愛するため、ただ、それだけ。 『今でも、愛を知らなくて、愛を知らなくて、何故? 僕には、愛の感情が、愛の感情が、無い?』 肩に、腕に、軽く触れてくる体。 気にして、見ていると、笑い返してくる顔。 気付けば、 つられて、頬が綻んで、君は、そしてまた、笑う。 「蛮ちゃん、大好き!」 「・・・あぁ」 自分が、どんな表情をしているかなんて、分からない。 でも、君は、いつも、そうやって 笑うから。 だから、ほっとする。 「・・・蛮ちゃん、は?」 「え・・・」 一度だけ、一度だけ聞かれた、言葉。 「・・・ごめん、やっぱ何でもないや」 自分が、どんな、表情をしているかなんて、分からない。 ただ、君は、いつものように、笑う。笑う。 愛を知って、失って、隠して。 見えなくなった、この、感情は、いつか、その先を知るの だろうか。 「蛮ちゃん・・・大好き」 そう言って、君は。いつも、いつも、笑う。 花のように、笑う。 |