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おれとぼくの彼氏争奪戦 4

2_121氏

危なかった。危うく、人生最悪の醜態を晒してしまうところだった。
姉の豹変ぶりに妹が口を離してくれたので、些細な余裕が生まれる。もはや、理性は風前の灯だが。
「こんな羞恥プレイ、初めてだぜ? とっとと、これ外してくれよ。っつーか、こういうのは反則だろうがっ! 頼むから外してくれえっ!」
ジタバタ暴れるも、ぎしぎしとベッドを鳴かせるだけだ。
「ふふっ。たけし余裕なくなってる〜」
了がベッドに上がりこみ、身を乗りだして深く武志を覗き込む。至近距離の了の息は、アルコール臭かった。
「姉さん、ずるい。ビール飲んだでしょ。都合が悪くなったら、いっつもそうなんだから……」
自分の陣地に侵入してきた了に、ジト目の晶が講義の声を上げた。
了はまったく意に介さず、乱れたブレザーの中にぱたぱたと手で空気を送っている。
「なんかあついー。晶も脱ぎなさいよぉ〜」
「ちょっ、ね、姉さ……っ!?」
自分のブレザーを乱暴に脱ぎつつも、器用に晶の学ランを剥ぎ取ってゆく。本来の性別とは異なる服を取り払ったとき、そこにいたのは正真正銘の少女たちだった。
改めて目の当たりにすると、今更ながら本当に女だったんだなあと武志は実感する。
晶は両腕で胸を隠しながら、恥ずかしそうに武志から目を伏せた。
「もう……ほんと、姉さんってばアルコール入ると人格変わっちゃうんだから」
「これで仲間外れはぁ、た、け、し、だけっ」
突発的に了から発せられた言葉。武志は身の毛がよだった。晶はにやっとした。
「……だね」
「や、止めろ! 本当に逮捕するぞおい! それに縛られたままじゃ脱げやしないっての!」
簡単に服をたくし上げられ、ズボンを下ろされ、中途半端に裸というみっともない姿にさせられた。
この展開はなんなのだろう。
泣きたい。泣いて、全てを忘れたかった。記憶から抹消したかった。
こういうのは、性分ではないのに。数々の女性経験はあれど、こんな醜態は初めてだ。
「わ〜い、たけしの裸だー♪」
「わぁ、武志さん鍛えてるんだあ」
二人が武志の胸板に寄り添ってくる。
豊かな胸と、わずかな胸の感触。
「……遊びでも、いいのか? こんな簡単に、こんな軽い男に、処女をやっても」
「わたしたち、たくさんの男にレイプされたんだよぉ。だからぁ、そんな心配いりませぇーん」
さらっと。
今、了はなんと言ったのか。
「そうなの、か? 晶くん」
「は、はい……。で、でもでもっ、武志さんが気にすることじゃありませんよ?」
(いや、気にするだろ、普通……)
武志の顔が明らかに暗くなったので、晶は口をきゅっとつぐんだ。
姉さんのバカ、と小さく口にする。
了は甘えた仕草で、武志に抱きついたままだった。
「……やっぱり、抵抗ありますか。やっぱり嫌ですよね。こんな、汚れた身体じゃ」
「そ、そうじゃないんだ。ただ……」
彼女たちは、無理をしている。焦っている。ようやく抵抗を感じない男を見つけ、はやく男性恐怖症を治したい一心で。
たった一回の出会いで、身体を見知らぬ男に委ねるなど、普通ならしない。してはいけない。
ふいに胸板に顔を押し付けていた了が顔を上げ、上目遣いに武志を見た。
「ねえ。わたしたちじゃ、不満?」
「順番、逆だろ。セックスってのは、男女が付き合って、お互いをよく知って、それから、その……愛を確かめる行為のはずだ」
よくこんな臭いセリフが吐けるな、と思った。
「……セックス、怖いの」
了が武志の身体を人差し指でなぞりながら言った。
少し、くすぐったかった。


「だからね、わたしたちも克服しなきゃいけないの。そうしなきゃ、付き合えない」
やけにスムーズな言葉。これが了の本性に見える。本当に、了は酔っているのだろうか。
「ぼくと姉さん、どっちか選べなんていいません。少なくても、今は」
「……たけし。わたしたちを、気持ちよく、して?」
参った。
彼女たちは、必死に武志を求めている。重い、想いだ。
セックスをしてしまえば、後戻りはできない。今後、ずっとこの姉妹と関わっていくことになるのは確実だろう。
(俺は、ロリコンだったのかな)
そんな健気な彼女たちが、愛おしくなった。自分なら、彼女たちの枷を解放できる。それはただの都合のいい理由に過ぎないが。
「降参だ。俺の負けだよ。だから、自由にしてくれ」
二人の顔から、不安の色が消えた。
了がもたついた手つきで武志の手首の布を解いている途中で、晶も足首の布を解いてゆく。
しばらくぶりに開放された手首は、赤く染まっていた。
「ふう。ほんっとに、強引な姉妹だよな」
開放された武志の手は、即座に二人の股間へ伸びた。
「あっ!?」
「ひゃうっ!?」
十分に、秘所は濡れていた。愛撫など不要だった。愛撫など、する間も惜しかった。
覚悟したからには、一刻も早くこの猛りを鎮めたい。彼女たちに、快感を与えてやりたい。
「俺は覚悟した。こうなりゃ、とことん付き合ってやるよ。お前らも、覚悟しろよ?」
「か、覚悟なら最初から……っ! ……ん……」
了の手を引いて身体ごと引き寄せ、口付ける。お前たちのしていたキスは外見だけの見せかけのキスだった、そう教えてやる。
せっかくのキスの味は、ビールの味しかしなかった。
(未成年のくせして、かなり飲んだな……)
しかし、武志の巧みな舌使いは了の力を抜かせ、瞳も、酔いのソレとは異なるとろんとしたものへ変わらせた。
その目が、幸せそうに微笑んでいるのが分かる。
と、そこへ晶の唇が割り込んできた。了の不満がもれた声がした。
仕方ないので、次は晶に本当のキスの仕方を教える。しばらくして、負けじとばかりに再び了の唇が双方の接吻の間にもぐりこむ。
了と晶は、武志の唇の奪い合いをしていた。もはや、誰が誰にキスしているかさえわからない。
3Pというものはしたことはなかったが、こう、二人の美少女の争奪戦の目標が自分なんて、少しばかりの優越感が芽生えた。
自分から口を離すと、了と晶はまだ名残惜しそうにキスを求めてくる。
「そんなにしちゃ、ふやけちゃうだろ。こっからは俺に任せな」
了に両手をつかせ、後ろを向かせる。綺麗な形の尻が更に武志の欲情を掻き立てる。晶は、了を見上げるような姿勢の仰向きに寝かせた。この体勢は、武志が前々から興味があったものだ。
二人の秘所からは、とろとろとした愛液が溢れ、ぐっしょりとシーツを濡らし、武志を誘っていた。
「た、たけしぃ……」
「武志さん……」
やはり、恐れている。男たちに犯されたときの恐怖が蘇っているのだろうか。どれほど怖く、どれほど痛かったろう。心も、身体も、武志の想像を絶する痛みだったはずだ。


「……いくぞ」
了の秘所にペニスをあてがうと、ゆっくり、ゆっくり、慎重に腰を進める。
彼女たちは、処女なのだ。例え処女膜などはなくとも。
「う……あっ!? あっ、はぁぁっ、っんんぅ……」
武志の進入を阻むかのように、了の膣内がきつく締め付けてくる。了のペニスはそれを押し広げてゆき、遂に根元まで埋め込んだ。
「んんぅ……はっ、はっ、はっ……たけしの、ぜ、ぜんぶ、入っちゃった、の……っ?」
答える余裕はなかった。それほどに、了の中は気持ちいい。骨の髄まで快感で支配されてしまいそうだった。まるで、初めてのセックスのときのような新鮮さがあった。
このまま欲望に従い、この少女の中を思う存分荒らしてしまいたかった。だがそれでは意味がない。
乱暴に動きたくなる衝動を抑えながら、相変わらずのゆっくりした動きで出し入れを繰り返す。
「あっ、あぁっ、あっ」
このあえぎ声は、間違いなく快感に染まった声だ。
未知の快楽に、了は必死に首を振っていた。
「う、うそ、うそうそっ……こ、こんな……セックスがこんな気持ちいいなんて……っ! 信じられない……反則、だよお……!」
「姉さん……すごい、エッチな顔してる……」
了の尖った乳首に触れ、こりこりと指に挟んでいじる。これからはこの可愛らしすぎる胸を攻め、成長させてやらねばならない。
「たけし……っ! たけし……っ! たけしぃ……!」
愛しそうに自分の名を呼ぶ了は、遂に自分から腰を振り始める。
けれど、ようやく波に乗れた了の中から武志はペニスを引き抜いた。
「ふえ……っ?」
「悪いな。次は、晶の番だ」
自分と了の体液でねっとりと濡れたペニスを、今度は晶の秘所に添えた。
「あ……。熱い、です」
了にしたときと同じように、ゆっくりペニスをねじ込ませてゆく。
「あっ! ああっ! あぅんっ!」
晶の中は了の中とは少し感じが違っていた。言葉では言い表せないが、それぞれに違った良さがある。
最奥まで到達し、前後の挿入を開始した。
「わ……んぅっ! ほ、ほんとだ……。あのときとは、ぜんぜん……んっ!」
少々揉みにくい体勢だが、それでも晶の胸を揉みしだくと、形のいい乳房が面白いほどに歪む。
「た、たけしさ……だめぇっ!」
了と晶。二人の少女に交互の挿入を繰り返す。それぞれの少女は自分のものだと主張せんばかりに、身体に吸い付いて証を残していく。
いい子たちだ、と武志は感心した。
本当はずっと自分だけに挿入して欲しいだろうに、お互いがお互いを気遣い、そして武志の行為を素直に受け止めている。身を委ねている。
動きは次第に激しさを増し、空いた手や口は片方の秘所を愛撫した。ぐちゅぐちゅと淫らな水音、肌のぶつかりあう乾いた音が室内に響く。
「んっ、あっ、んっんっ、あっ、ああっ!」
「あっ、あっ、あっ、た、けっ……あっ、あぁんっ!」
もはや、どちらがどちらの声なのか。
思考や感情は消え失せて、ただただ求め合う。むさぼり合う。そこにいる三人の人間は、ただの獣になっていた。
イク直前に辛うじてペニスを引き抜き、限界に限界を重ねた射精を繰り返す。そこから先はよく覚えていなかった。ただ、まどろみの中、二人の囁きが聞こえた気がした。

「「……大好き」」


「よお。悪かったな、急に呼び出したりして」
「ん。大丈夫だ」
「武志さんに会うんだから、悪いなんて思わないよ」
学校からの帰宅途中の二人の服装は、やはり男物の学生服だ。
あの日から一ヶ月、結局、この「二人」と付き合うことになってしまった。世間的には二股、というやつなのだろうが、これは了と晶の公認済みだ。
以来、ちょくちょくと武志のマンションに来ては……すっかり気に入ってしまったらしい行為を続けている。無論デートも、だ。
やはり武志を独占したいのか、曜日を決めて一人ずつ。
ただ、外出するときは二人とも男の格好をしているので周囲の人間からは変な目で見られているかも知れない。けれど、武志は別に気にしかった。
そう簡単に男性恐怖症は治らなかった。男としての生活も急に女として変えられるわけもなく、学校生活は今まで通り男でいくらしい。
二人の過去の記憶は消さないだろう。
少しずつ、時間をかけて解決していくつもりだ。
会うときは大抵一人ずつの二人を呼び出したのは他でもない。この日、武志は二人に重大な発表があったのだ。
「捕まえたぞ。お前らに性的暴行をした上、そのビデオをネタに盗みを強要してた奴ら、全員」
「……ご苦労。よくやってくれた。さすがはおれの見込んだ男だ」
なぜか腕っぷしの強い了は実践犯担当、手先の器用な晶は鍵空け担当。このように役割分担され、彼女たちは盗みを働いていた。
「姉さん……やっと、やっと終わったんだね……」
「……うん」
逮捕するときに抵抗を見せたので、ちょっとばかし歯をへし折ってやったのは内緒にしておく。
「ま、その……なんだ。これからも、俺が守ってやるから安心しろよな」
了が武志の右腕に絡みつき、晶が左腕に絡みついた。心底嬉しそうな表情に、武志は頭を掻いた。
こんなとき、つくづくやられたと思う。
自分は、すっかりこの少女たちに骨抜きにされている。
「これでやっと、武志をおれたちの家に招待できる」
「そうだね、姉さん」
「家?」
そういえば、彼女らの口から家庭の話が持ち上がったのは初めてだ。それとなくその話題を出しても、うまくはぐらかされていたのに。
「さ、行くぞ武志」
「お、おいおい、今からなのか? 俺みたいな大人を家族に紹介したら驚かれるんじゃないか? それにまだ仕事が残って……」
そのまま二人に腕を引っ張られ、武志は連行されていった。


途中、ポケットからタバコを取り出し、口にくわえたところで晶に取り上げられた。
「タバコは駄目って、言ったでしょ? ぼくたちの健康も考えてください」
「おれは構わないぞ。そこまで武志の自由を奪おうとは思わない。ただし、浮気をすれば半殺しだがな」
二人と付き合ってわかったことだが、了は非常に嫉妬深く、晶はとにかく身の回りのことにうるさい。
「ここは……」
しばらく歩いているうちに、なにやら見覚えがある場所だな、と武志は周囲を見回した。
そして思い出した。
冷や汗が、流れ出た。
「……そういや、お前たちの苗字、まだ教えてもらってなかったな。なんて、いうんだ?」
「――西明寺、だ」
二人の足が止まった。
武志は心臓が止まりそうになった。
目の前にそびえ立つは、豪邸も豪邸。家の入り口までは何十メートルあるだろうか。ここは、あの世界的に有名な西明寺コーポレーションの社長宅なのだ。
もはや口をぱくぱくとさせるしかなかった武志に、男装姉妹は振り返った。
「もう、なんの気兼ねなく武志をお父様に紹介できる」
「父様喜ぶだろうなー。なんたって、こんなに立派な跡取りができるんだもん」
コノコタチハ、ナニヲイッテイルノデスカ?
「お父様は門限が厳しいからな。だから武志の家には泊まれなかった。だが、これからはその心配も無用になるだろう」
「父様、ぼくたちが男の人と結婚するの諦めてたもんね。多分、すっごく応援してくれると思うよ」
回れ右。
全力疾走しようとした武志の服の襟を、にこやかな姉妹がしっかりと掴む。
「は、離せっ! 離してくれえ! こんなこと聞いちゃいないっ!」
「さ、お父様に挨拶だ」
「でも、武志さんがぼくたち二人と同時に付き合ってるなんて言ったら怒られないかなあ」
「問題はなかろう。付き合うということは、お互いをよく知る為にするものだ。だから、おまえと正々堂々勝負する為に武志との付き合いを認めた。おれと晶、武志はどっちを選ぶのか」
「ぼく、絶対負けないから」
「ふん、それはこちらのセリフだ」
了と晶。
なんて大物の娘たちの争奪戦の対象になってしまったのか。
武志は澄み切った青空をぼんやりと眺める。のんびりと浮かぶ雲も、太陽も、この哀れな子羊を助けてくれそうにはない。
「もう、困ったときにお酒飲むのは反則だからね」
「あ、当たり前だ! あんなエッチなの……おれじゃないし、武志からも禁止された」
「それじゃ、ぼくの圧勝じゃん」
「そ、そんなことはない! さ、最近は、何も頼らずにちゃんとできるようになった。た、武志も、か、可愛いって、言ってくれる」
「ぼくにも言ってくれるもーん」
「ぐ……むぅ!」
武志は観念して、項垂れる。
自分はなにもかも覚悟して、二人を抱いてしまった。今更引き返せるわけもない。
(こうなりゃヤケだ。こいつらのなにもかも、背負ってやる!)
硬く拳を握り締めるも、ずるずると引き摺られてゆくその様はなんとも情けなかった。
「ぜったい、おれが勝つからな!」
「そっくりそのまま、お返ししますー」
当分、「おれ」と「ぼく」の争奪戦は続くようだった。


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