ゴミ箱
『面影』の原型。ハイエド前提・アルエド。
面影
時々兄さんは、どこか遠くを見ていることがある。
「兄さん?」
「ん・・・?」
「どうしたの?ボーっとしてるよ?」
「ん、あぁ、悪ぃ」
「食べるときはちゃんと食べないとダメだよ」
「・・・分かってる」
「・・・それとも、また思い出してたの?」
「え?」
「この世界の、ボクのこと」
「そんなんじゃねぇよ」
「嘘ばっかり。ボクとその人が似てるから、どうしても思い出しちゃうんでしょ」
「んなこと・・・」
「ちょっと、悔しいな」
「?」
「ボクの兄さんなのに。せっかく会えたのに。兄さんはその人を思い出して
ばっかりだ」
「・・・あいつが生きていた頃は、お前に会えなかった頃は、あいつを見て、
お前を思い出してばっかりだったよ」
「そうなの?」
「あいつには、悪いことをしたと思ってる。あいつのこと、ちゃんと見てやれ
ないで・・・」
「それで後悔して、今度はボクを見てその人を思い出すの?」
「・・・そう、なのかな」
「それって、なんか・・・」
「何だよ」
「ねぇ、兄さん」
「・・・」
「ボクはボクだよ」
「・・・っ!」
「きっと、その人もそう思ってたと思う」
「アル・・・っ」
「忘れてなんて言わないけど・・・ボクのことも、忘れないで?」

This site was opened on 9/9/2002, owner is sakura hekisui.