「カガリ・・・君は俺が守る」 「アスラン・・・」 唇が触れ合う。 キス。 だけど、こんなものはただの演出。 カガリ、すまない・・・俺は君を傷つけるだろう・・・ それでも・・・ 俺は俺のためにこの道を行く。 『アスランが信じて戦うものは何ですか?』 俺が信じるもの――――それは、俺だ。 戦略 -かけひき- 「アスラン、カガリ」 慣れ親しんだ声に振り返ると、そこにはキラがいた。 「どうしたの?こんなとこで」 「ちょっと、な」 答えながらキラの手に目をやる。 その右手で大事そうに握り締めているのは・・・? 「何か持っているのか?」 「え?あ、これ?」 キラは何のためらいもなく手を開いてみせる。 コイツは、俺の気持ちなんかに気付きはしないのだろうな。 その手の中には、指輪。見覚えのある、小さな指輪だ。 「ラクスがくれたんだ。お守り・・・かな?」 少し照れくさそうに笑うキラ。屈託のない笑顔。 その笑顔に、憎しみさえわいてきそうなほどだ。 その指輪を貰うのは、俺のはずだったのに・・・ 「俺も、カガリから貰ったよ。ハウメアの守り石」 そういって首もとのペンダントをちらつかせると、案の定少しむっとした顔で俺をにらむ。 コイツが自分の感情に気付いてくれればこっちだって楽なのに・・・ 「2人とも!何やってるんだ?ほら行くぞ!」 照れ隠しか、キラが来たとたん先に行ってしまったカガリが、やっと俺たちを促す。 「あ、待ってよカガリ」 すれ違うキラを横目に、殴りかかりたい衝動を必死で抑える俺。 自分でも滑稽だと思う。 でも キラ・・・お前にラクスは渡さない・・・ |