「Stray Sheep」あらすじ
■-8 出会い
Stray Sheep
英雄の町近辺にある盾の城を訪れたアースラ達は、突如城から逃げ出してきた四人に巻き込まれて引き返す。盾の王の持つ英雄の盾に弾き返され、ひとまず撤退したらしい。
エスパーの兄リッツレー、エスパーの弟シシララ、人間でリッツレーの妻のウェルハート、モンスターのセイドマータの四人もまた塔の封印を解く為に英雄の武具を集めようとしていた。
「此処で会ったのも何かの縁だし、この先協力ってどうだ? 楽園は無くなるもんじゃなし」
リッツレーの言葉に偽りは無いと判断し、以後共闘する。
仕切り直し、八人は大陸世界の北東にある鎧の城へ向かう。城下町で偶然セイドマータが鎧の王・ジェレイクの恋路の悩みを聞き、王から正式に依頼を受けて南のサロダ村へ向かう。
サロダ村にて王へ想いを寄せる娘パーラから、近くの洞窟を根城とする盗賊に脅され、村の安全の為に王へ応えられないとの悩みを聞き出す。中でもウェルハートは苛立ちも頂点に達し、怒り心頭だった。
「何で王様にその事言わないのさ、軍隊で滅多打ちにしてやりゃいいものを」
「それは……ジェレイク様にご迷惑がかかります」
「がーっ! どいつもこいつも! 解ったよ、やりゃいいんでしょうが! その盗賊団ってのは何処にいるんだい!?」
「な……南西の、山に、洞窟が……」
「行くよ、今日中にアジトぶっ潰すよ……!」
盗賊団との戦闘中、モンスター・毒蛙にのしかかられたシシララに異変が起こる。体が変形し、怪物と化すシシララ。
「うぶじゅるるるるる、べあああああっ」
暴走するシシララに歩み寄ったのはアースラだった。
「もういいよ、シシララ」
あそこにいるのは自分だと。
シシララはモンスターの組織を一定以上取り込む事で怪物と化す特異体質の持ち主だった。
フェレスが一言零す。
「人間だったら、赤目だったかもしれないのに」
瞬間、激高するウェルハートをリッツレーが押さえた。
「あんたがっ、あんたが怒らないから! あんたが何で、黙って一人で苦しまなきゃいけないんだよっ、……く、くそおおおおおおおおっ!」
「解ってる、俺は、大丈夫だから、な?」
「だって……さ……」
「大丈夫だから」
まだ誰も気付いていなかった。
補足
「サロダ村」の名称はゲームブックより。
Stray Sheep SIDE
幼い頃のリッツレーとシシララの物語。
右の瞳が無い弟を恐れ、名前すら与えなかった両親に反発するリッツレー。そして弟の特異体質を知る。
「俺、今日、から、それに、な……グブ、る」
怪物と化した弟の側にあった絵本。いつかリッツレーが持ち込んだものだ。空気の妖精が魔女から体を貰ったが、それは化け物の体だった。化け物へ向けられる恐怖に妖精は悲しみ、また空気の姿に戻った。
「お前の……、お前の名前は」
シシララ。空気の妖精の名前だった。
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