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住人同士のつながりが希薄な街が増えている、
その現実は「遊び」を通して変わるはず |
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私どもの会社は、趣味を膨らませて生活をより愉しもうという主旨の雑誌や書籍を出版しています。中には、その土地ならではの愉しみ方を追求する情報誌(『東京生活』『世田谷ライフ』『田園都市生活』など)もあって、地方の人がその街に行く時に役立ててもらおうというものだったのですが、実際の読者の多くは地元の人たちです。なぜかというと、地域の情報を住人自身が持っていないから。つまりこれは住人同士のコミュニケーションが取れていないという事実を表しているんです。
たとえば田園都市という住宅地の場合、多くの家がつくられて、いろんな人が新たに住み始めます。でもそこには何の仕掛けもないから、住人同士は全然コミュニケーションが図れない。だからなかなかコミュニティーが育たなくて、街の個性も芽生えません。
僕が「東京タイムデザイン」という考え方がすごいと思うのは、そうした没個性になりつつある街から人間を引っぱり出してやろうとしているところ。現代人は家に帰ると家の中に閉じこもるのが普通になっているでしょ。情報だってネットや情報誌で手軽に探して済ましてしまう。誰とも話さないで、時にはお金を出して買うものだと思っている。でも本当は違う。自分で歩いて、みんなでワイワイ探しに行って、情報を公開して、コミュニティーとして成立していくものだと思います。だけど今はそれを実現するのはなかなか難しい。だから住人を外へ引っぱり出してあげる、住人同士がつながり合える、そんな機会を"豊かな時間をデザインするプログラム"すなわち「遊び」を通してつくってあげるというのは、すばらしいことだと思います。 |
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ちょっと背中を押してあげるために「遊びの達人」をご紹介します
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潜在的に何かをやりたい人というのは必ずいるのに、問題はきっかけがない。入口さえ近くにあれば、始めたいという人はいっぱいいるはず。その点、この物件はこの都心距離だから時間を有効に使えます。あとは入口が用意されればいいだけのこと。ちょっと背中を押してあげる。引っぱり出して入口に導いてあげれば、趣味がラクに広がっていく。自分に合っているかどうかのセグメントは自由にできます。入口が大きく開かれているということが大切なんです。いったん始めればどんどん多様化していくことでしょう。自転車やったり、ヨガやったり、料理したり、いろいろできる。それが「東京タイムデザイン」。学校のクラブ活動と同じ。複数に所属してもいいように、気楽な感じでいいと思います。
多様な趣味を愉しむうち顔も知らなかった5階上の人と付き合うきっかけも生まれることでしょう。するとその両隣の人とも親しくなることもありえます。遊びを通して知り合いが増えていく。街のつながり方って、そういうことだと思います。
今回私たちは、この「東京タイムデザイン」のソフト面をお手伝いすることになりました。いわゆる「遊びの達人」をご紹介することなどです。「遊びの達人」はいろいろ考えられますね。海も川もすぐだし、スキー場も関越を使えばすぐ行けるし、立地的にはどこにでも移動が便利。自然を相手にしたものはほぼできるのではと思いますし、その道の達人たちを我々はたくさん知っています。 |
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ゆくゆくは住人自身でコントロールできることでしょう。楽しみですね |
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といっても「遊びの達人」が親玉である必要はなくて、だれが手を挙げたっていい。ゼロスタートだからこそ、みんなで手をつなぎ合って何かができるのだろうと思います。家の中に一人でこもるのではなく、みんなでどこかに行くとか、共用施設を使って教室を開くでもいい。とにかく気楽にやってみる。そのためのサポートとして最初の導入部分は「遊びの達人」にリードしてもらうとか、いろんな方向性が考えられます。
そして最終的には自分たちの手でコントロールできるようになれば、いよいよ本格的にコミュニティーが育っていくのだと思います。いろんな人が入り乱れて何かをやっていくうちに流行り廃りも出てきて、物事が自由に動いていくでしょうね。先々は趣味を楽しむかっこいい大人が増えて、子どもたちがそれに憧れて、魅力的な街になっていくと思います。もちろん顔見知り同士がどんどん増えて、気軽に「こんにちは」とか「どこ行くの?」みたいな挨拶が交わされる街になっているんでしょうね。そうなってほしいなぁ。難しい顔をしている人が少ない街に。
もっとも、考えてみればコミュニケーション豊富な街づくりというのは、雑誌をつくる立場からすると脅威ですね。本が売れなくなりますから(笑)。一方で、そこから新しいものが生まれてくれば新しい流れとして取材することもできるから、やっぱり面白い仕掛けだと言うべきですね。 |
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