06
「おはよう。遅かったな」
「や、あたしは普通だよ」
「今日の俺はちょっと早起き」
 いつもの席にいつものように座ったら、いつもの隣の席にいつもの顔があった。隣の席にいるせいかあまり気にしてみたことはなかったけど、君はやっぱりかっこいいなと思える。
「あ、あのさ昨日―――」
「そう言えばお前どこに住んでんの?」
「…言う必要ありますか?」
「興味あるだけです」
「―――コンビニの近く」
 お礼を言おうとしたのに遮られたから曖昧に答えると、君は不服そうにふーんと言った。別段仲良くもない奴に、そう易々と教えられない。ましてや男になんて、教える方がどうかしてる。まだ会ってから一週間も経ってないんだから。
「お前そのクールっつーか、ドライな性格がなァ」
「文句あんの?」
「別にないけど」
 相手に教えなくても生きていけることがあれば、敢えて教えようとは思わない。知らなくても生きていけることがあれば、敢えて知ろうとは思わない。そんな性格、直そうと思っても直せないと思う。
 そして授業が始まった。

「―――……、帰らねェの」
「まだ提出しなきゃいけないレポートあるから、居残ってく」
「そ?気を付けて帰れよ。じゃあな」
「うん」
 レポートの存在をすっかり忘れていた。中学時代も高校時代も提出物は必ず一か月後以降に提出して、テストの点は良くてもそれで成績が低迷していた。
「あー…もっと早くにやっておけば良かった…」
 いつも思うこと。学習能力がないのかな、それの繰り返しで嫌になる。