平常だった、日常的だった。平凡すぎて、非日常的なことは何もなくて。学校行って、友達と喋って、冗談で喧嘩して、他愛のない言い合いして。躓くことなんてなかった、ずっと、ずっと。
「、!」
「どうしたの?真奈美」
「聞いて、聞いて!」
真奈美に手招きされて近寄ってみれば、いつもと同じ会話。同じことを二回繰り返して言う癖にはもう慣れてしまった。
「何?」
「聞いてよー!香苗がさあ!!」
「なっ!あたし何もしてないじゃんか!」
いつもこうやって笑って、みんなで笑って。
「フンだ。香苗なんか知らないもんねー!」
「真奈美…その言葉聞き飽きたよー?」
「香苗ー、何したのさ、一体?」
「え?ちょっと真奈美をからかっただけだよー」
いじいじと手を動かす癖、ずっと傍にいれば分かっちゃう。
「香苗の場合、ちょっとじゃないでしょー?」
「までそう言うの!?」
「そういう意味じゃなくてー」
別にこういう日常的なことに飽きたんじゃない。ただ、感動できることが少なくなってきただけ。怒ることも、泣くことも、心から笑うこともなくなった。友達、友達って言ってるように見えるけど、優しさのオブラートに包んでるだけ。本音を言って、傷付くのが怖いから。「アンタなんか友達じゃない」そう言われるのが怖いから。本音を隠して隠して、みんなが傷つかないように。臆してるのは自分、変わらなきゃいけないのは自分。そんなこと、始めから分かってるのに……。
「」
「はーい」
呼ばれた声に振り向いた。
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足跡 01