炎色反応 第五章・11



まだぬるつきを残した指が広がった穴に浅く差し入れられる。
暖かく湿った内部を撫でながらヴィントレッドは妙に真面目な声でつぶやいた。
「こんな格好で、奥まで丸見えだってのにまだ何か隠してるだろう。オレはそれが知りたい」
指が更に入り口を広げる。
うずく穴に亀頭の濡れた感触が押し付けられた。
「とりあえず、一度抱いてみりゃ具合は分かるな」
先の真面目さから一転、口笛でも吹きそうな声になって彼はふざける。
「さあ入れるぜ、兎ちゃん。可愛い声で鳴いてくれよ?」
つるりとした丸みが入り口を押し広げる、慣れきった感覚にティスは唇を噛んだ。
「……ンッ……!」
ゆっくりと押し込まれた物が深く根元まで埋まるのが分かる。
「さすがの締まりだな…………」
かすかにかすれた声でヴィントレッドが感想を述べた。
途端にティスの背筋をぞくっと走った何かは、間違いなく快楽だった。
「あっ」
しばらく放り出されていた乳首にも指先が回ってくる。
透明なその指に両の胸を嬲られながら、何度も奥まで貫かれた。
「ふぁっ! あっ、あう、や、嫌!」
ぬるつく指に塗られていたと思われる何かは、もしかすると薬というより一種の魔法具なのかもしれない。
それにまみれた乳首と尻の中がひどくうずく。
体格に見合った太くて熱いもので、これ以上ないぐらい激しく抜き差しされているはず。
なのにまだ足りないと思う自分がいて、背でくくられた指が激しく宙を掻きむしった。
無理やり犯されているのだと思おうとするのに、乱暴な愛撫に頭の中が溶けていく。
「だ、め……だめ…え……」
「嫌、やめて、だめか。こんなにきゅうきゅう吸い付いて来てそりゃないだろ、兎ちゃんよ」
すっかり満足した様子のヴィントレッドの声がした。
「ああ、可愛いぜ。真っ赤な中がよおく見える。オレに突かれるたびにその形に広がって、いやらしいったらねえな」
「やだっ……!」
打ち付けられる腰と言葉に翻弄され、ティスは必死になって首を振る。
しかし気持ちとは裏腹に淫らな身体は止まらず、ヴィントレッドに突かれるたびに肉の入り口の縁から半透明の液を零した。
はしたなく涎を零す穴の中を覗き込みながら、見えない男は気配だけで笑った。
「女みたいに濡れてるじゃねえか。これは本当に薬だけか、ああ?」
じゅぷじゅぷと音を立てる肉棒でティスを征服しておいて、まだ足りないとでも言いたげに執拗に奥を攻め立てる。
「淫乱兎ちゃんは、男の子のくせに自前で濡れるのか。薬なんか要らなかったな、悪い悪い」
「やぁ……ンッ、ちが、違う……よぉ………」
上がる水音に頬を染めながらティスは金髪を振り乱してよがった。
穴を広げきるようにして突きまくられ、呼吸もままならないぐらいなのに気持ち良くて仕方がない。
透明の肉棒に中を広げられ、さぞ恥ずかしい格好になっているだろうにそう考えることすらもう愛撫の一つだ。
「尻尾もがちがちだしな」
「ひゃんっ」
乳首をなぶっていた指が唐突に放置されていた性器に触れる。
乱暴に扱かれると、声にならない快楽にティスは身体を痙攣させた。
「ぬるぬるしてるぜ……乳首と尻をいじられて昇天寸前たぁ、本当に男か?」
「あ、あっ……、やめて、もうっ、おかしくなっちゃう……っ」
ヴィントレッドはあちらこちらと愛撫の矛先を変えながらも、尻肉の中をかき回すその動きだけは変わらない。
地面に接している膝がこすれて痛いはずなのにそんなものとっくに意識の外だ。
「ひぃ、あ、あうっ…、だめぇ、ヴィント…様ぁ、もうしないで、オレっ、変になっちゃ…!」
光の鎖に四肢を囚われ、嫌がりながらもなすすべもなくよがり狂うティス。
その中でヴィントレッドのものはどんどん質量を増していく。
「そんなに犯して犯してせがむなよ、可愛い奴だな…!」
ぎりぎりまで引き抜いては突き入れ、引き抜いては突き入れを繰り返し始めた魔法使いの声も段々切羽詰って来ていた。


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