「――――………さあ、着いたぞ」
 城のような、寺院のような、教会のようなそんな建物だった。どこかの、宗教か何かの教会みたい。大きな窓にステンドグラス、門には徴兵が立っていて、もう言葉になんか言い表せないよ。あとは、ご想像にお任せするしかないかしら、なんて思ってみたり。
ちゃんはエスモンドについて行って。達は私と一緒に行きましょう」
「はい、母さん」
「あーい」
「…」
「……え、あ、うん?」
ちゃん、行こうか。学園長の所へ」
 この学園を収める人で、占いで何でも決めてしまう人だとか。その占いは、生まれてからこの方一回も外れたことがないとか。学園長室は、学園の1番上の塔にあった。何段もの螺旋階段を上り、何十もの扉を開けて、進んで行く。足が腫れてしまいそうだ。

「ここだよ。私はここから先には入れない。ちゃん、一人で行かなければならないからね」
「…はい」
「じゃ、私は先に大聖堂に行ってるから」
「大聖堂?」
「入学式をする場所だよ」
 「さあ、中に行きなさい」とエスモンドさんは言った。学園長は、一体どんな人なんだろう?ビアージョ老師のような人なのか、それともエスモンドさんのような…?ギギィと軋む音を立てて、私は分厚い木の扉を開けた。中から香水の、いい香りが漂ってくる。ブルガリのいい香りがする。
「おォ、よく来たな。突っ立ってないで入って来いよ」
「は、はい!」
「お前、だって?エスモンドの奴から聞いてるよ」
「は……い」
 思っていたよりずっと、ずっと、ずーっと若い。しかもとてもかっこいい人だった。あたしと同じくらいの歳くらいにしか見えないのに、学園長?しかも、エスモンドさんのことを呼び捨てなんて…、嘘だあ。
「驚いてる?俺がこんな感じで」
「え、いや…はあ、まあ…」
「言いたいことははっきり言えよ?そうしないとここじゃ生きてけないぜ」
 「のように苦労することになるから」と、学園長は言った。…何でくん?
「そうそう、俺の名前はスコット・マンスフィールド」
「あ、はい」
 黒髪に緑色の瞳で、その瞳は時々鋭い光を放ったりする。
「あーそろそろ入学式かァ。俺も出席せにゃならんし、面倒だ」
「やっぱり学園長のお言葉、とかあるんですか?」
「そ。しかも俺はまだ在学中だからさー、マジめんどい」
「……え、と…在学中…!?」
「あ?まだ十八歳だよ。今年で卒業」
 やっぱ十八歳だったの!?ってことは、と同学年?
に聞いてない?つか聞く理由ないよな、あいつプランだし。俺レオーネだし」
「レオーネ!!?凄いじゃないですか、凄いですっ」
「ま…あまり頭よくないんだけどさ」
 リンゴーン、と鐘の音がした。どうやら学園内にある鐘は入学式の時間だと知らせたいらしい。
、行くぜ。のことは転入生として紹介するから」
「はい。…てことは、そこで占いも?」
「あ、占いのこと知ってるんだ。そうだよ、そこでやるんだ」
 そして「そうそう、」と学園長があたしを呼んだ。入学式を行う大聖堂へと、あたし達は歩を進めていたところで。
「何で俺がこんな歳で学園長をやってるか、知ってる?」
「え…と、お父さんが……いない、から?」
「ピンポン大正解。頭の回転速いね、。しかも、それだけじゃない」
「…他に?」
「優秀な大人ならいくらでもいる。だけど、何でまだ学園に在学中の俺なのか」
 大聖堂の入り口の前で一度立ち止まり、学園長は振り向いた。随分と背が高い彼を見上げて、あたしも止まる。
「クラス分けの占いができるの、マンスフィールドの人間だけなんだよ」
「……そうなんですか」
「しかも、その中でも男だけ。だから俺が死んだら、もうおしまい」
「…」
は俺の隣にいて。クラス分けが終わるまで」
「あ、はい」
 ギギと鈍い音がして、大聖堂の大広間へと入って行った。




 
足跡 16