「っ・・・カ、カガリ、は?」
「大丈夫だ。お前のおかげだよ。・・・ほら、カガリ?」
アスランに手を引かれ、やっとでキラを目の当たりにする。
怪我はひどい。
けれどそれ以上に、確かに生きていると感じさせるその笑顔。
「良かった・・・無事だったんだね・・・」
自分の怪我なんかお構いなしで私の心配なんかする。
ひどい怪我をしているのはキラなのに。
それでも・・・キラが笑う。


キラが、生きている―――――


「馬鹿・・・お前・・・っ良かったじゃないだろ!?私のせいでお前が・・・お前、死ぬかと思っ・・・怖かったんだぞ!!?すっごく、すっごく怖かったんだからな!!!」
キラが生きている――――それだけで涙があふれてくる。堰を切ったようにあふれてくる感情についていけない。
言いたいことがいろいろあるのに、言葉が声にならないまま暴言ばかり浴びせている自分。何を言っているのかなんて自分でもよく分からない。
ただ、一つ。


キラが生きていて本当に良かった――――――


そんな思いを胸のどこかに自覚しながら、私は、アスランがラクスを連れて出て行くのなんて気付かないまま、キラの胸の中でいつまでも泣き続けた―――――








「・・・落ち着いた?」


いつもよりトーンの低いキラの声で我に返る。
「あ、ご、ごめん・・・私ばっかり泣いてて・・・」
冷静になってみると少し恥ずかしい。
アスランだってあんなに大丈夫だって言ってくれていたのに・・・


――――・・・って、あれ?


「カガリ?どうかした?」
「え?!あ、いや別に・・・」


―――――ある考えが私の頭の中を過ぎった。


でもこれって・・・この気持ちって、気付かない方が懸命じゃないか?
そう思う自分が居るのに、一方で嘘をつけない自分も居る。


自分の気持ちに。
キラへの気持ちに。


「マズイかも・・・」
「え?」
「あ、何でもない。こっちの話」
答えながら、ちらりとキラの顔を伺う。
キラは不思議そうな瞳でこっちを見ている。
そんなに、見つめないで欲しい・・・
「カガリ?やっぱりちょっとぼうっとしてるよ?」
「だ、大丈夫だって!」
「でも・・・あ、あれ?あ、そっか、アスランってばラクスと二人で出てっちゃったもんね・・・気になるよね・・・」
そう言いながら少し寂しそうに笑うキラ。


ズ、キンッ・・・


キラの言っていることは全くの見当違いではあるのだけれど・・・
だって私、気付かなかった。
気付いたところでアスランとラクスは婚約者だったんだし・・・


なぁ、キラ。私―――――


「キラ・・・」
これって、すごくアスランに悪いような気がする。でも、きっと私は知っていて、それでいてアスランのことを受け入れていたような・・・そんな気がする。
「キラ、私」
このときの私の頭の中には、アスランとのことも、キラと兄弟だってことも深く考える余裕なんかなくて・・・
「私、キラのことが好きみたいだ」
ただキラが好きだという自覚だけを強く感じていた。














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何故か。「戦略」を書いてからもう大分時間が経つというのに今更いきなり唐突に続き(のようなもの)が降りてきました。自分でもびっくりです。
そんでもってこれ、もう1作分続きます。3部作?(笑)
んで、「戦略」がアスラクなら「交錯」はキラカガ。むしろカガキラ。
何がどうなっているのか、私の思考回路(笑)


でもさすが元本命カプなだけはあるキラカガ。
話の方は相変わらずビミョーですけど;愛だけでも伝わればいいにゃーと思います。いやマジで。


あんまり考えないで書いたこの作品ですが、下書きと大分かけ離れたというのはここだけの話。



2004/3/25


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