炎色反応 第五章・5



「なるほど……いい具合だ。ひくついて、嬉しそうに絡み付いて来る」
わずかに興奮した声でエルストンは言うと、そのまま規則的に腰を動かし始めた。
「ああっ、ん、んっ…、エルストン、さんっ……」
陰鬱で無愛想な小屋の主のものは、少なくとも本人よりは雄弁だった。
極めて単調な動きではあるが、的確にティスのいいところを突いて来る。
エルストンに貫かれ、よがるティスのあごをオルバンは取った。
口を開けさせ、その中にまた自分のものをねじ込む。
「……ふっ……ん、う」
粘つく音を立てて出入りする肉棒に突かれながら、夢中で主人のものをしゃぶった。
上下の口をふさがれ、白く霞んでいく頭の中にオルバンとエルストンの声が遠く響いている。
「どのみち少し時間が欲しい。何日かしたらまた声をかけてくれ。進捗状況を報告する」
「期待してるぜ」
やがて朦朧としながらエルストンの精液を受け止めたティスの中に、体を入れ替えたオルバンのものが挿入される。
「ふぁ、んっ………、ん、ん」
十分にほぐされた穴には彼の太いものも楽々と埋まってしまう。
「あっ、あぅっ、いい、いいっオルバン様ぁっ」
今度はエルストンの腰にすがり、背後から容赦なく攻められながらあえぐティスを見下ろしてエルストンは感心したような声を出した。
「さっきの玩具、確かに興奮剤が入っていると聞いているが…………それにしても大した淫乱だ。この調子なら何でも入りそうだな。ベッドの柱で一人でやらせてみないか?」
結局それ以降は下らない猥談が続けられる中、ティスは夜が明けるまでよがり狂わされた。


***

まだ中に何か入っている気がする。
「……ん…」
オルバンの腕に抱かれ移動を続けながら、ティスはもじもじと体を動かした。
「どうした?」
火の魔法によって生み出された赤い光の道の上、滑るように移動しながらオルバンが平気な顔で聞いて来る。
エルストンの家を出て、立ち枯れたような貧相な木が立ち並ぶ林の中に入りしばらく経ってからのことだった。
明け方までティスを攻め立てていたのだから、オルバンも徹夜明けである。
なのに彼の顔には全く疲労の色などない。
鍛え方が違う、としか言えなかった。
とはいえティスも夕べは随分ひどいことをされた。
エルストンのベッドの頭の部分にある柱に油を塗り、その上に無理やりまたがらされて腰を振らされた。
張り型と同じことではあるかもしれないが、絶対にこっちの方が異常だと思う。
しかしオルバンはためらうティスを背後から抱え上げ、がくがくと揺さぶって結局絶頂まで導いてしまったのだ。
「……いえ、何でもありません」
「何だ、何か言いたそうだな」
ははあ、とオルバンはわざとらしい声を出した。
「さてはベッドの柱とやるのが気に入ったか? じゃあ次の宿は、まずベッドの具合を見てから決めような」
下卑た台詞に返す言葉に詰まってしまうと、オルバンはくすくすと機嫌が良さそうに笑った。
「まあエルストンからまた話を聞く必要もある。そう離れるつもりはない。いっそあいつの家にしばらく居候していてもいいんだが……」
家主と相談もなしに勝手なことを言うオルバンだが、ふとその瞳が細められた。
唐突に移動が止まる。
移動用の赤い光……オルバンの話によるとこれは赤路というものだそうだが、その光もかき消え地面に着地したのが分かった。
「オルバン様?」
雰囲気の変化を感じ、ティスがおずおずと声をかけるとオルバンは無言でついと右手を空に掲げた。
指先に飛んで来る光の塊。
それが何かは分からないが、オルバンは光が自分の指先に触れ消えた途端に眉をひそめた。
「やられたか。見張っていたな」
「え…?」
「エルストンの小屋が襲撃された。本人は一応生きちゃいるようだが、拷問されてオレたちが来たとしゃべったと言っている」


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