「カガリっ!!」 ストライクルージュとやらで戦闘に参加したカガリ。 腕は悪くないと言い張っていたがやはりナチュラルの、しかも正式な軍人でも何でもないただの少女。 頑張ってはいるが・・・悪く言えば足手まといだ。 それでもキラは出来る限りカガリを守ろうとする。 キラ・・・これじゃ立場が逆なんじゃないのか? そう思いながら、俺はエターナルを守る。ラクスのいる船だ。落とさせはしない。 この戦闘が終わったら・・・きっと戦争にもけりがつくだろう。そうなったら・・・もう遠慮なんかしない。してやらない。 キラ、ラクスをお前に譲るつもりはないんだ。そう、今までは幼馴染のよしみで貸してやっていただけ。だってそうしないとお前、戦争なんか出来ないだろう? でも――――ほら、もうすぐ夜が明ける。 夢はここで覚めるんだよ―――――― 「キラっ!?」 エターナルに戻った俺たちを、ラクスは驚愕の表情で迎えた。 俺とカガリが、戦闘で負った傷のせいで1人では歩けなかったキラを抱えるようにして連れてきたためだ。 「キラっ・・・しっかりしてください、キラ!!」 ラクスはその綺麗な藤色の瞳に涙まで浮かべて心配そうにキラの手を取る。 「ラクス、落ち着いてください。大丈夫です。コイツはこのくらいじゃ死にませんから」 ラクスは・・・もしこんな状態でここに来たのが俺であっても、こうやって心配してくれただろうか・・・―――――? 「・・・っ」 「キラ・・・?」 キラが目を覚ますのを伺うように見つめるラクス。 「っ・・・カ、カガリ、は?」 ラクスの思いもむなしく、キラの頭にあるのはどうやらカガリのことだけのようだ。人間、死に掛けると正直になるもんだな。 「大丈夫だ。お前のおかげだよ。・・・ほら、カガリ?」 キラをここに運び入れる前から、目にいっぱいの涙を浮かべて震えていたカガリの腕を引っ張って、キラの元に寄せる。 カガリの顔を見て安心したのか、キラはほっとした様に笑った。 「良かった・・・無事だったんだね・・・」 そうつぶやくキラの顔は、心底嬉しそうだ。 「馬鹿・・・お前・・・っ良かったじゃないだろ!?私のせいでお前が・・・お前、死ぬかと思っ・・・怖かったんだぞ!!?すっごく、すっごく怖かったんだからな!!!」 泣きながらキラの胸元に顔をうずめるカガリ。 そんなカガリの頭を、キラは優しくいたわるようになでた。 「ばかぁ・・・っ」 そんなキラの優しさに涙が止まらないカガリ。 そして 「ラクス?」 俺が声をかけると、それまでキラとカガリのやり取りを呆然と眺めていたラクスが、はっとしたように顔を上げた。 「大丈夫ですか?」 「・・・はい・・・・・・」 やはりショックが大きいようで、動揺が隠せないでいるラクス。 ラクス・・・これで気付いたでしょう?キラの中に、貴女の居場所はないんだってことに・・・ 「ラクス、今は2人にしてあげましょう」 「え、えぇ・・・」 そしてまた、うつむく。 分かってはいるのに、悔しい。 ―――――そんなにキラがいい? 俺は、自分の中の感情を抑え、戸惑うラクスの手を引いて部屋を出た。 |