「キラ・ヤマト、フリーダム、行きます!」 カガリの結婚式は既に始まっている。もう、猶予はない。 僕は、全速力で式の会場へと向かった。 「カガリっ!」 「・・・・・・キラ・・・?」 フリーダムを着陸させ、カガリに手を伸ばす。 横目に、ユウナ・ロマが逃げ出していくのが見えた。 ―――やっぱりこんな人に、カガリは任せられない・・・・・・ 冷ややかな思いが頭を過ぎる。 「何するんだっキラっ!!」 ・・・僕のこの行動が本当に正しいのかなんて分からないけど。 けれどこれだけは、僕の我が儘であっても押し通したかった。 せめてカガリには幸せになって欲しいから。 僕の手で幸せにすることができないとしても、カガリだけは幸せであるように。 それだけが、僕の願いだった。 「カガリ、ごめんね」 フリーダムから降りて真っ先に謝る僕に対して、カガリは「ありがとうとも馬鹿野郎とも言えない」と言った。 オーブのことを考えるなら、これは間違ってる、と。 でも、こんなに早くユウナと結婚するのも嫌なんだ、と。 ・・・何だか、胸が痛い。 カガリがこんなに悩むのは、カガリがアスランを好きだからで・・・でも、そのアスランは今ここにいなくて。 「カガリ・・・・・・」 言ってはいけないと分かっていながらも、想いが先走る。言葉が、口を滑る。 「僕じゃ、ダメ・・・?」 「え・・・・・・」 どうしてアスランなの? カガリが大変な時に傍にいなくて、自分のことで手いっぱいで、自分勝手にプラントに戻ってしまったアスランが、そんなにいい? アスランの、何がいいの・・・? 「だ・・・って・・・・・・キラは弟だし・・・」 弟、だから。 弟じゃなかったら、弟でさえなければ、カガリは僕のことを好きになってくれたんだろうか・・・ 「ラクスにも悪いし、それに・・・」 それ、に・・・・・・ それ以上は、聞きたく、ない。 「やっぱり私は、アスランが好・・・」 「いやだっ!!」 「っ・・・!?」 聞きたくない、けど。どうしていいのかも分からず、気がついたら、僕は駄々っ子のようにカガリを抱きしめていた。 「キ、ラ・・・?」 分かってる。分かってるけど。 「・・・・・・ごめん、分かってる。分かってるから・・・言わないで」 分かってる。 だってカガリはアスランが好きなんだもの。 アスランのことを好きになる気持ちだって、分かってる。幼馴染なんだから。 アスランのことは、カガリよりよく知ってる。 アスランの良さは、誰より、僕が一番よく知っている。 ・・・ただ、認めたくなかっただけ。 だって、ほら、いつまでたっても僕はアスランには敵わない――――― 「指輪・・・」 「え?」 「僕が持っててもしょうがないでしょ?」 そう言って、ポケットに持っていた指輪を取り出し、カガリの指にはめる。 「キラ・・・・・・」 「大事に、しなね」 僕とカガリは、双子の姉弟。僕はいつまでも、カガリの弟。 なら、それでいいじゃないか。 カガリの弟であれるのは、永遠に僕だけなんだから・・・――――― |
ユウカガ・・・っていうかキラカガ。(あれー?/笑) 最初のキラとユウナのやり取りが書きたくて作ったお話です。 鬼畜のようなヘタレのようなユウナが好きです!ユウナ万歳! |