「まったく、悠夜は顔がいいんだから気をつけなさいよ」
「はーい」
「あ、いたいた」
「、悠夜ちゃん。すまないな、サウスの知り合いに捉まってしまって」
テーブルに着くと、ちょうど香山夫妻も着いた所だった。香山とはの苗字だ。そして、少し高くなった台から、入り口の扉にスポットライトがあてられる。アナウンスが「長々とお待ちいただき、真にありがとうございます」と流れた。
「これより次期国王の国王引継の儀式、及び誕生日パーティーに移行します」
「あ、様が来るわよ!」
「そんなにかっこいいの?」
「それでは国王、御席へ」
扉が開くと、国王が現れた。金銀装飾の派手な服装だと思ったが、白い紳士服に赤いマント、本当に絵本から現れた「白馬の王子様」だった。鮮やかな黒髪、透明な黒い瞳、スラリとした長身に、長い手足。
俺と同じ黒髪黒目なのに、どうしてこうも違う?
「今日はお忙しい中、私のためにパーティーの出席いただき、真にありがとうございます。心よりお礼申し上げます」
「礼儀正しいね、ここの国王様は」
「だから誰からも愛されるのよ」
「まず初めに、引継の儀式」
執事らしい男が、王冠を手にして扉から現れた。それを国王のところまで持っていく。
「あなたは、今日からこの国を治める国王となり、国民を守る方となります。ここに、誓いのお言葉を」
「私は決して皆様を裏切りません。『国王』と言う名の権力を使いません。それが私の誓いです」
黄金とルビーサファイアの王冠が少年王の頭に乗り、国王が立ち上がり1度礼をした時、ホールから割れるような拍手が沸き起こった。決して「王」になるような人柄でもない国王。でもこんな王がいてもいいのではないか。
「これより誕生日パーティーに移ります。特に何かをしようとは思いません。ご自由にどうぞ」
クラシックが流れ始め、何人かは踊りだす。ワイングラスを片手にナンパをしている人もいる。そこに、美味しそうな料理を運んでくるワゴンが扉から入ってきた。
「あ、メイ!」
「行きなさい。どうせバレやしないから」
が背中を押してくれた。5年ぶりに見たメイはいくぶんか綺麗になっていて、胸がときめくようだった。ドレスを着ているのにも関わらず、少し小走りになる。