「メイ!」
「だ、誰ですか?」
「…あ、いきなりすいません。少し話す時間をいただけますか?」
「少しだけならお相手致します」
「どうぞ」と扉の向こう側の、「使用人控え室」へと案内された。中に入ってみると、運がいい、誰もいなかった。メイは相変わらず誰か分からないみたいに、おどおどしている。
「あの、お話とは?」
「メイ。今こんな格好してるけど、俺は悠夜なんだ」
「え…悠夜くん?」
「そう」
「悠夜くん!」と涙目になりながら抱きついて来るメイ。そして思わず「可愛い」と思ってしまう俺。五年ぶりの再会、お互いに忘れられなかった相手。互いの体温と、痛いくらいギュッと抱き締めた腕、それが自分の、相手の存在を確かめられるようで。嬉しさのあまり、涙が出そうだよ。
だけどその喜びを引き裂くように、扉が勢いよく開かれた。
「…あ」
「メイ?誰だ、そいつは」
扉を開けた人物を見た途端、メイの目は見開かれた。俺は背中越しでもよく分かった、そこにいたのは国王だということに。眉間に皺を寄せ、注意深く悠夜を伺っている国王。
「オイ、お前名は?」
「え、あ、」
先ほどのスピーチとは打って変わって、言葉づかいが荒い。そのことに気を取られ、返事を忘れてしまうとは。名前を言っても、バレないだろうか?名前まで考えるなんてこと、しなくてもいいとは言っていたけど。
「悠夜です」
「悠夜?」
「はい」
「家のか?」
いきなりバレた!?何でノースの国王が知ってるんだ。悠夜なんて探せばゴロゴロいる名前だろ。
「え、ええ!?何で知って」
「いや、特に深い意味はねーよ」
「は?」
「その前に、悠夜は男だろ?なぜそんな格好をしてる」
それもバレてた!?笑うことしかできねーよ、はは。
「あはは、別に大した意味はないけど」
「ふーん」
「!悠夜が…!!」
「俺?」
ザックが血相を変えて使用人控え室のドアを開けた。それも、悠夜の名を呼んで。