朝食の香りに誘われ、ミカは目を覚ました。
仄かに玄米が炊ける香りと焼き魚の香ばしい香りも感じられ、ユグが朝食に和物を選ぶとは珍しいと首を傾げる。
(…もしかして…?)
おおよそ予想はついているが、支度を済ませてキッチンを覗くと、やはりそこにはファルの姿があり、手際良く朝食の用意をしている最中であった。
「おはようファルさん、やっぱりユグじゃなかったのね」
ミカの言葉に振り向いたファルは笑顔を見せ「おはよう」と答えた。
「昨夜は果実酒を内緒でいただいたからね、これくらいはお返ししないと」
言葉の割には機嫌よく支度をする姿にミカは笑った。
「そういえば…確か何年か前に漬けてたわね、もうすっかり忘れてると思うけど…」
リビングに設置してあるソファに腰掛けようと向かったが、そこには寿が転がっていたので座るのを諦め、いつもの食卓での定位置に腰をおろすとファルが急須と湯呑みを用意してくれた。
「もう少しだから、先にほうじ茶で身体を暖めておいてね」
季節は雨期へ向かう時期。
朝はまだすこし肌寒さが残っている。
ファルの気の利く様子にミカは感心しつつ、まるで女性のようだとも思う。
(これは確かに離れがたいわね、ナル…)
すこし気の毒に思いながら、ミカはお茶を楽しむことにした。
急須を傾ければほうじ茶の香ばしい香りとともに飴色の湯が湯呑みを満たし、そのまろやかな口当たりを楽しみながら解決していないこれからのことに思いを馳せる。
まず、当初のいちばん大きな問題であったナルへの疑問は無事に解けたので、これについては母に話しても大丈夫だろうが、レッケンベル社の一件は、もしかすると千里眼で覗いていたかもしれない。
(そこは有無に関わらず、報告はするべき…かしらね…)
最後に浮かび上がってくるのは、一つの心残り。
「ファルさん、あの…例の…」
おずおずと声を掛ければファルは見当がついたようで「ああ、あれの事?」と返事をしてくれた。
「今日行ってみるけど、次期ご当主様も一緒に来るかい?」
「ええ、もちろん!ぜひお願いしたいわ?」
朝食をテーブルに手際良く配膳しながら、ファルは話を進める。
「予測ではかなり前に盗まれているだろうから、痕跡はないかもしれないよ?」
「それでも構わない、手伝ってもらえるだけで十分すぎるもの」
ミカの次期当主としての意志を感じ取ったファルは頷き、またナルを救ってくれた恩人として、その心のままに手伝うことを決めた。
「そうだね、ミカさんも事情があるだろうし…行くだけ行ってみよう」
「ありがとう、助かるわ」
そしてファルは皆を朝食の席につかせる為、それぞれを起こしに二階へと向かい、ミカは先に配膳された朝食に箸を付ける。
(この件、やっと終わりが見えてきたわ…)
「なるほど、ファルさんとミカは用事があるのか」
食後のほうじ茶を啜りながらステアが確認すると、名前を上げられた二人は頷いた。
「ちょっと遠い所だからね、半日は掛かるとおもうよ」
ファルの言葉にミカも頷く。
トゥエラーシュ家の宝物庫はミョルニール山脈の中腹、切り立った崖の斜面にその入り口はある。
そこへは血縁者のみ辿り着けるような魔法がかけられているため、徒歩で行くとなれば険しい山道を歩くしかない。
(帰りはファルさんのワープポータルがあるし、仕方ないわね…)
ミカはため息をつきつつ、ほうじ茶を口にした。
「…師匠、二人で行くの?」
ナルがすこし不安そうにファルに尋ねた。
場所こそ告げてはいないが、ファルの様子に自分絡みの件だと気付いたのだろう。
ファルとミカはナルの心情をすぐに察し、互いに目配せをすると敢えてそれを掬い上げる。
「ごめんなさい、ナルの大切な人すこし借りるわね?」
「えっ、そんな…大切だなんて…!」
ミカの言葉に顔を赤くし、ナルは慌てて師に視線を向けた。
「おやおや、もしかしてヤキモチかな?嬉しいな!」
「もう…師匠ったら!」
わざとはぐらかしたファルとミカをそれ以上追及することはできず、それこそ己の予測通りだろうとは察しつつも、ナルは黙って二人を見送ることに心を落ち着けた。
そんな中、一足早く出掛ける支度をしていた寿が時計を見るや血相を変える。
「うおぁ、やべぇ!モロクのポータル下さい!一刻を争います!」
「なんだよもう、寿はせわしないんだから…!」
ファルはブルージェムストーンを取り出し、寿の足元に向かって魔法を行使する。
ワープポータルが発動し、青白い転送魔法の光に包まれた寿はあっという間に姿を消してしまった。
どうやら寿はアサシンギルドへナルを誘拐した分の報酬を貰いに行くのだという。
レッケンベル社にナルとドッペルゲンガーを連れていった際、ちゃっかり報酬支払のサインを貰っており、その書面をギルドに提出すれば報酬が支払われるというシステムらしい。
施設を爆破させたのに払ってもらえるのかとナルが尋ねた所、前払い制なので貰えない心配はないとのことだった。
「さて、寿もモロクに送ったし…そろそろぼくらも出発しようか?」
「そうね、あまり遅くなるのも嫌だもの」
ファルの言葉にミカも立ち上がり、二人はミョルニール山脈へと向かっていった。
二人を見送った後、リビングはすっかり静かになり、日常を取り戻してゆく。
手持無沙汰になってしまったナルは、それとなくシオンに声を掛けた。
「…どうしようか?」
シオンは「ふむ」と小さく呟き、考えを巡らせる。
その側をユグがたまりに溜まった洗濯物を抱えて通った。
雨期が近付くこの季節にしては珍しく、今日は太陽が顔を覗かせている。
ユグ曰く、今日は家の用事でてんてこ舞いなのだそう。
ナルが手伝うと申し出たが、あっさり却下されてしまった。
ステアとユグとの間に交わされた約束。
それはギルドに在籍する代わり、家事の一切を引き受けることで、つまり家事こそがユグの使命であり本来の仕事なのだ。
仕事に文句のひとつもなしに楽しそうにこなす様子は、それこそユグに任せておくのが一番良いのだろうとナルは思う。
「さて、と…!」
背伸びをしたステアが立ち上がる。
「あれ…?ステア様もお出掛けなの?」
「うん、買い物があってな」
長い髪を頭の上にまとめ上げ、黒いリボンでポニーテールを作る。
ステアの赤い髪に黒いリボンはよく映え、いつもとは違う雰囲気はとても可愛らしかった。
「まぁ買い物っても、食糧だけど」
「そっかぁ…皆、忙しいのね…」
肩を落としたナルに、ステアがふふっと笑う。
「…そうだな、荷物持ちしてくれるってんなら一緒に行くか?」
「え!いいの?!」
「うちは構わないぞー、シオンはどうすんだ?」
あまり乗り気ではなかったが、ナルにつられてつい「行く」と答えてしまった。
「よし、さっさと支度するんだ、出掛けるぞー!」
かくしてステア、ナル、シオンの三人は、ゲフェンの街で買い物をすることになった。
露店が立ち並ぶ南の噴水広場、三人はそこで買い物をすることにした。
ステアはユグに持たされたメモを頼りに次々と商品を選んでは買い上げ、それを遠慮なくシオンに渡してゆく。
ナルはステアとの買い出しが嬉しいようで、一緒に品物を選ぶのに夢中だ。
つい数日前までは追われていた身であるのにも関わらず、そんな事をすっかり忘れてしまったのか油断している様子はあまりに無防備で、平和であることに慣れていないシオンだけが不安に心を揺らしていた。
(…隙だらけではないか…)
そんなシオンの心配をよそに、ナルは果物露店にて桃を見つけるとステアを呼ぶ。
「わぁ…ステア様、桃だよ桃!とってもいい香り!」
「うおー!これは買うしかないなっ!」
あまりに瑞々しい香りにつられ、予定にはない桃を買ってしまった。
「ステアよ、無駄遣いしない方がいいのではないか?」
「おぉ…シオン、おまえ案外細かいんだな…」
意外だと言わんばかりの反応をしたステアに、ナルも続いて頷いている。
(…言わない方がよかった…)
ステアから荷物を更に渡され、シオンはほんの少しだけ後悔した、その時。
どこからともなく視線を感じた。
こちらを伺いつつも控えめで、気分の害さぬほどの視線。
その視線の主をシオンは視界に捉えれば、それはあのグラストヘイム騎士団で出会ったプリースト、香翠だった。
シオンの視線に気付いた香翠は微笑みながらゆっくりと会釈をし、シオンも小さいながらも会釈を返す。
そのやり取りに気付いたステアが香翠を見つつ、シオンに問い掛けた。
「…ん、知り合いか?」
「まぁそうだな、顔見知りといった所か…」
二人の会話にとうとうナルも香翠を見付け、その表情を明るくすると彼女の元へと走り出してしまった。
「おい、ナル!」
ステアの制止も空しく、自分達の元から離れてしまったナルを二人は追った。
「こんにちは、あの時はありがとうございました!」
香翠は澄んだ声で「こんにちは」と返すと、穏やかに笑顔を浮かべた。
「ふふ、ご無事そうで何よりです」
追い付いたステアとシオンを見た香翠は、あの日より気に掛かっていた例の事を口にした。
「…問題は解決なされました?」
「はい、色々ありましたが…すべて解決しました」
ナルの答えに記憶を無くした事も解決したのだと確信し、香翠は微笑みながらゆっくりと頷く。
解決と聞いてナルの様子を伺えば、あの日、出会った時のような不安そうな表情も見られず、雰囲気も明るい物へと変わっており、これが本来の彼女なのだろうと、香翠は嬉しく思う。
「お付きの剣士様も、ご機嫌いかがですか?」
丁寧な物腰はシオンに敬意を払っての対応だろう。
香翠の穏やかで上品な振る舞いはプリーストの出で立ちに相応しいものであり、それはミカの雰囲気にも似た、生まれもった独特の気高さを感じさせた。
「ああ、其方たちの力添えのお陰でこの日を迎えることができた、感謝している」
シオンからの言葉を受け取り、香翠は嬉しそうに頷いた。
込み入った詳しい事は分からなかったが、どうも二人が世話になった様子は伝わったので一歩前に出たステアは頭を下げた。
「ナルの所属するギルドマスターのステアです、二人が世話になったみたいで…ありがとうございました」
「いえ、そんな…どうか顔を上げて下さいな」
ステアの深い礼に恐縮しながら、香翠は穏やかに頷く。
彼女の香水なのだろう、上品な苺の香りが風に乗った。
「私、そろそろ行かなくては…またどこかでお会い出来たら良いですね」
「ええ、また機会があれば!」
別れを告げた香翠の後ろ姿に、ナルはいつまでも手を振っていた。
「よーし、残りの買い物もさっさと済ますぞ!」
「おー!」
ステアの元気な声にナルもつられて返事をする。
そんな二人のやり取りを見ながらシオンの頭に、香翠と共にいた深淵の騎士が思い出される。
彼もまた闇で生きるモノ。
(その心持ち、聞いておくべきだったな…)
「シオン、置いてくぞー?」
思いに耽っているとステアの声で思考が遮断される。
「…ああ、今行く」
悪魔の憂いはゲフェンの風に乗り、ふわふわと消えてゆくのだった。
一方、ファルとミカは、ミョルニール山脈の山路を歩いていた。
ホーネットが忙しそうに大輪の花から花へと蜜を集め、その大きな羽音があちらこちらで響いている。
魔法都市からどんどん離れれば人の気配は薄れていき、道も獣道へと逸れていく。
方角は確かにトゥエラーシュ家の宝物庫へ向かっており、ミカはため息混じりに呟いた。
「ファルさん、本当に場所を把握しているのね…」
ミカの言葉に振り返りこそしないが、苦笑したファルは答える。
「うん、まぁ…偶然見付けたんだけどね」
そして、ようやく切り立った崖へと辿り着いたファルが谷底を確認するため慎重に身を乗り出すと、途端に強い風が吹き上がり彼の蜂蜜色の髪を荒く揺らした。
風が落ち着いたのを見計らい改めて身を乗り出すと、谷底には風で削られた岩肌が鋭利な刃となって天に向いており、そこはまさに自然の要塞であった。
谷底を見つめるファルの背中に向かって、ミカが髪を掻き上げながら尋ねた。
「確かにこの真下に入り口があるけれど、一体どうするのかしら?」
「ふふ、こうするのさっ」
そう答えた瞬間、ファルはミカの手を取り崖から一気に飛び降りた。
悲鳴を上げる間もなく視界は反転し、何かが岩に突き刺さる鋭い金属音が響くと、二人の身体はぶら下がるようにして空中に留まっていた。
よく見ればファルが崖の斜面にカタールを突き立て、それに掴まる形で落下する事なく留まっていたのだ。
そして二人より下方、そこには確かに宝物庫の入り口が顔を覗かせている。
「もう!無茶するわ、本当に…!」
「ふふ、無茶はぼくの得意技なんでね!」
ミカの飽きれた声に忍び笑いをし、ファルはミカを抱えると宝物庫への足場に向かって飛び降りた。
飛び降りる際、カタールも抜き取ってしまう辺りが器用なファルらしい。
「さあ、ここで間違いない…よね?」
崖の斜面に空いている洞窟を利用して作られた宝物庫。
「ええ、間違いないわ」
それを守るのはオリデオコンで作られた、青銅色をした頑丈な扉であった。
綺麗な花や鳥が描かれた装飾のなか、一際目を引くのはトゥエラーシュ家の家紋であり、全く人が寄り付かないにも関わらず、オリデオコンの輝きは今も光を湛えて二人を歓迎している。
「どうする、このまま鍵開けもしようか?」
ファルの言葉に首を振り、ミカは扉へ手をかざす。
彼女の髪と瞳がゆっくりと赤味を帯び始め、鈴のような声は呪文を呟き始めた。
「トゥエラーシュの名において命ず、開け蒼き門…!」
ミカの言葉に反応した扉はガチャガチャと音を立て始めた。
その音の数々は扉に細工された幾重もの鍵が開錠されるものであり、それがどれ程繊細かつ高等な技術を持って造られたのか、元アサシンであるファルでなくとも分かるほど。
「…複雑な鍵だね、なかなかお目にかかれない類いだよ」
ファルの言葉に髪色のもどったミカは頷く。
「そうよ、だからこそナルに相応しい場所だったの」
解錠された扉をミカが開くと、宝物庫は暴かれた。
二人はゆっくりと宝物庫へと足を踏み入れるが中は薄暗く、ファルは照明魔法であるルアフを唱える。
すると魔法に照らされた煌びやかな宝石や金属の数々が途端にその存在を誇示し、それはファルがほんの一握り宝石を掴んだ分だけでも残りの人生を遊んで暮らすには十分たりえる金額になりそうな質と量であるのが分かり、ただただ羨ましいことこの上ないとため息がもれる。
「いやいや、なんとまあ…羨ましい限りだね…」
ファルに構うことなく、ミカはどんどん奥へと足を進める。
一番奥には鍵付きの古く青い宝箱があり、ミカが呪文を唱えれば鍵は音を立てて開かれる。
しかし箱の中は空っぽで、ミカはため息を吐き出した。
「ナルはここに入っていたの…」
覗き込むファルにそう伝えたミカは、近くにあった腰掛けるには程よい大きさの別の宝箱の上に腰を降ろす。
一方、ファルはじっくりと宝箱の内装を観察する。
赤い絨毯のように敷き詰められた絹の裏地は、確かに特別な物をしまうに相応しい雰囲気があり、この中に永い間ナルがいたと思うと、なんともいえない気持ちになった。
「…ナルの揺り籠、って所かな…」
そう呟くと、布の継ぎ目に優しく指を這わせてゆく。
(ここでずっと眠っていたんだね…)
感慨深くなぞり続けていると、ある場所で違和感を感じ、それはファルの指を止めた。
その部分を丁寧になぞると、やはりそこには何かがある。
慎重に布を捲り上げその正体を目で確認すると、刃物のようなもので引っかいた跡が姿を現す。
よく観察すればそれは傷などではなく、何かの印のようにも見える。
「…この印、どこかで…」
ファルが記憶を辿っていると、それはすぐ頭に浮かんだ。
そうだ、この印はよく知っている。
「そんな…まさか、ね…!」
じっくりとそれを見つめ直すが、どう見ても間違いない。
ファルの様子に気付いたミカが首を傾げながら尋ねる。
「なにか見付かった?」
額に手を当ててため息をつき、ミカに向かってファルはその結論を告げた。
「どうやらアサシンだった父が盗んだみたいだ…これが証拠なんだけどね…?」
怪訝そうなミカが身を乗り出してファルが指差す場所を見ると、米粒ほどの大きさであるものの、蛇を連想させる印がそこにあった。
「…これがファルさんのお父様が盗んだ証になるの?」
「うん、盗んだ物の近くにこの印を付ける事、それが父の誇りだったみたいだからね…」
ミカの問いにファルは情けない笑顔を浮かべて答えた。
裏地で隠すようにされた小さなそれは、常人ではまず見付けるのは不可能。
証拠を残すということ。
それはアサシンという業の深い職に身を捧ぐ父の、唯一譲れない誇りだったのかもしれない。
今となっては真実こそ分からないが、亡き父が自分とナルを繋ぐ分岐点を作っていたことに、ファルは改めて愛弟子への運命を感じる。
「アサシンが絡むってことはやっぱりレッケンベルが依頼して、ということね?」
ミカの言葉にファルは頷く。
やはり推測は間違っていなかったうえ、こうしてあっさりと盗難の証拠もとれた。
「これでナルに関わることは全部だと思うけど、納得はいったかい?」
ファルの問い掛けにミカは背伸びをしながら「そうね」と、諦めたような表情を浮かべた。
あとはトゥエラーシュ家の何世代か前を徹底的に調べ上げれば、どこで情報を流したかはすぐに分かりそうであるし、もはやそれはミカと現当主である母であるミレイの仕事である。
(骨が折れそうだけど、やるしかないわね…)
箱を再び施錠し、ミカは憂いていた言葉を口にする。
「…無粋だけど、ファルさんはナルと二重の君の結果…あれで良かったの?」
それは弟子のナルが選んだ、魔の道という選択。
正直、永遠の愛など信じられないし、彼女の聖職者という立場を考えると許し難い選択であるが、ファルは昨夜のシオンとのやり取りを思い出し、なんとも不服そうに苦笑した。
「よくはないけど、隙あらば狙いたいなって思ってるよ」
「でしょうね?」
ミカは笑みを浮かべながら答えたが、未来を案じれば自然とある考えが浮かんだ。
「でも、それも…いいかもしれないわ」
「あれ、意外だな…もしかして応援してくれてる?」
ファルの反応に首を横に振りつつ、ミカは二人きりという機会にその考えを提案する。
「でもナルの為だから…ファルさんのこと、もうすこし利用させてもらうわね?」
そしてミカより授けられた知恵はファルにとって人生でもっとも素晴らしい案であり、退魔師は迷う必要も悩む必要もない大きな決意をした。
「ああ、もちろんだとも!任せておくれよ!」