結局、私たちはお互いを利用してただけなんだよ―――――






終結 -はじまり-




最近、キラの態度がおかしい。


と言っても、戦争が終結を迎え、俺とラクスはプラントへ、キラとカガリはオーブへと一時的にせよ戻ったから、大して逢ってなどはいないのだが。
それでも戦時中より遥かに楽に連絡が取り合えるようにはなっていた。


『キラ、聞いてるのか?』
『あ、うん、聞いてる聞いてる』


その日も俺たちは通信で連絡を取っていて、お互いの状況などを話し合っていた。


『?もしかしてそこに誰か居るのか?来客中だったんならまた後で連絡するけ・・・』
『ううんっそんなことないよっ全然っ!全然、大丈夫!』


・・・だから、その態度が怪しいんだって。


『キラぁ・・・今更俺に隠し事なんかできると思ってんの?バレバレだよ、バレバレ』


幼馴染云々を抜かしたとしても、キラは分かりやすいので隠し事なんか到底出来やしないだろう。
そして“アイツ”もそれを分かっているようだった。


『・・・だよな。キラ、それ貸して。通信機』
『え、待ってよカガリっ!あ・・・アス、ラン?』
こちらの様子を伺うようにしてキラが聞いてくる。
『聞こえちゃった?』
『聞こえちゃったも何も、お前今通信機の目の前で“カガリ”って言っただろうが・・・』
今更隠しても、もはや何の意味もない。
キラとしては気を使っているつもりなのだろうけれども。


『あ、ちょっ、カガリっ!!』
キラから見事に奪い取った通信機の向こうで、カガリがはっきりと俺に告げる。

『アスラン、お互い今のままじゃどうしようもないだろうから会いたい。会って話をしたい。・・・ダメか?』


カガリはきっと、もう何もかも気付いてしまっているのだろう。
俺の気持ちも。キラの気持ちも。
最近のキラの態度からして、もしかしてカガリの気持ちも・・・なんて、それはさすがに都合の良すぎる考えだろうか。


『分かった。会おう』


会って、話をしよう。
何かを終わらせるために。
そして何かを始めるために。














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