313.薬一つで性別が変わるわけがない※
(なんか……変な性癖に目覚めそうだ)
少年なのに異様に白いサヤの肌を見ているとドキドキする。いけないことをしている背徳感にハマりそうだ。
「んん……っ」
愛撫するとサヤは切なく鳴いた。その声もひどく情欲を誘った。
(珍しく無口だな……)
緊張するとサヤは喋る方なのに。やっぱり少年の体が慣れなくて戸惑っているんだろう。
それがまた、たまらない。
「……サヤ。辛かったら無理しなくていいからな。我慢しないで言ってくれ」
「でも……」
困った顔でサヤはローの下半身に目を向けた。デニムの上からでもわかるほど、我慢なんて無理と主張しているものをサヤに見られて、ローは憮然としてサヤの目を覆い隠した。
「いいんだよこれは」
嬉しくない話だが、ローは我慢にすっかり慣れていた。
とはいえ、何かしらのトラブルが続いていつまでも我慢ということになりかねないので、サヤが頑張れるなら容赦なく襲うが。
「キャプテンは優しいね」
ローの手に頬をすりよせて、サヤは笑った。
「大丈夫。頑張れると思う」
手のひらにちゅ、とサヤにキスされて体温が上がった。
服を脱がせて、膝に乗せて、膨らみのなくなった胸にかじりつく。
「やぁ。ん……!」
(サヤこれ好きだな……)
歯でしごくとサヤの下肢が震えた。
ベッドに押し倒してショートパンツとショーツを脱がせると、本来ならサヤにはないはずのものが現れた。
「サヤの、綺麗な形してるな」
「……? 綺麗とか汚いとかあるの?」
「え。いや、定義があるわけじゃねぇが……見た印象?」
改めて聞かれると口で説明しにくい。
奴隷の頃ならともかく、今のサヤには見慣れないものだろう。
コルダにもらったローションを瓶から手にとって、ローはサヤの手にも垂らした。
「かゆくなったりしないか?」
「平気。いい匂いだね」
サヤの言う通り花のいい香りがした。興味本位でサヤは手に垂れた分を舐めた。
「ちょっぴり甘い。蜂蜜が入ってるのかも」
「おやつじゃねぇから程々にな」
手で温めたローションで、ローはサヤのペニスをしごいた。
「んんん……っ」
「気持ちよくないか?」
「よくわかんない……っ」
刺激は強いようで、サヤは落ち着かなく足をシーツにすべらせている。
しごきながら乳首をいじってやると、喘いでサヤは身をよじった。
「ああ、や……っ、んん、……!」
しばらく刺激してみたが、いつものようにサヤはイケなかった。
「なんか、ずっと続いて苦しい……」
刺激を嫌がったので、ローは手を止めてサヤを抱き寄せた。
(薬一つで内臓まで出来るわけないしな……精巣がなきゃ射精も出来ねぇか)
性転換とはいえ、体の表面だけ形が変わっているだけのようだ。ペニスと神経はつながっているようだが、イクほどの快感にはなっていないらしい。
(どうする……? やっぱり無茶だったか)
ローの思考を察して、サヤは「交代しよう」と言い出した。
「次はキャプテンの番」
ローションを欲しがって両手を出されたので、ローはサヤの両手に化粧瓶からローションを垂らした。
「あ。手が汚れると触れないね」
ローがまだ下を履いたままだと気づき、サヤは困った顔で両手に視線を落とした。
ローは脱ごうとしたが、それより早く、サヤは頭を下げて口でローのデニムのジッパーを下ろした。
「……っ!」
どこで覚えてくるんだそういうの。
ローは教えていないし、クルーも教えるわけがないし(イッカクはちょっと怪しい)。
ローは嫌なことを思いついてしまった。
(奴隷時代に……海賊に教え込まれたのか?)
ありそうですごく嫌だった。サヤは記憶として覚えていなくても無意識の癖は残っているようなのだ。可能性は高い。
「キャプテンの大きいねー」
サヤはローションで濡れた手でローのものをしごき、先端を舌でなぞりあげた。
「……っ」
気持ち良すぎてイキそうになるのをこらえながら、ローはサヤから主導権を取り戻した。
「サヤ。顔上げて」
ローのものを頬張っていたサヤが不思議そうに顔をあげる。
細い腰を抱き寄せて向い合せでキスしながら、ローはサヤのペニスに自分のものをこすり合わせ、一緒にしごいた。
「ああ、や……!」
逃げようとするサヤを足で捕まえて、ローは離さなかった。
「ほら。一緒にやると気持ちいいだろ」
観念してサヤはローにすがりついた。
「んん、んっ、ぅー……っ」
(苦しそうだな……)
いつものとろけるような声と違い、辛そうだ。
やっぱり無理があっただろうかとローは手を離したが、サヤの手が代わりにローを包み込んだ。
「キャプテンは、イッて?」
涙ぐんだ大きな瞳に見上げられてぞくぞくした。
「ん……っ」
口と手を使ってサヤはローをイかせようとする。
(あークソ、可愛いな……)
サヤに奉仕されるのはあまり好きじゃない。
サヤを酷使した海賊と同じことをしているような気分になるし、奴隷時代に仕込まれたのかとつい考えてしまう。
それよりなら、何もしなくていいから、サヤのいい声を聞かせてほしい。
それは紛れもない本心なのだが、一方でサヤが自分のために一生懸命頑張るのを見るのは好きだ。心底可愛いと思うし、ローを好きだから頑張ってくれているのだと実感できる。
「ん、ん、はむ……っ」
サヤの口にも手にもあまる大きなものを一生懸命頬張って、ときどきローが気持ちいいか確認するため顔をあげるサヤと目があうのがたまらない。
(あー可愛い。クソ可愛い。世界で一番可愛い……)
可愛い以外の語彙がなくなりそうなくらい、サヤが可愛い。
こんなに可愛い子がローのことを好きで、こうして触れ合っている。なんでもしてあげたいのに今ローに出来ることは何もなくて、綺麗な髪を梳いて撫でた。少しでもこの気持ちが伝わるようにと。