「不和さんおはよう」
「おはよう」
登校途中に合流した友達のカナエと教室へと向かうと、廊下の窓側に腕を組み立つ不和さんが見えた。窓の外に向けた視線をカナエに戻す流れの中でさえ視線がかち合ってしまい、逸らすには気まずくなる。ずっとこっちを見ている。期待しているものがわかった気がして挨拶の声をかけるが、返事の直後に眉根が寄せ合わされる。ちらり、とカナエを一瞥し、私を見、カナエに向かいなおす。
「すこし、さん連れて行ってもいいかしら」
え・・・、と返答によどんで視線を寄越される。ただ私の意思を窺っている。授業が始まるのに時間はあるし、教室に入ればいつもつるんでいる子が二人いるからこの子が一人になることはない。朝から待たれているのだから、いま確かめたほうがいいことなのだろう。友達と喋って過ごしたい授業前ではあるけれど、不和さんと少しの時間一緒であっても構わない。
「じゃあ、先に教室入ってて」
どうして接点のない不和さんに誘われるのか、疑問の篭った視線で見送られたけれど、私自身もクエスチョンマークが浮かんでいる。「行くわよ」と腕を掴まれ引っ張られていく。教室からあまり歩かず、非常階段のあたりで止まり、向き合い立つ。人は各々の教室へ向かう生徒が何人か通るくらい。ちらちらと気を払って、人通り途絶えたところで、不和さんが口を開く。少しほっぺが赤い。なんだか告白されるみたいな心地。もちろん、女子ばっかりで男の子は少ないし、此処の男の子は大変なのだ。一度の体験もない。レズビアンも居るみたいだけど、私には全くそういったこともない。
「不和さん、どうしたの?」
「今日も・・・、一緒に帰っていいかしら?」
「え、あ、いいけど、私いつもカナエたちと一緒に帰ってるんだよね」
「わたしはそれでもいいわ」
「うーん・・・。じゃあ、訊いてみる」
「え! みんなして補習って、どういうこと?」
「この前の宿題やらなかったからだって、さいあく」
「あー、袴田先生のか・・・」
「は今日不和さんが居るんだから、先帰ってていいよ」
「うん・・・」
・・・という経緯で、本日は不和さんと二人で帰ることになった。
とまる