラセの手を誘導する。裸になったその肌にナメクジの白い足跡が残される。

「いっぱいだしたねぇ…」

彼女はケラケラと笑ったかと思えば、次の瞬間には神妙になってキスを要求したりする。あるときは賢者のように聡明で、気がつけば娼婦の笑み、それはまさしく七色そのもの。

精液の油膜をはった両胸を、搾るように圧迫すると、ツンと張った乳首がエロティックに照明を照り返す。

彼女はおびえる姫路の手を引き、その乳を口に含ませる。2人の熱がアラセの鼻にまで押寄せる。ミココは硬直して授乳を見守り、しぃゆは彼女を抱きながらそっと自らを慰めている。

「しぃゆ」
「はが…は、はい!七色様…!ゲッハゲホゴホ」
「ミココにもそれ教えてあげて…やさしくね」
「ふあ!はい!…ヒック」

七色は一方で姫路の口をやさしく押しとどめ、指の腹で舌をなぞる。

「ふむぁぁ…七色様ぁ〜」
「ふふ、そのまま吸って姫路…」

七色の左手は、腹を這うアラセの手からぱんつをもぎりとって姫路の鼻腔を覆う。かわいらしい顔が、白い泥に汚されていく。
光が失われていく姫路の瞳。横からはミココが切なげにあえぐ声。

「アラセ」
(…んん?)
「うらやましいのアラセ?」
(ぬあー…)

七色の背中に押付け続けた肉物は、ゴポゴポと雫をたらし、アラセの中の欲望は不燃物のように燃え残って、皮膚の内側にくすぶる。

彼女はわずかに腰を浮かせ、微笑みながら膣肉を広げる。白いスポンジとなったぱんつは姫路の口腔に侵入し、舌の裏を精液で満たす。

「くぁ…」
どぴゅ…ぅぅぴゅ。

「ん、…アラセ…」
(うぅぅう…)
「羊の出産をね…見たことあるんだ…」
(ぁあぁあぁうあー…)

どびゅく、ぴゅる

「こんなにおいだったよ…ん…」
(…あがが…)

どぴゅ、じゅぽ、じゅぷ、びゅ

「鳴いてよアラセ…」
「ぅあぇ…」
「めぇ〜って鳴いて…」
「うぁ」

じゅっぽじゅっぽ…ぶぶぷっ、じゅぼ
ぴゅる…ぴゅ、っ

「かわいーね、アラセ…」
(あーあーあー……)

どびゅ、ぴゅぅぅぅ

気がつけば七色が、視界の中でこちらを見ている。小さな舌が、ほお、まぶた、鼻筋となぞり、彼女がささやく愛の言葉だけが、アラセの鼓膜を貫いて脳に沈殿する。

さながら、愛液でできた羊水で、溺れながらこの世に生まれるのを待つ胎児のように。

アラセは耳元で弾けるあぶくの音だけを聞いて、この世ならざる不確かな輪郭線の上で、時空のハザマにも天国はあるのかと考えていた。




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