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浜屋道場に行こう! 2

名無しのアヒル氏

「よし、着いた!ここだよ、菊ちゃん!」
「き、菊ちゃんはやめろって・・・。」
あいかわらず馴れ馴れしい寿丸の態度に戸惑い気味の菊之丞。
「いーじゃない!仲良きことはいいことって!道場にどうじょー入って下さい!なんつって!」
寿丸は某M・Kさん(十七)と同じ発言をするとダジャレを言った。菊之丞は顔をうつむかせてその場に佇んでいる。
「あっ、外した?けっこー自信あったけどなぁ。」
寿丸がそう言った直後。
「ククククク・・・。アーハッハッハッ!!」
菊之丞はダジャレが受けたらしく大笑いをした。
「おおっ!!こんなに大うけされたの初めて!!!」
寿丸はダジャレを言うのが趣味だが、当然というか、笑われることはほとんどない。
「道場にどうじょーなんて・・。プッ、クスクス・・・。」
よっぽどツボにはまったのか菊之丞はまだ笑っている。寿丸はそんな菊之丞に近寄る。
「布団がふっとんだ。草が腐って臭い。カッターを買ったら硬かった。イスカンダルで椅子噛んだる。」
菊之丞はダジャレを連発した。後半から時代考証があってませんな。
「アーハッハッハッハッ!!!ヒー、だめだ、やめて・・。」
菊之丞は更に爆笑し、苦しそうにする。確かにイスカンダルは以前トリビ○で見たときおもろかったけど。
どうやら菊之丞は(くだらない)親父ギャグに弱いようである。
「菊ちゃん、かっわいー!」
笑いこける菊之丞を見てからかう様に寿丸が声を上げた。それに菊之丞が驚いた様に反応した。
「か、かわ、かわいいだなんて、そんな!!!」
大笑いしてたときに言われたせいか、かなり大げさな反応だ。その姿に当初の厳格な雰囲気は失せていた。
「まあまあ、さ、そろそろ入ろうや、当店は誰でもウェルカム(z1nMDKRu0s様絶賛の初代スレの名台詞 )。」
寿丸は菊之丞の肩を掴み、道場へと連れ込んだ。
「あっ・・・・。」
いきなり肩を掴まれ、菊之丞は微かな声を上げた。その声が妙に色っぽい。
「ひゃー、菊ちゃん、なんか肩狭くない?女の子みたい。」
「えっ・・、あ・・・、その・・結構いいとこだね!ここ。」
寿丸の言葉に緊張が最高潮に達した菊之丞はあわてて寿丸の手を振り切ると、道場を見渡した。
意外と片付いていて、広さもなかなかだが、立派な日本古来の甲冑の隣に何故か西洋の甲冑が飾られてたり、
お世辞にも達筆とは言えない書が飾られた額縁が掛けられてたりと突っ込み所満載な装飾があった。
「えっと・・・これは何かな?」
菊之丞は西洋の甲冑を見つめて言った。
「あー、かっちょいいでしょ。親父のマブダチの商人さんが南蛮から持ってきたんだって。
それを親父が気に入って買ったんだよ。」
「へ、へえ・・。えと、これ・・。」
菊之丞は顔を上げ、額縁を見つめた。


「それ、親父直筆の書。いいでしょ、『旗幟鮮明』。」
『旗幟鮮明』とは主義主張や態度がはっきりしてること。一般的ではないけど意味はいいね。
「あ・・・、いや。これ・・。」
あまりの字の下手さに突っ込みたくなったのだろうか?(そんなに下手か?)
「これ・・、字が間違っている・・。」
書いた本人がいないとはいえ、字が下手ってズバッと言うのは失礼だよね。
「な、なんだってーーーーー!!!!」
本家(実験屋様)に負けじと例のAAそのままに驚く寿丸!
「幟が『織』になってるし、鮮の羊が半になってる。後、明も日は目になってる。」
「うわっ、ほんとだ!親父やばっ!!」
菊之丞の指摘に声を上げる寿丸。
「あっ。」
菊之丞は何かに気付いた様に声を上げると師範、師範代、弟子の名前が書かれた札に近寄った。
「どした、菊ちゃん?」
「この師範の「浜屋薙丸」がえっと・・。」
菊之丞が口ごもった。実は寿丸が菊之丞に名乗ってないことをようやく作者が気付いてさっき一話目を見返して確認。
馴れ馴れしいこと言いまくって実は名乗ってないなんて失礼だな、寿丸。まあ、本名を考えたりするのは
男装少女ならではの楽しみだけど、野郎の名前なんかどうでもいいか。
って思った直後に145様の二重奏を思い浮かべてしまいました。カナデウマ。

おっと話逸れ過ぎ。ギャグは初めてなのでどうもテンポが悪くてすみません。早く名乗れ、寿丸(責任転嫁)。
「オレの名前?そーいや名乗ってなかったねー。全く作者ってば(似た者同士)。オレは名前はねえ・・・
男装スレらしく当ててもらおうかなぁ。」
パソコンがない時代なのに何故知っている・・。ムーミン・・じゃなくて、真・・でもなくて
寿丸がこのスレに興味を持ったようです。しかし、悲しいかな、男の名前などスレ住民にとって
どうでもいいのであった。
「寿丸?」
「えええっ!!!何でわかんの!!!超能力者!!?スプーン曲げられるんの!!?」
驚く寿丸。この時代にスプーンないだろ(突っ込み所違う)。
「師範代の所に名前が・・・。」
「ああっ!ナルホド!!今更だけど隣の師範の薙丸ってのがオレの親父。それも親父直筆なんだ。」
「・・・これも字が間違ってる。」
「なんだってーーーーー!!!!」
もはやお約束の例のAAそのままに驚く寿丸。
「薙って字は草かんむりなはずだけど・・竹かんむりになっている。」
「あっ!バカな親父だと思ってたけど自分の名前まで間違えるたぁ息子としてはずかしー!
オレのは自分で書いてよかったぜ。」


「寿丸殿のは御自分で?どうりで筆跡が違うと思った。」
薙丸の字もお世辞にも上手いとは言えないが、寿丸のは更に・・・。
「どお、達筆でしょ。」
「寿丸殿のも字が間違っている。」
「なんだってーーーーーー!!!!」
例のAAといえば後ろにドラえもんとのび太がいる奴を見たことあるけど二人がえらく浮いてたなぁ。
「寿の横線が一本足りない。後、丸が九になってる。浜のさんずいもにすいになってる。」
「あーほんとだ・・・。」
自分ののび太並のマヌケっぷりに流石に意気消沈する寿丸。つーか達筆とはほど遠い+字間違えまくりの
二重苦でよく名前が読み取れたな、菊之丞。(小説では伝わりづらいけど)。

「ダジャレと漢字間違いだけで2レス半近くも消費しちゃったな。早く本題行こう!」
「本題とは・・・入門試験のことだな。」
ようやく本題に入り、道場の真ん中に移動する二人。萌えもエロもなくてすみません。
「そ、菊之丞、立派な刀差してるね。それ真剣でしょ?」
「ああ、父が私に残してくれた物だ。」
菊之丞は刀に手を掛け、感慨深げに言った。
「ウチに来いって遺言したってことはオレの親父と知り合いってこと?」
「いや、すまないがそのへんは話を聞いていない。と言うか、浜屋道場のことを言ったのは本当に最期のときだったんだ。」
「へえ・・。菊之丞の親父さんも剣客でしょ?」
「ああ、もっとも、父上は道場は開いていなかったがな。剣術を教えたのは拙者にのみだった。」
「おかーさんは?」
「母は・・、拙者が生まれてすぐ亡くなった。」
「苦労したんだねぇ。」
「いや、別にそのようなことは・・。父は刀鍛冶で生計を立てていたし。剣術だけではなく、刀作りも教わった。」
「あ、ウチも刀作りからやる方針なんだよね。菊之丞の剣術の流派どこ?」
「百季一刀流だが。」
「あれ、ウチの流派だよ。菊ちゃんの親父さんはウチの道場の門下?」
「・・・どうもそうらしいな。だからここに行く様に言ったのか。」
「じゃあ、ますます入門に不足はないね。後は・・・。」
「実力か。」
菊之丞は刀を構えながら立ち上がる。
「そだね、後、入門試験だから真剣はなしね。今竹刀用意するから。」
寿丸も立ち上がると、竹刀が掛けてある壁の方へと向っていく。


「はい、菊ちゃん、竹刀と防具。」
「かたじけない。」
菊之丞は目の前に置かれた竹刀と防具を見て寿丸に礼を言って防具を装着し始めた。
「!?寿丸殿、それは・・・!!?」
菊之丞は寿丸が装着しようとしている防具を見て面食らった。
「えっ、ああ、これねぇ。門下生のガキ、いやいや坊ちゃん達が書きなぐった落書き、じゃなくて芸術さ。」
寿丸の防具には数々の明らかに子供の仕業である落書きが描かれていた。

で、これがその作品群
「岩男」「兄ちゃんなんで蛍すぐ死んでしまうん。」「相合傘で「薙丸」と「寿丸」」「万年発情男」
と、よくこんなの着れるなって言いたくなってくる迷作ばかり。他にも2ちゃんでおなじみの
あのAAの絵が描かれており、本物かと思える程見事な出来だった。もちろん「なんだってーーー」の台詞付で。

「な、何故そんな防具を・・・・。」
あまりのへんてこ(死語?)っぷりに呆ける菊之丞。
「いやなぁ、道場が休みのとき、門下生のガキ共と絵描いて遊んでたんだ。で、オレがちょっと、ホントに
ちょーーーーーっと目を離した隙にさぁ。」
寿丸はちょっとをえらく強調して密かに自分の正当性を訴えている様だが、実際に寿丸が子供達から目を離した時間は
3時間50分45秒と野原みさえもびっくりな時間だったりする。ちなみに何故そんなに時間が掛かったのかというと
近所に住む力士の友人と一時間半程もし呪泉郷の泉に入るとしたらどこがいいとかピカボンって知ってるか、
ああ、バカボンパパとピカチュウを合わせたサザエボンの亜流商品だろ、どう見ても可愛くなさすぎなやつ、とか話し合った後
何を思ったのか川原に向かい、相撲を取り合ったところ、当然寿丸が負け、川に落とされた(道頓堀カーネル?)ところ
近所のゴロツキ(これも死語?)達に『土左衛門が二人もいるぜー!』とからかわれたところ、二人ともマジギレして
ゴロツキ達を担ぎ上げ、橋の上から川に投げ付けた(これがほんとの道頓堀カーネル)。なお、その力士の友人は
その道頓堀カーネルもとい水辺に人を投げ付ける技を「土左衛門に謝れー!!!」と名付け、相撲技として書物に記した様だが
当然ダメ出しされ、「土左衛門に謝れー!!!」はどこかに封印され、ウン百年後、K少年によって「道頓堀カーネル」と
名を改め平成の世に伝えられた・・・かどうかは不明。

そうやって門下生ほっといて、戻った寿丸が見た物は見事に落書きされまくった防具だった。
一つだけだったのが不幸中の幸いといったところだろうか。そのことを父、薙丸に訴えたところ
門下生達から目を離したことがばれて、逆に叱られ、落書き防具は寿丸専用にされてしまったのであった。
「へ、へぇ・・。自業自得とはいえ、大変だな・・。」
「そうなんだよねー。初めて見た人とか笑ったり、あきれたりで試合に集中出来ない様になっちゃたりするんだ。
でも道場破りとかにはちょうどいいんだよ。だからさぁ、結構気に入ってたりして。」
「そ、そうか・・。しかし慣れぬ人と刀を交えるには不便ではないか。私はその防具を見て試合中、集中できる
自信はないのでな・・・・。」
「んー、入門試験で実力出せないのは困るなぁ。でも、普通の防具は使うなって親父に命じられちゃったからなぁ。」
「・・普通の防具を使えないのはまずくはないか・・?今は拙者と二人っきりなのだから普通の防具を使用すればどうだ・・?」
「ああ、それもそうか。菊ちゃん、意外とワルだね。菊之丞、そちもワルよのぅ。」
「えっと、いえいえお代官様ほどでは・・。でいいのか?」
「おっ、菊ちゃん、意外とノリいいじゃん。このこのぉ。」
寿丸は菊之丞の身体を肘でつついた。
「あっ・・・。(防具、付けててよかった・・)」
寿丸が再び身体に接触してきたことに菊之丞は顔を赤くした。


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