One More Angel 追われている。 暗い闇の中で、2人の気配だけがはっきりと浮かび上がるようにそこにある。 「銀次、生きてるか?」 「うん、なんとか・・・」 切れ切れの息の中、それだけの言葉を交わすのにも必死だ。 蛮の腕の中で銀次の存在が段々と薄くなっていくのが分かる。 「銀次・・・銀次・・・っ」 繰り返し繰り返し、願うように祈るように銀次の名を呟く。 蛮ちゃんが泣いてる・・・ 消えゆく意識の中でぼんやりと浮かぶ想い。 泣かせたくなんかないのに・・・ 銀次が、最期の力を振り絞って、蛮の頬に手を添える。 「銀次・・・?」 か細い、今にも消えてしまいそうな声が切なげに銀次の名を呼ぶ。 泣かないで・・・ そう言いたいのに、言葉は声にならず、ただ銀次の唇を震わせる。 「銀次っ!!」 銀次はもう見えていない目で蛮を見る。 手探りで、蛮の耳を探してそこへ近付く。 「――――――」 蛮の頬を涙が伝う。 泣か、ない、で・・・・・・ 銀次が微笑う。 「っ――――!!」 想い出は僕たちを 救うだろうか? |