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おれとぼくの彼氏争奪戦 3

2_121氏

男装の少女と同じく男装の少女が、絡み合っている。装いは男なのに、女同士の絡み。
妙な感じだった。
了は晶の学ランをはだけさせ、武志に見せつけるように、いや、実際見せつけているのだが、一度巻いたサラシも丁寧に巻き取ってゆく。その様は、晶が自分でサラシを巻き取ったときよりも官能的だった。
ズボンも脱がせて、そのまま流れるような手つきで晶の股間に手を押し付けた。
「あ……っ」
ここで感心すべき点は、下着さえも男物だったということ。
どれだけの覚悟で、彼女たちは男装に臨んでいたのだろう。
了は晶の秘部への愛撫を続けながら、豊かで形のいい乳房に舌を這わせ、ぺろぺろと舐めている。
「へえ。随分と、慣れてんだな」
余裕を残した声で、武志が言った。
ちゅぱぁっ、といやらしく唾液の糸を引きながら、了が乳房から唇を離した。
「言ったろう? おれたちは男の勉強をかなり積んだ。男としての、女の快感の与え方も然りだ」
「ね、姉さん……なんだか、前より凄く感じる。やっぱり、武志さんに見られてるからかなあ」
晶の快感は、ぷくっと硬く尖った乳首に表れていた。
「……我慢できなくなったら、いつでも言え。武志」
その乳首に、わざとらしく音を立てて了が吸い付く。
「あうっ」
「んむ……ちゅっ……」
トランクスというのが少し萎えるが、そこが濡れそぼってきているのはよく分かった。了はトランクスの中に手を滑り込ませると、女の子のもっとも敏感な部分へと指を当てた。
「あっ!?」


「本当だ……。凄く感じているんだな、晶。淫乱なやつだ」
「そ、そんなこと……武志さんの前……でっ! ひゃっ……言わないで、よぉ……」
「ふふ……、女、みたいだぞ? あんなに、女らしくするのを嫌がっていたのに」
ちゅくっ。
「っ!」
びくん、と晶の脚が大きく揺れた。
了が、晶の中へ指を進入させたのだ。
「あっ! はぁっん! んんっ、あぁんっ!」
くちゅくちゅと膣の中をかき混ぜる淫らな音が、部屋に高く響く。
ここまでの絡みから判断するに、了がサドで晶がマゾといったところか、と武志は思った。
「どうだ? そろそろ、シたくなったんじゃないのか?」
最中に、聞いてくる。
「ガキのレズごっこに俺が興奮すると思ってたのか? そんなもん、エロビデオで何回も見てんだよ。自意識過剰もいいとこだ」
なんて、強がりだろう。
既にジーパンの中のものはとんでもないことになっているのに。そもそも、この状況で興奮するなということが無理な話なのだ。逆に興奮しない男の精神を疑ってしまう。
よほど自信があったと見える了は手を止め、頬を膨らませた。
そのときだ。
きらり、と晶の目が光った気がした。
「……今度は、ぼくの番ね」
「え……わぁっ!」
攻守一転。攻めていた了を晶が逆に押し倒し、了の顔を両手で挟み、深く、深く口付ける。
舌を絡める、吸う、舐める。晶の意のままに、了の舌を弄ぶ。
「んん……! ん……むぅっ!」
「ぷはぁっ……はあっ、はあっ。……あはっ、姉さんも、一緒だね。初めてだよ? こんなに濡れてるの……」
「い、言うなっ!」
ズボンの中に片手を入れられ、もう片方の手でブレザーのボタンを外されながら、なされるがままの了が叫ぶ。
「こ、こら……はぁん……! や、止め……んんぅっ!」


(前言撤回だな、こりゃ……)
二人の真性の性癖は、正反対だったらしい。
やがてブレザーの中から表れた小さな胸に、晶はくすっと笑った。
「姉さんの胸、ちっちゃいよね。胸なんて邪魔で、サラシも面倒だったから姉さんが羨ましかったけど、今はなんか、優越感。男の人って、胸が大きいほうが喜ぶもんね」
「……」
武志も、やはり胸は大きいほうがいいのだろうか。晶より身体も性格も女らしくない自分は、拒絶されるだろうか。
すぐ近くにいる男を見やる。それだけで、こんなにも切なく胸が締め付けられるのはなぜなのだろう。あいつは、大嫌いな男なのに。女は捨てたはずなのに。感情の制御が利かない。
胸の苦しさに目を細めると、涙が出てきそうになって、必死に堪えた。
「気分的にはこのまま姉さんと本番……したいけど、それじゃさすがに武志さんがかわいそうだし、そろそろ、混ざってもらおっか?」
ぎくり、と武志の体が揺れる。
やばい。やばいなんてもんじゃない。貞操の危機だ。このままシてしまうとなれば、いろいろと心に刺さるレッテルが貼られることになってしまう。
了にのしかかっていた晶がゆっくりと立った。
「あ……見て、姉さん」
たった一瞬の晶の行為で骨抜きにされていた了が、激しい呼吸を繰り返しながらも肩を起こし、晶の視線を追った。
武志の股間は……ジーパンの上からでも、見ていて痛々しかった。
「わ、わはは。きょ、今日は体の調子が……悪いというか、好調というか……」
これを見られたら、無駄な言い訳は意味を成さない。
仕事が忙しくて、ここ最近性欲処理をしていなかった、というのもある。
「ぼくたちで、興奮してくれたんですね……? 嬉しい」
まだ立ち上がれない了を置いて、晶はベッドの上の武志に歩み寄った。
んく、と晶が唾を呑み込む音が武志の耳に入る。
「も、もうこんなことは止めにしようじゃないか。な? きみたちの感情は、きっと一時の気の迷いなんだよ。だから」
「それでも、一時でも感じたなら、嘘じゃない本当の感情だとぼくは思います」
乱れた学ランから覗く、艶かしい晶の胸。
理性と本能の争いの中、武志はくらくらと眩暈がしそうになった。
白く細い腕が、武志のジーパンに伸ばされる。


「……待っ――」
た、と武志が言う前に、チャックが下ろされた。それを言うのを少し躊躇ったのは、やはり心のどこかで望んでいたということなのか。
「わ……」
おずおずと、晶が束縛から解放された浅黒い性器を見ている。見て、怯えているように見えた。ようやく立ち上がっていた了に至っては、瞳に恐怖の色が浮かんでいるのさえ分かった。
彼女らは男性恐怖症だと言っていたのを、武志は思い出した。
「無理、するな。所詮、俺はこんな汚い大人なんだよ」
「これは、武志さんの。……武志さんの。……武志さんの」
晶は目をつむり、自分に何度も言い聞かせている。
そして、なにかを決心したように目を開くと、今度は硬く躍動するペニスに手を近づけ……そっと、触れた。
ぴくっと反応したペニスに驚き、晶はいったん手を離すも、害がないかを確かめるようにして、しっかり握った。
「あ、晶くん……!? よ、止しなさいっ! だ、駄目だ!」
「あったかい……これが、武志さんの……」
自分自身の行動に、晶は驚いていた。まさか、武志のものと思うだけで、こんなにも簡単に恐れていた男性の性器を握れるとは。
この衝動を、逃がすまいとした。
小さく、ふっくらとして、柔らかな唇がペニスの亀頭を含んだ。
「う……っ!?」
ちゅっ、ちゅっ、と愛おしそうに舐め上げ、吸い上げる。
その光景をじっと見ていた了は、ただ固まっていた。自分には、あんなことできない。あんな、汚らわしい男のものを……。
自分から誘うような行動をしておいて、いざ前にして、情けなかった。
ふと、ペニスを舐めている晶と目が合った。
その瞳は勝ち誇ったような、了をあざ笑うかのような、女を自覚した色をしていた。
あんな妹を見るのは、初めてだった。
(おれが、負ける? ……そんなのは、イヤだ。イヤだ。イヤだ……!)
武志を奪われたくない。失いたくない。
了の足は、自然と冷蔵庫に向かっていた。


そろそろ、限界だった。決して晶に技術があるわけではない。しかし、それに勝るなにかがあるのだ。
こんな年下の少女に射精してしまうなんて、と失笑する。頭が快感でぼんやりとして、どういった経緯でこうなったのかさえすっぽりと抜けてしまっていた。
「んちゅっ……っはぁ。いいですよ? いっぱい、ください。はむっ……」
(もう、いいや……。もうどうにでも……)
「たぁけぇしぃーっ」
甘ったるい声に呼ばれ、射精の快楽が一瞬吹き飛んだ。
「んふ、んふっ、んふふふふっ」
満面の笑顔の了が、部屋の入り口に立っていた。
足元に、何本もの空の缶ビールが転がっている。風呂上りの一杯に武志が買い占めていたものだ。
笑い上戸。それが今の彼女を表す言葉だった。
「……ね、晶なんかよりもぉ、わたしといいこと、しよ?」
低くクールだった口調とは一変し、えらく明るく、そして妖しい輝きをその目に灯していた。


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