「あれ…?」
目の前を蒸気機関車が通って行った。ここはどこ?
「…え?」
明らかに変だ。さっきまで学校の教室にいて、真奈美と香苗と一緒にいたはずなのに。呼ばれたから振り返っただけなのに。
道行く人とあたしは明らかに格好や身形が違う。開店したばかりの店に入ったような気分。人がいすぎて歩けない。人の流れに押されて止まっていることすらできない。ゴーン…ゴーン…と、体の底に響く音が聞こえた。レンガ造りの巨大な時計台…――ここはまるで……。
「ヨー…ロッパ?」
見上げた空は、いつもと違う表情だった。
「…――わわっ!」
人通りが一段とと激しくなる。ヤバイ、ついていけない。
「…っきゃっ…!」
足が縺れて前に転びそうになるが、足で踏み止まる。でも、更に後ろから追い打ちをかけるように人が押してくる。
(こ、転ぶ―――――…!)
両腕で体を守ろうとした瞬間、いきなり腹部に支えができ、転ばなくてすんだ。驚いて振り返ると、黒髪の青年がいた。
「All right? 」
「…は?」
え、い…ご?
「Because suddenly you fell down before my eyes, I was so surprised. Are you hurt?」
「……え…っと…?」
「…Really all right? Please answer. Are you OK?」
「…大丈夫、です。…お、OK. えと…I can speak English a little…」
て言うか、あたし高二だよ?これ明らかに中学の単語並べただけだよね…。英語はあたしにとって鬼門なの!!
「…」
「……」
つ、伝わった…?
「Come on!」
「へ?」
ついて来いって??手招きして迷わないよう、手を握ってくれた。あたしは不安を懐きつつも、一応ついて行くことにした。
「We arrived」
青年は一言そう言って、優しく微笑みかけてくれた。思えば、さっきよりもスローテンポで喋ってくれている。入って行った店には「The purchase
person」と書いてあった。「ザ・パーチェス・パーソン」…確か直訳して「買収屋」とか「購入人」とかだったような気がする。チリン…とドアに付いていたベルが鳴り、中で葉巻を吹かしていた体格のいい小父さんが手を振った。
「Hey!!」
彼は親指で私を一回指した。何か説明をしているらしかったんだけど…全然聞き取れなかった。流暢すぎる、こんなの聞き取れないよ。
「はあ…」
あたしは諦め半分、小さく溜息をつく。ふと気付いたように店内を見回せば、見慣れない物がたくさん置いてあった。
「…何だろう、これ…」
一際目に付く物があった。純銀色で光に当たってキラキラと光る、天使のような羽根。商品名は「Angel's feathers」そのまんま「天使の羽根」
「――きれ―――…」
羽根に見惚れていたら、後ろから肩を軽く叩かれた。ゆっくり振り向くと、さっきの少年がにこやかに笑顔を浮かべて立っていた。
「I give you a present」
ゆっくりと喋ってくれた。人差し指が、自分からあたしへ、と動く。あげる、と言っているのだろうか?彼の掌には小さなピアスが一つ、乗っていた。
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足跡 02