かかあ天下
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No.11
DB
守りあえる、そんな関係でいたい(永遠の恋人へ十の言葉)
深い深いキスをして、喉から響く声を全部吸い取る。震える体が篭もった熱を全て吐き出したのを見計らって離れていく。
名残惜しいと訴える舌を自分のそれで甘やかしてやりながら、悟飯はトランクスに埋め込んだ自身をゆっくりと引き抜いた。
その感触にも過敏に反応する小さな身体を背中を撫でて宥める。
潤んだ目がもう一度、と強請ってくるが流石にもう限界だった。
ぱふん、と枕に顔を埋めると、脱力した腕の中にトランクスが自分からもぐりこんできた。湿った肌が沈めようとしているはずの熱情を再燃させてしまいそうでちょっと困った。
悟飯は片側だけ顔を持ち上げ、呟いて見せる。
「……甘えんぼ」
「甘えんぼだもん」
トランクスは楽しそうに言い返した。
そんな恋人を見つめる悟飯の目は笑っている。所詮は睦言ということだ。
「悟飯さん、もう一回キスして」
「何だ、甘えんぼ病かい?」
くす、と笑う。
トランクスの唇はずっとかみ締めていた所為で口紅も注さないのに赤くなっている。
林檎よりも赤いかもしれない。
悟飯はそんなことを思いながら可愛い恋人のリクエストに応えてやる。
触れるだけのキスをしてすぐに離れると、不満そうに腕を掴まれた。
拗ねた顔さえ愛しいのは全くどうしてくれたものか。
額に、瞼に、頬に。順に唇を落としていき、閉じたままの瞼にちょっとばかし悪戯心が擽られ、最後に鼻頭をかぷりとやってみた。
「! はにゃ、噛んだっ!」
「油断してるからだよ」
「馬鹿っ、悟飯さんの馬鹿っ」
トランクスは鼻を押さえ、真っ赤な顔で悟飯を罵る。
罵りの言葉が「馬鹿」以外出てこないのは、悟飯の教育の賜物だ。そんな悲しい言葉はあまり覚えて欲しくないから。そんな哀しい言葉はこの優しい少年に相応しくないから。
そして何故「馬鹿」という言葉だけは許容しているのかと言えば、拗ねた顔で呟かれるそれがどうしようもなく可愛いから。とんだマニアック師匠である。
「ほら、消毒」
言って鼻を押さえる手を退かし、ぺろ、と悟飯が鼻先を舐めれば一瞬にして茹蛸と化す。
大人しくなった弟子を抱え込み、悟飯はその柔らかな髪に顔を埋める。汗と、トランクスの匂い、それに混じった自分と同じシャンプーが香って幸せな気持ちになった。
トランクスは少し身じろぎしたが、居心地のいい場所を見つけたのかそのまま悟飯に抱かれたまま。
言葉もなく静かに過ぎる時間が眠気を誘ってきた頃、トランクスがぽつりと呟いた。
「僕、女だったらよかったな」
悟飯はぎくりと身体を振るわせた。
「……なんで?」
掠れた声で、それでも聞かぬわけにもいかない、と理由を促す。
しかし。
「だって、そしたら悟飯さんの子供が産めるでしょ。
それで、サイヤ人がいっぱいで、スーパーサイヤ人もいっぱいで、人造人間も袋の鼠!」
ね? と微笑むトランクスは全くの無邪気。
男同士でこんなことをしている背徳感にでも目覚めてしまったのかと一瞬心臓を振るわせた悟飯は見事なる肩透かしに「それは素敵だね」と激しく投げやりな答えを返した。
未だスーパーサイヤ人になれぬ身での絵空事だろうか。弟子の考えがさっぱり読めずに口を閉ざした。
しかしトランクスはそれを肯定と受け取って、「でしょでしょ」と畳み掛ける。
「人造人間を倒すでしょ、その後は人口がすごく減ってるけど、殺される心配は無いから子供がいっぱい増えるよ」
自分も子供じゃないか、と悟飯は突っ込もうとして、その子供に手を出している自分は何なのか、と落ち込みそうになった。しかしトランクスは悟飯に落ち込む暇も与えずまくし立てる。
「子供が外で遊べるんだよ。
公園とか、ほら、悟飯さん、前連れてってくれた、遊園地もいっぱい、出来るよ。でも遊園地作るのも人が要るから、僕がいっぱい生むよ。サイヤ人がいっぱいいれば力持ちだから公園も遊園地もすぐ建てられるでしょ」
くすくす笑いながら提案をしてくるトランクスに、悟飯はそうだねぇと頷いた。今度はしっかりと心を込めて。
何て幸せな未来なんだろうか。悟飯は思う。
トランクスが女であって欲しかったなどと思ったことはないけれど、その話を聞いているとそれもまたいいな、と思ってしまう。それはとても不思議な気持ちだった。
有り得ないと知っている。現実とは違う。夢物語だ。
タラレバ話など、今の世界では切なくなるだけのはずなのに、トランクスの口から語られたそれは悟飯をたまらなく幸福にさせる。
それこそ、何が何でも己の手で叶えたい、と思うほどに。
「あ、でも悟飯さん子供好きだから、僕のことほったらかして子供ばっかり可愛がりそう」
「そんなことないさ。世界で一番トランクスが好きだよ」
さらりととんでもない告白をして、固まるトランクスに気付かず悟飯はその唇をそっと奪った。ありがとう、の気持ちも込めて。
徐々に上がる自分の体温を自覚して、トランクスは悟飯の逞しい胸に顔を押し付けた。
その様子を悟飯は「また甘えんぼ病?」と微笑ましく誤解するが、今のトランクスには都合が良い。
こんな、情けない顔見せられない。
悟飯の言葉はトランクスにとって予想外だった。
てっきり『トランクス「も」可愛がるよ』、とか。よくて『トランクス「も」好きだよ』とか。そう言われると思った。そしてそれで満足する心の準備は出来ていたのに。
いつも貰ってばっかりだ。トランクスは思う。
悟飯にはいつも幸せな気持ちを沢山貰っている。ちょっとした仕種で、ちょっとした言葉で、少しでもトランクスを気にかけてくれているのだと教えられるだけで幸せになれる。
少しは返せているのだろうか。いつかは返せるのだろうか。思うけれど、悟飯は大人すぎてトランクスには彼の思いの内が分からない。
でも必ず。
そんなことを考えているトランクスは知らない。
「僕も、悟飯さんが一番大好き……です」
伏せた頬を必死で隠して告げた言葉に、悟飯が嬉しさの余り卒倒しそうになったこと。
幸せそのものを体現した表情で微笑んだこと。
#DB
#飯トラ
2025.1.25
No.11
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名残惜しいと訴える舌を自分のそれで甘やかしてやりながら、悟飯はトランクスに埋め込んだ自身をゆっくりと引き抜いた。
その感触にも過敏に反応する小さな身体を背中を撫でて宥める。
潤んだ目がもう一度、と強請ってくるが流石にもう限界だった。
ぱふん、と枕に顔を埋めると、脱力した腕の中にトランクスが自分からもぐりこんできた。湿った肌が沈めようとしているはずの熱情を再燃させてしまいそうでちょっと困った。
悟飯は片側だけ顔を持ち上げ、呟いて見せる。
「……甘えんぼ」
「甘えんぼだもん」
トランクスは楽しそうに言い返した。
そんな恋人を見つめる悟飯の目は笑っている。所詮は睦言ということだ。
「悟飯さん、もう一回キスして」
「何だ、甘えんぼ病かい?」
くす、と笑う。
トランクスの唇はずっとかみ締めていた所為で口紅も注さないのに赤くなっている。
林檎よりも赤いかもしれない。
悟飯はそんなことを思いながら可愛い恋人のリクエストに応えてやる。
触れるだけのキスをしてすぐに離れると、不満そうに腕を掴まれた。
拗ねた顔さえ愛しいのは全くどうしてくれたものか。
額に、瞼に、頬に。順に唇を落としていき、閉じたままの瞼にちょっとばかし悪戯心が擽られ、最後に鼻頭をかぷりとやってみた。
「! はにゃ、噛んだっ!」
「油断してるからだよ」
「馬鹿っ、悟飯さんの馬鹿っ」
トランクスは鼻を押さえ、真っ赤な顔で悟飯を罵る。
罵りの言葉が「馬鹿」以外出てこないのは、悟飯の教育の賜物だ。そんな悲しい言葉はあまり覚えて欲しくないから。そんな哀しい言葉はこの優しい少年に相応しくないから。
そして何故「馬鹿」という言葉だけは許容しているのかと言えば、拗ねた顔で呟かれるそれがどうしようもなく可愛いから。とんだマニアック師匠である。
「ほら、消毒」
言って鼻を押さえる手を退かし、ぺろ、と悟飯が鼻先を舐めれば一瞬にして茹蛸と化す。
大人しくなった弟子を抱え込み、悟飯はその柔らかな髪に顔を埋める。汗と、トランクスの匂い、それに混じった自分と同じシャンプーが香って幸せな気持ちになった。
トランクスは少し身じろぎしたが、居心地のいい場所を見つけたのかそのまま悟飯に抱かれたまま。
言葉もなく静かに過ぎる時間が眠気を誘ってきた頃、トランクスがぽつりと呟いた。
「僕、女だったらよかったな」
悟飯はぎくりと身体を振るわせた。
「……なんで?」
掠れた声で、それでも聞かぬわけにもいかない、と理由を促す。
しかし。
「だって、そしたら悟飯さんの子供が産めるでしょ。
それで、サイヤ人がいっぱいで、スーパーサイヤ人もいっぱいで、人造人間も袋の鼠!」
ね? と微笑むトランクスは全くの無邪気。
男同士でこんなことをしている背徳感にでも目覚めてしまったのかと一瞬心臓を振るわせた悟飯は見事なる肩透かしに「それは素敵だね」と激しく投げやりな答えを返した。
未だスーパーサイヤ人になれぬ身での絵空事だろうか。弟子の考えがさっぱり読めずに口を閉ざした。
しかしトランクスはそれを肯定と受け取って、「でしょでしょ」と畳み掛ける。
「人造人間を倒すでしょ、その後は人口がすごく減ってるけど、殺される心配は無いから子供がいっぱい増えるよ」
自分も子供じゃないか、と悟飯は突っ込もうとして、その子供に手を出している自分は何なのか、と落ち込みそうになった。しかしトランクスは悟飯に落ち込む暇も与えずまくし立てる。
「子供が外で遊べるんだよ。
公園とか、ほら、悟飯さん、前連れてってくれた、遊園地もいっぱい、出来るよ。でも遊園地作るのも人が要るから、僕がいっぱい生むよ。サイヤ人がいっぱいいれば力持ちだから公園も遊園地もすぐ建てられるでしょ」
くすくす笑いながら提案をしてくるトランクスに、悟飯はそうだねぇと頷いた。今度はしっかりと心を込めて。
何て幸せな未来なんだろうか。悟飯は思う。
トランクスが女であって欲しかったなどと思ったことはないけれど、その話を聞いているとそれもまたいいな、と思ってしまう。それはとても不思議な気持ちだった。
有り得ないと知っている。現実とは違う。夢物語だ。
タラレバ話など、今の世界では切なくなるだけのはずなのに、トランクスの口から語られたそれは悟飯をたまらなく幸福にさせる。
それこそ、何が何でも己の手で叶えたい、と思うほどに。
「あ、でも悟飯さん子供好きだから、僕のことほったらかして子供ばっかり可愛がりそう」
「そんなことないさ。世界で一番トランクスが好きだよ」
さらりととんでもない告白をして、固まるトランクスに気付かず悟飯はその唇をそっと奪った。ありがとう、の気持ちも込めて。
徐々に上がる自分の体温を自覚して、トランクスは悟飯の逞しい胸に顔を押し付けた。
その様子を悟飯は「また甘えんぼ病?」と微笑ましく誤解するが、今のトランクスには都合が良い。
こんな、情けない顔見せられない。
悟飯の言葉はトランクスにとって予想外だった。
てっきり『トランクス「も」可愛がるよ』、とか。よくて『トランクス「も」好きだよ』とか。そう言われると思った。そしてそれで満足する心の準備は出来ていたのに。
いつも貰ってばっかりだ。トランクスは思う。
悟飯にはいつも幸せな気持ちを沢山貰っている。ちょっとした仕種で、ちょっとした言葉で、少しでもトランクスを気にかけてくれているのだと教えられるだけで幸せになれる。
少しは返せているのだろうか。いつかは返せるのだろうか。思うけれど、悟飯は大人すぎてトランクスには彼の思いの内が分からない。
でも必ず。
そんなことを考えているトランクスは知らない。
「僕も、悟飯さんが一番大好き……です」
伏せた頬を必死で隠して告げた言葉に、悟飯が嬉しさの余り卒倒しそうになったこと。
幸せそのものを体現した表情で微笑んだこと。
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