※途中からです。すみません; 「僕に・・・できることはありますか?」 「・・・気ぃ、使うなよ」 叫ばずにはいられない心情を隠すように、低い声でラビが言う。 頑なに助けを拒むのは、ブックマンという名前の重みを表しているのだろうか。 そんなもの、今だけでも忘れてしまえばいいのに。 「気くらい使いますよ・・・だって、僕は・・・っ」 言ってしまって、言葉に詰まる。 “だって、僕は”? その言葉の続きは言ってはいけなかった。 少なくとも、今言うべきことではなかった。 「僕は・・・?」 ラビが不審そうに続きを促す。 「僕、は・・・・・・」 分かっているはずだったのに。 僕は神田の代わりにはなれない。誰も神田の代わりになんかなれない。 「僕は・・・・・・貴方を、助けたいんだ」 分かっているのに、言葉が止まらない。 きっと、これが本心だったから。これも、間違えようのない本心だったから。 「貴方を助けたい!例え貴方が僕のことを神田の代わりとしか見てくれなくても、貴方を助けられるなら何でもいいんだ!貴方にっ・・・」 ラビの凍りついたような瞳に、間違いを悟る。 それでも言いかけた言葉は留まってはくれなくて、静かにその場に滑り落ちていった。 「見て、もらいたいんだ・・・」 一瞬の沈黙。 僕は最早何も言えなくなって、ラビの言葉を待つしかなかった。 例えそれが絶望への誘いであっても。それを招いたのは僕自身なのだから。 「お前が・・・」 ラビの声が震えている。 「お前がそれを言うのか?!」 殴りかかるように肩を押され、後ろに倒れこむ。 背中が少し痛んだけれど、それよりもラビの瞳の方がずっと痛かった。 失望を含んだ瞳は、僕を映して・・・けれど僕を見ていなかった。 「なれるもんならなってみろよ!お前は・・・っ、お前だけは分かってくれてるんだと思ってたのに・・・っ!!」 お前だけは―――――その言葉に、ラビの信頼を失ってしまったことを知る。 僕は知っていたはずなのに。 誰も代われないくらい、ラビが神田を愛していたことを。そんな、自分にまっすぐなラビが好きだったのに。 自分から、この関係を壊すようなことをした。 何よりも、そんな言葉を言わせてしまったことが悔しかった。 分かっていたはずなのに――――― 「アレン」 ラビの瞳が虚ろな狂気を見せる。 もう、戻れない。 「お前がそうして欲しいんなら・・・」 それでも――――― 「望みどおりしてやるさ」 どこかで“ラビを手に入れた”と喜ぶ自分がいた。 神田がいる限り入れないと思っていた場所へ、初めて足を踏み入れることができた。 例えそこが歪んだ世界に立った危なげな塔の上だったとしても。 例えその足が、世界を踏み荒らしていたのだとしても。 |
この作品はちょうどこのページの一番上の行辺りまで書いた状態でほったらかしてあったものでして、久しぶりに続きを書こうとしたら2パターン思い浮かんでしまったんで両方書いてみちゃったという。 1個目のは話に見合った展開。2個目のは趣味に走った展開。どっちのがいいですか?(笑) |