「はい、確かに受け取りました。次はもう少し早くに持って来れるといいんだけどね。もう大学生なんだし、子供じゃないんだよ。あと一、二年したらもう成人だ。そうしたら君は独立しなきゃいけないし、手に職を持たなければいけない。いつまでもこの調子じゃ、会社に入ったとしてもクビにされること間違いなしだよ。直すなら今直さなきゃ。癖だ性格だなんて言ってられない。分かりましたか?さん」
分かった、分かったから、分かってますよそのことは!
「はい、分かりました。そのことについては重々承知しております」
「じゃあ次からは提出日を守るように」
「はい。では失礼します」
レポートを提出したら教授にぐちぐちぐちぐち文句を言われて。はいすいません。こんな遅くまでかかってしまったのも謝りますよ。遅れたのも謝りますよ。待っててもらってどうもありがとうございました!こんな奴が短大入っちゃってすいませんねェ!もうお手数はおかけしませんよ馬鹿野郎!
「?」
「何!?」
「文句言われた?」
「こっ酷く、長々長々と言われたよ!一回言えば分かるってのにさァ」
怒りながら歩いていたら、いつの間にか大学の敷地の外にいた。後ろから君が小走りになりながら付いてくる。
「あの先生、話長いからなあ」
「決めた。もう遅れない!」
「ファイトー」
もう時間帯は午後八時近かった。夜風が冷たく、肌に沁みる。
「送ってく」
「いいよ。帰れる」
「幽霊出るかもしれねェぞ」
「…………じゃ、よろしく」
こんな奴に自分の弱点を知られてしまった。弱みは絶対に他人には見せたくなかった。だからいつも口数を減らして、干渉を控えて、友達とも一定の距離を置いた。些細な事には驚かないと決意もした。なのに、それなのに…、
「―――ムカつく」
「何が?」
「アンタのこと」
「ああ、弱み握られちゃったと思ってる?」
わざと子供っぽく悪戯小僧のように笑った君は、おもむろにあたしの手を握った。そしてあたしは自然に振り解く。
「あーあ、残念」
「気安く触れないで」
「うわ、そんなこと言う人初めて見たよ、俺」
夜の帰り道、久し振りに触れた人の体温。感電死しそうなほど熱くて、知られたくなくて遠のけた。手から手へ感情が移りそうで怖くて、伝わらないで伝わってこなくてもいいから。でも、酷く落ち着く温度。
この感情はなんだろう?
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