three
 誰もが恐れるBTは誰もが尊敬する者達であり、誰もが憧れる者達である。
 は学園掲示板の前で立ち止り、BTに渡された緑のカードを掲示板の真ん中に留めた。黒いピン、ここにも彼らの象徴となるカラーが使われている。この場にはカードがあるかないかを確かめに、一日に何人もの生徒が訪れる。付近の階段から足音が聞こえて来るとは近くのトイレにスッと入って行った。BT以外の学園の人間はカードの配達人が誰であるかを知らない。
「なあ、これ…」
「緑だぜ、どうする?」
「俺だったらどうしよう」
 二人の二年生の少年が掲示板を訪れた。先ほど貼られたカードを指差しながら、恐る恐るピンを外す。
「誰?」
「く、熊川…卓弥。熊川がチェックメイトされた!」
 カードを発見した最初の人間は、大声でそのことを学園内に伝えること。それがチェックメイトされた時の決まりである。
「熊川がチェックメイトされたぞ!」
「熊川卓也が餌食だ!」
 二人の少年は二手に分かれて叫びながら学園を回って行く。その声を聞いた人は学園掲示板を見に行く者とカフェに行く者といた。
「くーまかわ、今日はお前らしいぞォ?」
「え?」
「早くカフェに行けばァ?」
「可哀想、BTに逆らうからよ」
 熊川の両脇に同じクラスの少年が立ち、腕を抱えてカフェに連れて行く。チェックメイトされた少年は必死で抵抗していた。

「発見したみたいだな。騒がしい」
「じゃあ、踊り場で待機だね」
「アイツ、どんな反応するんだろなァ」
 博喜と龍助はカフェ内にある階段から少し高い場所にある踊り場へと移動する。この踊り場はBT以外立入禁止区域。瞬は二人より少し遅れて階段を上る。
、はーやーく!」
 博喜がテラスから顔を出してを呼ぶ。は騒がしくなった廊下を嬉しそうに見て、階段を上りながら言った。
「瞬、放送」
「ん」
 瞬はポケットから携帯を取り出して操作する。ピピピッと短く電子音が鳴り、スピーカー部分を耳ではなく口に近付けた。そして「BTからお知らせ」と言うと近くのスピーカーからその言葉が聞こえて来る。
『BTからお知らせ。カフェに集合』
『熊川くーん、逃げないでねェ』
『博喜、邪魔するの禁止』
 携帯がピーと鳴って、放送はそこで終わる。
「瞬の携帯っていいよな。学園中のスピーカーと繋がってるんだろ?」
「どうやって設定したの?」
 龍助と博喜は興味津々に瞬に聞く。
「俺の携帯の電波を送受信する機械をスピーカーに嵌め込んだ」
「瞬、テメェも結構悪人じゃねェか」
ほどじゃないよ」
 瞬はクスクスと笑った。