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小ネタを少々

お邪魔したチャット中に浮かんだネタをぺたり。堂郁と手柴です。
若干別冊IIの設定を含みますので、未読の方はご注意くださいませ。

続き
***

・デートで遊園地に行ったら、郁は超ハイテンションになりそうだなーと妄想。
時間軸は恋人期間。

「きゃーっ!教官!○ッキーいます可愛いー!あ、あれ乗りましょー!」
テンションが上がっている郁は、堂上の腕を引きつつ小走りで進む。遊園地のマスコットキャラを見つけては黄色い悲鳴をあげ、乗りたいアトラクションを見つければ歓声を上げる。堂上は、はしゃぎにはしゃぎまくる彼女に付き従って歩いているが諌めるのも忘れない。
「ちょっと待て落ち着けアトラクションは逃げないだろう!」
「順番は待ってくれませんー!」
お前はいくつだ。
そう突っ込む気も失せる程に目をきらきらと輝かせて郁は歩く。
あれに乗って次はあっち、などと呟いてるのが耳に入ったと思っていたら、
「ってああー!!」
突然大声を上げた。あまりに唐突な叫びに、堂上は肩といわず身体全体を跳ね上げて驚いた。
「おまっ……いきなり大声出すな阿呆!」
業務中に叱る時のように、堂上は郁の頭に拳を落とした。
郁の声は良く通る。おかげで驚いたのであろう周りの客も、何事かとこちらを伺っている。しかし郁はそれにも気づかず、おろおろしている。
「だ、だって……!」
「だって、何だ」
「恋人同士で来ると別れるってジンクス…忘れてたぁ…ど、どうしよ」
そこまで言うと、郁は肩を竦めて項垂れた。心底落ち込んでいる様子である。
そういえば確かに聞いたことがある。カップルでデートにくると、その後別れるというジンクス。だが、それはただのジンクスだろう。そんなジンクスが本当だったとしたら、日本中のカップルや夫婦が破局の危機に陥ってしまう。
「阿呆、ただのジンクスだろ。そんなことで別れてたまるか」
落ち込む郁を浮上させるべく、本心を告げる。だが郁はまだ納得がいっていないらしい。痒いことを言うのは郁の専売特許だ。しかし言わなければ、郁は落ち込んだままぐるぐると変に悩み始めるかもしれない。それを思えば自分が痒いのなんて大したことじゃないと自分に言い聞かせながら、堂上は言葉を重ねた。
「それともジンクスに負けるくらいのもんなのか、俺らは」
まっすぐに目を見て告げると、郁の表情が徐々に明るくなってきた。
「そっ……そんなことないです!そうですよね、ただのジンクスですもんね!」
よかった!そう言うと、郁は満面の笑顔を浮かべ、再び堂上の腕を引いて歩き出した。

***

・手塚夫妻のある日のやりとり。

「今日、笠原と買い物に行ってきたじゃない。それでね、一緒に美味しいチョコレート買ってきたの」
いつも麗しい愛妻が、妻の親友であり手塚の同僚兼友人である笠原とのショッピングから帰ってきた。両手にショップの紙バッグやらなにやらを提げて、いたく満足げである。
そんな妻が、他のものより小さい紙袋を掲げながらにこにこしている。
よっぽど美味しいものを買えたのだろうか。浮かんだ考えを率直に口に出すと、得意げな顔をして教えてくれた。
「この辺りじゃ店舗出してなかったお店のチョコなのよ。最近オープンしたんだけど、何度行っても売り切れが続いてて、やっとのことで買えたんだわ」
だから、ほら。
紙袋からチョコが入ってるであろう箱を取り出し、手塚の方に差し出してくる。
「なんだよ?」
「んー?旦那様に美味しいもの食べてもらいたいなあって?」
「なんで疑問形なんだよ」
「気にしちゃ駄目よお。いらないの?」
飄々とした顔で、柴崎が手に持った箱を引っ込めようとする。それを掴んで、柴崎の手から取り上げる。その箱が簡単に手塚の手元に渡ってきたことから、引っ込めようとしたのが冗談だと分かる。
「……貰う。ありがとう。お前のその気持ちがすごく嬉しい」
素直に感謝の気持ちを告げると、柴崎の頬がほんのり赤く染まった。攻められると弱いと知ったのは二人の結婚式の朝だ。あの時、耳まで真っ赤に染まった柴崎は本当にかわいかった。こんな顔が見たくて時々攻めに転じているのは、柴崎には絶対に秘密だ。バレた途端、この奥さんからどんな報復をされるか分からない。

リビングのソファに柴崎と並んで座り、チョコの箱を開ける。
そこには綺麗に形の揃ったトリュフチョコが鎮座ましましている。手塚はその中の一つを摘んで口に運んだ。周りにまぶされたココアパウダーの苦味の後から、控えめで上品な甘みとカカオのよい香りが口の中に広がった。
柴崎がこれを買えたことを喜んでいたのが分かる。確かに美味い。
「美味いよ、これ」
「だってあたしが買ってきたんだもの。美味しくないものをわざわざ選ぶはずないでしょー?」
「そりゃそうだよな。麻子が選んだんだもんな」
得意げな柴崎に苦笑しつつ、トリュフチョコをもう一つ摘んだ。
口に運ぼうとして、視線に気づいた。柴崎がじっと手塚を見つめている。
「……何だ?」
あまりに真剣な視線に、少し慄く。すると柴崎はにっこりと綺麗な笑顔を浮かべた。
「ねえ光ー、あたしも食べたいな?」
「食べたらいいだろ。おまえが買ってきてくれたんだし、こんなにあるし」
「そうじゃなくてー」
柴崎が、爆弾を投下した。
「食べさせて?」
魅惑の笑顔に、手塚にしか聞かせない甘えた声音。
手塚は自分の顔が熱くなっているのを自覚せざるを得なかった。


結婚後の柴崎は手塚に甘えに甘えればいいと思う。
そして旦那様は、そんな奥様のおねだりに逆らえなければいいと思うよ。

***

元々は会話文だったんだけど、ちょっと地の文書き足してみた。
どっちも男性視点になってたことに気づいてちょっと吹いた。
振り回させる彼氏殿(のちの旦那様)に萌え。
他にも色々ネタのストックができたんだけど、R風味なのでどうしたもんかな!

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