NOVEL Interplay of life 9

Interplay of life
第九話
〜マネージャー〜

秋菜「起きてください!」 和夫「ん・・・夕菜、今何時だ・・・?」 秋菜「何寝ぼけてるんですか?    早く起きてください!」 和夫「五月蝿いな・・・。    ・・・・・・ん?」 一瞬我が目を疑った。 何故なら、隣に彼女が居たからだ。 和夫「何故お前が此処に居る。」 秋菜「ご近所さんだからですよっ。」 単純で意味不明な言葉が返って来た。 流石大魔女の後輩。 意味不明な所はきっちりと受け継がれている。 秋菜「そういえば、サッカー部ってマネージャー居るんですか?」 和夫「居る事は居る。」 秋菜「そうですか!    ・・・じゃあ、私マネージャーになります!」 和夫「ハァ!?    お前は理科部があるだろ?」 秋菜「大丈夫です!    理科部は大した活動もしないし、    大林先輩もきっと許して下さるでしょうし。」 和夫「・・・勝手にしろ。」 また余計な物を連れて来てと、 顧問に怒られそうだ。 ただ、今の俺の実力じゃあ、 この小悪魔を止められる自信が無かった。 和夫(・・・そういえば・・・。) この部屋にはあの未知に生物が机の上に寝ていた気がする。 そして、今はその存在を知らない少女が一人。 なんとも精神的に辛いシチュエーションだ。 和夫(何でいっつもこうなるんだよ・・・。    俺に安息の時を・・・。) 神様は、意地悪だった。 ・・・・・・ 何とか隠し切り、登校する。 何時もより10分は早い。 秋菜「ドキドキするなぁ・・・。」 和夫(何でだよ。) ・・・・・・ 学校に着いて、朝練を始める。 適当に終わらせて取り敢えずずっと此方を見ていた秋菜に 話し掛ける事にした。 が、人生とは何と厳しいものだろう。 そう、マネージャーは優子がやっていたのだ。 勿論、食物連鎖のように噂を立てられ、俺を弄るのは 目に見えている。そして不可抗力だ。 如何やら俺は安息の時すら手に入れられない存在に ランクダウンしていたようだ。 谷岡「今度こそ覚悟!!!」 隣から大声で叫んで突進してくる奴。 廉太郎「ほらよっと。」 そう言ってボールを思い切り蹴る奴。 谷岡「ぐふぅっ!」 奇声を出してその場に倒れこむ奴。 和夫「人生色々だな。    ハァ・・・。」 ・・・・・・ 案の定、教室に入ると俺の席の周りに人だかりが出来、 待ちくたびれたとばかりに俺の方へ皆突進して来た。 雄介「さて、皆の前で吐いてもらおうか。」 和夫「ん?何のことだ?」 まずは基本技で攻めてみる。 雄介「美女マネージャーを紹介したのは、お前だろ?」 廉太郎「あの可愛さは反則だろ?オイっ!」 流石、魔女の後輩。 俺にとんでもない置き土産をしてくれた。 威「・・・俺にもその話、聞かせてもらいたいな。」 ・・・とんでもなく大きな事件になっていた。 ・・・・・・ 休み時間が来る度に質問攻め、 曖昧に答えつつ時間をやり過した。 そして昼休み。 和夫「さて、トイレにでも行くか・・・。」 逸早く食べ終わった俺は、トイレに行こうと席を立った。 それが運の尽きだった。 秋菜「あっ、先輩!」 その声が聞こえても無視すれば良かった。 反応した所為で教室がざわめき、 時が経つに連れその大きさは増してゆく。 廉太郎「あれが噂の・・・。」 雄介「ここでアイツが「あっきなちゃ〜ん!」とか    言ってくれたら良いんだけどな。」 優子「流石私の後輩ね。    男を誑かす術を熟知してるわね。」 太一「俺もあんな女に好かれてみたいな。」 優子(太一、それは言っては駄目なのよ。    特に太一みたいな奴は。) ヒソヒソ話や大声で罵声を浴びせたり、 教室の奴は好き放題にしてくれた。 だが、問題は俺だ。 多分、またあの大魔女に会わされるんだろう。 逃げ道を作るのは容易くない。 秋菜「先輩、顔色が悪いですよ?」 どうやら顔色が悪いらしい。 あの大魔女に会う事を考えると、どうも顔色が悪くなるようだ。 雄介「おぉーっと、良い感じ!    保健室のベッドへ直行か!?」 威「おぉ、それは面白い。   あいつならきっとやってくれるだろう。」 更に嫌な話題になってきた。 しかも足がふらつく。 どうやら妙に体調が優れないらしい。 優子「って本当に足がふらふらしてるわよ。    大丈夫かしら。」 威「ヤるのか?ヤらないのか?」 廉太郎「面白くなってきたなぁ!えぇ?」 取り敢えず今の俺に出来るのは 逃げる事しかないだろう。 と、いう事で逃げた。 ・・・・・・ 2F男子トイレ。 悪臭が漂う事で有名。 此処なら誰も来ないだろう。 此処に来るのは余程急いでいる時くらいで、 2Fの奴も3Fのトイレを利用するくらいの悪臭。 秋菜「先輩、出てきてください!    話があるんです!」 和夫「あ・・・あぁ・・・。」 意識が朦朧としてきた。 仕方が無いので出て行く事にした。 それより、何で俺はこんな悪臭ルームに入ったのか。 その謎は、解けないままで居た。 秋菜「先輩のお陰で無事にマネージャーになれました!」 和夫「あぁ・・・そうか。」 秋菜「改めて宜しくお願いしますっ!」 和夫「あぁ、宜しく・・・。」 頭が痛い。 何故か頭が痛い。 上の方でおぞましい音が聞こえ始めた。 そうか。今は昼休みか。 秋菜「では、行きましょう。」 和夫「どこにだ?」 秋菜「どこにって・・・    屋上倉庫ですけど・・・。」 和夫「・・・俺は用事を思い出した。」 秋菜「・・・分かりました。」 そういうと彼女は180°回転して行ってしまった。 そう思った瞬間、急に頭痛が・・・! ・・・・・・ それからは何も覚えていない。 気が付くと俺は保健室のベッドの上。 和夫「ん・・・。な・・・。」 ???「あら?漸く目を覚ましたのね。     家に電話を掛けても繋がらないし、困ってたのよ。」 和夫「はぁ・・・すみません。    先生にまで迷惑を掛けるとは・・・。」 因みにこの先生は飯塚葉子という。 保健の先生だが、謎めいた一面が多い・・・らしいとの噂。 葉子「でも学校で倒れてずっと寝込む人なんて初めて見たわ。」 和夫「は・・・はぁ・・・。」 葉子「でもまぁ、もう八時になるし、さぁ帰った帰った!」 和夫「し・・・失礼します!」 8時だと!? 俺はどうすればそんな時間まで倒れられているんだ!? ・・・・・・ 和夫「うっわー。真っ暗だなぁ・・・。」 外に出ると真っ暗で、それにコントラストを描いた月が輝いていた。 和夫「どうせ親には電話してあるだそうし、のんびりしていてもいいかな。」 そう言って俺は近くの公園に向かった。 ・・・・・・ 和夫(夜の公園はまた不思議なものがあるな・・・。) 俺はそんなロマンチックな事を考えながら ベンチに腰掛け、空を見上げた。 和夫「星が、殆ど見えないな。」 ???「そうですね・・・。」 不意に横から声がした。 声のする方向を見ると・・・誰も居ない。 ???「ご主人様、私ですよ。」 和夫「なんだ、ミルラか。」 ミルラ「なんだって何ですか・・・それって結構失礼ですよぉ?」 和夫「ふぅ・・・。」 ミルラ「ため息で終わらせないで下さい。」 和夫「別に良いだろ。」 ミルラ「・・・月が、綺麗ですね。」 和夫「そうだな・・・。」 ミルラ「故郷が懐かしいです・・・。」 和夫「・・・そうか・・・。    そういえば、ミルラの故郷ってどんなのだ?」 ミルラ「木々が歌い、花々が笑って、     小さな生き物達が楽しく過ごしているような故郷です。」 和夫「・・・どんな故郷だよ。」 ミルラ「だっ・・・だから木々が歌って花々が笑って     小さな生き物達が楽しく過ごしている所なんです!」 和夫「・・・・・・木々が本当に歌っているのか?」 ミルラ「はい。」 和夫(・・・ハァ!?) ・・・・・・ ミルラ「・・・月が、綺麗ですね・・・。」 和夫「そうだな・・・。」 俺は何時の間にか眠っていた。 その睡眠が更なる不幸を呼ぶことも知らずに・・・。 >NEXT >目次へ