「まあーた行くの?」
ゴルフバッグを担いでいる。この男は、遊んだりしないのか。
「別にいいじゃないか。多少の稼ぎにはなっているんだからさ」
この前は外国まで行ってきてた。なのに自分の記念品しか買ってこないで、私にはお土産のひとつもない。ご近所さんなんだから、ちょっとくらいなにか寄越してくれたっていいのに。
「じゃあね」
あとはこの一言のみで、種類なんかはよくわからないけれどいやに格好いい車を唸らせながら遠ざかっていく。全然話せなかった。
自分も行こう、と一歩踏み出した時にはた、と気付いた。やば。家出た時点で時間ギリギリだったんだ。


「いらっしゃい、さん」
「ごっ、ごめん、遅れて・・・!」
「いいですよ。でも大丈夫ですか? 少し休みますか」
「そんな、駄目だよ。さ、やろっ か」
今日は親御さんは不在のようだ。ああ、よかった。でも雇ってもらってるのに、遅刻するなんて、時間を無駄にするなんて。最低だ。
とんとんと二階へ上がって、コナンくんの部屋に入る。と、いつもと違った。
「・・・どうしたの、これ」
「え? ぼく、ゴルフやってるんです。知りませんでしたか?」
「いやいやいや、コナンくんなの? お父さんじゃなくて?」
「いえ、父さんはやりませんよ」
クラブが多くなって、幅をとるようになったんで部屋に移動させたんです。
ああ、そういえば今日はやけに玄関がすっきりしてると感じたのはこれらがなかったからか。う、軽い眩暈がする。なんなんだ、これ。若者の間ではゴルフが流行ってるのか。コナンくん、高校生じゃないか。ゴルフって、中年がやるものだとばかり・・・。(ゴルフするあいつは特殊だと思ってたのに)

その後は部屋のクラブやらが嫌でも目に入った。気が散って、不意に質問されたときは直ぐに答えられなくて、してコナンくんに申し訳なかった。はああ、でも家庭教師の仕事はちゃんとやらなきゃなあ。



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