ゴミ箱
文章になりきらなかったネタ。佐野植。
泣かせたい
「お前って、なんや怖いもんとかあらへんの?」
いつもの放課後だった。
ただいつものよ
うに待ち合わせをして、いつものように他愛もない
話をしていた。
そのはずだった。
「な
いわけじゃ、ねーよ」
「ふぅん」
「何だよ佐野、いきなりそんなこと聞いて」
ただ何かが
いつもと違っていたのだ。その日の佐野は。
「ん?いやな・・・」
何か、いつもとは違う
何かが、佐野を支配していた。
「お前泣かすにはどないしたろか思てな」
そう言って佐野
は楽しそうに笑った。
「はぁ?お前何言ってんだ?」
植木は思ったままを言う。
それが真っ直ぐに佐野に届くこ
とはなかったのだけれど。
「まんまの意味やん。植木が泣くのんが見たいねん」
「佐野・
・・変態みたいだぞ」
植木が引き気味に佐野を見る。
「変態やない!お前んことが好きな
だけや」
佐野は熱弁するが、その意味が植木に届くこともやはりなかった。
この場合植木
の言い分の方がよっぽど一般的なのだが。
「訳わかんねえ。好きだと泣かせたいのか?」
「ちゃうねん。や、せやねんけどちゃうねん」
「どういう意味だ、その関西弁」
これが言
葉の壁っちゅーやつかー!とのた打ち回る佐野。
「せやからな、好きやから泣かせた
いっちゅうんやなくて、何やろな、
好きやからどんな顔も見てみたいっちゅーか」
「さっ
ぱりわからん」
ズバッと言い切る植木。

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