高校DAYZ 03




 次の日の朝、私は黒板チェックに行くためにちょっとだけ早めに家を出た。

 結局昨日授業が終わったあとにまた話し合って、くんはサッカー部の朝練で教室に着くのが遅い、ということで、毎朝時間があるあたしが黒板チェックをすることになった。


「あ、あったあった。今日は…っと。」

 今日の予定は…『5時間目:学年集会。内容:各クラスの学級委員(学年会)の自己紹介』

「…え!!自己紹介…無理ー。」

 なんて独り言をいってると、職員室から担任の先生が出てきたから、学年集会ってなんですか?聞いてませんけど。って言ったら、スマンスマン、忘れてた。だって。あたしは学年集会の自己紹介によって少し気落ちしたまま教室に入っていった。


おっはよー!!」
「おはよー!!みんなー」

 入った途端、友達が多いだけがとりえのあたしは男子にも女子にもおはよーって声をかけられた。その声で、ちょっとだけ気持ちが明るくなった。やっぱり友達が多いのはいろんな面でいいと思う。うん。

「みんなー、今日の5時間目は学年集会だよー!!」
「えー、なにすんだよ。」
「めんどくせー。なにが集会だしー。」

 ちゃんと連絡事項はみんなに言っとかなきゃと思って伝えたけど、硬い体育館の床に座って話し聞くだけの学年集会なんかみんな嫌いだから、クラス中ブーイングの嵐。

「各クラス学級委員の自己紹介だってさー。」

「マジで!?!?」


 ドアの方から大声がしたから振り返ったら、くんが荷物持ってびっくりした顔をしてた。

「う…うん。そーだって。さっき黒板行ったら書いてあったよ。」
「うわー最悪だー。」

 そう言ってわざとらしく荷物を落としながら言うと、数名の男子が近寄っていって、くんの肩をぽんっと叩いた。

「まぁまぁ、ならどうにかなるよ。」
もがんばってね!!うちら応援してるから!!」
「サンキュー。頑張る!!」

 そうは言ったものの、それからあたしの頭の中には自己紹介の文ばっかりまわっていた。あとからよくよく先生に聞くと、1人あたり1分ってとこらしい。…1分って、意外と長いんだよね。

「おーい、。大丈夫??」
「顔暗いぞー、。」

 昼休み。集会の直前になってもなかなか文章がまとまらなかったあたしのとこにやってきたのは親友のだった。あたしは大丈夫、どうにかなる、とだけ返事して一緒に体育館まで行く事にした。



「学級委員は整列させてー」

 初の整列。並んでっていってもみんななかなかまとまってくれなくて…学級委員て大変なんだなって、今までやってた人たちをちょっと尊敬した。学級委員は列の先頭に来るから、隣にはくん。あっちもてこずってるように見えた。

「あ、。点呼どっち行く??」
「じゃああたし学年主任のほういくよ。」
「ん。俺担任行ってくる。」

 そう言って担任のところに歩いていくくんを見送ってから、あたしも学年主任の先生のところにいって、点呼完了。みんなを座らせる。

「それじゃあ、各クラス学級委員の紹介です。」

 とうとう出番だ…緊張しちゃって声裏返っちゃったらどーしよ。でもどうにかなる。そう自分に言い聞かせてみんなの前にクラス順で1列に並ぶ。1組から順番にきて、次はあたしの番…





「あはははは!!ウケるんだけどー。」

 集会が終わって、教室に戻った途端、クラス中の人に言われた。なんと、自己紹介、最後の最後でかんでしまった。まぁ、ノリのいい友達がちょっとフォローしてくれたけど。

「『これからは、クラスをまとめられるようにぎゃんばりたいと思います。』とか。お前やっぱおもしれーな。」

 男子にまで言われて正直かなりへこんだ。…意気込みかんでどーすんだ、あたし。って感じ。集会が終わったのに落ち込んでいた私の元にやってきたのは…


「ま、これからも『ぎゃんばろう』な。」

くん…そーゆーふうに人をからかうのはやめて欲しいよね。」
「ごめん。でも落ち込んでたみたいだからさ!!ちょっとぐらい励ましてあげようとおもって。」

 そういうくんの自己紹介は完璧で、人気者のくんには男女共に、先生方からも盛大な拍手が送られていた。まぁ、気持ちは受け取っておこう。

「…ありがとう。」
「どういたしまして。じゃ、新入生歓迎会の準備もよろしく!!」

「…は??何それ??」
「え、聞いてなかったの??今度新入生歓迎会があるから学年会が中心となってやりますって、さっき先生言ってたよ??」

 …聞いてなかった。とにかく落ち込んでた。そんな仕事があるなんて知らなかったし。

「…聞いてなかった。」
「ま、そんなにめんどくさくないっていうからさ。大丈夫でしょ。」
「やだなー…」

 あたしはかんじゃった事にプラスして仕事の事を聞いて気が重くなって机に伏せるみたいになった。と、頭にポンっと手が置かれた感覚があった。

「大丈夫。俺もちゃんとやるから。」

 その手がくんのだと思うと、顔が熱くなったのを感じた。ばれたくなかったから顔を上げずに曖昧に頷くと、どこか友達のところに歩いていってしまう足音が聞こえた。…しばらく顔はあげられないや。今顔あげたらきっと赤くなってるんだろな。そんなことを思いながら、少し遠くで話しているくんの声だけが自然と耳に入ってきた。




witten by 抹茶