炎色反応 第四章・21



「あっ…」
「濡れてるな?」
「あ、んっ………ぬ、塗り薬、を…」
軟膏を塗られたそこへのからかいに、ティスは顔を赤くして答える。
「あいつが塗ってくれたのか。それとも自分で?」
「ディアル、様がっ……ああっ」
難なく二本、第二関節辺りまでいきなり埋め込まれて声を上げる。
「あいつも相当でかいらしいからな………やっぱりオレがやっといて良かっただろう、レイネの奴。ディアルのでか物をいきなりぶち込まれたら死んじまうぜ」
下世話な台詞を吐く端正な唇がにやりと笑う。
「あっ!?」
ぐいと下方に引かれ、ティスは体勢を崩した。
地面の上に軽く背を浮かせ、寝転がったオルバン。
その上に座り込んでしまったティスは、訳も分からぬまま魔法使いの上に正面からまたがった形にさせられてしまう。
体位を変えたために一度は抜かれた指が、そうしている内に下から差し込まれた。
中途半端に宙に浮いた白い尻が、ディアルの残していった布の下でもだえる。
「んあっ……!」
ぐちゅぐちゅと音を立て、唾液と軟膏に濡れたそこをかき回された。
「はっ、ああっ……ああ、あっ、やあ…」
薬を塗るための、極めて優しいディアルのそれとは全く異なる動き。
骨張った長い指に犯され、内側から身体が燃え上がる。
「はっ、ああっ……、あっ、だめ……」
右手の指を下の口に含ませたオルバンは、左手を伸ばしティスの頬に触れた。
柔らかな頬を掴むようにして、薄く開いた少年の唇に親指を突っ込む。
「ん、んん……ふぅ」
とろりと蕩けた瞳をして、ティスは口の中の指に舌を這わせた。
膝が砕け、オルバンの上にしゃがみ込んでしまったが、それでも二箇所への愛撫は変わらず続く。
「熱いな…」
ひくつく内部の熱と、濡れた舌の感触をその指先に感じながらオルバンは満足そうに瞳を細めた。
「どちらも絡み付いて来る。さあ、どっちに先に飲ませて欲しい?」
ぞくりとするような艶を帯びたような声を聞くと、背筋を甘い痺れが駆ける。
途端、オルバンの指を含んだ奥の穴がきゅっと締まった。
「ふう、ん…」
そこで返事をしたようなものだ。
恥ずかしさに眉根を寄せるティスを見つめ、黒衣の魔法使いはにやにやする。
「なるほどな。早く入れて欲しいか」
「ちが…………んぅ、んんっ」
ぬちゃっと音を立て、濡れた指が淫らな粘液を引きながら抜かれる。
「性懲りもなく他の男をくわえ込んだ罰だ。今夜は働いてもらうぞ、ティス」
埋められた指を求め、ひくつく穴の縁を指先でなぞって彼は笑った。
「自分で入れてみろ」
「ふぁ、あ……?」
口の中に入れられていた指も抜かれたティスだが、続く命令には寝ぼけたような声しか出せなかった。
「オレにまたがって、自分で尻を揺すれ。欲しいところに届くように、存分にな」
「…………そん、な……」
戸惑いを隠せないティスの腕をオルバンが掴む。
そのまま引き寄せられ、彼の下肢でいつしか硬くなっている部分に触れさせられた。
ゆったりとした黒衣のせいで目立たないが、ディアルは規格外としても十二分に大きいそれは震える指先の下で脈打っている。
こくりと喉が鳴った。
怖くて恥ずかしくて仕方がない。
でも、これが欲しくて仕方がない。
この男に犯されたい。
「脱がせ方が分からないか? ほら、引っ張ってみろよ」
いつもと逆に、オルバンはティスの手を取り自分の服の前を開かせる。
厚い胸板、引き締まった腰、そしてその下で猛々しくそそり立ったものが月の下に露になった。
己の魅力を知り尽くした男の裸体は、不遜に地面に横たわってなお挑発的で……目が、離せない。
「欲しくないのか?」
笑う男の手が伸び、ディアルが着せかけてくれた布を引く。


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