ゴミ箱ゴミ箱


文章になりきらなかったネタ。佐野植。




告白






「なぁ植木」
「んー?」
佐野の呼びかけに植木が振り返るより早く、佐野が言った。
「オ レ、お前のこと好きみたいなんやけど」
「オレも好きだぞ!」
間髪入れずに植木が応え る。
「え・・・いや、せやからな・・・?」
そのあまりにもあっけらかんとした態度に、 意味が違うと嘆く佐野。
「せやないねん・・・」
どうしたらこの違いを埋めることができ るのか―――――佐野はしばし頭を
悩ませた。




佐野の知る限り、植木は恋愛方面に聡くない。そういったイメージがある。
そんな植木に “好き”の違いを教えるのはたやすいことではない。
佐野はそう思っていた。
そして佐野 は、それを理解らせるには繰り返し告白をすることが必要だと
考えた。
告白の意味が伝わ るまで伝えようと考え、それを実践した。


時には放課後の帰り道で。
「植木・・・」
「ん?どした?」
「オレな、お前のことほんまに好きゃねん」
「?だからオレも好きだっ てば」


時には休日の公園でベンチに座りながら。
「植木・・・」
「何だ?」
「オレお前の こと愛してんねんで」
「佐野・・・それ言うの、恥ずかしくないか?」


時には言葉以外の 行為も交えて。
「植木・・・」
「やめろって・・・」
「お前がいつまで経ってもわかられ へんから、お仕置きや。・・・嫌か?」
「っ・・・場所考えろ場所!!」


―――――佐野が何 をしても、植木の態度は変わらない。変わらないように
見えた。
そしてそんなことを繰り 返すうちに、遂に佐野はキレた。
「ほんまにわかられへんやっちゃな お前は!!」
声を 荒げる佐野に目を丸 くする植木。
それは学校帰りにふらっと立ち寄った植木の家での出来事であった。
今、家 には誰もいない。姉は買い物、父は気分転換といったところか。
どちらにせよ、それは佐 野を止める者が誰もいないということを示していた。
勢い任せに植木をその場に押し倒 し、上から噛み付くように口付ける。
「わかられへんねやったら言葉やのぅて態度で示し たるわ!」
「ちょっ、待てって佐野!!」
植木の制止も聞かず、再度口付ける佐野。繰り 返すごとに、それは深さを
増していった。
「っ、やめろってば佐野!」
「何が嫌な ん!!」
今の佐野に下手な抵抗は無意味だ。
植木の言葉に佐野は語気を強めた。
「お前こ ういうことしたっても全然嫌やとか言わへんやん!せやったら何が
嫌なんかわから ん!!」
「いや、言ってるって。佐野が聞いてないだけだろ」
「言うてへんわ!そないな もんは全部本気とちゃうやろ!!」
「・・・確かに」





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