ゴミ箱ゴミ箱


文章になりきらなかったネタ。佐野植。




風邪






「植木ー見舞いに来たったでー」
「佐野・・・」
「さっきな、親父さんとすれ違ってん」
『あぁ佐野くん、いいところに!ちょっと出掛け なければならない用事が
できてしまってね、家を空けなければならないんだ。だが耕助が 風邪で
寝込んでしまっていてね・・・もし良かったらうちで看病をしてはくれない
か な?』
佐野は何故だか植木父からの厚い信頼を得ている。根回しが良いとも
言えるかもし れない。
「何でよりによって佐野に頼むかな・・・」
「ほんまは姉ちゃんとこ頼みに行くつもり やったみたいやけどな」
熱を出して弱っている植木は、普段の比にならないほど襲いやすそうだ。
「かて、オレもそこまで人間捨ててへんて。安心せぇ、ちゃあんと看病
したるさかい」
「う さんくさい・・・」
「何や、お前それは襲ってくれっちゅう合図か」
今の植木では抵抗することさえ適わないだろう。
「遠慮しとく・・・」
「ま、おかゆでも作ったるさかい、おとなしゅう待っとき」


とはいえ、熱に浮かされた植木は、息も荒く、何と言うか色っぽい。
「ほれ」
ふーふーと冷まし、おかゆを口に運ぶ。
しかし意識がはっきりとしていないの か、口を薄く開けるだけでそれを
食べようとはしない。
「しゃあないなぁ・・・」
佐野は冷ましたおかゆを口に含むと、口移しで流し込んだ。
流 れ込んできたものに対して無意識に口を動かす。
赤ん坊のように佐野の与えたものを受け入れる。
それを何度か繰り返しているうちに佐野の理性が途切れた。
「んっ・・・」
おかゆを机上に置き、再び口唇を重ねる。
植木がうっすらと目を開けた。
「・・・襲わないんじゃなかったのか?」
はぁはぁと肩で 息をしながら睨みつけるようにして訴える。
しかしそこにいつもの覇気はなかった。
「こ ないな状況で惚れた相手目の前にして耐えろっちゅうんがまず
無理な話や」
佐野は植木の意向などおかまいなしにパジャマを脱がせていく。
「よく言うやん、こーゆーことして汗流してしもた方が案外風邪なんぞ
飛んでいってし まうもんなんやて」
「されるこっちはたまったもんじゃないぞ・・・」
「文句は後で聞い てやるさかい、今は・・・言うこと聞いとき」
佐野が薄く笑う。こういう笑い方をすると きの佐野は大抵ただでは
終わらせない。
植木は珍しく、これを邪魔してくれる誰かが現れ るのを祈った。
「ふっ・・・ん」
「何や敏感やな。風邪のせいやろか」
にやりと笑いながら手を動かす。
「肌に触れとるだけやのに」
そう言って触れた先から軽くキスを落としていく。
熱のため に感覚が鋭くなっている植木はその度にびくりと肌を震わせた。
「は・・・もぅ、やめろよ」
力の入らない体での抵抗は空しく、植木は口で抵抗を示すし かなかった。
しかしその抵抗も佐野に通じなければ意味がない。
「何でや、意外と気持ち よさそうやん」
「よく、ねぇ・・・」
「まぁそう言わんと」
言いながら植木の肌に舌を這わせる。
やめる 気はないようだ。
「気持ちえぇんやろ?」
「ふぁ、・・・んっ」
「ええ加減に認めてしまったらええやん。 認めへんねやったらこっから
一歩も先に進まれへんで」
「だから・・・っ、オレはやめてくれた方が嬉しいんだって・・・」
「まーたいつもの口だけと違うん?」
「いや、これはマジ・・・」
「せやかて、そないに目潤ませて顔赤くしてええ匂いもさせとるのに、誘って
へんっちゅ うほうがおかしいやんか!」
「いや、だから、オレは今風邪で・・・」
「なんや、オレにされるんは嫌やんか?」
「そうじゃなくて・・・」
「せやったらええん やろ?」
「そうでもなくて・・・」
「してほしいやろ?」
「・・・して、ほしい」
佐野の矢継ぎ早な質問に思わず頷いてし まう。
「けど・・・」





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