『 結婚とは、臆病者の前に用意されたたった1つの冒険である』   ――ヴォルテール







ピエトロ・ド・ブラドーは、人生の決断を迫られていた。
女性が2人、目の前にいる。
1人は幼馴染。もう1人は資産家の娘。










「じゃあ、一晩考えて結論を出してもらうという事でいいね?」
「先生。こーゆーのは、横島さんの方が適任だと思いますけど…」
「いや、今回は、横島君の相手はマリア君で確定してるから」

その頃、横島はラインハットでらぶらぶ三昧。

「彼女が王妃なら、国王はドクターカオスでも良かったんじゃないですか?」
「彼の役はベネット爺さん以外にあり得ないよ」
「とにかく、この雰囲気を何とかして下さいよ。正直言って僕には耐えられませんよ…」
「それだけは言わないでくれ。実は私もこの役を引受けた事を後悔してるんだ…」

ルドマン邸に充満しているのは……

「ピートおにーさま♪ 勿論私を選んでくれますよねっ(はぁと)」
「ふっ、おたくみたいなションベン臭いガキはお呼びじゃないワケ」
「もう先のないオバサンこそ引っ込んでてよね」
「世間知らずのお子チャマにそんな事言われる筋合いはないワケ」
「………(祝砲代わりにミサイルぶっ放しちゃる)」
「………(披露宴の引出物に呪いかけてやるから)」

元ネタのRPGとは似ても似つかぬ険悪な空気。

「と、とにかくアン君は別荘に泊まってくれないか」
「えぇーっ! 何でピートおにーさまと一緒じゃダメなんですか!」
「万が一、既成事実でも作られたら困るワケ」
「あ、そーか。その手があったんだ」
「……しまった」





サラボナの夜。
ピートは夜中に目が覚めた。

「……で、何で愛子さんが宿屋の主人なんですか?」
「作者の趣味に決まってるでしょ♪」

宿屋のカウンターには、愛子の本体が置かれていた。

「それより、さっさと用事済ませて宿屋へ帰ってきてよね。私だって、さっさと仕事終らせて休みたいんだから」
「す、すみません」
「あ、そうだ。いい物あげる♪」
「えっ!? こ、これは……(汗)」
「ま、念のためよ。ね・ん・の・た・め♪」



「……全く、愛子さんにも困ったものだ」

愛子がピートに渡した物。それは、『明るい家族計画』。
果して、DQの世界にあの自販機が存在するのだろうか?



唐巣との話を済ませると、ピートはアンと話をするため別荘へと向う。
勿論、話だけで済むとは思っていない。そこまで認識は甘くない。
だが、悲しい事に、師匠譲りの責任感が敵前逃亡を許さない。
……もっとも、なぜか町から出られないので、逃げるだけ無駄なのだが。

「ふぅ…」

溜息を吐きながら、ピートが別荘のドアを開くと、

ガチャ

そこには……

「今度こそ私の勝ちね。フォアカード!」
「残念でしたぁ♪ ロ〜ヤルフラッシュ!」
「キィ〜ッ! 何で全然勝てないワケ!!」


余計な人物がいた。
いや、既成事実が回避され助かったと言うべきか。

「あの…フローラはこの時間熟睡してた筈ですけど」
「自分の将来が決まろうとしてる夜にスヤスヤ眠れるほど、私は神経図太くないワケ」
「太いどころか神経がないから、人の恋路を邪魔しに来たのよね〜」
「ダビデとゴリアテ使ってまで既成事実作ろうとしたおたくにだけは言われたくない!」

自分が来るまでの間に一体何があったのか?
ピートは、とりあえずここを立ち去るのが賢明と判断した。



「ピート君、フラグ立ったからもう寝てもいいわよ」   
「た、助かった…」
「それじゃ、おやすみ……」

宿屋の主人は机の中に消えた。

「おやすみなさい…」





そして、夜が明けた。
ピートは、一世一代の決断をする。

「で、誰を選ぶか決めたかな?」
「はいっ! 僕はこの人と結婚します!」
「何でワシを選ぶんですジャー!!!」

結局、選ばれたのはアンディ。
屋敷の外では怒号が飛び交っていた。

「雪之丞! 何で有り金全部賭けたのよ!」
「何言ってやがる! エミの旦那で間違いないと言ったのは、かおりの方じゃねーかっ!」
「や〜いや〜い、エミの奴フラれてやんのぉ〜」
「確か美神殿は、アン殿に100000G賭けていた筈でござるが…」
「悪の栄えた例はないとは、まさに言い得て妙よね…」
「ふふっ、これで念願の寅×P本をオフセで発行できるわ♪」
「スマンなぁ小鳩……ワイが『お約束のルドマン告白』で絶対間違いないと言わなんだら、こないな事には」
「いいのよ貧ちゃん、アブク銭で借金返そうと考えた私も悪いんだから」

賭けの胴元が誰であったかについては、あえてコメントしない。

「と、とにかくピート君は、シルクのヴェールを取りに行ってくれないか」
「まさかワシにそれを被せる気ジャ…」
「そんな事はサッちゃんキーやんが許しても、この俺が許さんっ!」
「横島さん、何でここに…」
「お前らの結婚式に出席するために決まってるだろーが」

そう言いながら、横島は文珠をピートに投げつける。

ポムッ!

「マリア、花嫁の事はお前に任せたぞ」
「イエス、マイ・ダーリン」
「そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ズルズルズル……

ピートはマリアに無理矢理連れられて、屋敷の奥へと消えた。

「という訳だから、タイガー、お前はさっさとヴェールを取りに行け」
「横島サン、まさかワシの居ない間に着替え覗くつもりジャ…」
「誰が覗くか!」



こうして、心労新郎タイガーと新婦ピートの結婚式が盛大に行われた。
なお、ルドマン家は、この結婚式で全財産を使い果たし一文無しになった。
唐巣和宏。とことんお金に縁のない男である。





そして、ピートはグランバニアで双子を産み、女王に即位したが、一家が後に魔王を倒せたかどーかは作者の知った事ではない。

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[平成16年9月1日更新]